間話:「それぞれの思い」
ヘルス視点
冬の冷たい風が吹き、雪が降り積もる日に、俺とセリスの間に子供が生まれた。出産時に産声をあげず、呼吸もせず、心臓が停止した状態で生まれてきた。その場にいた者全員がだめだと諦めかけたその時、外がざわついた瞬間、奇跡的に心臓が動き出し呼吸もするようになった。産声は上げていなかったが、俺たちは赤子が最後には安定して元気そうな顔をした時には、涙を流し安心感を得て奇跡を授けてくれた神とも言うべき者に感謝をした。
今まで赤子は何度も見てきたが自分の子供だと感じるものが違う。妙に愛らしく感じる。
俺と同じきれいな茶髪にセリスと俺を足して二で割ったような顔立ちをしていた。こいつは将来女の子にもてる男になるだろう。
成長したら女の子の接し方でも教えるようにしよう。
生まれた子供にはルイネス・アルストレアと名付けた。
あれから3年。ルイはすくすくと育っていた。生まれたときが嘘のように風邪一つ引かずに元気に育ってくれた。最近では元気すぎるんじゃないかと思うくらいだ。
俺の遺伝子が強く出ているのか冒険心が強い用だ。目を離した瞬間にどっかに行ってしまう、俺はそのくらいが子供としてちょうどいいと思うのだが、みんな怪我をしないか心配している。もう少ししたら体を鍛える方法を教えることにしよう。
ルイは今、本を読むことにはまっているらしい。前までは読み聞かせをよく頼んできていたが最近は文字を読むことができるようになったらしく読み聞かせはいらないと言われてしまった。少し寂しい気もするが、自分の子供の成長がしれるのはうれしいことだと思う。
これだけ成長が早いと親として教えることが少なくて自信がなくなってくる。
ルイには成長しても自由に生きてほしいと思う。そのためには自分の身を守るための力が必要だ、あと少しルイが成長したら剣術を教えてもいいかもしれないな。
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セリス視点
ルイが生まれてきたときのことは私の生涯で忘れることはないと思う。一度ルイの心臓が停止したときは私のせいでごめんねと悲しみの思い出いっぱいになったけど奇跡的に戻って元気に育ってくれて日々うれしい気持ちでいっぱいになる。
出産から3年が経ち、ルイがすくすく成長し家中を徘徊することが多くなった。そのたびに私は家中を探し回っている。自分自身が過保護になっているのは分かっているけどルイには安全に育ってほしいと思ってしまう。
ルイは最近、魔術に興味があるのか以前にルイにかけた治癒魔術のことをよく聞いてくる。私は、魔術に興味を持ってくれたのがうれしくて治癒魔術を教えた。まだ使えないと思うけどもしも使って魔力切れを起こしたら大変だからもう少し成長してまだ魔術に興味があったら彼女に相談するのもいいかもしれない。
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ニーナ視点
私はこの、アルストレア家で侍女をしているニーナ・セルトと申します。
私は、王都にいた頃、父が運営している聖神流道場にヘルスが入門してきたのが最初の出会いだ。道場では、私が姉弟子として指導をしていたがヘルスの才能は他の門下生や私と違って頭一つ抜けていた。そのため私はすぐに追い抜かれることになった。
私は、そんな彼に対して憧れのようなものを抱いていた。そんな中、彼は、上級から超級に上がるのではないかと言われ始めていた頃彼は道場から姿を消した。
私は、彼に憧れると共に少し恋愛感情のようなものを持っていたんだと今になって思う。私は、彼が道場を去ってから以降、剣の鍛練に力が入らなくなり父の推薦で宮中で第一王女の近衞侍女をすることになった。普段は、第一王女の身の回りの世話をする侍女の仕事をしていて、侵入者や仕えている主人に危険が迫ると剣を取り主の壁となり戦うという仕事だ。
私が仕えていた第一王女は、国王と正紀との初めてのご令嬢で他の第一王子や第二王子に疎ましく思われており、暗殺者が送り込まれてくることも多かった。
そんな中、私は、暗殺者との戦闘で健を切られてしまい、もうまともに侍女の仕事や近衞次女の仕事を全うすることができないとして、近衞次女の仕事を辞めた。
