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≪コント≫万引き

作者: Yoppy

場所:スーパーの裏の部屋

登場人物:女性=ボケ、店員=ツッコミ、少年=端役

   テーブルと椅子。椅子に少年が座っている。テーブルの上にはペットボトル。


店員「まったく、万引きなんてしやがって。立派な犯罪だからな! 分かってるのか!」


   女性、走って入る


女性「あんた、なんてことを!」


店員「あ、お母さんですか…」


女性「またこの店でやったの!」


店員「ま、また?」


女性「同じ店で二回目は失敗するってあれほど教えたじゃない!」


店員「ちょっとそれどういう意味ですか!?」


女性「こんなことするような子に育てた覚えはありません!」


店員「一個前のセリフでだいぶ意味変わってますよ」


女性「申し訳ありません。この子にはよく言って聞かせますので」


   女性、ペットボトルを持って出ようとする


店員「いやなんで持って行こうとしてるんですか!」


女性「え、あ、つい癖で」


店員「大問題でしょ!まさかあなた、万引きしたことありませんよね?」


女性「ありませんよ!この店では」


店員「ならいいか...ってなるわけないだろ!警察の方としっかり話した方が良いんじゃないですか?」


女性「け、警察は!どうか警察だけは!せめて保護団体に!」


店員「動物か!」


女性「まぁ!女性に対して犬になれだなんて!」


店員「言ってねぇよ!?」


女性「これだから最近の若者は...」


店員「そういうおばさん居ますよね」


女性「誰がおばさんよ!ピッチピチの20代よ!」


店員「いや20代って、さば読み過ぎですよ」


女性「さ、鯖なんて盗んでいません!」


店員「勝手に墓穴掘りましたね。そもそも、息子さんが居るのに20代って、さすがに惨めですよ」


少年「え...あの...母じゃないです...」


店員「...え?」


少年「全然知らない人です」


女性「はい。赤の他人ですよ」


店員「は?」


女性「なに勘違いしているんですか?そもそも初対面ですし」


店員「じゃあなんですか、ずっと僕をおちょくっていたんですか」


女性「まさかそんな。万引きしたときは適当に丸く収めるのが楽ですよ」


店員「実体験に基づいていませんか?」


女性「なんですか、私がいつ万引きしたって言うんですか!」


店員「いや知りませんけど。さっきから言動が怪しいんですよ」


女性「そうですか。私が怪しいというなら、少し昔の話をしてあげます」


店員「昔の話?」


女性「あれは...砂漠を一人歩いていた時のことだった...」


店員「さ、砂漠?」


女性「(動き回りながら)食料はほとんどなし。水はそこをついた。持ち物は纏っている衣服のみ。頭に巻いた布を通り越してじりじりと太陽が全身を焼いてくる」


少年「このままではまずい」


店員「あ、君も入って来るのね」


少年「意識が朦朧としてくる。視界が揺らぎ、何度も倒れそうになる。汗すらも流れない。それでも懸命に、諦めず前へ進む」


女性「まるでオーブンで焼かれているかのようだった。タイマーのセットされない、果てしなく続く地獄の苦しみ」


少年「既に体力は限界を迎えていたが、ついにその時が来てしまった」


   女性、倒れる。


女性「顔に当たる砂がこの世の物とは思えないほど熱い。しかし跳び起きることは私の体ではできない」


少年「ここまでか。そう、思った時だった」


女性「水だ!まさに奇跡だった。砂漠の中に突如として水が現れた。しかもその先には街が見えた。助かる!」


   女性、起き上がり、ペットボトルに手を伸ばす。


少年「一瞬にして全ての痛みが吹き飛んだ。まるで疲れを感じない。体が軽くなり、走り出した」


   女性、ペットボトルを持ちながら出ようとする。


店員「ちょっ、ちょっ、ちょっと待て!行かせねぇよ!?なにサラッと持って行こうとしてるんですか!?」


   店員、ペットボトルを奪い、机に置く。


店員「なにやってるんですか。まったく、訳分からないもの見せやがって...」


女性「訳分からなく無いですよ!本当の話です!今日だって、本当ならアメリカに!」


店員「じゃあなんでこんなところに居るんですか」


女性「さっき他の店員さんに、『裏の部屋で待ってろ!』って言われて...」


店員「やっぱり万引きじゃねぇか!」

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