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へんな子たち  作者: 楠羽毛
エスパー
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73/103

エスパー(12月16日  木田 保美) ⑦

 地震!?

 とっさに、立ち上がる。まわりを見る。誰も、揺れに反応していない。

 ただ、こちらを見ている。


 机、教卓、ロッカーの上の花びん、筆箱──、

 なにもかもがたがたと揺れているのに、れんの体は、ぴくりとも動いていない。

「なんで……、」

 凝視する。

 それから、ようやく気づく。

 浮いている。

 れんのうわぐつの底と、床のあいだに、2センチほどの隙間が。

 

 ぼそりと、れんの唇が動いた。


 いつも伏せている目を、ぎゅっと睨むようにかたく細めて、

「おまえは、おれの念波ねんぱをはね返して、」

「なに、言ってるの?」

 ねんぱ。現実離れした単語に、頭が痛くなる。

 いや、本当に頭痛がする。かすかな、偏頭痛へんずつうが。

 ずきん、ずきんと、だんだん大きくなって、

 少しずつ、何も考えられなくなって……、


 ──しばらくして、すうっと頭が晴れた。


「……どうして、おまえ、だけが──」

 ぐちゅり、といやな音。

 脳がねじれる音だった。れんの。

 耳から、血が吹き出した。それから、みしりと音をたてて顔に亀裂きれつが入った。ぼきぼきと骨が動く音とともに、かたちが崩れて、

 れんの体は、少しずつ、肉塊にくかいにかわっていった。


 保美やすみは、ボンヤリとそれを見ながら、途方にくれていた。


 ああ、好きだったのに。


(エスパー 了)

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