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転生記 ~異世界では長寿を願って~  作者: 水無月蒼空
第2章:留学編
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第二十九話:「Unprecedented」

ー???視点ー

 そこは、アスト王国の東部に位置する王国内にある領土の中でも一番広い領土を誇るリエイト領。

 リエイト領最大の都市【防衛都市ブルセル】その近郊に位置する小さい迷宮。ここは、一年ほど前にルイネス達が入った迷宮である。


 この迷宮は、世界中にある迷宮の中でも低位に位置しており、ここを攻略しようとするのは新人冒険者か、剣の練習がてら立ち寄る剣士のみだろう。


 しかし、今現在この迷宮に一人の男が近づいている。

 その男は、明るい金髪、透き通っている淡藤色の瞳、黒色の正装服を纏っており、遠目では男性か女性か区別が付かないほど整った顔立ちをしている。


 「……おや?以前とは様子が」


 男はそう言いながら迷宮の入り口を潜った。

 迷宮内は、依然ルイネス達が来たときと変わらず静かな雰囲気が漂う暗い階段があった。男は、特に警戒をせずに階段を降り始めた。


 男は階段を降り終わり、大きな扉の前に立った。

 扉に掘ってある文字を指でなぞりフッと息を吐いた。男は、扉を強く押して扉を開けた。


 扉が開くと、暗い通路がありカタカタ音を発しながら奥の方から何かが近づいてきた。ルイネス達は、ここで戦闘の姿勢を見せたが、この男はその音を気にすることなく歩き始めた。


 奥からスケルトンが走ってきて男に襲いかかった。男は、そのスケルトン達が視界に入っていないのか無反応でそのまま歩いている。

 スケルトンは、男に襲いかかったが、襲いかかったスケルトンは全員ボロボロの骨粉状態まで崩れ散った。


 男はその後も迷宮内を歩いていた。

 この迷宮には、ルイネスが引っかかってしまうほどの罠があるが、男はそれをすんなりとかわしている。

 

 男は、迷宮の半分辺りの所に来た瞬間、足を止めて何もない壁の方を見た。男は、少し壁を見てある一点を見つめた。

 そこには、赤い球がはまっている。そう、これはルイネスも見つけた赤い玉だ。

 

 男は、その玉に触れた。すると、赤い玉に繋がる溝に光が入り徐々に揺れ始めた。

 揺れと同時に溝が開き、壁の奥に通路のようなものが見え始め、男は通路を進み始めた。


 「……おや?こんな所に足跡が……」


 そこには、子供の足跡が数カ所付いていた。この足跡は、一年前にルイネス達が来たときの物である。

 男は足跡を見た後、通路を進み始めた。


 男は通路を進み、やがて大きな部屋に入った。

 この部屋には生き物はおらず、中央に大きな台座があるだけだった。男はその台座まで移動してある異変に気がついた。


 「おやおや、これはまた……」


 男は口元に手を当て、何かを考え始めた。


 「ヤツの魔石がなくなっている。ここに来た者にとられたのか」


 男は、通路を戻り足跡がある地点まで移動した。

 以前ルイネス達が来たときには閉じていた壁は開いたままだった。

 男は、地面に着いた足跡を見てブツブツ何かを言い始めた。


 「これは、子供のものか……だが、ここに入れる子供なんて、一体……」


 男は、少し急ぎながら迷宮を出た。

 迷宮を出た男は、目をつぶり始めた。


 「なるほど、ブルセルか……」


 男はそう言いながらブルセルがある方向を見ている。男は、少し考えた後、ブルセルに向かって歩き始めた。


 「あの魔石を手に入れた子供を一目見に行こうか」


 男はそう言って、

 ブルセルに繋がる街道を歩き始めた。


ーーー


 目が覚めると、よく見慣れた天井があった。

 それは、この世界に来て(うち)と同じくらい見たスロウ家の屋敷の天井だ。


 天井を見て屋敷内だとわかり、俺は起き上がった。

 起き上がり辺りを見渡してみると、ここが、屋敷内にある医務室だということが分かった。

 ここには、俺が寝ている物を含めてベッドが三つあり、そこの一つには紅赤色の髪の毛をした女の子がすやすや眠っている。


 ベッドから降りようとすると、腹部に強烈な痛み感じた。

 来ている服をまくってみると、横一文字の痣があった。恐らくライリーとの試合の時にあびた剣の跡だろう。


 「このままだと痛いし、とりあえず治しておくか」


 俺は治癒魔術を使い、傷を癒やした。

 痛みもなくなり、俺は起き上がった。すると、起き上がったのと同時に部屋の扉が開き背の高い女性が入ってきた。


 「ルイネス、調子はどうだ?」


 そう言いながら部屋に入ってきたライリーは、

 手に水瓶を持っていた。


 「はい、大丈夫です。

  起きたときはお腹が痛かったですが、治癒魔術を使ったので問題ないです」


 俺が皮肉混じりにそう言うと、

 ライリーは高笑いをした。


 「ハハハ、それはすまなかったな。

  私も、お前の魔術を受けてギリギリだったんだ。許してくれ」

 

 あの様子でギリギリだったのか……。

 俺から見たら、随分と余裕そうに見えたが。


 まあ、そうだよな。

 あの魔術は、俺が打てる中で一番威力のある魔術だ。

 あの魔術でダメージを与えられていなかったら、少々自信をなくしてしまう。


 「ルイネス」

 「はい」

 「お前から見てアリスお嬢様はどうだ?」


 ……ん?

 どういう意味だろうか?ライリーが聞いてくるとしたら剣術のことか。


 「そうですね、いつの間にか上級に上がったりしていて、成長速度が著しいですね」


 俺がそう言うと、

 ライリーは、わかりやすく鼻息を漏らした。


 「確かに、お嬢様の成長速度は凄まじい物だ。通常、お嬢様の歳だと精々中級が限界だ。だが、お嬢様は音速の型を会得して上級になった」


 あの急に早くなるのは、ライリーの言う所の音速の型なのだろうか?

 恐らく、ライリーとの試合の時もその音速の型を使っていたのだろう。ライリーも同じものを使っていたため、魔眼越しにギリギリ見ることが出来たが、魔眼がなければ魔術を当てるなんて無理だっただろう。


 「お嬢様には間違いなく剣の才能がある。ルイネス、お前の魔術の才能と同等の物がな」


 アリスには才能がある。それは俺もそう思う。

 だけど、俺と同じ位って言うのは分からない。フレイには、才能があるみたいなことは言われたが、俺と同じようにすれば誰でも俺と同じ所までは来れるだろう。


 「だが、お前に聞きたいのはその事ではない」


 ……?その事ではないって、どういうことだ?


