道場の門下生の感情
なんなんだろ?俺だけひたすら、掃除を言いつけられ、鬼姫師範と、やたらと重い箒で、道場周辺を、掃除にいそしんでいた。
「いや~よく道場へ、入門してくれたよ、学校での事件で、もう来ないかと心配したんだよ」
と、嬉しそうに箒で掃除をしながら、威信に話しかける、鬼姫
「俺は、この道場で、未熟者の意味を理解しましたし、それを気づかせてくれた、霊木にも感謝しています。」
「でもさ~自分から暴力を振るった、処罰を、一週間の謹慎と言っても、相手が、関係ないと言い張るんだから、それ只の欠席じゃない?」
「そうですね、ですが、一週間の間、ここにある、文献、戦術書、経済、等の本を、読みあさりたいとも、考えてます。」
それを聞いた、鬼姫は、私はダイヤの原石を拾ったのかもしれない、『が!』何故か直ぐに抜かれるのではないかと頭を過る。
しかし、威信は、黙々と掃除に励むのであった。
場所は変わり、〇学校中学2年生、名前を龍色信一郎が、眠たそうに、あくびをしながら、そう言えば、時田の奴は、自主的に一週間謹慎するんだったよな~俺も自主的に謹慎したいぜ。
そうこう考えてる内に、2組A組の香月が、話しかける。
「正直、時田は、どう思う?」
「どうって?」
「だからさ、入門試験で、真剣の儀まで、いったんだろ?しかもだ、あの長太刀での大竹の切れ味、素人では、無理だろ?しかもだ、選んだ刀は、現代刀で、刃が付いてるようにしか見えない、気刀だった?大先生が、昔大陸で、使ってた刀とか、色々噂が立ってる。」
「確かにな、でも、お前見てたんだろ?時田の太刀筋?」
「それが、見えなかったんだよ、音が聞こえた時には、時田の奴は、いきなり倒れてるし、あの長太刀を、見てみたけど、外見は、確かに刃は、付いてる様に見えんだけど、竹に少し刃を入れて見たけど斬れなかったんだよな~」
二人は、顔を見合わせながら、自分達が学んでいる剣術には、知らない事が、まだまだある、その真実を突き止めたい、欲望が、隠し切れない強者への欲求に変わり、沸々と、新しい仲間に向いていたのである。
「こうちゃんや、多分奴は、俺達にすぐにでも、追いついてくるその時、どうするよ?」
「どうするも、こうするも、時田は、高校は、資格だけ取れればいいと、話していたから、剣術や、道場で学べる事を、この数ヶ月で、学んでくるだろうな、俺達が将来、財団の特務警備隊員を目指すとなると、今のうちに仲良くしておいて、損はないのではないかな?」
真顔になる、龍色に対し、世界には、師範が言ったとうり、化け物みたいな、奴らはゴロゴロしているんだな、頭がいいだけで、乗り越えられたり、学歴だけで、いきがれる、所詮は、最初一年だけ、それを、過ぎてしまえば、本当の社会適合者達の独断場になるのだろうな?なら、勉強とは?両親がいる自分には、褒められたり、ちやほやされる、なら、龍色達の様に施設にいる連中は?俺は只の数年の為に、人生をかけるのではなく、社会を駆け抜ける力が、必要なのではないか?力とはと聞かれた時、師範が、己の心の強さだと言っていた、心の強さを時田は、数日で、学んだのか?俺が知らない事を、知りたい、学びたい、彼から、だが、なら学歴は何なんだ?そこで学べる事があるのか、医者になりたい?違う、俺がなりたいのは、警察機関の様に事件が起きてから、行動に移す機関ではなく、事件が、発生前に行動に移れる、特務警備隊員を目指したいんだ、妹の無念をはらし、同じ気持ちにならない人を、増やさない為、そうだ、やる事は決まっている。
