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飛べない鳥の王  作者: 玉様ぺんぎん
浜辺にて
8/12

初めての仲間

 俺が考えたのは、もし『全知の悪魔』(ラプラス・デーモン)『書庫の妖精』(ライブラリアン)『本の精霊』(インデックス)等を使役する事が出来れば、自分で『情報検索』(データ・サーチ)『情報閲覧』(ステータス・ピーク)が使えなくても必要な情報を教えて貰う事が出来るんじゃないかという事。


「雰囲気的に悪魔とかより妖精や精霊の方が良いけど…」


 ページを捲りながらその方法が可能かどうか考える。

 …結論から言うと可能だと思われる。

 方法としては二通り…『呪術』か『召霊魔法』。

 どちらも『本の精霊』を召喚して交渉する事が可能だと思う。


「どちらかというと汎用性の高そうな『呪術』の方が有望かな?」


 欠点は『召霊魔法』に比べ『呪術』の方がランクアップに苦労しそうな事。

『召霊魔法』や『回復魔法』等は系統魔法と呼ばれ、使えば使うほど熟練度が上昇し、伴ってランクアップしていく。『呪術』や『法術』は理論魔法と呼ばれ、それぞれ対応した知識知能系のスキルを上昇させ、その上で熟練度を上げて行かなければランクアップしていかない。他にも職業魔法なんて呼ばれてる『農業魔法』や『調合魔法』等の系統もあり、これは対応した一般技能スキルをランクアップさせないといけない。


 知識知能系を上昇させる方法は勉強する事…誰も居ない浜辺で、『基礎呪術』の儀式のやり方や『基礎法術』の魔法言語等を、資料(マニュアル)も何もない状態で勉強する…無理!

 同様に道具も材料もない状態で『農業』や『調合』を、これ以上スキルアップさせる方法も思いつかない…訳ではないが、現状では「異世界の歩き方」を使う他にそれらのスキルをランクアップさせる方法は苦行としか思えない。

『回復魔法』をランクDにした時の感覚から、この本に頼り過ぎるのは色々危険な気がする…。


「つまり、『呪術』を習得しても当分の間はランクFから昇格する目途は無い訳だが…

『召霊魔法』は精霊とか死霊とかが対象らしいんだよなぁ…」


 精霊って言うと、『火蜥蜴』(サラマンダー)とか『風乙女』(シルフ)とかが有名、勿論『本の精霊』も精霊に含まれるだろう。死霊ってのは要するに『お化け』とか『動く死体』(ゾンビ)とかか?

 折角、称号が有るのにどちらも『飛べない鳥』じゃない…まあ、『ニワトリの精霊』とか『ダチョウのゾンビ』とか居れば別かもだけど…


「それにずっとこの浜辺で一生を過ごすつもりもないし…そのうち人里にも行けるだろうから、『呪術』だって修行できるだろ…」


 そんな訳で『基礎呪術』スキルを習得、続けて『呪術』スキルも習得…『召喚』(サモン)『契約』(コントラクト)の魔法を習得。


「『召喚』は、ランクが低いと周囲に存在する低位の何かをランダムで呼び寄せるだけか…『契約』はランクが低いと相手がちゃんと納得していないとダメな上に、相手の都合で一方的に破棄される場合もあるのか…」


 とりあえず目の前に本も有るし、運が良ければ何回か試行するうちに『本の精霊』も召喚されるだろう…


「さてと…『召喚』!………

 ん………なにも来ないな?」


 っと、思ったが目の前にフナ虫が…踏み潰す!

 足の裏は汚れたので『凝水』を使って洗い流す…


「『召喚』!」


 今度は海から『水乙女』(ウンディーネ)が現れた…交渉を持ちかけようとするも言葉が通じず、彼女は去って行った。


『召喚』!

『召喚』!

『召喚』!

 ………………『召喚』!


 休みを取りつつも数十回の試行、内訳はウンディーネ…1回、シルフ…1回、小魚…2回、フナ虫?…沢山、召喚失敗…数回。

 そろそろ疲れてきた…


「『召喚』!………あれ?」


 失敗した感じでもないのに、待ってもフナ虫すら現れない…


(何か御用ですか?)


 姿は見えないけれど、声が聞こえる…


「お前は『本の精霊』か!?」


(そうですが…?)


「話しかけ難いな…まず姿を見せろ。」


(肉眼で見える姿を持っていませんです…魔力感知で感じ取れるはずですので、それで我慢してください。)


 そうか『本の精霊』には姿が無いのか…てっきり、図書委員の女の子的な姿を勝手にイメージしてたんだが…


「昨日、異世界から転生してきたばかりで何もかも知らないことばかりなんだ…助言がほしい。」


(私は「異世界の歩き方」の『本の精霊』です。その本と同様に貴方を助けることは存在意義(アイデンテティー)に合致します。本に記載されている内容で宜しければお答えします。)


「『本の精霊』なら『情報検索』(データ・サーチ)『情報閲覧』(ステータス・ピーク)も使えるはずだよな?」


(勿論です。但し、本の内容伝える事以外は本来の使命から逸脱する行為なので報酬を頂きますよ?)


 声と同時に何か試す様な探るニュアンスが伝わってくる。


「報酬?

 …それは魔力とかで良いのか?」


(基本的にはそうですね…あと、我々は情報を司る精霊なので、貴方の記憶やら何やらも見せてもらえたら嬉しいです。)


 そうか、『本の精霊』は『情報の精霊』の一種なのか……記憶やら…見せたくない部分も有るけど…


(抵抗なく見せられる範囲で構いませんよ?

 充分な魔力供給を受けられれば、基本的には問題有りませんし…。)


 俺が考える素振りを見せると、少し譲歩したような事を伝えてくる。


「いちいちその都度『召喚』しなくても良いように出来ないか?

 まだ、目的の相手を狙って召喚出来るランクが無いんだ。」


(現状、私の存在を維持するだけなら…『不可視の指』を使い続けるのと大差無い程度の魔力供給で可能です。本の内容にそった助言や会話程度なら追加の供給は不要です。情報を閲覧したり検索したりとかをするなら、適時に適当量の魔力をいただきますが…まあ、貴方に余り負担に成らない様に配慮しますよ?それでどちらかが不満を感じる様になれば『契約』を解除してしまえば良いだけですし…。)


 契約の期間や更新はお互いの満足度しだいか…まあ、良いだろう。


「了解した。まあ、不満があれば『契約』を解除する前に相談してほしいな。あと、ストレスにならない範囲でなら記憶とかを視るのも構わない。」


(では、『契約』成立ということで…)


 …こうして俺は初めての仲間(脳内)をてにいれた。

初めての仲間(脳内)Σ(-_-;)脳内って…

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