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へんな子たち  作者: 楠羽毛
私の娘
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私の娘(3月19日     ) ④

「ほかへ行く、って?」

 愛梨あいりがききかえすと、少女は、くるくると指をまわして、首をふった。

「いやあ、……なんて言ったらいいかな。その、」

「引っ越すんだよね?」

「まあ、そう」

「ふうん……、どこに?」

「知らない! きめてない」

 まるで面白い冗談みたいに、くつくつとまた笑って。

「そんなことあるの?」

「いいの、わたしは。」

 すたすたと、歩みをとめずに。

 愛梨あいりは、ついに我慢できなくなって、少女の前にたちふさがるようにぐいと足をだして、進路をふさいだ。

「……あなた、どこから来たの?」

「覚えてない」

「冗談じゃなくて」

「ほんとうに!」

 赤い髪留かみどめをした少女は、きょとんと首をかしげて、


 真剣な目をして、またわらった。


「わたし、覚えてないの。なんにも」



 また、べつの日。

 わたしは、スマートフォンに保存された写真を整理していた。

 ……どうしてか、子供の写真が多い。

 赤ちゃんの写真も、ある。親戚の子だろうか。よく思い出せない。


 ……以前は、もっと沢山あったような、気もする。ごみ箱フォルダをあさってみる。ない。当たり前だ。保存期間は一ヶ月。

 何年も前に消した画像なんか、残っているわけがない。


 ……いや、何年も前にもなにも、撮った覚えも、消した覚えもないのだが。


 わたしは、なにを探しているんだろう?

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