第三十九話:「ロシンポート到着」
ロシンポート。
海と大陸の境にある交易の街。
ここはアルレシア大陸二カ所ある入り口の中で、セフィス大陸に行く事の出来る船が多く出る街。
アルレシア大陸の入り口と言うだけあって多くの種族が行き交っている。そんな多種の思想が渦巻いている活気の絶えない街。
~旅人の旅~
著者:ヘンリー・アレン
ーーー
村を旅立ってから早くも二ヶ月が経とうとしていた。
この二ヶ月間は、前と違ってナタリーとの交流がさらに多くなった。それは、ナタリーが本当に悪いやつではないと分かったことが大きいだろう。
前までは盗賊のボスの娘ということで警戒をしていたが、ナタリーが村人達を内密に介抱していたことや、ベンジーに襲われそうになっている時の様子を見ていると、ナタリーがトッタの言うような人物ではないとすぐに分かった。
フィラも前よりも話すようになり、トッタも僅かながらナタリーに対する恐怖心という物は少なくなっているようだった。
俺たちはようやく、
ロシンポートの目の前まで来た。
「ようやく着くわね」
そう言ったのは、
馬車の先頭に座っているナタリーだった。
「そうですね。
ナタリーを誘拐してから約半年が経ちました」
「そういえば……私って誘拐されているのよね。
自由すぎたから完全に忘れていたわ」
ロシンポートでトッタとナタリーと別れる。
俺とフィラはセフィス大陸へ。ナタリーはスィーヴズのボスの元へ。トッタは商人の仕事に戻る。
ここに来るまでの町には小さくても極力近づかないようにしてきた。その理由は、小さい町にもスィーヴズの手が及んでいる可能性が高かったからだ。
ロシンポートに入ってしまえばスィーヴズに見つかっても問題は無い。たまたま近くであって送り届けるよう頼まれたとでも言えば怪しまれないだろう。
「そういえば、なんで私ってルイネス達に誘拐されたんだっけ?」
考えながら魔獣をひいていた俺に、
ナタリーはそう言ってきた。
「それは……僕達の身の安全を確立するためですよ」
「そんな事をしなくても、アジトを襲撃しなければ良かった話じゃないの?」
確かにそうだ。だが、あの状況では、スィーヴズに追われる可能性があったからアジトを潰そうと思ったんだっけ?
まあ、全てトッタが悪いよな?
「そうですけど、結局は全てトッタが悪いです」
「……そうね」
俺たちが笑っていると、
後ろの荷台の方から、
「それはないですぜぇ」
という弱々しいトッタの声が聞こえてきた。
トッタは、商品の最終チェックを行なっている。今回は人ではなく、ちゃんとした物だ。
そこから走らせて数時間、
俺はトッタと変わり荷台にいた。
「旦那~そろそろ着きまっせ!」
トッタのそう言うので馬車の先頭の方を見てみると、
坂の下に多くの家とその奥には向こう側が見えないほど広大な海が見えた。
「あれが……海……」
「ルイ君、見たことなかったの?」
俺がそう言うと、
後ろにいたフィラが俺の横から顔をヒョコッと出してそう言った。
「はい、話には聞いたことがあったのですが……」
「そうなんだ。私も実は初めてなの」
「そ、そうなんですね」
馬車の荷台になんとも言えない空気が流れた。
「はいそこ!
後ろでイチャつかないの」
ナタリーがニヤニヤしながら、
後ろを見てそう言った。
「していません!」
フィラはナタリーの言葉をかき消すようにそう言った。
顔が真っ赤になっているところを見ると、相当恥ずかしかったのだろう。
「旦那は全く、言い身分ですな」
「……トッタ、前危ないですよ?」
「えっ?」
トッタは前を見ると、
馬車を引いている魔獣が大きい岩に向かって猛スピードで突進をしているところだった。
「ぎゃあぁぁぁ!
