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2度目の赤子体験、母親はロリ

 暖かい。なんだろうこの感じ、どこか懐かしい感覚だ。お湯? ぬるま湯みたいな。


 そして移動し、柔らかい布の中へ。


 ……ってあれ? おかしくねぇ?

 死んだよな、俺。川に落ちて。なんで当然のように温まってんの? あの世?



「■◾︎■■◾︎、■■■◾︎■」



 俺以外の誰かが何かを言っている。妙にハッキリ聴こえるのに、発音それ自体はぼんやりしていて理解が出来ない。

 外国語を言っているのではなく、耳の機能が知っている物と違う感じ? ただ音そのものを拾って、強弱やアクセントを拾えてないみたいな。


 どうなってるんだ? 俺、もしかしてなんだかんだ言って助かったのか? 助かったけど後遺症残って耳が劣化したみたいな事か?


 とりあえず目を開けてみよう。状況を確認しないと。



(あれ? 何も見えねえじゃん)



 盲目というと誇張だが、しかし目を見開いても普段見えている景色よりもよっぽど視認できるものが少なく、ぼんやりとしている。


 ……いや、色ごとに見えやすい色と見えにくい色があると言ったら正しいのか? 暖色が普段より強く目に入ってきて、それ以外が目立たない。


 眼球も潰れかけたみたいな感じだろうか? あの濁流だもんな、耳も目も使えなくなっても不思議はない。


 ……あ、でもこれ一点を凝視すると一応鮮明に物が見えるな。望遠鏡みたいだ。ピントを合わせる事は出来るらしい。



「■■■◾︎■! ■◾︎〜■◾︎■◾︎◾︎」



(うおっ!? なんだ、めっちゃ近くに人いた! びびった〜)



 物を見る感覚に慣れて、辺りを見渡そうと思って視線を左に向けたらなんかでかい人がいた。女の人……いや、女の子だ。


 赤髪で紫色の瞳、バランスの良いカラーバランスをしているが現実にそんな特徴有り得るか? って容姿をした美少女。

 見た感じ染めたようには見えないしカラコンとも思えない。赤毛はまだしも紫の瞳なんて聞いた事ない、北欧とかそこら辺の人?


 というか、やっぱりこの人でかすぎない? 俺は身長180ある、その俺から見て3人分くらいの身長誇ってそうな縮尺の肉体をしてる。

 俺の3倍の身長、つまり約5m? 人か?



「■◾︎◾︎! ■◾︎■■◾︎■、■■■◾︎〜!」



 また新手だ。人が増えた。美少女の隣に今度は銀髪と青い瞳のイケメンさん。

 若白髪か? って思ったけどちゃんとそういう色の頭髪らしい。こっちはまあ、正統派の西洋人って容姿だ。

 そしてやはりこちらも身体がバカでかい、6mとかありそう。人か?


 普段は何してる人なんだろうな、俳優とか? 映画の悪役とかやってそうな顔つきだ。



「■◾︎、■■◾︎■■◾︎◾︎■◾︎」

「■、■◾︎」



 美少女がイケメンさんに何かを言うと、イケメンさんが俺の顔を真正面に捉えた。イケメンさんはしばらく厳しそうな顔をしていたが、美少女に短く何か言われると不器用そうに笑顔を作った。


 え、なに、きも。何見せられてんの、俺。


 思えば美少女も謎に俺の方を見てニコってしてたなって思ったが、それはだってさ。ほら、俺イケメンじゃん? そういう事だと思うじゃん。知らん男の笑顔はいらないよね。



「■■、◾︎■■」



 なんだなんだ? 急に美少女に頭を撫でられた。手でっけ、俺の頭鷲掴みにして持ち上げられそうだ。

 そしてそのまま指を曲げて頬に指の第2関節の辺りを押し付けられる。


 俺は一体何をされているんだ? この人達は誰なのさ? 女の方はまだ10代半ば、男の方は20代前半ぐらい。カップルだとしても女の方若すぎないか? パパ活に見える。


 そういえば女の方、なんかすぐ脱げそうな簡易的な服を着ている。作務衣(さむえ)をめっちゃ小さくした感じ? 腰紐を解いたら前がはだけるだろうに、無防備にも俺の横に寝転んでってうぉおおおっ?


