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へんな子たち  作者: 楠羽毛
書き手と読み手
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書き手と読み手(12月8日  中嶋 百花) ③

「ねえ!」

 ひょいと、人垣をかきわけるようにして、だれかが出てきた。

 小柄な少女だった。

 吊り眼ぎみの目を細めて、右手をひょいとあげて、かるく曲げた人差し指を、こちらに向けている。ふんわり跳ねた髪のうえに、赤い髪留かみどめをひとつ付けて。

 百花ももかは、ちらりとそちらを見て、名前を呼ぼうとした。

「ねえ、それ。」

 にやにやと笑いながら立つ、きれいな爪をした少女の名前を。


 できなかった。


 名前が、わからない。たしかに、知っているのに。

 百花ももかは、硬直して、たらたらと額から汗を流した。靴の中が、じんわりと湿って、どくんと心臓の音が全身にひびく。

 少女は、すっと本に手をかけて、含み笑いをもらしながら、

「これ、あなたの?」

 と、訊いた。

 百花ももかは、唇をふるわせながら、無言で首をふった。

「どこで、みつけたの?」

「……図書準備室で、……」

「ふうん。返しとくね」

 すっと、少女が百花ももかの手から本をとりあげると、


 百花ももかは、すとんと膝からくずおれて、目をあけたまま動かなくなってしまった。

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