だから、あの道場の門を、叩いたんだ、死んだ妹の為にも、そして、未だにのうのうと、シャバで生活している犯人を見つけるためにも。
「こうちゃ~ん、こうちゃん、先生が、指名してんだけど」
何故か、木刀を持ち考え込んでる香月に、稲垣が、呼びかけている。
「龍色?こうちゃんどした?」
「あ~時田の事と自分の事を考えてトリィプしてんだろ、時々あるんだ。」
「そうか、我々の頭脳が、壊れたかと心配しちまったぜ、代わりに俺が問題解いてくるは」
「数学なら、余裕だな」
「え~解んな~い」
「稲垣、龍色、事業始まってるから、他の教室の問題解いてないで、自分達の教室に戻れ~」
稲垣と龍色は、『う~す』と言いながら教室を、後にした。
(お昼だお昼だ、給食だ。)
龍色アヤメも、確かに、昨日の真剣の儀を、思い出していた。
「(確かに、彼の太刀は、大竹を斬りふせた、でも、普通の人間に可能か?いや無理だろう、しかし、私には見えたのだ!あの長太刀を抜き放ち、見事に斬りおとした、習う習わないではなく、彼は、鬼姫に蹴り倒されたと聞いた、そこから何かのスイッチが入り道場に居る間、マサ師範から、刀の基本を一度聞いた、そして、結果につなげたのは、事実であり、昨日彼が皆の前で見せた、イジメに対しての戦線布告、でも、彼は、長太刀を使わず自分の弱い所は、奇襲で補い勝利した、今までイジメにあい続けた人間が、豹変するものだろうか?解らない、理解の範疇を超えている。)もぐもぐ」
難しい顔をする妹に、心配になる、龍色兄が、妹に問いかける
「時田の太刀や、イジメの決着確かに、解らない、お兄ちゃんも解らん!師範いわく覚悟を決めた人間のしでかす事は、歴史上わからん理解不能な、事ばかりであり、我々は、そこに立ち会ってしまったとしか、説明できないそうだ。」
「勝手に、人の悩みに入ってくるな!」
と、躊躇無く両目に指を突き刺した。
「目が~目が~」
周りは、また龍色兄妹かと、給食を食べている。
アヤメは、欠席している時田の机を見ながら、私にそれだけの力が、もし、同じ立場に立たされたら、果たしてそこまで、可能だろうか?
勇気等の言葉だけでは、表せられない何か違うものを、感じずにはいられなかった。
周りに、これだけの強者が居ながら、異形の存在。近い将来、もし彼が、特務警備隊員を目指し、同じ現場で戦う仲間だとしたら、私は、彼の異形とも言える力を、認めなくてはならないのだ。
所変わって、話は道場に、もどる。
威信達も、鬼姫が作ったおにぎりを、ほおばりながら、大先生に、今週の予定を説明していた。
「なるほどな~、書庫で、勉強したいと?」
「はい」
大先生は、考えるでもなく、一言で。
「ええよ」
イシンは、本来この手の道場の書庫は、他人に見せないものと考えていてので、拍子ぬけをくらった。
「じゃが、やるなら、全部もってけや」
「全部ですか?」
「そうじゃ、あの書庫の知識を全部じゃ」
「多分、こもると、2、3週間は、かかるかと?」
「そうじゃよ、朝夕の掃除、後は、書庫で、監禁じゃ、ご両親には、わしから、伝えとくまあ、カウンセリングが、2、3週間かかると言えば、おぬしの場合、言い訳には、こまらんじゃろ、何なら、わしのつてで、診断書も出しちゃるぞ。」
「解りました、お願いいたします。」
こやつ、悩まずに、即答しおった、やはり奴と、同じ才があるのかのう、それに今頃、若い芽達は、こやつの事で頭がいっぱいじゃろうて。
鬼姫が、は?と、会話に入る。
「待てい!長太刀の修練は?」
「掃除にでも、いれておけ、知識は、頭脳の技じゃからな、ハハハハハ」