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異形狩る者の物語  作者: アルゴ
第1章 【転機、あるいは死期】
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熱砂の洗礼

「そんな無茶な……………」


前を見るだけで目眩がしそうだ。遠出かと思って大きい水筒を用意してのは正解だったが、場所が場所なだけに……。焼くような太陽と熱砂の上では心許無い。ましてや戦闘などしたらあっという間に水は必要量を超えてしまうだろう。最も、戦闘になった時点で私には死ぬ以外の道は無いのだけれど。


「とりあえずここから離れなきゃ……」


怪物は普段と違う物があると積極的に寄ってくる習性がある。馬車の引いてきた轍の痕なんて…ヤツらにとっては興味の対象になることは間違いない。早急に離れる必要がある。


「とはいえ…砂漠に隠れるとこなんて…」

私は独り言ちながらも移動する。移動を続けながら生き残るための条件を考える。


「戦闘は絶対回避…水は尽きるしそもそも戦闘手段がない…一箇所には留まれない……変化はすぐにバレる……」


本来なら初めての砂漠地帯の依頼の際は、ギルドからの説明やら情報開示やらがあるはずだった。だが今回はジンさんの先導で来ているためそれが無い。まさかこんなことになるとは……。聞きかじった知識と勘で移動を続ける。人並み以下だが強化された身体能力を信じるしか無かった。


「とはいえ砂漠……砂嵐さえ吹かなきゃ視界は確保出来るし…会敵だけは避けなきゃ」


私は茫漠とした砂塵を遠目に睨みつけながら、視界を確保できる方向に移動を続ける事にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「んくっ……んくっ…………ぷはぁ」


残り少なくなった水を大事に飲む。時計を持ってくるべきだった。今幾ら過ぎたかさえも分からないが、傾く日を見るに残り時間はそう長くはないはず。かなり移動したが道中一度も怪物に遭遇することは無かった。


「運が良かった…にしては変だよね…」


私でもこれがおかしいこと位は分かる。こんなに怪物が少ないのならここが危険地域の狩猟区になっているはずが無い。でも今は細かく考える余裕は無かった。度重なる移動と気温は確実に私の体を蝕んでいる。残りの水から考えて移動できるのは後二回程。いつ動くべきかは慎重に考えなくてはならない。


「……だいぶ動いたけど…ジンさん、ほんとに来てくれるのかな……」


憎くて仕方ないあの男だが、今は彼が来てくれる事を信じる以外に心の支えは無かった。


「よし!動こう!」


防砂マントの砂を払い立ち上がる。…と、遠くに煌めく物が見える。


「…あれは…?オアシス……!?水場ッ!?」


砂漠にも泉の湧き出る場所があると聞いたことがある。非常に数は少なく見つけるのは困難とのことだが、何も無い砂場で輝くのはそれ以外には考えられない。それにここでオアシスを見つけたのは天佑かと思えた。私は出し惜しみせずに身体強化。オアシスへと走り出した。


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