 「私が聞きたいのは、お前は、お嬢様のことをどう思っているのか、と言うことだ」


 なるほど、そういうことか……。

 俺がアリスに対して抱いている思いか。


 「私は、アール様が考えている事に賛成している」


 アールが考えている事って……ああ、あれか。

 あのこと、ライリーも知っているだな。


 「あのこと知っているんですね」

 「ああ、前に一度耳にしてな。私には正直、政治やスロウ家のことは分からないが、お嬢様とルイネスがくっつけばいいと思う」


 アリスのことは確かに好きだが、このまま行くと、アールの術中にはまってしまっているような気がする。

 それは、余り良くないだろう。


 「アリスのことは確かに好きですが、アール様の思惑通りに行くと、アリスが窮屈な思いをすると思います。

  僕は、アリスに窮屈な思いをして欲しくないです」


 なんだか、子供のワガママみたいなことを言ってしまったな。でも、まあいいか。

 実際俺は子供なわけだし。


 俺がそんな事を考えて言えると、ライリーが何か思いついたような顔をした。


 「ならば、お嬢様と共に冒険者になり家を出るというのはどうだ?」

 「冒険者……ですか?」

 「ああ、お嬢様とルイネスならば、すぐにS級になれる。S級になれば、A級以上の依頼を受けられる。

  A級以上の依頼は報酬がいい。生活には困らないだろう」


 なるほど、冒険者か。

 両親のヘルスとセリスが元冒険者って事で興味はある。だけど、上位貴族であり、領主の孫娘であるアリスがそう簡単に冒険者になれるとは思えない。そんなこと、アールが許さないだろう。


 「そんなこと、アール様が許さないんじゃないですか?」

 「いや、アール様はアリスお嬢様を第一に考えている。

  もし、アリスお嬢様とルイネスの二人が、一緒になりたくて家を出たいと言えば、喜んで送り出してくれることだろう」


 喜んではくれなさそうだけどね……。

 まあ、アールも「アリスが承諾すれば」という俺の言葉に同意はしていたからもしかするかもしれないな。


 「まあ、全てはアリス次第ですよ。僕がどうこうできることでもないですし」

 「……そうだな、悪かった。忘れてくれ」


 俺はその後、恐らく付いているであろうアリスの痣も治そうとした時、

 目を覚ましたアリスに右フックを貰ったことは割愛しよう。


 次の日は、魔術の成長度合いを見るために簡単なテストを行なった。

 テストの結果、アリスは火魔術が中級その他水魔術以外が初級。ライリーは土魔術、風魔術いがいの魔術が初級という結果だった。

 アリスは、魔力量が少ないため俺と同じような練習が出来なかったため、中級までしか習得できなかったが、剣士であるアリスが使うには中級くらいで十分だろう。

 ライリーは、初級までしか習得できなかったが、魔術を覚えるのには年齢なども関わってくるだろうから仕方が無いだろう。


 この日は、魔術のテストをやって終了した。

 俺自身はこの五年で魔術の成長は特になかったが、他者との連携時にどういった魔術を使ったらいいのかを大体知ることが出来たからこれも成長だろう。

 

 そして、

 俺がブルセルにいる最後の日になった。


 最終日の日中は、剣術の稽古をしたり魔術の応用などを見せたりした。最終日も今までと同じような生活が出来て良かった。

 正直今更最終日だからと言って特別何かやることもなかったし、俺はここでの生活が好きだったのでとても充溢していた。


 夜になり、俺は部屋で魔石を眺めていた。

 昼過ぎ頃から、屋敷の人が忙しそうにしていて、アリスやライリーも忙しそうにし始めたので俺はおとなしく部屋にいることにした。

 最終日なので、もったいない気もするが、たまにはいいだろう。


 現在眺めているこの魔石は、一年程前に迷宮に行った際に見つけた物だ。この魔石を魔眼で見ると、表面に強い魔力を帯びている。

 フレイに貰った杖に付いている魔石を見てもここまで強い魔力は帯びていない。恐らく、この魔石が相当強い魔物から採られた物なのだろう……ん?なんだか、違和感があるな。

 この魔石を見ていると、何か頭に浮かんでくるような……だめだ、何もでてこない。


 以前、フレイから貰った杖のように魔石をはめようとしたところ用意した杖用の木が粉々になってしまった。

 杖用の木は木系の魔物の木を使う。だが、魔石の魔力に耐えられないと粉々になってしまう。

 アールに頼んで木系の魔物の中で高品質のエルダートレントの木を用意して貰ったが、それでもダメだった。

 この魔石に耐えられる素材はあるのだろうか?


 俺がそんな事を考えていると、ドアをノックされた。

 魔石を机の上に置き、ドアを開けた。すると、紅赤色の髪を靡かせた美少女が目の前にいた。


 「るる、ルイネス……ご飯の時間よ」

 「はい!すぐに行きます」

 「ええ、すぐに来なさい!」


 俺はアリスに手を引っ張られてそのまま部屋を後にした。

 俺を引っ張りながら歩き始めたアリスは、いつも食事をとっている部屋を無視して広間の方に向かった。


 「あの……アリス?通り過ぎちゃいましたけど?」

 「……」


 アリスは無言で歩き続けた。

 終始無言だったが、顔を赤くしていたので俺はその後ろを付いていった。


 広間のドアに付くとアリスは立ち止まった。

 アリスは、俺の手を離してドアを開くように言った。


 俺は、アリスに言われるがまま扉を開いた。

 扉を開くと、眩しい光と共に屋敷の人のほとんどが集まっていた。


 「ルイネス誕生日おめでとう!」


 広間にいたみんなが口を揃えてそう言った。

 アリスはリリスから花束を受け取って、それを俺に手渡してきた。

 俺は、その花束を受け取って広間の中央に移動した。そこには、アールやアルバートやリリスがいて、魔術ギルドのギルド長ディオバルドの姿もあった。


 しかし、俺の誕生日は今日じゃないぞ?俺の誕生日は確か……明日のはずだ。

 俺が考え込んでいると、アールが俺の肩に手を置いた。


 「心配するな、君の誕生日は明日であっている」

 「……え?」


 この人は、人の心が読めるのか?

 今考えていたことをズバリ言われてびっくりしてしまった。


 「今日は、君の誕生日の前祝いさ」

 「前祝い?」

 「だって君は明日シエラ村に戻るんだろ?」

 「はい……」

 「アリスが君が帰る前に祝ってあげたいって言い出してね。アリスに感謝するんだよ」


 アリスがそんな事を……。

 後でお礼を言わないとな。


 俺はその後、

 みんなに挨拶をして回った。


 「ルイネスよ、今宵はお前のためのパーティだ。アリスに感謝して楽しむがいい」

 「はい!」


 アルバートはいつもよりも気分がいいようで、俺の背中を何度も叩いてきた。

 この人は、毎日お役目があるため、機嫌が悪いときが多い。こういう息抜きの場は考えなくていいから気分がいいようだ。


 最終日の夜で、しんみりとしていたが、

 アリスが開いてくれたせっかくのパーティだ。楽しもう。

 

