第五十一話:「入学前:後編」
練習場から出てすぐに、
学長室に向かった。
学長室の中には、
珍しい本が入った本棚や、
サテラの机の上には、
魔道具などが置かれていた。
『何これ!』
ルーシィは、
白色の丸い玉のような物に飛びついた。
「こら、壊れたらどうするんだ」
ルーシィは玉をコロコロ転がしながら遊んでいる。
「ルーシィ……」
「大丈夫さね」
ルーシィを止めようとする俺の声に被さるように、
扉の方からサテラの声がした。
「それはただの魔石さね。
その子がどうこうしても危なくないよ」
「そうですか……」
『これ好き!』
ルーシィは魔石が気に入ったのか、
上に乗ったり、コロコロ転がして遊んでいる。
「やけに楽しそうさね」
「どうやら、あの魔石が気に入ったようです」
「ははそうかい。それじゃあそれはその子にあげるとするさね」
「いいんですか?」
「もちろんさね。今は使うこともないからね」
魔石は貴重な物だし、
そうそう手放せる物でも無いだろうに、
やはり、この学院の学長ってのはすごいんだな。
「それでは、有難くちょうだいします」
「ああ、もらってくれさね」
その後、
俺はサテラと共に入学に必要なことを済ませ、
入学式は十日後と言われた。
「今日から寮は使ってくれて構わないさね。
部屋は男子棟の特待フロアを使ってくれさね」
「分かりました」
俺は今日持ってきた荷物だけ持って、
寮の男子棟の方へ向かった。
学院の寮は、
学院を出て南の方にあり、
町側に男子棟があり、その逆に女子棟がある。
「本当にみんな同じ格好なんだな」
寮を出入りしている人全員が、
男女問わず同じ服装をしている。
まるで、警備団や騎士団と同じようだ。
「そういえば、制服は入学式の日に届けるってサテラが言ってたな」
俺は寮の中に入り、
場所が分からず、寮の中にいた生徒の一人に声を掛けた。
「すみません」
「なん……お前は!」
「特待フロアってどこから行けば良いんでしょうか?」
俺が声を掛けたのは、
焦げた茶色のような髪色をした人族の男子生徒だった。
この男子生徒は腰から剣を携えていた。
「お前、特待で入ったのか?」
「?……はい、そうですけど」
「なるほど……」
男は何かを考え始めた。
この男子生徒の顔立ちはかなり整っており、
誰が見てもイケメンと賞賛するものだった。
「いいだろう。俺が案内してやる」
「え?あ、ありがとうございます」
俺はそのままその男子生徒に連れられ、
階段を昇り始めた。
「お前、この寮のことは知ってるのか?」
階段を上りながら、
俺にそう話しかけてきた。
「大まかなところだけは……」
「そうか、ならば覚えておけ」
立ち止まり、
俺の方を見た。
「絶対に女子寮には近づくな。命が惜しいならな」
その男は、
強くそう言ってきた。
「それはもちろんそのつもりですが」
「そうか、それならいい」
男子生徒が女子生徒の寮に近づかないのは、
まぁ、当然のことだろう。
その後、
階段を上りきり、
他の階層より綺麗なフロアに入った。
「ここが特待フロアだ」
他の階層は、
あまり広くなく、廊下に綺麗な木などが飾られ、
部屋のドアがあるだけだったが、
この階層は、
廊下がかなり広く、
廊下には絵や綺麗な花や木などが飾られていた。
「特待フロアの部屋は、
他の部屋と違って、
部屋が一部屋分広くなっている」
「へぇ、そうなんですね」
個人的に、
部屋が広いのは喜ばしい。
宿に泊まっているときなども、
ルーシィが狭い部屋を走り回って困っていた。
広い部屋なら、ルーシィが走り回っても大丈夫だろう。
「今開いているのは、
一番奥の部屋だ。そこを使うといい」
「分かりました。ここまでありがとうございました」
「構わん。同じ特待のよしみだ」
同じ特待!?