 見えてる見えてる乳首見えてるっ! あっ、乳首って普通に言っちゃった、いかんいかん。乳首見えてるよぉ!


 ペラッペラな布1枚でブラしないのはどういう? 痴女なのか? 体自体はめちゃくちゃでかいけど、年齢は多分俺より歳下、だよな? 中学生くらいだもんな……?

 とりあえずどうしよう、教えてやった方がいいか?



(あれっ体動かねえ! えっ、縛られてる?)



 上体を起き上がらせようとするが何故か体が言う事聞かない。何かに動きを制限されている。



(くそっ、どうなって)

「ぅあー」



 ……………………えっ。


 なんだ今の。俺の声? 俺の声だよな、だって今俺喋るつもりで発声したもん。



「あぅ、ぁぶぶっ」



 ?


 あれれのれ。言葉にならないぞ?

 なんか俺の声、めちゃくちゃ高くない? ていうかこの声、赤ちゃんじゃない?

 ……えー? 何が起きてんの〜?



「■■◾︎、◾︎■■◾︎■」

「◾︎、■■」



 美少女とイケメンさんが何かを話すと、イケメンさんに抱き上げられる。

 ……なんなのぉ、男の俺なんか抱き上げて一体何を。



「……ぁぶ」



 おい、おい。

 目線を下げ、手を上げ、自分の手のひらを見る。

 その手は見慣れたゴツゴツした物じゃなくて、クリームパンみたいな丸くてぷにぷにしたものに変わっていた。


 思考する。


 謎の男女。女の方は薄着で、俺は布に包まれている。俺に笑いかける男女、抱き上げる男。寄り添って寝る女。赤ちゃんのような声の俺、赤ちゃんのような手の俺。


 ……んーむ。


 現実に起きるはずのない事が起きた場合、人はどういう反応を示せばいいのだろうか。


 叫びをあげようにもこの口では意味のある言葉を吐き出せない。当たり前だ、歯が生え揃ってもいないのに言葉など話せるわけが無い。

 嘆くほど悲観的な感情はない。ならば、特に何もせず受け入れるべきなのだろうか?



「■■、■◾︎■■」



 男が何か言っている。意味は分からない。へへっ、へへへって下手くそな笑顔でぎこちなく俺に笑いかけている。

 うん、なるほどね。ああ、そうだよなぁ。

 目の前のこの男、俺のパパだよなあ。


 なんで?? なんでこうなった、俺今どこぞの誰かさんちの赤ちゃんになってるじゃん。この外人パパの息子じゃん、頭おかしくなりそうなんだけど?



「あーぅぶぶー?」



 ふーむ、えーっと。しつこいとは思うけど考えさせてくれ。まだ飲み込めていないんだ。


 人は死ぬと生まれ変わりをするのか? 仮にそうだとして、なんで記憶は前世のままなんだ。

 三つ子の魂百までと言うが、その3歳になるまでに人格や記憶がぶっ壊れて新しい人間として作り直されるみたいなノリなのか?


 うーむ、こういう哲学とか宗教みたいな物は興味がなかったから全くわからん。

 俺が無知なだけで、案外こういうものなのか? 人の記憶って来世でも持ち越されるものなのかね。



「■■◾︎■◾︎■」



 お、新たなる登場人物だ。金髪のおばちゃんと、こちらは本当に白髪のおじいちゃん。助産師さんとお医者さん? 柔らかい布のようなもので顔や体を拭かれる。お湯を拭き取ったのか。


 ……ん? 待てよ、するってぇとさっきの美少女、中学生くらいの北欧女は俺の母親って事になるのか?