ーーー


 パーティが始まってから少し経ち、俺はアールに呼ばれて広間の奥にある席まで行った。

 そこには、この屋敷の主人達であるスロウ家の方達が座っていた。


 「お呼びでしょうか、アール様」

 「ああ、ルイネス。ここに来て座ってくれ」


 アールに言われて、俺は席に着いた。

 俺が席に着くと、アールは座っているソファーの後ろから紙に包まれた棒のような物を取り出した。


 「これを君に渡そうと思ってね」


 アールはそう言いながら紙に包まれた棒を渡してきた。

 俺はそれを受け取り、包み紙を剥がした。


 「こ、これは……」


 包み紙を剥がすと、何か球状の物をはめられるくぼみのある杖だった。

 大きさは、今の俺の背丈よりも少し大きいかった。


 「それは、君が所持している魔石でも耐えることが出来る素材で作られた杖だよ」

 「本当ですか!」


 あの魔石に耐えられる素材があったのか!いやでも、試していないから分からないか。

 試してみて、ダメだったということもあり得るだろう。まあ、部屋に戻ってから試してみよう。


 「それと、これも渡しておこう」


 アールはそう言って二つ手紙を手渡してきた。

 俺は手紙を受け取り、裏面を見ると人間語で『ヘルス・アルストレア』、『フレイ・セフラグ』と書かれていた。

 どうやら(うち)からとフレイからの手紙のようだ。

 フレイに手紙を出してから一年以上経つからそろそろ届くだろうと思っていたが、ヘルスから届いたのは初めてだな。


 俺は今すぐに読みたいと思ったが、

 その衝動を抑えて手紙を懐に入れた。


 「おや?読まないのかい?」

 「はい、手紙は部屋に戻ってから読むことにします。今は、パーティを楽しみます」

 「そうかい……そうだ、ルイネス、ちょっと付いてきてくれ」

 「はい?」


 俺はアールに連れられ、

 広場の外にあるテラスに移動した。


 「ルイネス、君の五年間はどうだった?」

 「そうですね、シエラ村にいたままじゃあ体験できなかったことばかりでとても有意義でした」

 「なるほど……それで、あのことはどうだい?」


 なるほど、

 わざわざテラスまで移動したのはそういうことか。


 「何度も言いますが、アリス次第ですよ」

 「君の気持ちの変化はないと?」

 「はい」


 俺がそう言うと、アールはニヤリとした。


 「なるほど、君の考えは理解したよ。では、少し待っていてくれ」


 アールはそう言って広間の方に入っていった。

 テラスに一人取り残された俺は、寒さの余り震えていた。

 この時期になると、雪が降り始め気温が一気に下がる。そのため、テラスのような屋外に接しているところは特に寒いのだ。

 アール早く帰ってきてくれ。


 テラスに取り残されてから数分が経った。

 まだかと思いながら待っていると、広間とテラスを区切っているガラス状の扉が開いた。


 「やあ、お待たせ」


 アールは機嫌が良さそうにテラスに出てきた。

 テラスに出てきたのは、アールだけではなく、顔を赤くしてうつむいたアリスと声を出さずに静かに笑っているリリスの姿があった。


 「では、頼むよ!」


 アールはそう言って、アリスの背中をそっと押した。

 いつも鍛えているアリスがそれくらいで動くものかと思っていたが、アリスはアールに押されるまま俺の方によってきた。


 「お、お願いします」

 「……え!?」


 アリスはいつもとは比べられないくらい小さい声でそう呟いた。

 俺は状況が理解できず、変な声を上げた。


 「こらこらルイネス。せっかく女の子が勇気を出したのにそれをむげにするものではないよ」


 アールは、クスクス笑いながらそう言った。リリスもその隣でクスクス笑っていた。

 この夫婦は、何を考えているんだ?


 「えっと、状況を一から説明して貰ってもいいですか?」

 「いいだろう……」


 アールに詳しく説明して貰った。

 アールはこの日に合わせてアリスに日々言い聞かせていたらしい。

 

 『ルイネスと添い遂げたら、アリスはきっと幸せになれる』


 この言葉をことあるごとに俺に聞こえないところで言っていた。

 やってることはほとんどマインドコントロールに近しいが、アリスも馬鹿ではない。

 アールが何かを考えているのも薄々気がついているはずだ。それでも、こうして俺の元に来てくれた。

 彼女の気持ちは正直うれしい。だが、俺は明日十歳になり、アリスは十一歳だ。

 一緒になるとかを考えるのにはまだ若すぎる。この国の貴族は、大体十歳までに許嫁が決まり、十五歳になるのと同時に結婚するのが普通らしい。

 この国では普通なのかもしれないが、俺はあまり理解できない。

 それは、俺が前世の記憶を保有しているから仕方が無いことだ。だが、俺は実際、アリスのことが好きだ。

 彼女と出会って約五年間毎日のように顔を合わせて色んな事を一緒に成し遂げてきた。そんな事を経験したら好きにならないわけがない。


 「アリスはいいのですか?アール様の言いなりになって」

 「……いいのよ、ルイネスといられるのならお父様の思惑くらい耐えてみせるわ!」


 やはり、アリスは理解していたらしい。

 アールが良からぬ事を考えていたと。


 「それに、ルイネスが嫌なら二人で冒険者になって旅をしましょう!」


 アリスはそう言いながら目を輝かせた。

 アリスは、俺が、アールの考えに賛同していない事にも気がついていたらしい。アリスと冒険者か……それもいいかもしれないな。


 俺はそんな事を考えていると、ふと、二人の顔が浮かんだ。

 フレイとアスフィの顔が……。


 そうだ、俺は二人と約束したことがあるし、

 いきなり家に帰ってアリスが好きだと言っても、アスフィが困惑してしまうかもしれない。


 「あの……アリス?」

 「なによ?」

 「実は、(うち)に置いてきた子がいましてですね、それと、世界を旅している偉大な方もいまして」


 俺がそう言うと、

 アリスは、


 「何言ってるの?」


 とでも言いたげな顔をした。


 「アリス……?」

 「知っているわよ、アスフィと、ルイネスの師匠のフレイ?っていう人でしょ?」


 知っていたのね、

 もしかして、二人と約束した事も知っているのか?


 「えっと……僕が言うのも何なんですが、いいんですか?」

 「別にいいわよ?それに、四人で冒険者っていうのも楽しそうだもの!」


 アリスさんは、案外乗り気なようだ。

 しかし、この反応からすると、

 アリスは、アールどうこう以前に、ただ冒険者になりたいだけなのではないか?


 「まあ、二人が僕のことをどう思っているかは分かりませんが……」

 「フレイ?って言う人は知らないけど、アスフィは大丈夫と思うわよ」


 大丈夫ってどういうことだ?