だ、旦那!助けてくれぇぇ!!」
「はぁ……」
叫んでないで、
手綱を引けよな……。
俺は魔術を使って、
馬車と魔獣を宙に浮かせた。
「……う、浮いてる!?」
「ルイネスの魔術?」
「た、助かった……」
馬車が岩に当たらずに助かったことに、
乗っている全員が安堵した。
魔獣が落ち着いたのを見て、
俺は、魔術で浮かしていた物を下ろした。
「はぁ……疲れた」
リベルに教えて貰った重力魔術は、
魔力ともう一つ違う物を消費する。それは、覇気という物だ。
覇気は、身体の表面を覆っている魔力の塊だ。普段、魔術を使うのに使っている魔力は身体の中に巡っている魔力で、重力魔術は纏っている覇気と身体の中にある魔力の両方を消費する。
重力魔術は、浮かす物の重さや大きさが大きければ大きいほど消費する魔力も多くなる。
覇気は体内の魔力に比べて少ない。そのため、すぐに枯渇してしまう。枯渇しても魔力切れになって気を失うことはないが、身体にだるさが出たり、身体の防御力が下がってしまう。
そのため、重力魔術は、戦闘向きではない。どちらかと言えば、不意を突くための一つの手段として考えるのが最適だろう。
「今度は気をつけてくださいよ?」
「……は、はい」
トッタは何かが怖いのか俺と目を合わせようとしなかった。
それから数分が経ち、
俺たちはついにロシンポートの中に入った。
「人が多いですね」
「そうね、ここはアルレシア大陸の中でもいちばん多くの人がいるんじゃないかしら」
町中を歩いている人は、
他大陸に出る船があるためか、
獣人族、魔族に人族など他の町よりも多くの種族がいた。
「旦那。俺はこれから商業ギルドに向かうんですが、どうします?」
どうするか……この街には長居をするつもりはないが、
スィーヴズの件が解決するのにどれくらい時間が掛かるか分からない。一応宿を取っておいた方が良いよな?
「それじゃあ、宿を取りたいので、
トッタのおすすめの宿まで送ってください」
「え……おう!喜んで!」
トッタは勢いよく馬車を走らせた。
「旦那、着きました」
しばらく経って、
人が行き交う通りのすぐ近くの綺麗な宿の目の前に止まった。
「ここは色んな店にも近くて、人族なら宿代が安い!」
トッタは宿の魅力を紹介する。
「それに……」
「ここ……うちの宿だわ」
ナタリーは、
トッタの言葉を遮るようにそう言った。
「そ、そうだったんですか?ナタリー様」
「ええ。ここは、人族が安全に休めるようにボスが作った宿だわ」
盗賊のボスなのに、
同族のために宿を建てたりするのか?
「安全なんですよね……?」
「当然よ!ボスが建てた後は、
私の側付きが管理しているから、実質、スィーヴズは運営にほとんど関与していないわ」
ナタリーがこれだけ言うんだ。
安全性は高いのだろう。
俺たちは宿に入った。
トッタは宿に入るのが怖いのか、
「旦那、またどこかで!」
と言い残して商業ギルドの方へ走っていった。
宿の中に入ると、
人族の冒険者らしき人や、商人のような人が数組、お酒を飲んでいた。
「こっちよ。今ならあの子もいると思うから」
ナタリーは酒を嗜んでいる人達を横目に、
宿のカウンターまで歩き始めた。
あの子って……さっき言ってた側付きの人のことか?
