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転生記 ~異世界では長寿を願って~  作者: 水無月蒼空
第3章:【少年期】冒険者編
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第四十七話:「二つの犯人」

 俺とジオラルは、

 教団支部まで戻ってきた。


 「さぁ、こっちに来てくれ」


 俺は、司祭の男が入っていた扉の方へ招かれた。

 扉を潜ると、組織の奴隷市場にもあったような通路が出てきた。

 違うところがあるとすると、

 奴隷市場の方は暗い印象だが、こっちは白を基調としており明るい印象だった。  


 やがて、

 突き当たりの扉の前まで来ると、

 扉を開き中に入った。


 中に入ると、

 大きな木の机と、それを取り囲むようにイスが置かれている部屋だった。


 「好きなところに掛けてくれ」


 俺は目の前にあるイスに座った。

 

 「早速本題に入ろうか」

 「本題?」


 ジオラルは、

 机に肘をつき、緊張の趣で話し始めた。


 「今回、君がジェシカを捕らえてきてくれたことで、

  我々は一つの情報を得ることが出来た」

 「情報?」

 「最近、この辺りで馬車が襲われる事が多発している」


 ギルド長にそんな話を聞いたな。

 それと、フィラに何の関係があるんだ?


 「それと、今の僕に何の関係が……」

 「まあ、話は最後まで聞け」


 ジオラルは、

 五枚の紙を机の上に広げた。


 「この手配書の人物達が、シュレーラス入ったことを確認した」

 「っ!……ですが、それとは関係が」

 「ジェシカに何故馬車を襲ったのかと問いただした。すると、ヤツはこう言った」


 『ある男に依頼をされた』


 ある男?


 「人数は自分を合わせて四人。

  どこかで見覚えのあるヤツばかりだったらしい。

  俺は試しに手配書をヤツに見せた。すると、その三人。と言った」


 つまり、

 依頼をされた六人は、全員が手配犯で、

 依頼主は、手配犯に何かを依頼したと言うことか?


 「依頼内容は。

  ある人物の排除だ」


 ある人物?

 馬車が襲われたということは、

 ケイレブがその対象なのか?


 「それでは、その彼らはケイレブを狙って襲ってきたのですか?」

 「違う。奴らが狙っていたのは……()()()()()()だ」

 「……え?」


 俺とフィラが狙われた?

 なんで?

 何で俺たちが狙われるんだ?


