第二十五話:「下位迷宮攻略:前編」
アリスの誕生パーティから一週間が経った。
パーティ後の屋敷は静かだった。屋敷の使用人も、アール達も特に忙しくする様子も無くいたって平穏な日々を過ごしていた。
今現在、俺とアリスとライリーはとある場所に向かうため、街道を歩いていた。
向かっているのは、ブルセルの近くにある迷宮だ。
俺たちが、迷宮に向かっているのは、ライリーに勧められたからだ。俺は森でも良いと思ったが、ライリーが、迷宮の方が面白みがあるといって向かうことになった。
「迷宮……早く行きたいわね」
アリスは元気に歩いている。
この前まではストレスがたまっていたようだが、今は、もうストレスはないようだ。
「迷宮って何が起こるか分からないから怖いですね」
「大丈夫よ!私とルイネス。それに、ライリーだっているんだから」
そうだ。
ライリーがいれば万が一はないだろう。
「私は、迷宮に入らないぞ?」
……え?
ライリー来ないの?
「ライリーは来ないんですか?」
「ああ、私が一緒に行くとすぐに倒せてしまうから君は入り口で待機してくれとアール様に言われてな。
まあ、アリスとお前なら魔物どもに後れを取ることはないだろう。ここの魔物は弱いからな」
弱いと言っても、
魔物は何をしてくるか分からないから不安だな。
「不安ですね」
「大丈夫よ!ルイネスが危なくなったら私が守るもの!」
普通逆だとは思うが、
俺よりアリスの方が強いのでここは頼ろう。
俺たちはその後、森の中に入った。森の中と言っても、道はきちんと作られていた。
森の中を進んでいると、やがて、森の雰囲気を壊すように石で作られた建造物が出てきた。ここの石は特別な物なのか立ってからかなりの時間が経っているにもかかわらず劣化やヒビもなく綺麗なものだった。
「さあ、着いたぞ。ここが、ブルセルから一番近い迷宮だ」
この世界に転生していろいろなものを見てきたが、ここは一番地味に見える。
綺麗には作られているのだが、逆に地味に見える。今まで来た所の中で一番危険な場所なのだろう。
「なんだか……ビリビリくるわね」
アリスさんは何かを感じ取ったらしい。俺には何も感じられないが。
「そ、そうですね」
「ルイネス、アリス」
「はい」
「はい!」
「私は入り口で待っている。基本的には入るつもりはないが、夕暮れまでお前達が戻らない場合は私も入る。
夕暮れまでには戻るように。いいな?」
夕暮れまでと言うと、今は正午頃だろうから後五時間って所か。
この迷宮は、難易度も低く、色んな人が潜った後らしいから宝箱などはほとんど残っていないそうだ。
それなら、奥まで潜ってから戻るだけなのですぐに戻れるだろう。
「では、しっかり楽しんでこい!」
「はい!」
「はい!」
俺とアリスは、
迷宮の入り口をくぐった。
迷宮に入ると下へと続く階段があり、階段を降りきると目の前に大きな扉が現れた。扉にはどこかの国の模様なのか丁寧に彫り込まれていた。
俺は、扉を開けようと手を扉に付けたときある場所に目が行った。
俺の目線よりもかなり上の方に文字のような物が見えた。俺は、土魔術で足元に台を作り目線を高くした。
そこに書かれていた文字は、あの本と同じ文字だった。
《我が信頼なる友よ、ここに眠る》
またあの文字だ。
あの本と同じって事は聖帝龍王ディエードが書いた物なのか?
俺が扉の前で考え込んでいるとアリスがしびれを切らしたのか声を荒げてきた。
「ルイネス!何してるのよ!早く入りたいわ!」
「……え?あ、はい」
まあ、どっちでも良いか……。
今は、攻略のことだけを考えよう。
俺は、台を砂に戻して扉を開けた。
扉を開けると、目の前に広い空間が出てきた。奥からカタカタと何かがこっちに向かって走っているような音が聞こえる。
「何か……来るわね」
「ええ、気を引き締めて行きましょう」
アリスが前衛、俺が後衛で縦に並んだ。
前方に気をつけながら進んでいると音の正体が分かった。奥の暗闇から複数のスケルトンがこっちに向かって走ってきていた。
「スケルトンね、ルイネスは援護をお願い!」
「はい!」
アリスは勢いよく前に飛び出した。
スケルトン達は隊列がとれていないのか、お互いぶつかりながらアリスと対峙していた。
援護か……援護に最適な魔術は何だろう?