宮中の侍女という仕事は王国の裏話や一般の人が聞いてはいけないようなことも仕事中に聞こえてくる。そのため、宮中の侍女をやめたものは、裏にやましいことがある貴族によって暗殺者が送り込まれる。私にも、その例に外れることなく暗殺者が送り込まれてきた。私は、身の危険を感じ国外に逃げようと思い、国の東に渡っていった。そんな中でも、暗殺者が送り込まれてきた。どうやら、私がいた頃に来た貴族はどうしても聞かれたくないことがあったらしい…‥
暗殺者に囲まれ死を覚悟したときに彼はそこに来た。
同情を突然去ったその男は颯爽と現れ、襲ってきた暗殺者を倒し私を助けてくれた。
冒険者になったと聞いていたが、現在は、結婚をして安定した給料を得ることができない冒険者をやめ、家のコネを使い、【地方騎士】の職に就いたらしい。奥さんは現在お腹に子供を宿しているらしい。
私は、一か八か、彼の家で侍女として雇ってくれないかと頼んでみた。彼の家は、アスト王国の東の端にあって暗殺者も容易に送り込めず姿を隠すのにうってつけだと思った、それに国外に逃げても生きていける保証がなかったからだ。
彼の実家は、アスト王国の最上位の三大貴族のエルア家だ。何かあっても後ろ盾になってくれるかもしれない。
断られると思っていたが、彼は、意外にもあっさり了承した。何でも、妻が妊娠をしていてちょうど侍女を探していたところだそうだ。
それから私は、アルストレア家侍女として仕え始めた。
雪の日、セリス様が腹痛を訴え、早期出産をすることになった。出産は良好に進んだと思っていた。だが、実際生まれてきた赤子は、呼吸をしておらず、心臓も停止していた。手を尽くしたが。もうだめだと思ったが奇跡的に持ち直すことができた。その時は、誰もが涙を流した。
あれから3年が経ち、ルイネスはすくすくと育っておられると共に私は、ルイネスを恐れている。
ようやくハイハイができるようになったばかりの赤子が家中を這いずり回り聞いたこともないような言葉を話していた。それに、生まれつき両目とも色の違う子供は呪いや悪魔が取り憑いているなど言われており、忌み子として扱われている。
私は、呪いや悪魔が取り憑いていると思い呪いを払うアイテムを使ってみたが効果がなく、前よりも活発的になったという印象すらあった。
その噂が事実で、私に危害が及ぶ場合は旦那様には申し訳が立たないが、私だけでも逃げられるようにしようと思う。
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セバス視点
わたくしは、アルストレア家に仕える使用人のセバス・チャンと申します。アルストレア家の皆様からは、愛嬌を込めてセバスと呼ばれています。
わたくしは、以前、セリスお嬢様が冒険者になられるとのことで家を飛び出さされるまで側仕えをしておりました。このたび、セリスお嬢様がアスト王国の方とご結婚なされたと言うことで奥様からの使用人としてサポートを行いなさいという命によりアルストレア家の使用人として務めさせていただいております。
雪が降り積もる日にセリス様とヘルス様の間にご子息が誕生し名前をルイネス・アルストレアと名付けられた。
セリス様の出産は、ルイネス様を出産するところまでは順調に進んだ。だが、生まれてきた時から、呼吸はなく、心臓は止まった状態で生まれため、肝を冷やしました。様々な処置を行ないましたが、容態は戻らず我々は皆諦めかけていました。だがその時、外が騒がしくなりごく一瞬だけ外が光ったと思ったら、ルイネス様の容態が回復し、目を覚まし元気な顔を見せていただいたときには年甲斐にもなく涙を流してしまいました。
ルイネス様が目を覚まされたと同時に一つ気づいたことがありました。ルイネス様の目の色が左右で違う色をしておられました。左目が緑色、右目が金色という特徴を持っておられました、あれはおそらく魔眼の類いでしょう。私は、魔眼の扱いは心得ておりませんがあの方にお会いすることが出来ればもしかしたら教えてもらえるかもしれませんが…‥
あれから3年の月日が経ちルイネス様はすくすくとご成長なされた。少し前まではハイハイをするのがやっとだったのに今は走り回ることもできるようになられた。
ルイネス様は、最近本を読むことがお気に召しているようで、読み聞かせをした際には質問をたくさんしてこられ勉強熱心と関心をしてしまいました。もう少しルイネス様がもう少しご成長なされたら私の種族の言葉を教えようと思います。
それにしても、幼い頃からお仕えしていたセリスお嬢様が今では、ご結婚をなさり子供までいると考えると何やら感じるものがあります。わたくしは、セリスお嬢様とヘルス様との間に生まれたルイネス様を命に代えてもお守りいたします。