 「そういうわけでよろしくね、ルイネス!」

 「えっと……はい」


 俺がそう言うと、

 ここにいる人の中で一人だけ悪意に満ちた笑みをこぼす人がいた。まあ、アールだが……。


 俺がアールの顔を見ながら苦笑いをしていると、

 後ろからギュッと抱きかかえられた。


 「それじゃあ、ルイネスが息子になるのね!」


 俺を抱きかかえたのは、リリスだった。

 力一杯抱きかかえられているので、かなり痛かった。だが、それと同時に気持ちのいい感触が背中を包んでいた。


 「ルイネス、アリスをよろしくね。

  この子、あなたのことが相当好きなようだから」

 「ちょ!?お母様!?」


 アリスは、俺を抱きかかえているリリスの足をポコポコ叩きながらそう言った。

 アリスの顔は真っ赤になっており、相当恥ずかしいようだ。


 「ではルイネス、後の段取りは全てこっちで行なっておくよ」


 アールは、

 いつもの優しそうな表情に戻り、俺の頭を撫でた。


 「あ、ちょっと待ってください」


 俺はリリスに下ろしてもらい、

 アールの元まで歩いた。


 「一度家に戻り、父様達と相談してきてもよろしいでしょうか?」

 「なぜだね?」

 「アリスと一緒になるということでしたら、僕一人では決めかねますので、一度、父様や母様に相談させていただきたいと思いまして」


 俺がそう言うと、

 アールは「なるほど」と呟きながら何かを考えていた。


 「そうだね、一度家に戻り、ヘルス達と相談してくるといい」

 「はい、ありがとうございます」


 この後、俺たちは広間に戻った。

 俺の誕生パーティと称して始まったものだったが、いろいろと大事になってしまった。


ーーー


 パーティ終了後、

 俺は自室に戻った。

 自室に戻った俺は、パーティで貰ったものを部屋に置いた。


 「さて、試してみるか」


 俺は、パーティで貰った魔術用の杖を持った。

 この杖は、フレイが持っていたような杖と同様、杖の上部分に魔石がはめ込めるようになっている。だが、この魔石をはめ込める所はかなり大きく作られており、俺が持っている魔石よりも大きいようだった。


 サイズが合わないが、

 とりあえず、はめるだけはめてみるか。


 俺は、机の上に置いていた魔石を手に取り窪みにはめ込んでみた。

 すると、サイズが合っていなかったところが、魔石の大きさちょうどに杖が変化した。この杖はどうやら、俺が指にはめている指輪同様、魔道具か魔力付加品なのだろう。

 魔石をはめ込むと、杖と魔石が光り始めた。


 光がやむと、魔石をはめ込んだときと変わらない杖がそこにあった。

 杖を確認してみると、光ったわけが大体分かった。


 どうやら、魔石の魔力を使い杖と魔石を一体化し、一本の杖として完成したらしい。

 俺は、杖を使ってみたいという衝動に駆られ、窓の外の空に向かって魔術を使った。使ったのは、暇なときに考えたオリジナルの魔術『破裂爆発(エクスプロージョン)』と、込める魔術量を様々に調整した火魔術を複合させた魔術だ。


 俺が使った魔術は、ヒュ~っと音を立てながら空に向かって飛んでいき、一瞬のうちにバァァン!と音を立てながら広く爆発した。

 爆発した所には、様々な色をした炎が舞っている。そう、この魔術は花火だ。


 だが、今回は、今までに使ってみた魔術とひと味違った。杖の魔石がすごいのか、込めた魔力量は同じなのに、その威力は五倍以上に膨れ上がっていた。


 爆発の威力が凄まじく、辺り一面が朝と同じくらいの明るさにまでなった。それと同時に、凄まじい爆発音がして、屋敷全体が揺れた。


 「す、すげー!この杖、通常の魔力でも威力が倍以上になる!」


 俺が余韻に浸っていると、

 屋敷の中が騒がしくなり、足音がどんどん俺の部屋に近づいてきた。


 「ルイネス!何事だ!」


 そう言いながらアルバートやアール達が血相を変えて入ってきた。

 どうやら、謎の爆発を俺が起こしたと気づいて一目散にやってきたらしい。


 「えっと……今日いただいた杖を試そうと思って魔術を使ったのですが、杖にはめた魔石の魔力が強くて想定以上の威力になってしまいまして、その……すみません」


 俺がそう言うと、

 アール以外は退散していった。


 部屋に残ったアールは、

 杖を興味深そうに見ていた。

 

 「その杖に付いている魔石はどの個体から採られたものなのだろうね?」

 「さあ、分かりません」

 「ルイネスの想定よりも強いものになったということは、相当上位の個体から採られたのだろう」


 この魔石の個体……。

 何だろう、何か引っかかるな……知っているような、知らないような。


 「おそらく、その杖を魔術ギルドに売れば金貨五十枚はくだらないだろうね」


 金貨五十枚って……五千万円!?

 この杖そんなに高いのか!いざとなればこれを……いや、この杖は大事に持っておこう。


 「売りませんよ」

 「ああ、その杖は売らない方がいいだろう。その大きさの魔石は希少だしね」


 確かに、この魔石ってでかいよな。

 フレイが持っていた杖の魔石はここまで大きくなかった。ここまでの物は、やはり希少なのか。


 その後、

 アールは自室に戻っていった。


 俺は、アールが自室に戻っていった後、

 ヘルスとフレイから届いた手紙を読むことにした。


 『拝啓

  ルイネス・アルストレア様。

  この手紙が届く頃は留学期限の五年が経つ頃ですね、五年間お疲れさまでした。

  ルイにとって、この五年間はいい経験になりましたか?新たな土地で学べることは多いはずです、優秀なルイならいろいろなことを吸収して成長できていることでしょう。

  私も、新たに成長したルイと会えるのを心待ちにしています。

  そういえば、ルイはもうすぐ十歳になりますね、おめでとうございます。

  私が、ルイと離れてから早五年の月日が経ちましたね。あの頃のルイは、まだ五歳で子供ぽっさが残っていましたが、今ではもう大人に近づいているのですね。

  留学が終わるということは、ルイはシエラ村に戻るのでしょうか?

  戻るのなら、待ちに待った家族との久しぶりの対面ですね。家族という存在はとても大切です。

  私も、村に戻るまで余り分かりませんでしたが、父と母の顔を見て改めて実感しました。まあ、ルイが家に戻って会いたいのは、妹さん達でしょうけどね。

  ルイの妹のエマちゃんとシャロンちゃんはもう五歳になっていますね。五歳ともなると、いろいろと理解できるようになるので頑張ってくださいね。

  私はこれから、中央大陸を経由して北方大陸の方に向かうつもりです。北方大陸には、シーラ王国があります。

  私は、ディーパ魔術学院で教職をとります。学院の知り合いに頼んで教職をとらせて貰えるよう頼んだのですぐに向かうことにしました。

  ルイとアスフィが学院に来る気になったら是非連絡をください。すぐに手配しますから。

  私も旅をしている間に成長することが出来ました。その成長を二人に見せられるのを楽しみにしています。

  手紙はこの辺りでいいでしょう。次は是非、直接会いましょう。 フレイ・セフラグ』


 フレイは相変わらず字が綺麗だな。

 そうか、フレイはディーパ魔術学院に向かうのか、アスフィとフレイとした約束もあるが、今はアリスのこともある。一人では決められないことだが、出来れば学院に行って約束を果したいところだ。


 フレイから来た手紙を読み終わり、

 ヘルスから届いた手紙を開けた。


 『拝啓

  ルイネス。

  久しぶりだな。お前が家を出てからもう五年が経つ。

  お前がアールの所に行ってからこっちにもいろいろ変化があった。何があったか知りたいだろう?まあ、戻ってこれば分かる。

  どうだ?俺がお前にかしたことは達成できたか?自分の力を理解してまた一つ成長する。まあ、お前なら意図を理解してうまくやって成長できているのだろう。

  俺はその事に関しては心配していない。

  さて、堅い話はこの辺りでいいだろう。

  ルイ。

  お前どうやらアールの所のお嬢様といい感じらしいじゃないか。

  お前を送り出したときまさかとは思ったが、本当にくっついてしまうとはな。お前達が考えてそうなったのなら俺は止めはしない。

  だが、家でお前のことを待っているアスフィにはちゃんと説明がいるぞ。まあ、二人とも幸せにするっていう俺と同じような選択をするのもいいだろう。俺はこっちを押す。

  アールの思惑も多少邪魔できるしな。

  だがまあ、俺はとにかくお前に会いたい。家にいるみんなもそう思っている。

  お前が帰ってくるのを楽しみにしている。 ヘルス・アルストレア』


 成長か……多分出来ていると思うが、ヘルスが考えている物と同じかどうか。

 時々思うが、ヘルスたちからの信頼感はうれしいが、たまに重く感じる。


 家で起きた変化って何だろう?