この人も特待生なのか。
「ヒュースだ」
男子生徒はそう言って、
右手を差し出した。
「ルイネス・アルストレアです」
「知っている」
知っている?
ああ、ザムシとの親善試合を見ていたのか。
「これからよろしくお願いします」
俺はヒュースと握手を交わした。
「一つ聞いても良いか?」
俺は一番奥の部屋に行こうとした瞬間、
ヒュースに呼び止められた。
「お前、出身は」
唐突にそう言われ、
困惑したが、特に隠すことでもないので、
話すことにした。
「アスト王国リエイト領シエラ村です」
「親の名は?」
「母がセリス・アルストレア。
父は……分かりません」
「分からない?」
俺は口を噤んでいたが、
これから付き合いが長くなるであろうヒュースに対して、
事情を話した。
「記憶をなくした!?」
「はい……」
「そうか、それなら……」
ヒュースは考え込むように、
ブツブツ何か言い始めた。
「あの……なんでそんな事聞くんですか?」
「……いや、何でも無い。忘れてくれ」
「はぁ……そうですか」
俺はそのままヒュース別れ、
空いていると言われた部屋に入った。
「ルーシィ、出てきて良いぞ!」
ルーシィは、
念のためここまでローブのポケットの中に入ってもらっていた。
『広ーい!』
ルーシィは部屋中を駆け回り始めた。
「俺は休むか」
今日だけで色々なことがあったので、
肉体的にも精神的にも疲労していた。
ここ一年の間、
今まではなかった疲労感が急に襲って来る時がある。それも、肉体的にでは無く、精神的なものが多い。
それだけでなく、
魔術を使っていると、時々胸が痛くなることもある。
普段使う分には問題は無いが、
一度で大量の魔力を消費する魔術や、魔力切れ寸前の時などによく起こる。
あれは何なのだろう?
俺はローブを脱ぎ、
部屋着になった。
「これからは……付けなくても良いか」
俺は今まで用心して、
仮面を付けたまま眠りについていた。
だが、
これからは仮面を付けなくてもいい。
俺はそのまま眠りについた。
ーーー
岩山のような、どこかの山脈のような場所。
どこか幻想的で、現実味のない空間。
「あれ?俺何やってたんだっけ」
俺は自分の部屋で眠ろうとして……。
だけど、
目が覚めると、
見たこともないような……所にいる。
だが変だ。
見たこともないような光景だが、
どこかで見たことあるような……。
自分自身で、
来たことあるのか、来たことないのか分からなくなっていると、
遠くの遠く、遙か遠くの方から、
何者かがこちらを飛んでくる。
白銀の鱗を持ち、
大きく美しい翼を羽ばたかせた、
美しい龍が目の前に降り立った。
「ようやくこちらが握れた」
龍はあまり聞かない言語でそう言った。
「……」
「……?ああ、そういえばこの言語じゃあ伝わらなかったな」
「いえ、言語は理解出来ています」
「なに?」
この龍の魔力、
どこか身近なところで感じたことあるような……。
「まあ、龍神語のことはいいだろう」
龍は、広げていた翼をたたみ、
尻尾をバタンと倒した。
「成長したな」
「……えっと、俺は貴方と会った事ありましたっけ?」
「……お前、ちょっと前に出ろ」
「……?」
俺は龍が言うように、
前に出た。
すると、
龍は自身の鋭いツメをゆっくりと俺の額に当てた。
「なるほど、ヤツと会ったのか……」
龍はそう言って、
額からツメを離した。
「お前っ!魔石を取り込んだのか!?」
龍は焦るようにそう言った。
「なるほど、だからあの子の声を聞くことが出来るのか……」
「っ?」
「お前、これまで、いくつの魔石を取り込んだっ?」
俺はそう言われこの一年間を思い出した。
魔力が切れかける度に魔石を取り込んでいた。
今は……いくつ取り込んだかも覚えていない。
「分かりません」
「では、身体に何か異常なことは起こっていないか?」
「……たまに胸が痛む事はあります」
そう、思い返せば、
あの町で魔石を取り込んで以降、
胸が痛むことが多くなった。
魔石を取り込んだことが原因なのか?
