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へんな子たち  作者: 楠羽毛
人形の糸
87/103

人形の糸(2月21日 岡野 ひなた) ①

挿絵(By みてみん)

 いつからか。

 白い糸が、ぴんと、関節ごとに、きれいに張って。

 天に伸びている。



「あ、」

 と、高い声が出てしまう。

 通学路の、いつもの横断歩道。長い信号待ちが終わって、ゆっくりと足を踏み出す。となりで一歩先にいるのは、塚本つかもとまい。鼻の高い、茶髪の同級生。

「どうしたの?」

 まいは、ふしんげな顔をして、歩きながらこちらを見た。

 じんわり青みがかった目を、きゅっと細めて。

「え、……」

 ひなたは、ちょっと片腕をあげるようなしぐさをして、小さく笑ってみせた。

「なんでもないよ。」

 いいながら、肩をひねる。ちょっと、関節の調子がおかしいだけだ。

 特に、肘と、左肩。ゆうべからだ。ちょっと歩調をゆるめて、空を見上げる。それから、早足でまたまいに追いつく。

「なんか、顔色悪いよ。だいじょうぶ?」

 まいは、立ち止まって、ひなたの頬に顔を近づけてくる。ちょっときつめの眉を、ぎゅっと寄せて。

「うん。……マイちゃんこそ。」

「なにが?」

 いいながら、まいは、もとのように歩きだしている。ひなたの一歩前を、すたすたと、早足で。

「ううん。……なんでもない、」

 ひなたは、頷いて、また歩きだした。ふたりが渡りおえたところで、ちょうど、信号が赤になった。

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