迷宮に入る時ライリーに迷宮内で火魔術を使うと毒が充満するから使うなと言われた。それはきっと火を起こしたときに発生する一酸化炭素が空間の中に充満するからだろう。
それなら、土魔術で……いや、土魔術もダメだ。
土魔術は、魔力を媒介にして発動させるが、魔力の消費量が多い魔術は近くの砂や土を媒介にすることもある。
迷宮内の砂や土を使ってしまうと、地盤が緩んで崩落させてしまうかもしれない。じゃあ水魔術もか……いや、水魔術は氷結系なら使っても問題ないか。
迷宮内では、風魔術か氷結系の水魔術のみに限定しよう。
俺は、アリスの前にいるスケルトンに向かって魔術を唱えた。
今回は、アリスのストレス発散が目的なので、あくまで援護の魔術だ。
「氷結領域」
俺は、杖をスケルトンに向けて魔術を使い、
スケルトンの足元を凍らした。
「アリス、今です」
「分かってるわ!」
アリスは、足元が凍り動けなくなったスケルトン達に向かって走り出した。
抵抗できないスケルトン達は、アリスの剣で次々と倒されていった。
「まったく、歯ごたえがないわね」
「アリスは強いですから仕方がありませんよ」
スケルトンは、さほど強くないから初級剣士でも倒せると聞くが、あの数は流石に無理だろう。そう考えると、アリスの実力は中級以上なのだろう。
俺たちは、さらに奥に進んだ。
奥に進む道には、いろいろな罠があり、一筋縄では進めなかった。アリスは、野生の勘のようなものがあるのかトラップを全て回避していた。だが、俺は、そんな勘は持ち合わせていないで全て引っかかった。
「ハァハァ、ル、ルイネス。
もう引っかからないで!お願い!」
必死な剣幕でそう言ってきた。
アリスがこんな表情をするのは珍しい。余程、トラップにひどい目に遭わされたのだろう。引っかかったのは全部俺だが……。
「……ど、努力します」
意識で変わるかは分からないが、
トラップを踏まないように気をつけよう。
「ルイネス、そこは!」
『カチッ!!』
意識して足を踏み出した瞬間、
アリスの飛び声と共に聞こえ馴染んだ音が聞こえた。
「……えっ?」
足元が少し光り、足場が消えた。
俺は、足場が消えたことにより一直線に真下に落ちた。
「うわぁぁぁ!」
「ちょ、ルイネス!」
俺が罠に落ちていると、
アリスが飛び込んできた。俺とアリスはしばらく落ちた後広い部屋に出た。
この部屋は、かなり広い空間で奥の方が暗闇になっていた。
「う、痛いわね!一体ここどこよ!」
「あ、あの。早く降りてください」
俺がそう言うと、アリスが睨んできた。
「なによ?重たいの?」
「いいいや。そんな事はないですよ?」
「じゃあ、何でよ?」
アリスが、拳を握りだしたので、
俺は、暗闇の方に向かって指をさした。
「だって、来ますよ。あれ」
「えっ?」
アリスは、俺の指さす方を振り向いた。
振り向いた先には、スケルトン、ホワイトティーガーなどの魔物が数種類。暗闇で目を光らせながらこっちに歩いてきていた。
その数は、パッと見ただけでも数十体はいた。
「何よあれ!」
「恐らく、ここが魔物部屋に湧いた魔物達でしょう」
「魔物部屋?」
「魔物が異常に発生している部屋のことです」
俺がそう言うと、
アリスは目を輝かせながら剣を構えた。
「迷宮には、そんな面白そうなところがあるのね!」
「気を引き締めてくださいよ」
「ええ、分かってるわ!」
魔物達は一斉に俺とアリスに襲いかかってきた。
俺が魔術で妨害をして、アリスが倒す基本的にはこの陣形だ。
魔物部屋に落ちてから数分の時が過ぎた。
俺たちは、魔物達のほとんどを倒し終わり座り込んでいた。
「ハァハァ……こ、これで終わり?」
「ハァハァ……はい、これで終わりのようですね」