 それにしても、ヘルスは何で知っているんだろう?おそらく、アールが教えたのだろうけど。

 

 アスフィに説明か、

 説明できる気がしないが、そこはちゃんとしよう。


 俺は手紙をしまいベッドの中に入った。

 ベッドに入り目をつむると、この五年のことが鮮明に思い出せる。俺が感傷に浸っていると、部屋のドアをノックされた。


 「る、ルイネス。入っていい?」


 ドアの向こうからはアリスの声が聞こえた。

 俺はすぐにドアを開けてアリスを迎え入れた。


 「どうしました?」

 「その……一緒に寝ましょう」


 顔を赤くしたアリスは、

 俺の裾を引っ張りながらそう言った。


 俺は、一言「はい」と返事をして一緒にベッドに入った。

 ベッドに入った後、俺たちはお互いに背中を向けて寝ていた。背中で感じるアリスは、何やらもじもじしていた。


 「ルイネス、もう寝ちゃった?」

 「いえ、起きてますよ」


 まず、

 この状況じゃ眠れない。

  

 「五年間、ありがとね」

 「僕は、何もしていませんよ」

 「そんな事は無いわよ。

  私が攫われたときも、パーティの時も、ルイネスがいなかったら何も出来なかったわ」

 「そんな事は無いと思いますけど……」

 「それも、今日で終わりね」

 「そうですね」

 「それでね……わ、私もついていっていい?」


 アリスもついてくるか、いいかもしれない。

 アリスの口から言って貰った方が、ヘルス達に説明しやすい。


 「いいですよ、一緒に行きましょう」

 「やった!」


 先程までもじもじしていたアリスはじっと静かになった。

 どうやら、良いと言われるか心配でじっと出来なかっただけらしい。……な、何も変な事は考えていないよ。


 俺も徐々に眠くなり、

 いつの間にか眠りについていた。


ーーー


 朝日と共に俺は目を覚ました。

 目を覚まし、横を見てみると、アリスの姿はなかった。


 朝食をとり 

 部屋に戻って片付けをした。


 部屋を片付け荷物をまとめて俺は一階に降りた。

 荷物は、スクロールや雑貨品を入れたバックパックと、杖を手に持った。


 下に降りると、

 アールやアルバート、屋敷にいるみんなが集まっていた。


 「やあ、準備できたね」

 「はい」

 「……あ、そうだ」


 アールはそう言って懐から一冊の本を出した。

 その本は、何回も見て頑張って解読しようとした【魔神討伐の真相】の本だった。


 「この本は君にあげよう。

  君が持っていた方が、良いらしい」

 「ありがとうございます!」


 この本に分からない所はまだ多い。

 正直まだ見たいと思っていたからうれしい。


 「それと、これは僕からのプレゼントだ」


 アールはそう言って、使用人に何かを持ってくるよう頼んだ。

 使用人は、隣の部屋から大きめの包み紙を持ってきた。


 俺はそれを受け取り、包み紙を剥がした。

 包み紙に包まれていたのは、灰色のローブだった。


 「やはり、魔術師ならばローブは必要だろう。

  今の季節は寒い。これを着ていくと良い」

 

 ローブか!

 今まで来たことなかったし、興味があった。

 やっぱり、ローブは必要だよな。ハリー・○ッターでも出てきたし。


 「ありがとうございます!」


 俺はそのローブを着た。

 ローブは、何かの魔物の革で作られているのか、とても暖かかった。


 そういえば、アリスはどこにいるんだろう?

 姿が見えないな……。


 「アール様」

 「何かね?」

 「アリスはどこにいるんですか?」

 「アリスは、今準備をしていてね。もうすぐ来ると思うよ」


 アールが言うとおり、

 数分待っていると、上からアリスが元気よく降りてきた。


 「お待たせ!」

 「準備は出来ましたか?」

 「ええ!完璧よ!」

 「それは良かった」


 アリスは、森に行くときや、迷宮に行ったときのような動きやすい服装の上に白いコートのような物を羽織っていた。


 「ルイネスのその服、似合っているわ!」

 「ありがとうございます。先程、アール様から貰いました」

 「流石お父様ね!」

 「そうですね。でも、アリスのそのコート、とてもお似合いですよ」

 「そ、そう?」


 アリスは、

 一度クルッと一回転をした。


 「ルイネス」

 「何ですか?」

 「こんな大勢いる中で、娘を口説くのはやめて貰っても良いかな?」

 「そんな事していませんよ!」


 全く、

 誰が口説いたって?


 俺たちは、屋敷の扉を潜って外に出た。

 この五年で見慣れた光景だが、改めて見ると、良い物だ。

 

 今回、俺たちは歩いてシエラ村まで向かう。

 アール達は馬車で送ると言ってくれたが、たまには歩いて向かいたいと思ったため断った。


 「では皆さん、五年間お世話になりました。またどこかでお会いしましょう」

 「そうだね、すぐに会えるよ」


 そ、そうですね……。

 こういう所はホントに怖いな。


 俺が苦笑いしていると、

 アルバートが近づいてきた。


 「ルイネスよ。

  お前、アリスのパーティの時に貰った指輪は持っておるか?」

 「はい、ここに」


 俺は、あの貴族に貰った指輪をはめた指を見せた。

 俺の指を見たアルバートは、フッと息を吐いた。


 「それをヘルスに見せてこう言うといい。

  『こっちは許した。後はお前次第だ』と」

 「……え?」


 何のことだろうか?

 まず、なんでヘルスに?


