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異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す  作者: たも吉
第一章 世界樹で野良猫生活
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お土産を狩ろう

 世界樹周辺のモンスターが寄り付かない、所謂セーフティエリア。

 俺はその外のエリアにいる。

 なぜセーフティエリアじゃないとわかるかって?

 簡単だ、単純に見るからに違うからだ。

 森は深く険しく、空気は重く、薄暗い。

 たった一歩踏み出すだけでここまで違う。

 ちょっとびびる。

 バハムルは特に驚いてる感じはない。

 この森はむしろこっちの姿のほうが普通なんだろうな。

「お土産だからできるだけ美味しい肉を狩りたいんだけど、どれが美味しいかわかんないんだよね。

 バハムルはわかる?」

「全部の味はわからないぞ?

 でも、すごく美味しいものは覚えてるからそれは教えられるのだ!」

「じゃあ適当に森をうろついて、美味しいのがいたら教えてよ」

「ボクに任せろ!」

 しばらく森をうろついたけど、これといった獲物はまだ見つけられない。

 モンスターにはたくさん遭遇したけど、バハムルを見てみんな逃げていく。

 子供とはいえさすがはドラゴン、恐れられてるなぁ。

 逃げたモンスターの中にすごく美味しいのはいないらしいので俺たちも追いはしない。

 ただただ森を散歩してるだけになってしまっている。

「なかなか見つからないねー。

 そろそろ諦めて、悪くない美味しさの獲物に狙いを変えようかな?」

「もう少し探してみるのだ。

 こっちのほうにいる予感がするぞ!」

「じゃあもう少し探すか」

 バハムルの予感を頼りに森を歩く。

 少し歩くと前方から強い気配を感じるようになった。

「おおぅ、なんだかすごそうなのがいる気配なんだけど」

「たしかに、すごい気配だぞ……。

 こんな強い気配感じたことないのだ……」

「え、そうなの?」

「母ちゃんに危ない所に行かないように言われてるから、知らない場所にはあまり行ったことがないのだ。

 こっちのほうに来たことはなかったけど、こんなすごそうなのがいるなんて……」

 バハムルが震えながら言う。

 てかそれマジかー……。

 龍の巣のことならなんでも知ってるレベルかと思ってた。

 それならわざわざ危険を犯すまでもないな、とっとと逃げるべし!

「じゃあ見つかる前に逃げよう。

 今ならまだ――」

「もう遅いみたいなのだ。

 ボクたちに気づいてるぞ……」

 おおぅ、なんてこったい。

 狩りに出て他所様のお子さんを怪我させたりしたらシャレになんないぞ……。

 なんとか俺だけで相手しないと。

「バハムル、俺が突っ込むから隙きを見てここから離れてくれ。

 慌てずに、相手の注意が俺の方にいってからで大丈夫だからね」

「何言ってるのだ!

 ジズーも逃げよう!」

「逃げるにしてもまずはバハムルが逃げてからだよ。

 大人が子供を守るのは当たり前だから」

 グルルルルル……。

 強い気配の主が姿を見せた。

「なんだあれ……、ライオンか?」

 ライオンみたいなのが姿を見せたが、その視線はバハムルに向かられていた。

 おいおいおい、やばいやばいやばい!

「俺が相手だ!こっち見ろ!」

 一発ぶっ叩いてまずは注意をこっちに向けなきゃ!

 俺はライオンに突っ込んだ。

「こっち向け!ライオン!」

 ボキィッ!

「あ……」

 横っ面をぶっ叩くと首が捻れてひん曲がり、ライオンはゆっくりと倒れた。

 やっべ久しぶりの狩りで忘れてた、薫子さんの身体強化超やばいんだった!

「やりすぎた……、首が捻れちゃってんじゃん……。

 バハムル、怪我はない?」

「怪我はないのだ……。

 ないけど、え?

 ジズー、何をしたのだ?

 これキマイラだぞ?

 あれだけで倒したのか!?」

 キマイラ?

 あーなるほど、ライオンじゃなくてキマイラだったのか。

 お、尻尾が蛇だ。

「んまぁ、横っ面にこう、ぶっ叩いただけなんだけど。

 薫子さんの魔法で身体能力がすごくなってて、おかげで狩りはいつもこんな感じだったなぁ」

「カオルコさん……?

 あ、管理者様のことか!

 なるほど……、そういえばジズーは眷属だったぞ……」

「まぁ、キマイラがどのくらい強いのかわからないけど、薫子さんの身体強化でなんとかなる範囲のモンスターでよかった!」

「キマイラはすごく強いのだ!

 父ちゃんが、子供のボクじゃ勝てないから近づくなって言うぐらいだぞ!」

「じゃあ、一般的にはけっこう強い部類なの?」

「すごく強い部類なのだ!

 それを一発ぶっ叩いただけでこうなるとか……」

「ところで、キマイラって美味しいのかな?