「龍族以外の種族にとって魔石は利用する分には良いが、
直接取り込むには毒でしかない。なぜだか分かるか?」
魔石を取り込むと毒?
だが、魔力が回復する感じはあった。何が毒なのだろう?
「……」
「まあいい。龍族以外が魔石を直接取り込むと、
身体が魔石から流れる魔力を拒絶する。
龍族の魔力は、その他の種族の魔力とは異なるためだ。
それは、ただの竜も同様だ」
「なるほど……」
「お前の身体は、自身の中に流れる膨大な魔力と、
残存している魔石の魔力が反発し合っている状態だ」
「はい」
「このままでは、お前……いずれ死ぬぞ?」
死ぬと言われても、
一度取り込んだ物をどうこうできるのだろうか?
「……」
「どうした?
死ぬと言われてもやけに落ち着いているな。前とは大違いだ」
そうか、やけに俺のことを知っているようだったが、
記憶を失う前の俺と会ったことがあったのか……。
だが、
この龍の言うことも分かる。
俺自身、自分が何故こんなに落ち着いているのか分からない。
「まあいい。
お前はあの子を保護している。
その恩を返そう」
あの子?
まさか、ルーシィの事か?
俺が疑問に思っていると、
龍は俺の腹部にツメを当てた。
「我が意志に従い かの仇敵の力を吸い取れ」
龍は何か詠唱を始めた。
「『魔球玉』」
すると、
身体の中の何かが吸い寄せられるような感覚がした。
「これでひとまず、
お前の中に残っていた魔石の魔力を吸い出した」
「それじゃあ……」
「ひとまずは大丈夫だ。だが、完全に取り除けるわけではない。
一度体内で汚染された魔力は完全には消せない。
だから、
あと一度。あと一度魔石を取り込めばお前の身体は耐えられないだろう」
この龍、
いい人だな。
龍に良い人って言うのは違うか、
なんて言えばいんだ?
良い龍?
「これは補足だが、
お前の身体は人族だ。だが、魔石の影響で魔力が混ざり合い、龍族に近い身体になり始めている」
「……えっ?」
「謎の疲労感はあるだろうが、
重力魔術を使ったときの疲労感は少なくなり、
前よりも、多く長く重力魔術を使えるようになっていないか?」
そういえば、
確かに、前までは使った直後に疲労感が来ていたが、
さっき使った時はすぐに疲労感などは来なかった。
「確かにそうです」
「それは、お前の魔力と魔石の魔力が混ざり、
覇気にも影響しているためだ。
今お前の中から余分な魔力を吸い出したが、
すでに変化している所までは戻らない」
「……」
「これはお前にとっては得だったかも知れないな。
だが乱用は禁物だ。自分の力を過信するなよ」
「……分かりました」
「全く、リベルの奴め。
重力魔術なんて物を簡単に教えよって……」
龍の口から、
知っている名前が出た。
「リベルを知っているんですか?」
「知っているも何も……そうか、ヤツは伝えていなかったのか」
「……っ?」
「いや。それはヤツの口から聞くと良い」
龍がそう言った瞬間、
突如俺の意識が遠くなるのを感じた。
「うっ……」
「まずい、時間切れになってしまった」
龍はそう言って、翼を広げた。
「最後に言っておこう。
リベルは悪い奴ではない。戯れ言に耳を貸すなよ」
龍はそう言って、
山脈の方へ飛んでいった。
ーーー
目が覚めると、
視界が真っ暗だった。
「うぅ……この!」
俺は、顔の上で眠っている生物をどかした。
ルーシィは俺がどかした後も眠り続けていた。
俺はベッドから起き上がった。
すると、
寝る前と違って、
身体を侵していた疲労感がなくなっていた。
「……まだ夜か」
俺は窓から差し込む月明かりを見た。
「ちょっと出てみるか……」
俺は男子寮を出て、
学院内を回ることにした。
「ルーシィも来る?」
『キュゥ』
ルーシィはまだ寝てるようだ。
俺は部屋を出て、男子寮を出た。
学院の外は、
北方大陸だけあって、
夜風はとても冷たかった。
俺は魔術で身体を暖めながら歩いた。
学院内は、
日中に少し見たが、
見切れていない所が多かった。
俺は昼の間に見て回れなかった所を見て回った。
この学院は、
学院棟に寮棟の他に、
研究棟と呼ばれるところがある。
研究棟は、生徒や教員達が魔術や魔道具、魔力付加品を研究するための場所だ。
俺は学院棟の目の前まで来ていた。
すると、
目の前から三人の人影がこちらに向かって歩いてきた。
よく見てみると、
昼に見た白髪の女性に、金髪の女性。
それに、
男子寮内を案内してくれたヒュースの姿があった。
すると、
白髪の女性が、
他の二人に押されるように前に出てきた。
「またお会いしましたね」
「えっ、はい……」
白髪の女性は、
下にうつむいた。
よく見たら顔が赤くなっている。
寒いのだろうか?