今回は、一体一体はたいしたことないのに、
数が多いからかなり手こずった。質より量という言葉をよく理解できた。
俺の魔力も底が見えていたので尽きる前に一掃できて良かった。
「ここからどうするのよ」
「出口を探しましょう。
こういう所ならきっとどこかに出口が作られているはずです」
俺たちは、部屋を探し始めた。
部屋は、四方に分厚い柱が立っている四角形状の部屋になっていた。そして、魔物達が向かってきていた方向に少し歩くと奥へと続く道があり、俺たちは、その道を進んだ。
道を数分進むと、上へと続いている手や足を引っかけるためのくぼみがあった。
「どうやら、ここから登れるみたいですね」
「そうね……早く行きましょう」
アリスは、勢いよくくぼみを上がっていった。俺も、アリスの後に続いてくぼみを登るとアリスのお尻にぶつかった。
「イテッ」
アリスのお尻は別に硬くないので、
痛くはなかったが、とっさ的にそう発してしまった。アリスの足が俺の顔に落ちてきて俺は、真っ逆さまに落ちていった。
「イテッ!!」
今回はちゃんと痛かった。
俺は、もう一度くぼみを登った。今回、アリスは最後まで登りきっており、俺も、くぼみを登り切った。
くぼみを登り切ると、目の前には、迷宮に入ったときと同じような大きな扉がそびえ立っていた。
「ここね、迷宮の最後の部屋!」
「そうみたいですね」
ライリーによると、迷宮の最後の部屋にはボスとなる魔物がおり、その魔物は一度倒されても少し経つと復活するらしい。
そうなると、今はすでにボスがリスポーンした後って事になる。モンスターハウスの後にボスの連戦は流石にキツイ。
ここで一度休憩を取りたいものだ。
「アリス……一度ここで休憩を取りませんか?」
「いいわよ」
「やっぱ、ダメですよね……えっ!?良いんですか?」
「ええ、いいわよ。私も疲れたもの」
アリスが疲れる事ってあるのか!?
あの体力無限大な肉食獣が……まあ、最近はおとなしくなったとは思うが。
まあ、休憩できることに超したことはないか。
「では、ここで休みましょう」
「ええ」
俺は、持ってきた荷物の中から干し肉とパンを取りだした。
土魔術でコップを作り、底に水魔術で水を注いだ。
「アリスどうぞ」
「ええ、ありがと」
「……っ!」
「なによ?」
「いえ、特に何も」
最近は、
かなり正直になったよな。そっちの方がありがたいが。
俺たちは、ここで一時間ほど休憩を取った。
この迷宮に入ってからおよそ二時間程度が経っていたので今は、三時間が過ぎた頃だろう。
休憩を取り終わり、俺たちは、扉の前に立っていた。
「あっ、そうだ」
俺はそう言って、自分の腰に携えていた剣をアリスに渡した。
「アリスにこの剣を預けておきます」
「何よこれ?」
「これは、僕が父様に貰った魔力付加品です。硬い物を斬る時、柔らかい物を斬る時と同じ斬れ味を出すという効果が付与されているらしいです」
「へぇ、そんな大事な物いいの?」
「ええ、僕よりもアリスの方が使ってあげられると思いますし」
剣も、腕が立つ人が使った方が喜ぶだろう。
「……ええ、分かったわ!ちゃんと綺麗なまま返すから」
「はい、お願いしますね」
俺たちは、顔を見合わせた後扉を押した。
扉は、ギィギィっと音を立てながら開いた。扉の奥には、赤い石の塊と青い石の塊が部屋の中央に置いてあった。
俺たちが、部屋の中に入ると扉はバタンッと音を立てながら勢いよく閉じた。
扉が閉じたのと同時に、地鳴りのような物が部屋中に響いた。
俺たちが辺りを警戒していると、部屋の中央に置いてあった石の塊が動き出して塊からゴツい人型のような形に変化しはじめた。
「ハハッ、これって、もしかして……」
こいつって、ゴーレムだよな?
