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転生記 ~異世界では長寿を願って~  作者: 水無月蒼空
第1章:【幼年期】転生編
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第六話:「新たな魔術」

 フレイが先生としてうちに来てから三ヶ月の月日が経った。フレイの熱心な指導のおかげで神聖魔術以外の中級魔術を会得することができた。

 そして今日は、魔術の練習のため村から東にある森の近くの建物一つない草原まで来た。

 

 「フレイ先生でも神聖魔術は使えないのですか?」


 俺は、いつもの魔力操作の練習をしながら、フレイに質問した。


 「はい…‥

  情けない話ですが初級すら使うことができません」


 そう言ったフレイは、地面に字を書き始めそうな雰囲気を出しながらしゃがみ込んでいた。


 「そうなんですか…‥

  神聖魔術は先生でも習得できないくらい難しいのですか?」

 「いえ、きちんとした魔術の詠唱を見ることができれば使えると思いますよ。

  ただ…‥神聖魔術の詠唱は例外なくセフィス神聖王国が独占していまして、他国では詠唱を見ることは困難なんです。

  もっとも、魔族の私ではセフィス神聖王国が独占をしていなくても詠唱を見ることはできないと思いますけどね」


 ん?いま、魔族って言ったか?


 「先生は魔族なんですか?」

 「はい、そうですよ。

  アルレシア大陸セルトワ地方にあるセフラグ族の村出身です」

 「そうなんですね、先生の村はどんな感じだったんですか?」

 「私の村では、村人全員で自給自足の生活をしていましたね。

  男は狩りに出かけ、女は狩りに出かけた男達が帰ってくるまで村を守るっていうアルレシア大陸ではよく見られる普通の村でした。

  私は、その村で退屈をしながら日々を過ごしていたので、成人になる少し前に前に村を飛び出しましたけど。

  私は、セリスさんやヘルスさん、パーティーメンバーの皆さんには感謝をしているんです。魔族はまだ、他種族からの風当たりが戦後初期に比べれば緩和されてはきましたけど、それでもまだ魔族は滅ぼすべきだという主張を掲げている国もあります。

 それでも、私が魔族であることを承知の上で気にせずにパーティーに誘っていただいたパーティーメンバーの皆さんには感謝しても仕切れません」

 「そうなんですね。

  それを両親に伝えたら大喜びしますよ。

  特に、母様が」

 「そうですかね…‥

  でも、恥ずかしいので、今のは内緒にしてくださいね」

 

 そう言ったフレイの頬が赤くなってきている。かわいい。

 

 ちょっと待てよ?成人する少し前ってことは少なくとも十代ってことだよな?セリスたちとパーティーを組んでいたのが、少なくとも五年以上前だから、フレイは一体何歳なんだ?


 「せ、先生

  つかぬ事をお聴きしてもよろしいでしょうか」

 「ええ、かまいませんよ。

  なんでしょうか?」

 「先生は一体何歳なんですか?」


 俺が、質問をするとフレイが不機嫌そうな顔になった。


 「ルイ」

 「は、はい…‥

  なんでしょうか?」

 「むやみやたらに女性の歳を聞くものではありませんよ」

 「はい…‥すみませんでした」

 「いいですよ、見た目が歳と合ってないなんて言われすぎてもうなれていますから」


 魔族の中には、ある一定の年を取ると見た目の変化が止まり、また一定の年を取ると肉体の変化が始まる種族もいるらしい。

 自分の見た目が少し幼げなところ気にしてたんだな、これからは歳のことと見た目のことは話題に出さないようにしよう。


 「まあ、私の話はいいです。それよりも今日から、複合魔術の授業に入ります」

 

 このまま上級に入ると思ったが、先に、初級、中級の複合魔術をやるそうだ。なんでも、上級の中には初級と中級の複合魔術が多くあるらしい。

 

 「ではルイ、複合魔術とは何か分かりますか?」

 「えっと…‥

  複数の魔術を合わせて一つの魔術にすることですか?」

 「はい、そうです。

  通常、複合魔術を使うときは詠唱をしなければいけないので魔術を時間差で使い複合魔術を使います。

  だけど、ルイは、無詠唱魔術が使えるので複数の魔術を同時に行使することができるので瞬時に複合魔術が使えます」


 なるほど、本来ならば一つ一つに詠唱がいるところを俺は詠唱をさずに魔術が使えるから二つ同時に出せば無詠唱で時間差もなく複合魔術が使えるってことか。


 「はい、でも……

  僕は二つ同時に魔術を使うなんてできませんよ?」

 「そうですね…‥

  ルイ、いつも無詠唱で魔術を使うときどんなことを意識していますか?」

 「えっと、魔力の性質をどう変化させるかとか高い威力を出すにはどのくらい魔力を込めればいいのか、とかですかね」

 「ならばそれを、すべて無意識でできるようになってください」

 「無意識で、ですか…‥」


 無意識での設定か、こればかりはなれるしかないか。

 それに、複合魔術は、合わせる魔術の魔力を同じにしないといけないから大変そうだ。

 

 「はい、無意識じゃないと瞬時に使うことが難しいので。

  まあ、私にはできないことなのでルイ自身に感覚をつかんでもらわないといけませんが」

 「わ、分かりました、頑張ってみます」

 「はい、頑張ってください。私の方でもいいやり方を考えてみます」

 「お願いします」

 「それでは、練習に入る前にとりあえず一度、複合魔術をお見せします。

  少し離れていてください」

 「はい!分かりました!」


 俺が離れたことを確認するとフレイは、杖を上に向けて詠唱を始めた。


 「我の求めるところに風の精霊の加護あらん 大いなる加護をその身に受け 腕章なる存在に力を見せつけろ」


竜巻(ストーム)