 「な、なんで僕達が狙われるんですか?」

 「そこまでは分からない。だが、依頼主が君らをなんとしても消したいのだろう」

 「……誰が?」

 「分からない……が、予想は出来る」

 「……」

 「ジェシカの話によると、

  二つのグループに分けられ、

  馬車を襲うジェシカ。 

  依頼主の側で護衛をする女一人に、男二人の三人」


 割り当てが、

 自分の守りに多く組まれているな。


 「馬車が街道を通る詳しい時間に、

  暗殺対象が乗っている情報を保有しているところを見ると、

  依頼主は絞られる」

 「……まさか」

 「恐らく依頼主は……ケイレブ・レイター男爵だ」


 ……アイツか。

 確かに、俺があの道を通ったのは、

 ケイレブからの指名依頼を受けたからだ。

 依頼を受けていなかったら、今頃、まだあの町から動いていなかっただろう。

 馬車に同行していた騎士達は、教団の騎士だとギルド長は言っていた。つまり、騎士達の中には犯人はいない。

 ケイレブ自身、アルレシア大陸からこっちに来る船の上にいた。あの時から俺を監視していたとすればさらに怪しくなる。

 極めつけは、あの依頼内容だ。

 隣町までの護衛であの報酬。

 まるで、

 金面的に問題があることを知っていて食いつかせるためにやったともとれる。


 「この予測が事実であるなら、

  ヤツを野放しにすることは出来ない」

 「……ケイレブが僕達を襲おうとしたとしても、今はフィラを見つけることが……」

 「私の部下が、

  君の宿から少女が女と共に出てきたのを確認している」

 「……」

 「少女は青色の髪をして、首には何かを掛けている。

  体調が悪いのか、足取りの悪いようだったと報告を受けている」

 「まさか……」

 「恐らく、フィラ嬢を攫ったのはヤツの雇った女だろう」


 俺はイスから立ち上がり、

 部屋を出ようとした。


 「まて!何所に行く気だ!」

 「……ケイレブの屋敷です」

 「それはダメだ」

 「なんで!」


 ジオラルは俺の肩をつかみ、

 静止してきた。


 「ヤツは男爵だ。

  君が行っても会うことは出来ないだろう」

 「それでも、力尽くで……」

 「そのために手配犯を雇っているんだ!力尽くは逆効果だ」


 それでも、

 今は可能性が少しでもあるところに……まてよ、もしかしたらあの人なら話を聞いてくれるかも。


 「ジオラルさん」

 「なんだ?」

 「この町の警護騎士団の副団長ならケイレブの屋敷に入ることは出来ますか?」

 「……副団長クラスなら可能だろう」

 「なら、僕を騎士団の本部へ連れて行ってください」


ーーー

 俺はジオラルに警護騎士団の本部に連れてきて貰った。

 町の警護騎士団は、町ごとに本部を置いている。

 ここの本部は、石造りの大きな建物だった。


 ここについてすぐ、

 ジオラルの協力により、

 シィルに会うことが出来た。


 彼女はジオラルから事情を聞き、

 真相解明のために協力してくれると言った。

 シィルと騎士数名が同行してくれることになった。

 

 ケイレブの屋敷はこの町の奥にあり、

 俺たちは固まって動くことになった。


 「ルイネス君。一つ伝えておかないといけないことがあった」

 「何ですか?」

 「ジェシカが持っていたあのナイフ。あれは呪器(カースアイテム)では無かった」

 「……え?」

 「教団の司祭に鑑定をして貰ったから間違いないよ」


 あれが呪いを帯びた物では無いなら、

 フィラのあの様子は、何が原因なんだ?


 「それでは、フィラは何に……」

 「それも、本人に聞いてみることにしよう」

 「そうですね」


 俺たちは、

 屋敷に向かって進み続けた。

 町並みが変わってきたところで、

 ある異変に気がついた。

 気がついたのは、後ろで歩いていた騎士だった。


 「副団長!」

 「どうかしましたか?」

 「あちらの方が、何やら騒がしく」


 騎士はそう言って指をさした。

 指をさされた方を見ると、

 住民達が騒ぎながら走っていた。


 俺はそのうち一人、

 男から話を聞いた。


 「何かあったんですか?」

 「み、南の門から大量に魔物が入ってきたんだ!」

 「魔物!?」


 俺は話を聞いた後、

 すぐに、身体を浮かせて近くの家の屋根に登った。

 すると、

 南の方の家屋から火が上がり、その奥には、何かが飛んでいるように見えた。


 「皆さん、南の方で魔物が暴れています」

 

 俺がそう言うと、

 ジオラルやシィル、騎士達に動揺が広がった。


 「魔物だと?」

 「本当なのか?」

 「この町に魔物が入り込むなんて……」


 騎士達はそれぞれ、

 動揺を隠せないでいるようだった。


 それもそのはずだ、

 この町……いや、この国ではほとんど魔物が出ない。

 この国の騎士団が定期的に魔物を狩っているのと、

 この大陸に流れている魔力が他とは違うため、魔物が生まれにくい。

 そんな中、魔物が大量に町に出没した。

 騎士達がうろたえるのも仕方が無いだろう。


 「皆静まれ!」


 動揺する騎士達に対して、

 シィルは大きく声を出した。


 「この町を守るべき君たちが取り乱してどうする!