「そういえば、
ザムシ先生を止めてくれたのは先輩でしたね。
ありがとうございました」
俺がそう言うと、
顔を恐る恐る見上げてきた。
「ぼ、ボクは先輩じゃないよ?」
「ぼ……そうなんですか?」
「うん。ボクもこれからこの学院に入るんだ」
この人、
ひょっとして男なのか?
しかし、
ザムシがスクロールで発動させた魔術をレジストしたのはこの人ってサテラが言っていたな。
いくら反応に遅れたといっても、
俺が反応できなかった魔術をこの人はレジストした。
その事だけでも、
この人が腕の立つ魔術師だということが分かる。
「……」
「?どうしたの?」
「一つお願いをしてもよろしいでしょうか?」
「な、何かな!?」
「私と一度、お手合わせして貰えないでしょうか?」
「……えっ?」
白髪の女性は、
驚いたように声を上げた。
俺はこの人に興味がある。
恋愛感情で、では無く、
一人の魔術師として、
この学院でも優秀と言われるザムシの魔術をレジストしたこの人と戦ってみたいと思った。
「ちょっと、待って」
そう言って、
先程まで一緒にいた二人の元に戻っていった。
それから数分が過ぎ、
戻ってきた。
「い、良いよ。今から手合わせしようか」
俺たちは手合わせをすることになり、
今日、俺が昼にザムシと試合をした、
第三魔術練習所に向かった。
通常ここは、
前日までに許可申請をしないと使えないらしい。
だが、
今回、金髪の女性が学長に言ったところ、
一発OKが出たらしい。
夜の練習場は、
観客席は人がほとんど居らず、
金髪の女性とヒュースの二人だけ。
練習場自体にも、
俺と彼女を含めて四人しかいなかった。
「手合わせの前に、名前を聞いても良いですか?」
「え?えっと……フィード、です」
フィードと名乗った彼女は、
どこか寂しそうだった。
「っ?僕の名前は……」
「ルイネス君でしょ?」
「そういえば、サテラ学長が言っていましたね」
俺たちは互いに距離をとった。
今回の手合わせのルールは、
昼にやった親善試合と同じ。
「今回の審判は俺が務める。
双方……正直寒いから早く終わらせてくれ」
ヒュースが気の抜けるような宣言を終えた。
「ははは、ヒュースらしいな」
「彼とは長いんですか?
俺がそう聞くと、
焦ったように手を振った。
「そ、そんな事無いよ!
