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2.捜査と検討

日本の成人男性の七割以上は包茎だと云われている

「おいおい、困るな鷺海さん」

 ある程度泳いで他三人から充分距離を置いたところを見計らい、俺は海に潜って竜末さんの海パンを脱がした。彼は肌に張り付くタイプの海パンを履いていたが、すぐちんぽを露出させることができた。

 ぷるんっ。

 剥けていた。

 予想してはいた。竜末さんは物腰に余裕のある人だ。包茎には余裕がない。どうせ剥けているだろうと最初から諦めていた。




「鷺海さん、危ないですって」

 二人目の標的は獅子蘭。大きな浮き輪で浮かびながら海の遥か彼方を遠く見ていた彼の背後を取り、浮き輪を奪って海パンを脱がした。

 獅子蘭の海パンは丈が長く脱がせにくかったが、浮き輪を奪いつつ素早く両手を拘束したため、隙はなかったはずだ。

 ぷるんっ。

 剥けていた。

 獅子蘭は男らしさの乏しい中性的な体をしている。もしや包茎ではと期待していたのだが、彼の皮も剥けていた。




「鷺海さん。こういうのは仲間内だけにしてくれませんか?」

 三人目の標的は神立。英語ができない彼は、両手を使ってジェスチャーを使って女性をくどいていた。俺は気付かれないよう、腰を屈め、背後から忍び寄り、スムーズに海パンを下げた。

 ぷるんっ。

 剥けていた。

 少しだけ衝撃だっだ。神立のような浮ついた男が、案外怪しいと予想していたのだが。しかしよくよく考えれば、包茎野郎が女をくどけるはずもないか。

 これで残るは一人。つまり包茎野郎は…




「昨夜の続きですか鷺海さん。パンツ脱がせるの好きですね」

 最後の標的は鮫嵐。砂浜で、手を頭に仰向けに寝ていた彼に対し、俺は側面から全力疾走して奇襲をかけた。彼が俺の存在に気付いた頃には、既に海パンの横に手をかけていた。

 ぷるんっ。

 剥けていた。

 …そんな…馬鹿な…

 彼のちんぽは剥けていた。

 そんな…そんなはずはないんだ…そんな馬鹿なことが…全員がズル剥けちんぽだなんて!

 俺は鮫嵐の横に置いてある荷物から浮き輪と空気入れを取ってそれを膨らませると、海の中で浮かび続けた。






 海に浮かび、揺られながら、俺は海パンの中のちんぽへ手を伸ばした。

 親指と人差し指で陰茎を優しく掴み、それをすっとスライドさせる。

 ぬるんっ。

 包茎ちんぽから亀頭が出た。

 たったこれだけの動作。二本の指で、一秒かからず、皮は剥ける。

 銭湯に入る直前、トイレで同僚と居合わせた時、女性と行為する時…包茎野郎は見栄を張り、ちんぽの皮を剥く。

 俺が4人の海パンを脱がした時、誰も包茎はいなかった。つまり…

 誰かが、海パンを脱がす際、皮を剥いたはずなのだ。つるっと、小さな見栄を張って…そう、誰かが…

 俺の、仲間が…




 誰が包茎か。ここでもう一度、一人一人検討しよう。

 まず竜末さん。海の深い、周囲に二人以外誰もいない場所で、俺は彼の海パンを脱がした。

 俺の行動は極めて迅速だった。抵抗も無く、素早く脱がせることができた。彼の両手は海パンの中に入っていなかったし、皮を剥く手段はなかったはず…いやそうとも限らないか?竜末さんの海パンは肌に張り付いていた。なら、脱がされる寸前に海パンを利用して、それにちんぽを押し当て、剥くことは可能か?

 いや、不可能だ。

 たとえ彼が包茎を知り尽くした剛の者だったとしても、あの一瞬。海パンに手をかけられてから下半身が露出するまでの数秒で腰を動かして皮を巧みに剥くなど、神業に等しい。現実的に考えて、ちんぽを剥くのは不可能だったろう。


 二人目は獅子蘭。浮き輪に身を任せながら、遠く水平線をぼんやり見つめていた彼。俺は潜水で彼に近付き、海パンを脱がせた。彼の場合は若干手間取った。遠くから潜水したためこちらの動きも鈍かったし、海パンの丈も長かったのだ。もしや隙があったか?

 いや、隙などなかった。

 俺はまず彼の浮き輪を奪い彼の行動の自由を制限した。獅子蘭は金槌だ。いくら包茎野郎でも命より皮剥きを優先するはずはない。浮き輪を奪った後、すぐ両手を後ろ手に拘束。海パンを脱がせた。竜末さんと違って海パンは余裕があるタイプだったから、脱がされる反動を利用して皮を剥くのも不可能だったはずだ。


 三人目は神立。ナンパ中の彼に対し、俺は背後から忍び寄った。気付かれないように若干腰を屈めて、かつ、さっと背後を取り、そして海パンを脱がせた。女性は苦笑いして逃げていった。通報はされなかったようたが、それはともかく…俺は気付かれないように彼の背後から近付いたつもりだったが…もしや彼は、忍び寄る俺に気付いていたのか?

 いや、それは問題ではない。

 まず、気付かれなかった自信がある。ナンパしている彼を見つけ、背後を取るまで、俺は彼の様子を観察していたが、俺の接近に気付いた様子はなかった。それに、彼は両手をせわしなく動かしてジェスチャーしていたのだ。例え俺に気付いても、皮を剥く機会がない。


 四人目は鮫嵐。荷物の横で砂浜に寝転び、目線を上に青空を眺めていた彼。獅子蘭や神立の時のように、徐々に近付いたら気付かれる可能性が高い。そう考えた俺は、遠くから素早く彼に接近。彼がこちらを向いたときには既に海パンを射程圏内に捉えていた…いや、近くには荷物があった。その中の道具で皮を剥いたとか?

 勿論、そんな可能性は皆無だ。

 そもそも何か道具を使う時間はなかった。彼はずっと両手を頭の後ろで組んでそれを枕のようにして寝ていたのだ。例えどんな道具があろうと…そもそも皮を剥く道具なんてないだろうが…手を股間に持っていく余裕がない。海パンを脱がされる時もほとんど無抵抗だった。


 海水浴に行く直前、着替えの時点で剥いていた?着替えの際、包茎がばれるのが嫌で、その直前にこっそり剥いた?

 その蓋然性は無視できない。しかし、俺たちは全員海に浸かり、その後で竜末さんから順に海パンを脱がしていったのだ。

 水に浸かると陰茎は縮み、皮は元に戻る。それを維持するのは難しい。海に浸かった時点で、あらゆる包茎ちんぽは縮み、元の包茎ちんぽへと戻るのだ。


 指二本。陰茎に添え、つるっと皮を剥く。

 たったこれだけの動作なのに、誰もそれを行えなかったなんて…


 …?…たったこれだけの、動作?

 刹那。

 分かった。包茎はあいつだ。

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