  取り乱している暇があったら、住民達を安全なところまで誘導しなさい!」

 「……っ!はい!」


 騎士達はそれぞれ、

 南の方角へ走っていった。


 「ルイネス殿。申し訳ないが、私も、自分の役目を全うさせて貰う」

 「分かりました。行ってください」

 「すまない。代わりにこれを持って行ってくれ」


 シィルはそう言って、

 自身が首に掛けていた首飾りを俺に向かって投げてきた。


 「屋敷の使用人にこれを見せて、

  ウェイカー公爵令嬢の使いで来た。

  と言ってください。そうすれば、中に通して貰えるはずです」

 「っ!ありがとうございます」

 「フィラ殿は、警護騎士団が保護する。救い出せたらすぐに警護騎士団の騎士に保護を頼んでくれ」

 

 この町の警護騎士団にはかなり世話になるな。

 何か感謝を形にして返したいな……。


 「そろそろ私も援護に向かいます」

 「はい。色々ありがとうございます。頑張ってください」

 「ありがとう。ルイネス殿もお気を付けて」


 シィルはそう言って、

 騎士達の後を追うように走って行った。


 「先を急ごう。屋敷までもうすぐだ」


 俺とジオラルは、

 ペースを上げて屋敷に向かった。


 「そうだ。ルイネス君」

 「はい?」


 屋敷に向かう途中、

 いきなり立ち止まったジオラルは真剣な眼差しでそう言った。


 「これからケイレブの元に向かう前に一つ約束をしてくれ」

 「約束……?」

 「これから何があっても……絶対に殺すな」

 「殺すな?」

 「セフィス様は命を重んじる。だから、この国では殺人が一番重たい罪だ。

  君にどんな理由があろうとも、人を殺したのなら我々は君を追わなければならない」


 なるほど、

 確かに手配書にも殺人と書いてあった。今までいたアルレシア大陸では弱肉強食の世界だ。

 人を殺しても何の罪にもならない。

 だが、

 この国では重い罪になる。

 ジオラルは俺が激情してそうならないか懸念しているのか……。


 「いい人ですね。貴方は……」

 「なに?」

 「ヤツがフィラに危害を加えていたら、

  僕は迷わずヤツに攻撃します。それでヤツが死んでも僕は後悔しません」

 「……」

 「ですが、フィラが無事だった場合はしないと約束します」


 ヤツがフィラに何もしていないのなら、

 俺がヤツをどうこうする理由はない。だが、もしフィラが危険な目に遭っているのなら、

 俺は迷わずあいつを倒す。


 俺の問いを聞くと、

 ジオラルは悩ましい顔をした。


 「う……本当は絶対にしないという確約が欲しいところだが、

  現状では仕方ないか……」

 「はい」

 「……分かった。だが今はそれでもいい。

  だが、

  君が本当にヤツを殺そうとした場合は私が全力で止める。分かったか?」

 「……分かりました」


 俺たちは再び、

 屋敷に向かって走り出した。


 やがて、

 大きな屋敷が見えてきた。

 この辺りでは一番でかく、

 大きな塀で囲まれていた。


 「あそこだ。ルイネス君行くぞ!」

 「はい!」


 屋敷までもう少しと思った瞬間、

 後ろに気配を感じた。


 「そこの二人。直ちに止まれ」


 俺たちは声がした瞬間立ち止まり、

 後ろを向いた。

 すると、

 目の前には男が二人立っていた。


 「お前らはここで止まりな」

 「これも依頼なんでね」


 一人は、

 大剣を握り、

 もう一人は、

 槍を持っていた。


 「ほう、槍殺しのゼルに魔術師殺しのアントか。

  指名手配のお前達がここにいると言うことは、ケイレブ男爵は黒と見て良いんだね?」

 「さぁ?どうだろうな?」

 「俺たちからは何も言えない」

 「そうか……ルイネス君。先に行きたまえ。

  私はこの二人を片付けてから向かうよ」

 「しかし……」

 「異端審問審問長の力をこの犯罪者達に見せつける必要があるからね」


 ジオラルはそう言って、

 腰に携えていた剣を抜いた。

 その剣は、見事な装飾が彫刻されており、

 誰がどう見ても一級品だと分かる代物だった。


 彼も自信があってそう言っているのだろう。

 ならば、

 俺は先を急ぐだけだ。


 「分かりました。気をつけてください」

 「ああ、任せろ」


 俺は屋敷に向かって走り出した。


 「ルイネス君。絶対にフードは脱ぐな」


 ジオラルは一言そう言って、

 二人の方へ向かっていった。


 俺は今、

 ローブのフードを深く被り、

 顔には仮面を付けている。

 

 何故脱いではいけないのだろう?

