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転生記 ~異世界では長寿を願って~  作者: 水無月蒼空
第1章:【幼年期】転生編
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第七話:「初めての休日」

 複合魔術を習い始めてから2ヶ月の時が過ぎた。

 現在は、複合魔術を実践練習をしながら、複合魔術の効果を理解するための座学の授業が始まった。

 どうやら複合魔術は、どんな現象が起こるかを理解しないと使えないらしい。そのため、座学の授業が複合魔術を覚えるのに必須なのだそうだ。

 そして現在、俺は、フレイと夜の座学の授業の真っ最中だ。


 「ではルイ、地熱(ヒートグランド)水滝(ウォーターフォール)熱領域(ヒートフィールド)の順番で魔術を行使するとどのような結果が起こりますか?」

 「徐々に風が発生します」

 「はい、そうです。では、そこに水蒸(アクアスプラッシュ)熱領域(ヒートフィールド)を行使するとどうなります?」

 「上空に積乱雲が発生し、地上に竜巻が発生します」

 「はい、正解です。よく勉強をしていますね。明日の授業で実践してもらうので復習をしておいてください」

 「分かりました」

 「何か質問等はありますか?」

 「いえ、今はないです」

 「分かりました。今日はここまでにしましょう。お疲れ様でした」

 「はい!ありがとうございました」


 こうして、

 夜の座学の授業が終了した。



ーーー


次の日


 この日俺たちは、朝早くからいつも魔術の授業をしている野原に来ていた。


 「それでは、今日の授業を始めます」

 「はい!よろしくお願いします」


 今日は確か、昨日やったことを実践するんだったな。


 「今日は、昨日の夜に勉強したことをやってもらいます」

 「はい!分かりました」


 フレイに魔術が影響しない位置まで移動し、手を上にかざした。


 「では、いきます」


 はじめに、ヒートグランド、ウォーターフォール、ヒートフィールドを使い、風が吹き始めたのを確認し、アクアスプラッシュ、ヒートフィールドを使い上空に積乱雲を作り竜巻を作り出した。


 「はい、よくできましたね。完璧です」

 「ありがとうございます」


 フレイからのお墨付きをもらい、竜巻を消した後、いつもやっている魔力のコントロールの練習と、魔術の持続力を高める練習を始めた。



ーーー


 数時間が経ち、今日の魔術の練習が終わりに近づいてきた。


 「そういえばルイ」

 「はい?なんでしょうか?」

 「私は明日、街に行く用事があるので明日の授業は休みにします」

 「町にですか…‥分かりました。明日は自主練習をやっておきます」

 「はい、よろしくお願いします」


 フレイの授業が休みなのは初めてだな。

 それなら明日は、ヘルスとの剣術の時間を多く取ってもらうか。


 このやりとりの後、今日の魔術の授業が終わった。



ーーー


正午


 俺たちは、剣術の修行をするために、庭まで来ていた。

 

 「剣術の修行を始めるぞ」

 「はい!よろしくお願いします」

 「ルイ…‥俺がなぜ、魔術の授業を始めたルイにしつこく剣術の修行を進めるのか分かるか?」

 「それは、えっと…‥」


 この世界では、魔術よりも剣術の方が重要視されている。魔術は大方、詠唱が必要なため後衛に位置していることが多く、前衛で戦うことができない。それに、近距離に詰められたら、抵抗をするのが難しいとされている。

 それに比べて、剣術の方は、遠距離での攻撃手段は少ないが、近距離に詰めてしまえば魔術を使うのに詠唱を用いる魔術師に遅れを取ることがないため、戦闘において、魔術よりも剣術が重要視されている。

 もっとも、魔術を使うのに詠唱を使わない俺や、詠唱を短縮できるフレイのような魔術師に対しても同じことが言えるとは限らないが。


 「戦闘面において、魔術を使用する時間よりも、剣術で攻める時間の方が早いため、魔術師は剣士と正面で戦うことが難しいからですか?」

 「そうだ。

  対人戦や、魔物との戦闘においても魔術師は、戦場の素早い変化について行けないことが多いからだ。

 それに対して剣士は、戦場に変化があっても素早く対応することが出来るからな。

 今後も、魔術を学ぶにしても、自衛の手段くらい持っておかないとこの世界では生きていくことが出来ないからな、剣術の方も頑張ってくれ」


 ヘルスには、俺が無詠唱で魔術を使えることを伝えていない。だけど、俺が魔術師になったとしても生きていけるように考えてくれている。その期待に応えないといけないな。


 「はい!分かりました。魔術だけでなく、剣術も同じくらい取り組んでいこうと思います」


 ヘルスはガッツポーズでもしそうな表情をした。


 「おう!その調子で頑張れ!」


 そんな、何気ない会話を終えた俺たちは庭の隅に立てかけてある木剣を手に取り、向かい合う位置に腰掛けた。


 「よしルイ、はじめに、いつものメニューで練習を始めるぞ」

 「はい!分かりました」


 いつものメニューとは、俺はまだ剣術をするための体ができていないため、基本的には、ランニングと腹筋など体の筋力を高めるためのメニューを中心に行なっている。


 「メニュー後は、対人をするから体力を残しておくように」

 「はい!分かりました」


 対人とは、二人が向かい合ってそれぞれ技をかける練習法だ。剣道で言うところの掛かり稽古のことだ。掛かり稽古を簡単に言うと、技をかける側と受ける側に分かれてかける側が定めた時間内に技をできる限りかけ続けることだ。