 風中級魔術の『竜巻』が発生し、

 周りの砂を巻き上げて渦巻いている


 「偉大なる火の王子よ 大いなる恵みをこの身に与え 堂々たる存在に力を見せつけろ さすれば この身を持って仇敵に力を示さん」


火弾(ファイアーボール)


 フレイは、先に発生させた『竜巻』に『火弾』を打ち込んで火を纏った竜巻を発生させた。


 これが複合魔術……。

 

「ふう、これが火上級魔術の一つで複合魔術の『火竜巻(ファイアーストーム)』です」


すごい迫力だ。

こんなものに飲み込まれたらひとたまりもないな。


 「しかし、これはすごいですね、熱気がこっちまで伝わってきます」

 「そうでしょう!大きめに作りましたから!」

 「えーと、あの…‥先生?」

 「はい?なんでしょうか?」

 「あの竜巻…‥

  森に向かってかなり早いスピードで進んでいますけど、あれ大丈夫ですか?」

 

 俺の視線のっさきには今にも森の中に入りかけている火を纏った竜巻があった。


 「え?ハッ!だ、だめです。止めないと」


 フレイは森に入りかけていることに気がついて、

 焦った様子で森の方に杖を向け詠唱を開始した。


 「大地の精霊よ 地脈からの加護を受け 我が身を守る壁となれ」


 『土壁(アースウォール)



 森と火を纏う竜巻の間に巨大な土の壁を形成した。火を纏った竜巻は土の壁に衝突しその勢いをなくし消滅した。


 「ハァハァ……危なかった。もう少しで森を燃やしてしまうところでした」

 「間一髪でしたね!」

 

 フレイは疲れた様子で、近くに生えている木の根元に座りこんだ


 「疲れましたね、『土壁』を作るのに魔力を込めすぎました。ルイ、私は少しここで休んでいるので魔術の並列使用の練習に入ってください」

 「分かりました!ゆっくり休んでください」


 そう言うと、フレイは、近くに生えている大きな木の根元まで移動した。

 俺が、練習のために木からなるべく離れようとすると、木の根元にいるフレイの方から寝息が聞こえてきた。

 どうやら眠ってしまったようだ。


 「よし!やるか!」


 ということで。


 俺は一人で並列使用の練習をすることになった。



ーーー


夕方

 

 結果から言おう、無詠唱での魔術の並列使用をできるようになった。はじめに、無詠唱で魔術を使うときに別の魔術を詠唱して使用する。この練習法を繰り返し行なうことで魔力の調整の癖をつけ、次に無詠唱で二つの魔術を使うことを意識する。

 これを繰り返すこと数時間、俺は、無詠唱での魔術の並列使用をものにした


 ようやく使えるようになったな…‥そろそろ日が暮れるしフレイを起こそうか。


 視線を向けた先には寝息をスゥスゥと立てて眠っているフレイの姿があった。その姿は、美しいとしか言いようのないものであった。

 

 おお、普段からでもかわいいのに眠っているとさらにかわいいな。

 しばらく見とれていると、日がほんとに暮れそうになってきたので、フレイを、起こすことにした。


 「先生起きてください。

  もう日が暮れてしまいますよ」


 俺がそう言うと、木にもたれかかって寝ていた金髪の小柄な女性が目を覚ました。


 「ん?はぁ~おはようございます」

 「はい、おはようございます。

  ゆっくり休まれたようで何よりです」

 「はい、すみません私だけ。

  それで、どうです?今日だけでは難しいとは思いますが感覚は分かってきましたか?」

「はい、並列での魔術の使用はとりあえずできるようになりました」


 フレイは、眠そうだった目をぱっちり開いて驚いた様子で俺の肩をつかんできた。

 

 「もうできるようになったんですか!?」

 「かなり苦労しましたけど、反復練習を繰り返してなんとか使い物になるくらいにはできた思います」

 「そうですか……私はなにもお役にたてなくてすみません。

  では、並列使用がどんなものか、見せてもらってもいいですか?」

 「分かりました。

  使う魔術は何でもいいですか?」

 「かまいませんよ。好きな魔術を使ってください」

 

 何を使うといいかな、誰が見ても複数の魔術を使っていると分かるもの…‥

 よし、フレイが見せてくれたあの複合魔術を試してみよう。


 「それでは、いきます」


 両手を前に向けて、右手に『竜巻(ストーム)』を左手に『火弾(ファイアーボール)』を発動させた。


 「はぁぁぁ!

   『火竜巻(ファイアーストーム)』」


 すると、

 目の前に火を纏った竜巻が発生した。


 「よし!成功だ」


 成功したことに喜んでいると、フレイが驚いた様子でこっちに向かってきた。


 「今のは、『ファイアーストーム』ですよね?

  さっき見せたばかりの複合魔術をもう使えるようになったんですか?」


 どう説明しようか迷ったが、自分のやった練習内容をそのまま伝えることにした。


 「えっと、

  先生が複合魔術を使うときに魔力量を一緒にしないといけないって教えてくれていたので、並列使用の練習の時に魔力量を一緒にする練習を並行してやっていたので、試しにやってみたらできました」

 「そ、そうなんですね…‥分かりました。ルイは、本当に優秀ですね。

  では明日から複合魔術の授業に本格的に入っていきます」

 「はい!分かりました。

  明日もよろしくお願いします」

 「こちらこそ。

  では、そろそろ戻りましょう」

 「そうですね」


 こうしてこの日の魔術の授業が終わった。

 

 

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