 疑問には思うが、

 今は先を急ごう。


 俺は屋敷の目の前まで来た。

 門を叩こうとしたとき、

 ある異変に気がついた。


 「……開いている……」


 屋敷の門が開いていた。

 

 「……行くしかないか」


 俺は警戒しながらも、

 中に入った。

 門を潜るとすぐ大きな庭が広がっていた。

 庭は手入れが行き届いており、

 見栄えの良い物だった。


 だが、


 ここで一つ疑問に思った。

 庭には、使用人の姿が一つも無かった。

 これだけ広い屋敷で、尚且つ、手入れが行き届いた庭があるのなら、

 使用人の一人や二人、いても良いものだが……。


 俺はそう思いつつ、

 屋敷の扉を開けた。すると、中には奇妙な光景が広がっていた。


 「ルイネス・アルストレア様。ようこそお越しくださいました」

 

 目の前には、

 腹部に手を当て、片膝をついている執事のような格好をしたご老人だった。

 

 「私は、当家の使用人。

  ジェリスと申します。お見知りおきを」


 ジェリスと名乗った老人は、

 「こちらへ」と言って、

 奥の方へ案内された。

 

 俺は老人に着いていった。


 案内されたのは、

 他の扉より大きな扉の前だった。


 「中に当家の主人が居られます。

  くれぐれも粗相の無いよう」


 老人は扉を開けた。

 すると、

 目の前には、

 教団支部であった机とイスが置かれた部屋のような、

 綺麗な部屋が出てきた。


 「我が屋敷へようこそ」

 

 奥のイスに腰掛けたケイレブが、

 俺の方を見てそう言った。


 「フィラを返せ!」

 「……ああ、フィラ嬢なら隣の部屋でお休みしてもらっているよ。

  彼女は、君を呼ぶための餌だ。もうお帰りいただいても結構だ」


 ケイレブは指で隣の部屋をさしながらそう言った。

 

 「それじゃあ、認めるんだな?

  お前が、俺とフィラを殺そうとしたって」

 「ああ、正式には、

  君たち二人ではなく、()()()。なんだけどね」


 こいつ、

 何の悪びれもなく言いやがって……。

 

 「それじゃあ、フィラは返して貰うぞ」

 「ああ、構わないよ」


 俺は隣の部屋に続く扉を開けた。

 隣の部屋は、寝室なのか、大きなベッドが置かれていた。

 ベッドの上には、朝より顔色の良くなったフィラが眠っていた。

 その脇には、金髪の女がイスに座っていた。

 

 「貴方がルイネス・アルストレアね」

 「ああそうだ」

 「貴方のガールフレンドは眠っているわよ?」

 「見たら分かる」


 俺はフィラに駆け寄った。

 眠っているので少々不安だったが、

 ちゃんと生きていた。


 「貴方のガールフレンド。

  何かの毒に侵されていたわよ?」

 「毒?」


 ジオラルが、

 ジェシカの持っていたナイフは呪器ではないと言っていたが、

 あれは毒を出す魔力付加品(マジックアイテム)か何かなのか?