 「()いか?」

 「は、はい?分かりました」


 何のことか分からないが、

 アルバートにもお世話になった。そんな人の頼み事だ。ちゃんと伝えよう。


 俺とアリスは、

 庭を出て街道に出た。


 「それでは皆さん。行ってきます」 

 「行ってきます!」


 俺とアリスは手を振りながら街道を歩き始めた。

 俺は、ここでの経験を一生忘れることはないだろう。いずれ必ず、ここに戻ってこよう。

俺たちは、スロウ家を後にした。


ーーー


 街道を歩き始めて数時間が経った。

 街道には、雪が降り積もり道が見えないほどだった。俺は、自分の周りを、火魔術で暖めて雪を溶かしながら歩いていた。


 「ルイネス、あそこ!」


 アリスがそう言いながら指をさした方には、

 頭から角を生やした白いウサギがいた。


 「あのウサギをお昼に使いましょうか」

 「そうね、狩ってくるわ!」


 アリスはそう言って、腰に携えていた剣を抜いてウサギに襲いかかった。

 あのウサギの魔物は、リエイト領の寒い季節にのみ出てくる魔物で、上質な肉をしているためこの辺りの人からは重宝されている。


 「とってきたわ!」

 「おお、では、アリスはその魔物の血抜きをしておいてください。僕は薪を拾ってきます」

 「ええ、分かったわ!」


 俺はアリスと少し別れ、

 街道沿いの森の近くにやってきた。俺は、雪に埋もれた枝を一本一本拾い上げた。

 このままでは薪として使えないので、風魔術を使い枝の水分を飛ばした。


 ある程度拾い十分だと思い、アリスのいる方に向かおうとしたときある物に気がついた。

 そこには、雪に埋もれている金髪の男がいた。


 近づいてみると、

 呼吸をしているようだったので、俺は急いで肩を担いだ。だが、この人の背が高く、足を引きずる形になってしまった。

 

 金髪の男を担ぎながらアリスの元に戻った。

 アリスは、言われたとおり、ウサギの血抜きを終えて皮まで剥がしていた。


 「だれよ?その人?」

 「えっと……拾いました」


 アリスは、いまいち分かっていないようで頭に?を浮かべていた。 

 正直、俺もよく分からないのでこのままにすることにした。


 この人を暖めるために、

 俺は火を起こした。


 俺は、ウサギの肉で調理をしながら、

 眠っている金髪の人が起きるのを待った。


 数分後、

 金髪の人が目を覚ました。


 「えっと、君たちは誰だい?」


 目を覚ました男の人は、

 辺りを見渡しながらそう言った。


 「僕は、ルイネスといいます。

  隣にいる彼女は、アリスです」

 「初めまして、アリス・スロウ・アルストレアですわ」


 アリスはそう言ってコートの裾を少し引っ張った。

 彼女は、誕生パーティ以降、こういった挨拶を出来るようになった。彼女も、成長している。


 「これはご丁寧に、

  僕は、ま……アルと申します。助けていただきありがとうございます」


 男は、そう言った。

 何を言いかけたのか気になるが、ひとまず良いだろう。

 そんな事を考えていると、アルという男のお腹がぐぅっと鳴った。


 「えっと……もうすぐ出来ますので少々お待ちください」

 「すみません」


 数分が経ち、

 調理していた料理が完成した。

 作ったのは、スープでブルセルで買ったスパイスや自作の物などを使って味付けをした。


 「どうぞ!」

 「ああ、ありがとうございます」

 「アリスもどうぞ」

 「ありがと!」


 俺はスープを取り分けた。

 この世界で料理をするのは久しぶりだが、うまく作れているだろうか?


 スープを飲んでみると、

 セリスたちが作った物ほどではないが、美味しいと思った。

 前世では料理を結構していたが、こっちの世界では調味料が多くないため満足に作れない。だが、アリスやアルは美味しそうに食べてくれているのでよしとしよう。


 ウサギの魔物の肉は、

 独特の癖があるが、かなり柔らかくて美味しかった。


 俺たちは、食事をとりながらいろいろ話していた。

 アルは、アルレシア大陸からこっちに来て、とある用事でブルセルに行こうとしていたときに空腹で倒れたらしい。

 森の近くで倒れていたのは、何か食料を探していたためらしい。


 「ほう、ルイネス君は超級魔術師なんですか?」

 「そうよ!とってもすごい魔術師なのよ!」


 アリスは、自分のことのようにそう話した。

 アルは、まるで孫の話を聞くお祖父ちゃんのように話を聞いていた。

 正直、俺がいるところでそんな話をされるとむず痒くなる。


 俺たちは食事を取り終わり、

 少し休憩をしていた。その間も、アリスはここ五年のことや、迷宮でのことを話していた。

 アルは、迷宮の話を興味深そうに聞いていた。だが、その時のアルさんの雰囲気が少し変わり、周りの空気が変わった。


 アリスの話がある程度終わり、アルさんの話になった。

 アルは、アルレシア大陸で、金髪の超級魔術師と酒を飲んだとか、来る途中で魔物に襲われたが返り討ちにしたなど、アリスが好きそうな話をしていた。

 てか、アルレシア大陸にいる金髪の超級魔術師ってもしかして……。


 なんだか、アルを見ていると、

 誰かに似ているような気がする。誰だっけ?


 俺たちはその後も話をした。

 時間にして一時間程度話した。話をしていて、アリスとアルは結構仲良くなっているようだった。

 アリスは気を許してきたのか、アルのことを「アル!」と呼び捨てにしていた。最近は、目上の人に対して敬語を使えていたが、テンションが上がると素が出るところはまだまだ子供だな。


 俺たちは、シエラ村に向かうためにアルと別れることになった。


 「あ、そうだ。アルさんも家に来ますか?」

 「ルイネス君の家にかい?」

 「はい、これから二人で向かうのですが、良かったらどうですか?」

 「うーん……」


 アルは口元に手を付けながら何かをブツブツ言っていた。

 

 「いや、今回はやめておこう。僕にもやることがあるしね」

 「そうですか……分かりました」

 「すまないね」


 アリスは、アルに手を差し出した。


 「今度一度、手合わせしてくれない?」

 「え?僕がかい?」

 「ええ、そうよ。

  だって、アル。あなた……相当強いでしょう?」


 えっ?そうなの?

 迷全然気がつかなかった。


 「私、あなたと戦ってみたいわ!」

 「……ええ、良いでしょう。

  アリス様が今以上にお強くなられたその時に」

 「分かったわ!」


 アリスは元気よく返事をした。


 「ではアルさん。また会いましょう」

 「そうですね、いずれまた」


 俺とアルは握手をした。

 俺たちが握手をした後、アリスも握手をした。


 俺たちは別れた。

 アルは、ブルセルに向かって。

 俺たちは、シエラ村に向かって。


 シエラに続く道は、今まで以上に雪が降り積もっていた。

 歩きながら周りを温める程度では溶かし着てないか見知れないので、俺を杖に被せていた布を取り、魔力を込めて火魔術を使った。

 すると、見える前方の道に積もっていた雪が全て溶けた。


 「さぁ、行き……」

 「ちょっと、待ってくれないかい」


 俺が行こうと言おうとしたときに、

 被さるようにアルがそう言った。


 「ルイネス君。その魔石をどこで手に入れたのかな?」


 アルはそう言いながらこっちに歩いてきた。

 こっちに歩いてくるアルは身体から魔力が漏れ出しているのか、辺りに緊張感が走った。アリスも、腰に携えている剣に手を掛けている。


 「さあ、答えてくれ」


 なんだ?

 なんで怒っているんだ?それに、この圧は前にもどこかで感じたことのあるような……?


 「えっと……迷宮に行ったときに偶然拾いまして」

 「ほう、それで?」

 「えっと、それだけです」

 「君は、まだ会ってないのかい?」


 会うって何のことだ?