よく、RPGとかで出てくる。この世界にもいるんだな。
まあ、長耳族とか魔族とかの存在がいるならいても当然か。
「なんだか、弱そうね」
アリスは、そう言いながら自分で持ってきていた剣を構えていた。
どうやら、俺が預けた剣は、後から使うようだ。
「アリス、斬れますね?」
「当然よ!」
「危なくなったら、その剣を使ってくださいね」
「分かってるわよ!」
ゴーレム達は、完全に人型になると襲いかかってきた。
「ウォォォ!」
ゴーレム達は、低い雄叫びを上げながらこっちに走ってきた。走るスピードは遅かったが、その迫力に少し押されてしまった。
「何やってるの!行くわよ!」
「……え?あ、はい!」
俺たちは今までの陣形になり、俺は、魔術を発動させゴーレム達の足元を凍らせた。だが、ゴーレム達は凍った足元を無理矢理動かした。
どうやら、ゴーレムには魔術が効きにくいようだ。
「すみません、足止めは無理なようです」
「分かったわ!」
アリスはそう言って、
素早く青いゴーレムの足元まで走り、剣をゴーレムにぶつけた。すると、ゴーレムの足の強度が硬いのか、アリスが持っていた剣の方が砕け散った。
「……チッ!」
アリスが剣に気を取られたとき、青いゴーレムは足を上げてアリスを踏み潰そうとしていた。俺は、自分の後方に風魔術を使い体を無理矢理前に押し出した。
俺の体は勢いよく飛んでいき、途中でアリスをキャッチした。
まっすぐに押し出される俺の体は、その勢いを殺しきれずに壁に衝突した。
「イデッ!」
背中に走る激痛で一瞬意識が飛びそうになったが、
なんとか、意識を保つことが出来た。
「ルイネス!大丈夫?」
「大丈夫です。それより、ゴーレムの対応について考えましょう」
「ええ、そうね」
あのゴーレムの体の強度はかなりの物だ。
アリスの剣は、魔物との戦いで傷ついてはいたが、折れるまではいかないだろう。
そうなると、ゴーレムの体の強度に負けて折れたことになる。そうなれば、あの剣を使った方が良いだろう。
「アリス、あの剣を使いましょう」
「そうね!あの魔物は硬いものね!」
「ええ、その剣ならいけるはずです」
アリスは、
腰に携えている剣を抜き去った。
その剣は、剣は黒く、綺麗な光沢を発していた。
「結構軽いわね」
「そうですね、いつもの剣よりは軽いですね」
この剣は、異様に軽い。
俺でも、あの剣でなら早く振り下ろすことが出来る。俺でも早く振り下ろせるのだから、アリスならかなり早く振り下ろせるだろう。
「僕が一度あのゴーレムを爆破させます。アリスは、その隙にゴーレムの足を墜としてください」
「ええ、分かったわ」
俺は、杖をゴーレムに向けた。
いつもよりも多めに魔力を流して魔術を発動させた。
「はぁぁ!破裂爆発」
俺は、二体共に魔術を打つけた。
ゴーレム達は魔術が当たりひるんでいた。魔術が当たった部分は、ヒビが入ったり、破損したりしていた。だが、その後すぐに再生していた。
こいつら、再生もするのか。
再生するならアリスが剣で斬っても……いや、こういう場合は核になる物があるはずだ。ゲームでも、そういう設定があることが多い。
よく観察してみるか……。
「あっ、あった!」
あのゴーレムの胸の中心に体と同じ色の丸い石が埋まっていた。
あれが核には間違いないだろうが、すぐに埋まってしまった。どうするか……。
「はぁ、またあの方法で行くか……」
俺は、森での光景を思い出していた。
グリフォンに対して、魔術を連発する。あの方法が一番良い気がする。
「アリス聞いてください」
「なによ?」
「あの魔物の硬い表面の中に核のような物が存在します。ですが、その核を露出させてもすぐに再生されてしまう」
「ええ、見てたわ」
……あ、見てたのね。