 「じゃあ、走りに行くぞ」


 こうして推定5㎞~7㎞を走り終わった俺は息を整えながら素振りを始めた。


 「ルイ、素振りをするときに心がけることは何か分かるか?」

 「えっと…‥素早く振り下ろすとかでしょうか?」


 返答をするとヘルスは素振りを止め、俺と向き合う位置に着いた。


 「それもあるが…‥振り下ろす早さは剣術を磨いていくと自然に着いてくるものだ。

  意識をすることは、肘を伸ばすことだ。

  肘を伸ばして打ち込むことで、脇が締まり、肘を曲げて打ち込むときよりも強く打ち込むことが出来るようになる」


 ヘルスからのアドバイスをもらい、実践してみたところいつもよりも強く打ち込むことが出来た。

 

 「なるほど、

  確かに伸ばして打った方が強く打ち込めたような気がします」

 「そうだろう!

  これからは、肘を伸ばすことや足の向きとかそう言った細かいことも意識して打ってみろ」

 「はい!分かりました」


 それから、数時間が経ち…‥剣術の授業も終わりにさしかかった頃


 「あ、そうだ。

  ルイ、ちょっとこっちに来い」

 「は、はい?なんでしょうか?」


 ヘルスに呼ばれ俺は、練習をやめて、ヘルスの方まで近づいた。


 「明日父さんは村の見回りと森の魔獣狩りに村人のみんなといかないといけないから、明日は剣術の修行は休みにしようと思う」

 「えっ!?父様もですか?フレイ先生も明日、街に行く用事があるから授業は休みだと言われてしまって」


 どうするか…‥授業が両方休みになるとすると明日やることがなくなるな。

 魔術と剣術の練習はするとしても午後はやることがなくなってしまう。

 

 「そうなのか?まあ、たまには休むことも重要だ。

  明日は、休みにして村の方まで遊びに行ってみたらいいんじゃないか?」

 「村にですか…‥」


 確かに俺は、転生してから今までこの家の敷地と魔術の練習場の野原にしか行ったことがない。たまには、修行もほどほどにしてこの世界を見てみるのも悪くないか。


 「そうですね。

  午前に、魔術と剣術の練習を終えたら、村の方に行ってみようと思います」

 「おう!そうしてみろ!」


 そんな話をしていたら日が暮れ、この日の練習が終わった。



ーーー


次の日


朝早くから、ヘルスとフレイが出かけていき、俺は午前中に魔術の練習と剣術の鍛錬を終えて、正午を迎えていた。

 

 「では母様、僕はこれから村の方に行ってこようと思います」

 「分かったわ。  

  暗くなる前に帰るのよ」

 「はい!分かりました」


 家の敷地を出ると、左右に道が分かれていた。

 家は丘の上に立てられており家の敷地の塀を抜けると村や村周辺を一望できた。

 いつもは右の道を行く。右に行くとヘルスとのランニングに使っている道と、フレイと魔術の練習に使う野原に続く道がある。

 だが、今日は左の道を進む。

 左の道を進むと、右手には緩やかな川が流れており、左には作物を育てている畑がある。ふと見たところ、畑にはジャガイモのような見た目をした芋、白菜のような見た目の野菜など数種類の作物が育てられていた。

 道をさらに歩いて行くと、家が並び始めた。家は木材を基本に作られており、屋根はわらのようなもので作られていた。

 

 家の外はこんな風になっていたのか。上か見るのと、現地に行くのとでは見えるものが違うな。


 道を曲がると目の前には広大な範囲に植えられている黄金の小麦畑が見えてきた。

 太陽の日に当てられ植えられている小麦が黄金に輝き幻想的な光景を作り出していた。

 おお、これはすごいな。

 今まで小麦が植えられているところは見たことあったけどここの小麦畑は広大な範囲があるから目を見張る光景になっているな。


 俺はそのまま村を回っていき今度は川の近くの方を見に来ていた。

 川の奥の方には、現在ヘルスがいるであろう森が広がっていた。どうやら、森に行くためには川を渡る必要があるみたいだ。

 大方、魔物が森から出てきた場合多少の足止めになるから川の反対側に村を作ったのだろう。


 そんなことを考えながら歩いていると、川の方から声のようなものが聞こえた。


 「う、プハッ、だ、誰か、たす…‥」


 そこには、川で溺れかけている白い髪の子供と、それを笑って見ている3人の男の子の姿があった。

 俺はとっさに、練習していた風魔術の応用で自分の体を風で川まで押し飛ばした。そして土魔術の土壁(アースウォール)を使用して水をせき止め、風魔術で残っている水を外に押し流した。