 魔石を手に入れたら誰に会えるっていうんだ?


 何だろう、

 このアルを前にすると、圧に押しつぶされそうになる。


 「でも、まあ。君なら良いか」

 「……え?」


 どういうことだろう?


 「君になら良いかな。悪いね、引き留めてしまって」

 「あ、いえ」


 何だったのだろうか?

 それにしても、あの圧はヤバい。アリスが強いと言うのも分かる。


 俺はシエラ村に向かって歩き出そうとした瞬間、

 空が暗くなり、大地が揺れ始めた。


 「え!?なに?」

 「何なの!?」

 「これは……」


 揺れながら、

 地面に亀裂が入り始めた。亀裂からは、ほんのりと光が漏れ始めている。

 

 「あれは、森で見た!」


 目の前に、五年前に見た物と同じ光を発した亀裂が出てきた。

 俺がその光を見た瞬間、眼帯を付けて抑えていた右目に激しい痛みが襲ってきた。


 「うぁぁぁ!」

 「ど、どうしたの!?」


 俺は右目に付けていた眼帯を外した。

 魔眼越しに見る光は、今まで見たことがないくらいの魔力に覆われていた。それを直視すると、さらに痛みが増した。


 「うぁぁぁ!」


 俺が右目を押さえていると、

 後ろにいたアルがゆっくりとこっちに歩いてきた。俺を睨み付けながら。


 「残念だ……本当に残念」


 うっ、、、

 一体、何のことだ!?


 「まさか君が……適性者だなんて」


 適性者……?

 何のことだ?


 俺がそんな事を考えていると、 

 アリスが、アルの裾を引っ張った。


 「そんな事を言ってないで、ルイネスを助けてよ!」

 「フンッ」


 アルは、裾を引っ張っていたアリスを片手で払った。すると、アリスの身体が宙に舞った。


 「えっ?」

 「アリス!」


 何だ今の……?

 ただ払っただけに見えたのに、どうして?


 俺が考え込んでいると、

 アルが俺の方に歩いてきていた。アリスは、宙に飛ばされたときの襲撃で立てなくなっていた。


 「どうやら、僕は君のことを殺さないといけないようだ」

 「じょ、冗談ですよね?」

 「冗談だと思うのかい?」

 

 アルはニッコリと微笑みながらそう言った。

 魔眼で見てようやく分かったが、このアルという男。とんでもない魔力量をしている。

 それに、纏っている魔力も多い。こんなにすごいのは見たこともない。纏っている魔力は、ライリーよりも多い。


 「いえ、全く」

 「それは良かった」


 アルはその後もゆっくりと歩いてきた。

 俺はせめてもの抵抗に、杖をアルに向けた。


 「ほう、抵抗するのかい?」

 「はい、殺されるのは嫌なので……アリス、これを!」

 「え!?」


 俺はそう言って、腰に携えた剣をアリスに向けて投げた。

 この剣は、ヘルスに貰った物だ。硬い物ほど切れるという効果がある。魔力で硬くなっている物にも効果があるのかは分からないが。


 「あの剣、良い物だね」

 「……父様からのプレゼントなので」

 「せっかくだから、その杖と一緒に貰おうか」

 「お断りします!」


 俺は、アルに向かって岩石砲弾(ロックキャノン)を使った。

 アルは、弾けると思ったのか、ロックキャノンを手で弾こうとした。だが、アルの手は魔術の勢いに負けて肩口から吹き飛んだ。


 「ほう、これはなかなかな」

 「クソッ、多少痛がる反応くらいしろよな」


 あの反応からすると、

 まるで聞いていないようだな。


 そんな事を考えていると、

 アルの腕がどんどん生え替わってきた。


 「なんで、腕が生えるんだよ……」

 「すまないね。種族柄、勝手に生えてくるんだ」


 種族柄……もしかして、不死魔族ってやつか?

 そんな人が相手って、分が悪すぎる。


 「では、お返しをするとしよう」

 「……え?」


 次の瞬間アルの姿がなくなり、

 左腕の感覚が無くなった。


 左腕を見てみると、

 そこにあるはずの腕がなかった。


 「うぁぁぁ!」

 「ルイネス!」


 左腕があった部分から燃えるような痛みと共に、血がドバドバ流れ出てきた。


 俺は、無くなった左腕の所を押さえながら後ろを見てみると、

 俺の左腕らしき物を持ったアルが微笑みながら立っていた。


 「腕をなくしてみてどうだい?」

 「うっ、、なんで、こんなことを」


 俺がそう言うと、

 アルは持っていた左腕を投げ捨てて、俺の方に歩いてきた。


 「本当は、僕もこんなことをしたくはないんだよ?」

 「じゃあ、なんで!」

 「それは……君が適性者だからだよ」


 だから、何なんだよその、適性者って!

 俺がその適性者だからって何だって言うんだよ。


 「何なんですか、それは」

 「答える義理はないよ。ただ、一つ言えるとしたら……僕は魔神の可能性は全て潰す」


 魔神?

 なんで、ここで魔神が出てくるんだ……ああ、ヤバい。

 血を流しすぎて目眩がしてきた。

 治癒魔術を使うか?いや、ダメだ。治癒魔術を使ってしまうと、二度と腕をつなげられなくなる。


 「はぁぁぁ!」


 俺は杖に魔力を込めた。

 無詠唱では使ったことがないが、『雷嵐豪雨(ケラウノス)』を使おうとした瞬間、アルは詠唱を始めた。


 「我が意志に従い かの仇敵の力を吸い取れ」


 アルが詠唱をすると、

 黒い球のような物が出現した。


 『魔吸玉』


 アルがそう言うと、

 俺が杖に集めていた魔力がどんどん黒い球に吸い込まれていった。


 「なっ!?」

 

 黒い球が吸い込むのは杖に込めている魔力では飽き足らず、

 俺の魔力まで吸い込み始めた。

 

 俺は抵抗をしたが、

 抵抗とは裏腹に、どんどん魔力を吸い込まれた。


 「ほう……」


 黒い球は、

 徐々に亀裂が入り、やがて、砕け散った。


 「これでも、君の魔力を吸い尽くす事は出来ないか……」

 「ハァハァ……何だったんだ」


 俺の魔力は、無くなる寸前まで吸われて、

 気を抜くと、意識が飛んでしまいそうだった。


 あれは魔術なのか……?

 見たことも聞いたこともない魔術を使い、魔神を嫌っている。

 この人は、一体何なんだ!?


 「あなたは、一体何者なんですか!」

 

 俺がそう言うと、

 アルは、フッと息を吐いた。


 「だから言っているじゃないか。

  僕はアル。()()()()()()()()()だ」


 魔界提督アルレシア!?

 それって、あの本の……そんな人が何で俺を襲うんだ!?


 「さて、そろそろ終わらせようか」


 アルレシアはそう言って、腕を振りかぶった。

 

「やらせない!」


 アリスは、剣をアルに向かって斬りかかった。

 アルは剣を腕で受け止めようとして切断された。


 「なるほど、それがその剣の力か」

 「なんで、いきなり私達を襲うのよ!」

 「君は関係ないよ、僕が殺すのは、ルイネス君だけだ」

 「なんで、ルイネスを殺すのよ」

 「君には関係ないよ。ただ、僕は適性者を含めてその全てが憎いんだ」


 憎い?なんで?