それなら話が早い。
「僕が、森の時と同じように魔術を連続で当て続けます。核が隠れないようにするで、なんとか魔術を掻い潜って核を斬ってください」
俺がそう言うと、
アリスが「また私が担いで出るの?」みたいな顔をしてきた。
「大丈夫ですよ。なんとか、セーブしますから」
「ホントに?」
「ええ、ホントです」
「なら、やってあげるわ」
アリスは、勢いよいと前に出た。
「ほら、いつまで座ってるのよ。早く、魔術を使いなさいよ」
「ああ、はい』
アリスはやる気満々なようなので、俺も頑張るとしよう。
「はぁぁぁ!」
俺は、『氷射』と『破裂爆発』で複合魔術を使った。
俺が使った魔術は、青いゴーレムに着弾して表面を削った。核が見え始めた後も打ち続けて再生を防いでいた。
核にも魔術を当ててみたが、砕くまでには行かないようだ。
ゴーレムは、ダメージを受け続けて動きが鈍り始めた。
「アリス、今です!」
「ええ、分かってるわ!」
アリスは、俺の魔術と魔術の間を抜けていってゴーレムの元まで行った。
ゴーレムの元まで行き、勢いよく剣を振り切った。振り切った剣は、核を真っ二つにした。
核が真っ二つになったゴーレムは塊になっていた石はバラバラになった。
「よし!」
「あと一体です!」
俺が、もう一体の赤いゴーレムに魔術を使おうとしたとき、ゴーレムの動きが変化した。
ゴーレムは、体から炎を出しながらこっちに突進してきた。
「ウォォォ!」
俺たちは、ゴーレムを避けた。
ゴーレムは、俺たちが避けた後もそのまま進んで壁に衝突した。
衝突したゴーレムは、方向を百八十度変えて再びこっちに突進してきた。俺は、さっきと同じ魔術を使ったが、ゴーレムに着弾する前に爆発してしまった。
この魔術は、着弾時に氷が砕けると共に爆発する魔術だ。あのゴーレムの炎で、着弾する前にとけてしまっているのだろう。
「それなら、使うのを水弾に変えるまでだ」
俺は、『水弾』と『破裂魔術』で複合魔術を使った。
「はぁぁぁ!」
俺はひたすら連射した。
赤いゴーレムは、炎を纏っていたが、複合魔術のおかげで弱めることが出来た。そして、魔術の爆発で核が露出した。
「アリス!炎が弱い今です!」
「分かってるわよ!」
アリスは、高く飛び上がって核に剣を添えた。
「これで終わりよ!」
アリスの剣が核を真っ二つにした。
ゴーレムは、その場で活動が停止して目の光が消えた。
「ふぅ、終わったわね」
「そうですね、お疲れさまです」
アリスの剣捌きは見事だな。
あの硬そうな核だって一発だし。あの剣もすごいが、やはり、使い手の腕が立つから剣も際立つのだろう。
扉は、ゴーレムを倒せば開くと思ったが、未だに硬く閉じたままだ。
……それにしても、あのゴーレムはバラバラにならないのか?
そう考え込んでいると急に頭痛が俺を襲った。
「くっ、いって」
俺は思わず頭を抱え込んだ。
痛みに耐えながら目を開けると、薄かったが奇妙な光景が見えた。
見えたのは、赤いゴーレムが赤く発光しながら辺りを巻き込みながら爆発した光景だ。
俺が急いでゴーレムの方を見ると、ゴーレムが赤く光り始めていた。
「これは……まずい!アリス、すぐに僕の後ろに」
「なんでよ!」
「良いから早く!」
アリスは「なんでよ……」と言いながら俺の後ろに入った。
俺はそれを確認すると、出せる限界までの魔力を使って魔術を発動させた。
「うぉぉぉ!『水壁』」
俺は、ゴーレムとの間に分厚い水の壁を築いた。
『水壁』越しにゴーレムを見ていると、赤く光り熱を発していた。次の瞬間、ゴーレムは「ズドォーン」という音を立てて爆発した。
俺たちは、魔術で衝撃を緩和したが抑えきれるわけもなく後方に吹き飛んだ。
俺たちは、意識を失った……。