ヒュースとは仕事が被っているだけ」
そんなに強く否定してあげなくても……。
まあ、彼女らには彼女らなりの関係があるのだろう。
彼女と話しているとき、
ずっと懐かしさを感じる。
「ルイ……ネス君。手加減はしないよ?」
彼女は、
緑色の魔石がはまった初心者用の杖を構えた。
「僕もですよ」
俺も杖を構えた。
「それでは……始め!」
ヒュースの合図と共に、
フィードが魔術を唱えた。
「『風砲弾』!」
「っ!?」
彼女は無詠唱で魔術を唱えた。
無詠唱魔術を撃たれたことに驚きを隠せ無かった。
「『土壁』!」
俺は土の壁を作りレジストした。
「『炎柱』!」
すかさず魔術を使い、
攻撃をした。
地中から火柱が立ち昇り、
彼女に襲いかかった。
「っ!」
フィードは、
足元に風を起こし、
横へ素早く飛び退いた。
「流石だなぁ……」
彼女はそう呟いた。
彼女の無詠唱魔術。
それに加えて冷静な対応。
彼女がザムシの攻撃を止めたのも納得だ。
「これでどうだ!」
彼女はそう言って、
地面に手を当てた。
俺はそれを見てすぐさま、
地面に手を付けた。
「『水嵐』!」
「『ヘイルノヴァ』!」
彼女は複合魔術『水嵐』を使った。
水の竜巻が、地面の砂を巻き込みながらこちらへ向かってくる。
俺は超級水魔術『ヘイルノヴァ』で彼女の魔術を凍らせた。
二つの魔術がぶつかり、
辺りに氷の破片が飛び散った。
「なんだ……あれは……」
そう呟いたのは、
金髪の女性を守るようにしていたヒュースだった。
この練習場の中央、
二つの魔術がぶつかった所には、
竜巻の芯の部分が凍りつき、
まるで氷像のような物が形成されていた。
これだけ戦えるのはいつぶりだろう……。
今まで剣士と戦う事はあったが、
彼女のように、
腕の立つ魔術師は少なかった。
とても楽しい。だが、そろそろ終わらせよう。
そう考えていると、
彼女が魔術に魔力を込めた。
「『魔術消失』!」
俺は彼女の魔術を打ち消した。
「なっ!?」
俺は彼女が気をとられた瞬間、
魔術を使った。
「『氷射』!」
無数の氷の矢が彼女に向かって降り注いだ。
激しい砂埃が起こり、
彼女の姿が見えなくなった。
「あ……」
砂埃が晴れ、
彼女の姿が見えた。
俺の魔術は彼女を避けるように、
地上に穴を開けていた。
彼女は尻もちを着き、
呆然としていた。
「そこまで!」
ヒュースは大きな声でそう言った。
「大丈夫ですか?」
俺は尻もちを着いている彼女に手をさしだした。
彼女は俺の手を掴み起ち上がった。
「あはは……やっぱり強いね」
彼女は残念そうにそう言った。
「ボクもまだまだだね……」
「そんな事ありませんよ」
彼女の腕は本物だ。
正直、
ザムシよりも彼女の方が強いだろう。
その後、
俺たちは練習場の前で別れた。
別れ際に、
金髪の女性に、
「では十日に」
と言われた。
彼女の声は心地よく聞こえた。
フィードのような魔術師が同い年にいる。
そう考えると、
学院に通う楽しみが増えた。
「……そういえば、フレイ・セフラグはどこにいるのだろう」
俺はそんな事を思いつつ寮に戻った。
その後、
俺は町を回ったり、
学院内を回ったりした。
そして、
入学の朝を迎えた。
ー???視点ー
女子寮の中のある部屋。
ここは、
他の部屋とは違い、
部屋の中の大きさが通常の二倍ある。
「うっ……んん」
その部屋の中にあるベッドで、
女子生徒が目を覚ました。
ベッドの脇には、
魔法陣が書かれた紙。
それに、
何がビッシリと文字が書かれたメモ帳が置かれていた。
「あれ?真っ暗だ」
夜遅くに目覚めた彼女は、
外を見てそう呟いた。
「そういえば、外が騒がしか……っ!」
彼女は外を見てみると、
練習場から氷の塊が飛び出ていた。
「なに……あれ?」
彼女はこの学院に来てそこまで日が経っていない。
このような物を見るのは初めてだった。
「まあ、今は……」
彼女はそう呟いて、
研究途中だった事を調べ始めた。
彼女が研究しているのは、
転移魔術の解明。
自身の目標のために研究を続ける彼女は、
今日も朝まで研究を続けた。




