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エスパー(12月16日 木田 保美) ⑦
地震!?
とっさに、立ち上がる。まわりを見る。誰も、揺れに反応していない。
ただ、こちらを見ている。
机、教卓、ロッカーの上の花びん、筆箱──、
なにもかもがたがたと揺れているのに、蓮の体は、ぴくりとも動いていない。
「なんで……、」
凝視する。
それから、ようやく気づく。
浮いている。
蓮のうわぐつの底と、床のあいだに、2センチほどの隙間が。
ぼそりと、蓮の唇が動いた。
いつも伏せている目を、ぎゅっと睨むようにかたく細めて、
「おまえは、おれの念波をはね返して、」
「なに、言ってるの?」
ねんぱ。現実離れした単語に、頭が痛くなる。
いや、本当に頭痛がする。かすかな、偏頭痛が。
ずきん、ずきんと、だんだん大きくなって、
少しずつ、何も考えられなくなって……、
──しばらくして、すうっと頭が晴れた。
「……どうして、おまえ、だけが──」
ぐちゅり、といやな音。
脳がねじれる音だった。蓮の。
耳から、血が吹き出した。それから、みしりと音をたてて顔に亀裂が入った。ぼきぼきと骨が動く音とともに、かたちが崩れて、
蓮の体は、少しずつ、肉塊にかわっていった。
保美は、ボンヤリとそれを見ながら、途方にくれていた。
ああ、好きだったのに。
(エスパー 了)