 強かろうが弱かろうが、美味しくなかったら意味がないんだよね」

「キマイラはすごく美味しいって父ちゃんは言ってたぞ?

 でもボクは食べたことはないのだ。

 なかなか手に入らないって言ってたような気がするのだ」

「じゃあ、キマイラをお土産に持っていけば喜んでくれるかな?」

「大喜びだと思うぞ!

 十分すぎるのだ!」

「それはよかった、じゃああとはバハムルん家に運ぶだけなんだけど……、どうやって運ぶかな」

 このキマイラ、バハムートさんほど大きいわけじゃないけど、体長五メートルくらいはありそうだ。

 普通にでかい。

 うーん、いつものように引きずっていくかなぁ……。

 でもお土産だからなるべく傷つけたいはないんだけどなぁ。

「確かに、こんなにでかいと運べないのだ。

 よし!ちょっと家から大人を連れてくるぞ!

 ここで待ってるのだ!」

「え?あ、わかった」

 バハムルはあっという間に飛んでいった。

 お土産として持っていこうと思ってるものをその訪問先の人に取りに来てもらうとか、意味のわかんないことになってしまったけど。

 本末転倒な気もするけど、俺じゃ運べないし、申し訳ないけど手を貸してもらおう。


「ジズー!

 待たせたのだ!」

 バハムルが人を二人連れて戻ってきた。

「ジズー様でいらっしゃいますね?

 私は竜王様の元で下働きをしております、クリスと申します」

「同じくレオと申します。

 いつも坊っちゃんがお世話になっております」

 そう言ってお辞儀をする二人。

 二人とも執事服のような服を着ていて、できる人オーラが出てる。

 顔が中性的でキレイな顔立ちだからちょっと判断に困るけど、男物の服を着てるから男だよな?

「これはこれはご丁寧に。

 こちらのほうこそバハムルには助けられています」

 ついペコペコしてしまう、しょうがないよね日本人だったもの。

「てか坊っちゃんって呼ばれてんだね、バハムル」

 ちょっと笑ってしまった。

「やめてくれって言っても誰もやめてくれないんだぞ!」

「坊っちゃんは坊っちゃんですので」

「ええ、坊っちゃん以外考えられません」

「はは、愛されてんじゃんバハムル」

「こんなの嬉しくないぞ」

 ちょっとムスっとしてほっぺを膨らますバハムル、そういう態度が坊っちゃんなんだよなー。

「坊っちゃんにキマイラを運ぶのを手伝うよう言われて来たのですが、冗談かイタズラだと思ってついてきたのですが……。

 本当だったのですね……」

 キマイラを見上げて少し驚いてるクリスさん。

「ジズー様、お怪我はございませんか?」

「大丈夫ですよ、キマイラが攻撃する前に倒せましたので」

「えぇ?ではパンチ一発で倒したというのも本当の事だったのですか?」

「ええ、まぁ。

 でもすみません、バハムルには怖い思いをさせてしまいました。

 無知でお恥ずかしいですが、この森のことが全くわかってないもので。

 危険な場所にバハムルを連れて行く結果になってしまい、申し訳ありません」

「頭をお上げ下さい、ジズー様。

 竜王様の言いつけを守らなかったのは坊っちゃんです。

 坊っちゃん、この事は竜王様にはご報告しておきますね?」

「はい……」

 バハムルがしょんぼりする。

「俺のせいでもあるんだ、一緒に謝るからそうしょんぼりするなって」

「ありがとうなのだ!」

「ではキマイラをお運び致します。

 どちらにお運び致しましょうか?」

「あ、ちょっとバハムートさんに相談したいことがありまして。

 それをお土産にお邪魔しようと思ってましたので、バハムートさんの家に運んでいただければ助かります」

「かしこまりました」

 一礼してクリスさんとレオさんが二人でキマイラを持って宙に浮く。

 だけど、見るからにすっごく重そうだ。

 超無理してるだろこれ。

「あの、あまり無理はしないほうが……、二人では重すぎるのでは?

 あ、そうだ。

 ペガサスの友人が三頭いますので、手伝ってもらえばなんとかなるかも」

「ご心配には及びません」

 そう言うとクリスさんとレオさんがドラゴンに変身した。

「え、ドラゴン?

 二人ともドラゴンだったんですか?」

「はい、思っていたより少々重かったので、失礼ながらこちらの姿でお運び致します」

「あ、いえ。それは全然失礼でもないので別にいいんですが……、びっくりしたー」

「では参りましょう」

「ジズーはボクの背中に乗るのだ!」

「あ、ああ。

 ありがとう」

 ちょっとびっくりしたけど、お土産も無事運べそうだし、よかったよかった。

 バハムートさんの家かぁ、どんなとこかなー。

 ワクワクしながら、俺はバハムルの背中に乗った。

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信長の秘書

別作品の投稿を始めました。
今は仕事が忙しくて書けてませんが、しばらくはストックを投稿していこうと思います。
よろしければ、そちらもお読み頂ければ幸いです。

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