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へんな子たち  作者: 楠羽毛
眠り姫
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眠り姫(9月30日 吉岡 愛梨) ②

 なにか、が見えた。いや、見えた、らしい。



 少女は、ぱたんとドアを閉じる。「今の、」と、小さくつぶやく。

「あれ、……」

 愛梨あいりの目を、じっと見つめて。

 水ならあっちでしょう、といいかけて、愛梨あいりはまた口をとじた。

 とにかく、図書室への扉をあけてしまったのだ。たまたまテーブルに近かったからか、なんなのか、もうわからない。

 そして、……どうしてか、あれが、見えてしまったのだ。

吉岡よしおかさん、さっきの、……知ってるの?」

「アノ、……あれは。」

 ぱくぱくと唇をさまよわせながら、いいわけを考える。

 眼の前の少女の名前を思い出そうとする。できない。いつもなら、なんだってすぐわかるのに。

「……入っても、いい?」

「いいけど、すぐに戻ってきてね、……」

 かろうじて、そう、舌を動かす。


 とくんと、心臓がふるえた。


 少女は、おそるおそるもう一度引き戸に手をかけて、からりと動かした。

 ぱちぱちと目をしばたかせて、それから、足を踏み出す。

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