『不可視の指』
ついに( ̄^ ̄)つ「魔術習得しました」
俺が最初に修得することを決めた魔法は、魔術『不可視の指』だ。
説明文には「不可視の指を作り出し操ることができる。グレムリンの能力を魔術化したスキル。上位スキル『不可視の手』」と、記載されている。
具体的に何が出来るとは記載されていないが、翼や嘴でページを捲るのは疲れたし、指が無いのは不便すぎる…
スキルは習得すると自然と使い方も頭に浮かんでくるらしく、この魔術は目に見えない指を一本だけ作り出し手の届く範囲で自由に動かせる魔法のようだ…俺はすぐに『不可視の指』を発動させページを捲ってみる…とりあえず、ページを捲ることは簡単にできるようになったな…
『不可視の指』は、翼の位置とは関係なく概ね手が届きそうな範囲(目線から半径1メートルくらい?)で動かせるが、何かに触れるのは指先位の範囲だけで、腕や手のひらなどは付随していない。もちろん関節なんかもなく、普通なら手の届かない背中の痒い場所を掻く事も出来る…見えない為、難しいが出来る…。
現状、何かを持ったりは出来そうにないがスキルのランクが一つ上がってEになれば指二本でつまんだりできそうだし、ランクCまで上昇して『不可視の手』を習得できればちゃんと掴む事も可能になりそうだ。
ページを捲るのが幾分楽に出来る様に成った俺は、段々と読書に没頭していく。途中、空腹を感じ、瓶から乾燥させたプラムらしき果実(植物学のスキルが有るお陰か、それが食用の物だと判別できた。)を食べたりもしたが、気付いた時には周囲は薄暗い夕闇に包まれていた。
…がさっ!
物音に視線を上げると、何やら黒い影が覆い被さる瞬間だった。咄嗟に身体を捻ると肩の辺りに激痛が走る。
「なっ?」
覆い被さってきたのは俺の背丈程もある大型の獣らしき何かだった。
咄嗟に身体を捻らなければ、肩に食い込んだ牙は首筋を捕らえ、一貫の終わりだったかもしれない。
俺は右肩を下にして床に抑え込まれ、左肩には獣の牙が食い込んでいる。獣は前足で俺の上体を踏みつけ、肩の肉を食いちぎる。
「がぁっ!」
傷は痛いを通り越して熱い。俺は、上体を抑え込まれて居る為、翼も嘴も敵には届かない。
何とか逃れようと身を捩り上を向くと、止めを刺そうとする獣の牙が見える。
口許を血で汚した顔は猫科の獣の様だ。
俺は必死で身を捩るも前足の下から脱け出す事は出来ず、なんとか牙をかわすのが精一杯。
体術スキルなんかじゃどうにもならず、獣が牙を向くタイミングに会わせて嘴を鼻先に叩き付けて防ぐのがやっとだ。
このままじゃ殺される!?
獣の顔は目の前だ!
咄嗟に発動させた『不可視の指』を獣の左目に捩じ込む様に突く。
「ギャンッ!」
獣が驚いて離れた隙に距離をとり睨み付ける。
獣は左目から涙を流しながら、此方を警戒している。
俺は身体を起こし獣を睨み付けらる。
一瞬の睨み合いののち獣は身体を翻し夕闇に消えていく…
「…助かったのか?」
暫く獣が去った方向を睨み付けていた俺は呟いた。
肩に走る激痛、脂汗をかきながら周囲をさぐる。
視覚や聴覚で周囲を探ってもなんの気配もない、魔力感知でも周囲には何の反応もない。
「助かった…痛っ!」
肩の痛みは激しく、そこに心臓が有るかのようにドクンドクンと痛みを伝えてくる。
血は流れ続けているし、このままでは出欠多量で死んでしまうのも時間の問題だ。
しかもΣ(-_-;)初の戦闘シーン!?