カウンターの目の前まで着くと、
ナタリーはキョロキョロと辺りを見渡した。
「いないわね……」
「どこかに出かけているんじゃないですか?」
「……いや、多分……」
ナタリーはそう言って、
カウンターの横にある扉を開いた。
「ソフィア!私よ!」
ナタリーは扉の奥に向かってそう叫んだ。すると、奥で物が崩れ落ちるような音が部屋中に響き渡った。
音がしてから数分が経ち、
ドタドタという足音がどんどん近づいてきた。
「な、ナタリー様!?」
ドアの奥から出てきたのは、
白い髪の毛をボサボサにしながら慌てた様子の人族の女だった。
「あなた……またやってたわね」
「えっ!?……いや~やってないですよ」
白髪の女は、
ナタリーの疑いの目から目線を逸らした。
「主君にウソをつくなんて、
ソフィアも偉くなったじゃない。私は嬉しいわ」
ナタリーは、
フィラをからかうときと同じような顔をしている。
「ももも、申し訳ございません!」
ソフィアと呼ばれた女は、
カウンターに打ちそうな勢いで頭を下げた。
「はぁ……あのね、好きなことに走るのも良いけど、
宿の経営っていう仕事を投げ出しちゃダメよ?」
「……はい、ごめんなさい」
「よし、一度身なりを整えてきなさい」
ソフィアは、一度ドアの向こうへ戻り、
身なりを整え、出てきた。
ソフィアは一息整えた。
「ナタリー様。
本日はどういったご用件で?」
「この二人の部屋を用意して欲しいの。スィーヴズ持ちで」
ナタリーはどうやら宿代を負担してくれるらしい。
非常に有難い。金に困っていないと言っても、現在の所持金は、
黒銭:一枚
緑銭:八枚
黄銭:二枚
鉄銭:三枚
屑銭:六枚
大陸を渡るには問題ないと思うが、
宿を取るには少し心許ないと思っていたところだ。
「……」
ソフィアは俺たちの顔に視線を向けた。
その後、ナタリーの方を向いた。
「ナタリー様。このお二人とはどういったご関係ですか?」
「え?ああ……」
ナタリーは俺たちの顔をチラッと見て、
何か悪巧みをしたのか、ニヤッと笑った。
「この二人は、私を誘拐した犯人よ」
「ちょ!?何を!?」
そう言った途端、
ソフィアはどこから出したのか、俺たちの方へ杖を向けた。
「ナタリー様下がってください。
この人達、ナタリー様に危害を加えたのであれば対処します」
「ちょっと待ってください!僕達は……」
「誘拐犯の話なんて聞きません!」
ソフィアは俺たちに向かって魔術を使った。
「偉大なる火の王子よ 大いなる恵みをこの身に与え 堂々たる存在に力を見せつけろ さすれば この身を持って仇敵に力を示さん」
『火弾』
ソフィアの放った『火弾』は、
拳ほどの大きさの球体をなして俺たちの方へ向かってきた。
「フィラ下がって」
「うん」
俺は、
床に手をついて魔力を込めた。
『土壁』
ソフィアの魔術は、
俺が作り出した『土壁』に直撃し、ボンっと音を立てながら消滅した。
「今のは……無詠唱……?」
ソフィアは、
呆然と俺たちを見ていた。
「ふふふ、良い物が見れたわ」
ナタリーは、
口元に手を当てながらそう言った。
「全く、事実でも隠さずに言わないでくださいよ」
「良いじゃない。ウソはついてないわよ」
「そうですけど……」
いや、確かにウソはついていないけど……。
ナタリーのこういう所はらしさがあるが、状況を考えて欲しい。
「ナタリーさん。悪戯も時と場所を考えてくださいよ」
「ごめんってば、だって見たかったんだもん。
巷で有名な龍王と、私の側付きの魔術師。戦ったらどうなるか」
そんな理由で!?