 「だから、君は殺さない。おとなしく寝ていてくれ」


 アルはそう言って、目にもとまらない速さでアリスを殴った。

 アリスは、アルの拳を剣で受け止めたが、勢いに負けて後方に飛んでいった。


 「アリス!!」


 すごいスピードで岩にぶつかったアリスは、

 頭から血を流して気を失っていた。


 「さあ、今度こそ最後だ」

 「クッソォォ!」


 俺は、残る魔力の全てを使い、再びロックキャノンをアルに向けて打った。


 「その魔術は、もう見たよ」


 アルはそう言いながら、魔術を手で弾いた。


 「なっ!?」

 「また吹き飛ばせると思ったかい?こんなのは、意識して魔力を込めれば簡単だよ」


 アルはそう言って、手を挙げた。

 魔眼越しにその手を見てみると、あの裂け目と同程度の魔力が込められていた。


 「本当はこんなことしたくないんだかね」

 「え?」


 アルはそう言って、手を俺の腹部に向かって突き刺した。

 アルの手は、俺の腹部を貫いた。


 「ブハッ!」


 アルは、俺の腹部から手を引き抜いた。

 俺は、口から血を吐いてその場に倒れ込んだ。


 腹部に大きな穴が開き、

 俺はまともに声が出せなくなってしまい、肺に血が入ってしまいまともに呼吸が出来なくなっていた。

 俺が治癒魔術を使うには、詠唱をしないといけない。

 声が出せないと治癒魔術が使えない。つまり、腹部の傷を癒やすことが出来ない。

 

 「君の死体を見せるのは、君の両親に申し訳ない。この世界のどこかで静かに死んでくれ」


 アルはそう言って、俺を緑色の光を発している裂け目の中に落とした。


 「すまない……本当にすまない」


 アルは、悲しげな表情をしながらそう言った。

 俺は落ちながら薄れゆく意識の中で、アリスが叫びながらこっちに走ってくるのが見えた……。


ー???視点ー

 アルレシア大陸北東部にある《龍山脈》そこに一人の男がいた。

 輝く銀髪、銀色の三白眼、白く分厚いコートを身に纏い山脈にある谷の中を歩いていた。この男は、世界を創造したとされる六大神が一角。龍神の称号を受け継ぐ者。

 今この世界で最も強いといわれるその男は、谷を歩いているときある異変に気がついた。


 「なんだ?」


 この山脈は、中央大陸やその他の大陸よりも濃い魔力が漂っているアルレシア大陸。その中で、最も漂う魔力が多い場所だ。

 だが、今日はいつもと違いある一点の場所にとてつもない量の魔力が集中している。


 男は、その奇妙な場所に向かうことにした。

 現在、男がいる場所からその奇妙な場所まではかなりの距離があるが、その男は、気にする様子もなく走り始めた。


 数分後、男は魔力が集中しているところに到着した。そこは、龍族の結界の中にある、長い歴史を感じさせるような石造りの遺跡。

 ここには、龍族の財宝や魔道具、魔力付加品などが納められている。通常、ここに来るには龍族の結界を越える必要がある。

 この結界のおかげで、二千年以上この遺跡は劣化や異変の一つも起こらなかった。そのため、今回魔力の異常なまでの集まり方は、男に不信感を募らせさせた。


 男は遺跡に入った。

 遺跡は、世界中にある迷宮と変わらない構造をしていた。一つ違うことがあるとすれば、この遺跡には魔物が一体たりとも存在しないことだ。


 男は、遺跡を進みとある空間に入った。

 ここには、世界中の金銀財宝、上位の魔道具、魔力付加品が無造作に置かれていた。


 「ここは、違うか……」


 男は来た道を戻り分岐のある方に向かった。

 先程進んだ道と違う方の通路を進み始めた。この通路の先には、第二次人魔戦役時に使用されていたとある物がある。


 「これは……!?」


 通路を進み、とある部屋に入った男はそう呟いた。

 この部屋には、床に大きな魔法陣が描かれている。この魔法陣は、中央大陸のとある場所に繋がっている転移魔術の魔法陣だ。


 男が見たのは魔法陣ではなかった。

 床に描かれている魔法陣の上に、子供が倒れていた。


 その子供は、白い髪をしていて、灰色のローブを纏い、見た目から人族だと分かった。

 だが、この子供は左腕がなく腹部には大きな穴が開いていた。


 男が注意深く見ていると、

 微かに息をしているようだった。


 「なるほど、魔力切れを起こしているのか……」


 男は迷った。

 この子供を助けることは出来る。だが、男が嫌う物をこの子供が持っていた。


 「適性者か……」


 男が悩んでいると、

 子供の意識が微かに戻った。


 「ぁ-・-・・-」


 子供は、声を発しようとしていたが、

 声が出せないようだった。


 この子供は放っておけば、

 数分で死んでしまうだろう。だが、この男は死にかけている人族の子供を健康体に治すことくらい容易い。

 

 「この顔……どこかで」


 男は、この子供に見覚えがあった。

 それは、途方もないほど昔の記憶、今では思い出すのが困難なほど昔の記憶。この子供と見た目が似ている者を見たことがあった。


 男は、

 そう考えていると、つい口走ってしまった。


 「人族の子よ……まだ生きたいか?」


 男がそう言うと、

 子供は微かに反応した。


 「生きたいかと聞いている!」


 男は声を荒げてそう言った。

 子供は、呼吸が出来ず体内に残った微かな空気を使ってかすれた声を出した。


 「……生きたいです」

 「……良いだろう。俺が、お前を治してやる」


 男は、手を子供に当てて魔術を使った。すると、子供の欠損していた左腕が新たに生え、腹部にあった大きな穴は見る見るうちに閉じていった。


 「ブハッ!」


 子供は、喉に詰まっていた血を吐き出した。

 血を吐き出し、目を覚ました子供は、辺りを見渡して怯えるような顔をした。


 「お前……名は何という?」


 男がそう聞くと、

 子供はビクッとして何かを言おうとした。だが、子供は、言おうとしていたことを言えないような顔をした。


 「もう一度聞く……名は何という?」


 男がそう言うと、

 子供は、頭を抱え始めた。


 「なにも……分からない」


 この日、男は、記憶の無い白髪の子供と出会った……。


ーーー


 ルイネスが、アルレシアに襲われた日、

 アスト王国のとある領の中で大規模の災害が起こった。

 一瞬のうちに地面が割れ、ひび割れた地面からは緑色の光が漏れ出し周囲の物を消失させる。今まで、数千、数万年の歴史のあるこの世界でこんな災害が起こるのは初めてだった。そして、この災害で一つの領土にある街、物、人の全てが消え去った。

 そう、アスト王国の中でも1番広い規模を持つ領土、

 《リエイト領》がアスト王国から消滅した。



 あの災害から二年後、

 アルレシア大陸に【龍王】と(ちまた)で噂される白髪の冒険者が現れた……。

第2章:留学編【完】→第3章:冒険者編

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