 「まあ、()()()()安全だから、早く返してあげる事ね」


 女は、意味ありげにそう言った。

 言いたいことは大体分かる。

 ケイレブが殺そうとしたのは俺だけ。つまりフィラに用はないと言うことだろう。


 「わざわざ逃がさせてくれるなんて、案外優しいですね」

 「そうよ。そんな幼気な子をどうこうしようなんて思っていないわよ。良いわよね?ボス?」

 

 女がそう言うと、

 ケイレブはジェリスに指示を送った。


 ジェリスは、

 扉を開いた。


 「フィラ、起きてください」


 俺はフィラを揺すり、

 起こそうとした。


 「……ん?ルイ君?」

 「はい」

 「おはよ……って、ここ何所!?」


 自分がこの屋敷にいることが分からず動揺しているようだった。

 それもそうだろう。

 目が覚めたらここにいたんだ。俺でも動揺する。


 「フィラは先に外に出て、警護騎士団の人に保護して貰ってください」

 「警護騎士団……?それって、シィルさんのこと?」

 「彼女は今忙しいかも知れませんが、とにかく、警護騎士団の人に保護をお願いしてください」


 俺がそう言うと、

 彼女は戸惑いつつも「分かった」と返事をした。


 フィラは扉の目の前に立つと、

 こっちを見て振り向いた。


 「ルイ君も早く来てね」

 「はい……すぐに追いつきます」


 フィラは安心した表情をした後、

 外へ走って行った。


 「それじゃあ、どうします?」

 「どうとは?」

 「貴方の狙いは僕ですよね?やりますか?」


 俺は杖をケイレブに向け、

 威圧的にそう言った。


 ケイレブは、

 「フフ」と不気味な笑いを零した後、

 腰から一本何かを取り出した。

 取り出したのは、短剣のような物で、

 ケイレブは、

 それを俺に向かって投げてきた。


 「見事な物だろ?

  炭鉱族(ドワーフ)が作った一級品だ」


 俺はそれを拾い上げると、

 嫌な記憶が呼び起こされた。

 あの日。

 俺が抑鬱(よくうつ)の中見た……ヒルト部分に花の模様が入った、

 ジェドの胸に無数に刺さっていたあの真っ黒な短剣。


 「……お前、これを何所で手に入れた?」

 「何を言っている?」

 「これを何所で手に入れたかって聞いてんだ!」


 俺がそう叫ぶと、

 ケイレブは、口元に手を当て笑いをこらえれないようだった。


 「何所でも何も……」


 ケイレブはイスから立ち上がった。


 「それは元々私の物だ!」


 ケイレブは、

 もう一つ物を投げてきた。

 血のような物で汚れた真っ白だったであろう本を。


 「っ!!」

 「裏切り者の遺品だ」


 俺はケイレブの言葉を聞いた瞬間、反射的に魔術を使った。

 無数の鋭い氷の矢がケイレブに向かって飛んでいった。


 「お前だったのかぁぁぁ!」


 怒りのあまり、

 俺は打てる限りの魔術をケイレブに向かって撃った。


 「ああ良いね。その怒りに満ちた顔。

  おい、私を助けろ」

 「御意」


 ケイレブがそう言うと、

 大剣を持った男が屋根を突き破り、

 俺の魔術を全て弾いた。


 「なんでお前がここにいるだ」


 目の前にいるのは、

 ジオラルが外で相手をしているはずの、

 【魔術師殺しのアント】だった。


 「俺だけじゃないさ」


 アントがそう言うと、

 突き破られた屋根からもう一人降りてきた。


 「アントだけじゃない」

 「槍殺しのゼル……」


 ジオラルが外で相手をしている二人が、

 俺の目の前にいる。


 「お前らがいると言うことは、まさか……」

 「安心しろ。外にいるのはこいつで作った分身だ」


 アントはそう言って、

 自分の二の腕にはめている金属の輪に指を当てた。


 「こいつは魔力を込めると自分の分身を作ってくれる魔力付加品(マジックアイテム)だ」

 「審問長殿は、外で我らの分身とまだ戦っているだろう」


 ジオラルが無事ならひとまず安心だ。

 俺は、俺の敵だけに集中出来る。


 「それじゃあ、俺たちも始めるか」


 アントは大剣を構え、

 ゼルは槍を構えた。


 「さぁ、お前達。

  我らが神の目的を成就するため、目の前の敵を殺せ!」


 ケイレブの声と共に、

 戦闘が始まった。

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