興味本位で自分の側付きと戦わせようとするなよな……。
俺がそう思っていると、
会話に置いてけぼりになっていたソフィアが驚いた顔をした。
「な、ナタリー様?今その男の子のことを龍王って……?」
「そうよ?そこにいるルイネス・アルストレアは、最近噂になっている龍王よ」
ナタリーはそうだけど?とでも言いたげな顔でそう言った。。すると、ソフィアはカウンターからすごい勢いで出てきた。
「あなたが、あの龍王!?」
「えっと……はい」
「貴方が、紫竜を失われた魔術でいとも容易く倒したって?でも……龍王は確か、大きな青い魔石がはめ込まれている身の丈以上の杖を持ち、グレーラットの毛皮のような色のローブに身を包み、白い仮面で顔を隠した正体不明の賢者って噂ですけど……どう見ても子供ですよね?」
ソフィアは、
いまいち信じられないという顔をしていた。
今の俺は、
仮面を付けていない。それに、杖には布をかぶせてある。
仮面は付けたままでいると、怖がられたので最近は付けていない。今は、右目に眼帯だけ付けている。俺の右目は魔眼という特殊な物らしい。魔力の流れを読むことができ、精度次第ではそれ以上も見ることが出来るらしい。
今の俺は、魔眼を制御できてはいるが、魔力量の多い物を見ると、勝手に開眼してしまうため、一応眼帯を付けている。
この眼帯は、目覚めた際に持っていた鞄の中に入っていた物だ。リベルが言うのには、アスト王国の東の果てにある迷宮に眠っているはずの魔道具らしい。
何でそんな物を俺が持っているのかは分からないが、ある物は利用させて貰っている。
杖に布をかぶせているのは前と同じようなことが起こらないようにするためだ。半年前、トッタが俺を奴隷にしようとしたときに杖も狙っていた。
その理由を聞くと、これだけ大きな魔石が付いた杖はそうそう出回らないようで、高値で売れると考えたらしい……。
杖を狙われて、あの時と同じようなことに巻き込まれるくらいなら、最初から見せないようにすれば良いだけだ。
「魔石が付いた杖と仮面ってこれのことですよね?」
俺は杖の布を取り、
鞄の中から仮面を取り出した。
ソフィアはそれを見て、
目を輝かせていた。
「で、では……本当に貴方が……龍王!?」
「えっと……はい、そうです」
ソフィアは俺の手を強く握った。
「わ、私!お噂を聞いて会ってみたいと思っていたんです!!」
「そ、そうなんですか……嬉しいです」
この人……見かけによらずかなり力が強い!?
「龍王という人物が失われた魔術を使用して尚且つ無詠唱で魔術を行使する。無詠唱を用いている時点で規格外なのに、失われた龍族の固有魔術である重力魔術を使うなんて……始め噂を聞いたときは信じることが出来ませんでした!」
ソフィアはぐいぐい詰め寄りながら、
そう言ってきた。
「な、ナタリー?」
俺は横で見ているナタリーに助けを求めた。
「ああ、その子。
魔術が大好きでね、すごい魔術師を見るとそんな感じになるの」
「へぇ、そうなんですか?」
「ええ、一度魔術を研究し始めると、止まらなくなるから困るわね」
そ、そうなのか……てか、
この白髪……どこかで見たことあるような。
「どこだっけ……?」
「……あの龍王様?どうかされましたか?」
俺がボーッと考えていると、
ソフィアが俺の顔を見てきた。
「いえ、何でも無いです」
余計なことを考えるべきじゃないな。
その後、
俺とフィラは部屋を一部屋借りた。
部屋の代金はスィーヴズ持ちで代金は払わなくて良いと言われた。更には、ソフィアに魔術を教えればずっとタダにしてもいいとも言われた。
それは流石にと思ったが、
「ルイネスとフィラならいつでもただで良いわ」
とナタリーお嬢様が言った。
そのため、俺たちはここの宿は永久にただと言うことになった。流石に払わないというのは申し訳ないので、何か別のことで返そう。
俺たちは借りた部屋に移動した。
借りた部屋は、ベッドが二つあって、机やイスなど宿というのにはあまりに住みやすいような作りをしていた。それに、他の宿とは違ってかなり広い。そこらの宿の二部屋分くらいの広さをしていた。
部屋に戻ったのは、俺とフィラの二人だけだ。
ナタリーは、ソフィアと久しぶりに話すと言うことで下に残った。
「……」
「あ、えっと……」
部屋に入ってからフィラの様子がおかしい。
どうにも……機嫌が悪いようだ。
「フィラ……どうかしたんですか?」
「……」
フィラは一向に俺と口をきこうとしない。
何が原因なのだろうか……?
