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へんな子たち  作者: 楠羽毛
異世界から来た少女
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異世界から来た少女(8月2日 下田桃花) ④

 ──わたし、別の世界からきたの。



「へえ、」

「だからね、今日は」

「うん」

「この山のうえの洞窟に、異世界の遺物いぶつがあるのがわかったから、取りにね」

「うんうん」

「……信じてないよね」

「えー、」

 ふわふわと曖昧な笑みをうかべる少女をぎゅっと睨むように見て、桃花とうかは、足を止めた。

 ぱちぱち、とまばたき、それからちいさく呪文をとなえて。

 力、を手のひらに集中する。

 両手をあわせて、その間に、ゆっくり、血をめぐる力をうつしていく。


 まあるく、ととのえて。


 真球しんきゅうに整形した力が、炎のようにかがやきだして、それから。


 剣、が落ちた。


「……すごぉい」

 ぱちぱちと、拍手。

 すとんと地面に落ちた、刃わたり1メートル近くある両刃りょうばの剣。柄はきれいに飾られて、先端にはにぶく輝く緑の石が。さやはない。

 手にとる。軽い。いや、重みを感じない。

 刃にふれると熱を吸って、じんわりと冷える。

 気持ちいい。

「なあに、それ?」

「剣!」

 すっと、きっさきを前にむけて。構えなど、知らない。我流だ。

「えー、あぶない」

 女の子は、おどろいたふうもなく、まだへらへらと笑っている。

 桃花とうかは、無造作にリュックをおろして、前にでた。横によけた女の子の脇をぬけて、道わきの藪に近づく。

 エノコログサ、ヨモギ、それから、すすき。膝上までびっしりと草の葉で埋まって、地面はほとんど見えない。その、奥が。

 ざわざわと、動いている。

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