 「ハァ、ハァ、あ、ありがとうございます」

 「どういたしまして」


 俺は、ニコッと笑い白い髪のこの無事を確認して、三人の男の子の方に向き直った。

 子供だとしても、こんなことをするのは許されない。


 「君たち…‥なんてことをしているんだ。

  この子が、もしも完全に溺れて死んでしまっていたらどうするつもりだ」


 その子供達をを問い詰めると多少動揺したように口を開いた。


 「ふ、ふん。別に死ぬまでやるつもりはなかったさ。少し痛い目に遭わせてやろうとしただけだ」

 「そ、そうだ」

 「そうだ」


 まるで、自分たちは悪くないような言い方をしているな。今では、同い年くらいでも実年齢はこっちが上だ。しっかり説教をしないといけない。


 「そんないいわけをするな。

  第一この子が君たちに何をしたっていうんだ」

 「別に…‥そいつが変な髪色してて森に住んでるからだ」


 そんな理由で、溺れさせていたっていうのか。


 「そんな理由だけで、こんなひどいことをしたいいて言うのか!」

 「もういい、お前ら、こいつ無視してあっち行こうぜ」

 「ああ、うん」

 「いこいこ」


 男の子達は、その場から逃げるように立ち去っていった。


 「あいつら…‥今度あったら覚えとけよ」


 いくら子供だからといってもやっていいことと悪いことくらいある。あの子供達の親は自分の子供に何も言わないのか?

 それよりも今は、溺れてた子の方が心配だ…‥

 俺は、溺れていた彼女の方に向き直った。

彼女は白くて肩口まで切り揃えられた髪をしており瞳は赤く、可愛いと彷彿させる見た目をしていた。

俺は、何があったかを知るために彼女に質問をすることにした。

 

 「大丈夫?何があったか教えてくれる?」

 

 俺がそう聞くと、彼女は「うん」と頷いて今日あったことを教えてくれた。

 

ーーー


 彼女は、父親が忘れていった昼ご飯を届けるために、父親がいる村に来たそうだ。森と村を分ける川にかかった橋に来たところ、さっきの三人組とはち合わせた。あの三人組は、チャール、ゾル、マルドというらしい。あの三人組に橋を塞がれ、しょうがなく川を泳いで渡るしかなくなり、入ろうとしたところを背後から押されてあんなことになっていたらしい…‥

 いくら何でもひどすぎる…‥どんなことを考えたらこんなかよわい女の子を川に落とすようなことが出来るんだ。


 「君は、ずっとあの三人にこんなことされているのかい?」

 「う、うん。

  村の方に来て顔を合わせてしまうといつも。

  お父さんとお母さんに相談して三人のお父さん達に注意してもらってもやめてくれなくて」

 「そうか…‥」


 この子はずっと我慢をしていたんだな。こんな幼くてかよわい女の子がこんな目に遭っていいわけがない。

 

「じゃあ、こうしよう。

 これから君があの三人に何かされたときは俺の家に来てくれ!そうしたら、俺があの三人に注意して追い払ってやる!」

 「ええ!?い、いいの?」

 「いいよ!あんなことは見逃せないからね」

 「で、でも…‥

  あの三人が村の子供達の中心になっているから、君に迷惑がかかるかもしれない」

 「俺はかまわないよ。

  そうだとしても、君が友達になってくれればいいよ」

 「わ、私が友達に…‥い、いいの?」

 「もちろんだよ。俺には友達がいないから、君が友達になってくれたら俺はすごくうれしいよ」


 練習や、鍛錬があるけど友達は重要だ。友達がいるだけで心にゆとりが出来る。この子を助けられて、俺に友達が出来るならうれしいことづくめだ。


 「そ、そう…‥じゃあ、友達になる」

 「やった!すごくうれしいよ」


 俺が笑顔でそう言うと彼女は、顔を赤くして「うん」と頷いた。


 「そうだ。まだ名前を聞いていなかったね。

  俺は、ルイネス・アルストレア。

  気軽に、ルイって呼んで」

 「わ、私は…‥ア、アスフィード」

 「アスフィード!いい名前だね。

  アスフィって呼んでいい?」」

 「う、うん」

 「よかった。

  じゃあ、これからよろしく」

 「こ、こちらこそよろしく」

 

 彼女はさっき異常に顔を赤くしながら勢いよく頭を下げた。


 「そのままじゃあ風邪を引いてしまうから、お昼ご飯を届けたらとりあえずうちに行こう」

 「え!?ルイの家に?」

 「うん。

  うちにはニーナっていうメイドさんとセバスっていう使用人がいるからその人にお湯で拭いてもらおう」

 「メイ…‥ド?」

 「身の回りの世話をしてくれる人のことまあ、使用人と同じだな」

 「そ、そうなんだ…‥分かった」

 「よかった」


 俺はアスフィの手を引きながら村の方に駆けだした。その間、アスフィはずっと赤い顔をして下を向いていた。

 アスフィは、可愛いね。


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