俺はここに来るまでやってきたことを思い出していた。
……そういえば、前にナタリーを連れてきたときに、フィラは嫉妬しているようだった。
もしかして、フィラは今も……。
「もしかして……嫉妬しているんですか?」
「……っ!?」
フィラは驚いたように俺の方を見た。
数秒間目が合い、やがて、フィラの顔は真っ赤になり、ヒョコッと小さく頷いた。
「なんだ……てっきり嫌われたのかと……」
俺がそう言いながらベッドに座った。すると、フィラもベッドに座って俺の頭を撫で始めた。
「大丈夫だよ。私はルイ君を嫌わないわ」
彼女の撫でる手が、
とても暖かく感じた……。
ーーー
目が覚めると、
フィラの寝顔が目の前にあった。
窓から見える空が暗かった。
どうやら、夜まで眠ってしまっていたらしい。
「よく寝てたわね」
俺は声の下方へ振り向くと、そこには、
いつもと違う綺麗でかわいさのある服に身を包んでいた。
「服が、いつもと違いますね」
「これはソフィアに着させられたのよ」
ナタリーは何だか恥ずかしがっているようだった。前の俺なら、この恥ずかしがる仕草だけで好きになってしまうところだった。だが、今の俺はフィラに癒やされたばかりだ。
今の俺に惑わされる思いはない!
「ルイネス。ちょっと付き合ってくれない」
変なことを考えていた俺にナタリーは外に行くように誘ってきた。
俺とナタリーは、
宿の外に出て、船が多く浮いている海の近くまで来た。
「海って綺麗よね」
「そうですね」
この場所でそんな事を言ってくるとは、
ナタリー、この人は恐ろしい。まさか……ナタリーって、実は俺に気があるんじゃ。
「ルイネスは、ボスのことどう思う?」
考えていると、
ナタリーは真剣な顔をしてそう言った。
余計ことを考えって……今の俺って、実は恥ずかしいヤツなんじゃ……?
「……」
「どうしたの?」
俺は恥ずかしくなり、
ナタリーへの返答が遅れた。
「何でもありません」
「そう。それで、どうなの?」
「どうって……」
正直、ナタリーの父親のことはよく分からない。
無差別に人を攫って奴隷として売るサイテーなヤツかと思ったら、同族が生きやすいように宿を作ったりする。
あまりつかめない人だ。
「今は、よく分かりませんね」
「分からない?」
「はい。始めは、無差別に人を奴隷にしようとする人だと思いました。ですが、村で聞いた事や先程の宿のように人を助ける人情も持っている」
俺がそう言うと、
ナタリーは海を眺めた。
「そう、ボスは人情溢れる人なの。スィーヴズだって、ボスの意思で許されないようなことはしていない事になっている。だけど、いつからか分からないけど、奴隷部門の方で、無差別の人の奴隷化に違法取引。ボスや他の幹部に気づかれないように巧妙に隠しながら……」
ナタリーは悲しげな顔をした。
「ルイネス。私はスィーヴズが好き。
ボスの意思にみんなが真っ直ぐ付いていくそんな綺麗なスィーヴズが……だけど、今のくすんでしまったスィーヴズは好きになれない」
「……」
「犯人は分かっている。だけど、ボスは、その人物に信頼を置いている。ボスがスィーヴズを作り上げるのにともに奮闘してきた信徒も呼べる人物。
私の力ではどうすることも出来ない。だから、どうかスィーヴズを元の姿に戻すのを助けてください」
いつもは軽いナタリーが、
初めて心の底の言葉を聞いた気がする。彼女とは出会って間もないが、助けるには十分なくらい同じ時を過ごした。
俺は、ナタリーを助けることにする。
「分かった。俺はナタリーを助けるよ」
俺がそう言うと、
ナタリーは、いつものような明るい笑顔になった。
「ありがとう」
この言葉が俺の心に染み渡るのを強く感じた。
こうして、
俺はアルレシア大陸で暗躍する盗賊スィーヴズの渦に入り込むことになった。




