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VRMMO「Malice」―銀髪少女の悪意  作者: Hon_S
第二章:夜の国
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第13話:失態

アイリとともに馬車に乗り込み、夜の国を目指す。


夜の国はその名の通り常時夜の国だ。

日光でビタミンDを合成できずにイラついて

神経質なやつが多いかと思えばその逆だ。


ナイトエコノミーもいいところで、

街は常夜の繁華街を楽しむプレイヤーで溢れかえっている。


居酒屋から、カジノ、娼館などなどアダルトなお店だらけだ。


しかし、さすがKokoro entertainmentといったところか、

酒や風俗などなどのサービスを提供している店への

20歳未満の立ち入りは禁じられている。


夜の国は、今でこそ繁華街で栄えているが、

サービス開始直後は日光もあたらず、

農作物に恵まれないうえ資源もない寂れた弱小国だった。


しかし、始まりの街をでて、ゲームに慣れたプレイヤーが

目指す1番目の街であり、モンスター狩りの効率がそこまで悪くない。

これを理由に長く居座る人たちが増え、プレイヤーの交流が盛んになった。


そしてこれを奇貨として、飲食店ビジネスを始めるプレイヤーも表れ、これが大いにウケた。


そして、この隆盛にさらに拍車をかけたのは運営側のカジノ導入アップデートだ。


ギャンブル好きや、カネを派手に使うプレイヤー流入や、

カジノのバニーガールさんなどなど、怪しげな雰囲気が増していき、

あっという間に夜の繁華街に様変わりだ。


なお、娼館については、違法ビジネスではあるものの秘密裏に行われている。

見つかれば即BAN対象だが、現実世界と同じようにうまーく逃げているらしい。


聞いたところによれば、とあるギルドの有力プレイヤーと

Kokoro entertainmentの上層部が繋がっていて、

ある程度のビジネスや治外法権を許容するかわりに、

あまり広がりすぎないようコントロールさせているとか。


こんなダークな部分ともうまく折り合いを

つけるKokoro entertainmentは流石だ。


ちなみに、性交渉は、現実世界と同様の機能が実装されている。

子孫を残す機能をまだ実装されていないようだが。

ちなみに俺はまだ試したことはない。


聞くところによれば、数多くのトライ&エラーを通じて

男性・女性のそれぞれの感覚をデータにとして収集し、

プレイヤー体験として還元しているようだ。


残念ながら、Maliceでは現実世界の性別がプレイヤー情報に

反映されるため、異性の感覚を得ることはできない。

ネカマが存在しないというメリットもあるが。


世論では、デジタルでの性交渉機能について

公序良俗に反するとか、倫理的でないとか、

中毒性があって脳を破壊するだとかいろんなことがいわれているが、

Kokoro entertainmentは我が道を行くという感じだ。


いずれ、人間の全てを理解してしまうんじゃないだろうか、この会社。


さて、馬車では30分ほどの道のりだが、

夜の国が近づくに急にあたりが暗くなり、

ライトや人々の喧騒などで賑やかな雰囲気が伝わってくる。


最低限の物資は整えているので、

到着後は馬車を返したらすぐに出発できる。


「アイリさん、夜の街に到着後は、すぐに静謐の森に向かおうと思いますが、よろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ!」


馬車を返却し、アイリとともに馬車乗り場を後にする。

静謐の森は夜の国の北側だ。


夜の国は南側が繁華街なので、

アイリをそのあたりの荒んだエリアに連れて行かずにすみそうだ。


ゲームの中とはいえ、怪しい連中は沢山いる。

特にアイリはもの凄い美しさだ。

酒に酔ったプレイヤーに絡まれないとも限らない。


乱暴されたりと危ない目に遭ったときは、

最悪ログアウトして通報すればよいが、

そもそもそういった目に合わないようにすることが一番の賢者だ。


君子危うきに近寄らず、だ。


さて、現在のジュンのレベルは20。


能力が目覚めていない以上、来る対Malice戦では

アイリのような機能発揮はまだできないが、

レベルのキャッチアップにはある程度目途が付いた。


さっそく静謐の森へ向かって、幽霊モンスターの『レイス』を狩りまくるのだ。


これから狩りを予定している『レイス』は、幽霊モンスターで

物理攻撃が全く通らないという強敵だが、大鎌使いにとっては問題ない。


大鎌使いは、防御力や体力は低いが、

物理攻撃力に魔法攻撃力を上乗せして攻撃する強力な技を使える。


その1つが15レベルになると習得できる『ダークスラッシュ』だ。


大鎌使いは、鎌のリーチを生かして約1メートル程度の

通常攻撃を繰り出すことができるが、「ダークスラッシュ」は

直線3メートル先まで斬撃を飛ばして攻撃することができる。


横薙ぎに繰り出せば、簡単な範囲攻撃にもなる。


静謐の森のレイスはかなり多くの数がいる上に、

範囲攻撃をつかえればかなり経験値も獲得できる。


そしてダークスラッシュはMPを使用したりしない優秀スキルだ。


しかし、あくまで魔法攻撃になるので、

魔法攻撃に耐性があるモンスターには通用しないので注意が必要だ。


その点、レイスは物理攻撃が通用しない分、

魔法攻撃にかなり弱く設定されているのでむしろ好都合だ。


アイリは槍使いだが、『ライトニングスピア』などの

魔法属性の技もあるので特段の心配はいらないだろう。


静謐の森に到着した後、まずは、20レベルの『ミニレイス』を狩って、

次は25レベルの『レイス』だな……。


30レベル以降は『ミドルレイス』を狩りに行こう。

奥に移動するにつれてモンスターが強くなるマップ構成になっているので、

非常にレベル上げもしやすい。


本日の簡単なプランを立てたところで、アイリに伝えるべく振り返る。


「アイリさん、今日はまず20レベルの『ミニレイス』を狩って……ってあれ?」


アイリの姿が消えていた。

馬車を後にして街の北側に歩き始めたところまでは一緒にいたはずだ。

どこかではぐれてしまったのだろうか。


「アイリさーん!」


大きく呼びかけるが、特段の返事はない。


なんたる失態だ。


レイスのことや今後のレベル上げのことに集中して、

アイリとはぐれたことに全く気が付かなかった。


急いで馬車乗り場まで走って戻ったが、

道中含め、アイリの姿はなかった。


今日のログインの時の女の人の声に続いてなんなんだ……。


今日は異常事態が起きすぎだ。


北側は繁華街から外れていて、安全は担保されていると思ったのだが……。


アイリというひとりの女性が危険な目に合う事態も問題なのだが、

そもそもアイリはこの世界の維持するにあたり最も重要な人物だ。


今、Maliceに対抗できるのは、この世界ではアイリしかいないのだ。

アイリを失うわけにはいかない。


まずはヨシカワに連絡しなければ。


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