 そう、だよな。だってあんな薄着、明らかに出産する際の装いだもんな。


 うーむ、手を伸ばしてママーってアピールしてみるか? いつまでも男と見つめ合いっこするのは素直に気持ち悪いし。



「ぅあー、あぅあぅ〜」



 父親の頬にペチンと手を当てる。ぺちんぺちん、すると父親は困惑した顔で俺の背後、母親と思しき美少女に目線を送った。



「■■、■■◾︎■◾︎■■◾︎■」

「■◾︎■■。■◾︎、■■◾︎◾︎■」

「■■◾︎■」



 父親と美少女、助産師らしきおばちゃんが何か言ったあと、1度おばちゃんが俺の脇の下に手を入れ父親の手から俺を抱き取った。


 数秒間、背後で何かをする気配を感じながら待つ。出産直後なら色々大変なんだろうな。



「■〜◾︎■■■■、■◾︎■■◾︎」



 おばちゃんが俺を見ながら和やかに優しく何かを言うと、俺を持ったまま腕を伸ばして背後にいる人間に俺を差し出した。

 俺の体を受け取った手。おばちゃんのシワシワとした手ではない、小さくてスベスベとした手触りが俺をそっと包み身に寄せる。



「■◾︎〜■■◾︎■」



 汗に濡れてじっとり張り付く肌。しかし暖かい、若さを感じる柔らかさ。見上げると、やはりそこには美少女の顔。


 本当にこの子が母親、なのか。

 いや待て、引くのはまだ早いぞ。だってそうだろ? この場にいる人、全員日本人じゃないだろ。明らかに俺からしたら外人、異国文化の人間じゃないか。


 俺はここが日本であるという前提を持っていたから父親を度し難いロリコンだと思った。だが、ここは日本じゃないだろ。明らかにさ。


 こんな若い女の子が出産する事も普通な国なんだろうよ。子供だって結婚も出産もできる国なんだろうさ、そうなんだよきっと。



「あぶぅっ!?」



 待てよ……!?


 この女の子が母親、となると授乳とかどうなるんだ? まさか今世の俺、中学生の母乳吸って育ってくんか?


 ……。

 キツい、かなりキツい。


 いやー! だめだな、先入観があってちょっと罪悪感とか抵抗感が拭えない! 気にする方がキモイんだろうけど、てかそもそもこの歳になって母乳を飲まなくちゃならないって時点で相当気持ち悪い!!


 ひぇ〜! 俺、異性の体液を口に入れるの大っ嫌いなんだよ……。嫌だ、頼むから粉ミルクで育てていく方向性にしてくれ……!



「■■◾︎、■■◾︎◾︎■◾︎■■◾︎■■■◾︎?」

「■■◾︎■■■◾︎」



 父親とおばちゃんとおじいちゃんが何か神妙な顔で話し合っているが、母親は我関せずと言った感じでニヨニヨ顔で俺の腹を指でくすぐったり頬に指を押し付けたりしている。


 はあ、しっかし作り物みたいな見事な美形だなあ、母親も父親も。前世では顔の造形に恵まれなかったが今世はイケメンになれるかもしれない。


 ……いや、顔の出来の云々なんてどうでもいいか。考えるべき事は、ここは日本じゃないと言うこと。生まれ直したのならそれを考えるべきだろ。


 この国の文化、伝統に慣れていけるのか。飯が舌に合うか、衛生面や医療面は? 娯楽はあるのか、そういう事だろ重要なのは。



「■■◾︎◾︎■■◾︎」

「■◾︎◾︎◾︎■■■」

「■◾︎」

「■◾︎■◾︎◾︎■」



 ……全く何を言っているのか検討つかないな。日本語ではないし英語とも違う、ロシア語やスペイン語とも違う、独特の発音。

 新たな言語や読み書きを勉強し直さないとならないのも面倒だし、赤ちゃんの時点で見えている課題が山の量だ。


 でもこう見えても中身は高校生、高校に上がるまでの基礎学力はテキトーに過ごしていてもある程度担保されてるはず。必須な学びは当面この国の国語だけって考えれば、むしろ記憶があって得したのか。



「■〜、■■■◾︎■■◾︎■〜」



 ちゅっ。

 母親に何か、多分可愛いみたいなニュアンスの言葉を言われた直後にキスされた。よかったほっぺで、本当に良かった。


 なんやかんやあって死に、なんやかんやあって外国の別の人間に転生した。

 正直まだ前世の俺、以前の俺と今の状態を分けて考えられていない。別人になる心構えみたいな物もできていないが、まあそれはこれから慣れていくだろう。

 納得出来ない事は多々。だが、妥協は出来た。今は転生してしまったことをとりあえず受け入れていこう。


 こうしてとある赤子は誕生初日に物心がついたとさ。

 まあ、言語覚えるまでは頑張って、その後はマイペースに生きていこう。

 なんか川で溺れた直後に赤ちゃんになった感覚のせいか眠いし、色々考えるのは後回しにして今は寝よう。グッナイ世界、あわよくばこれが夢でありますよーうに。

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