草原にて……
秘密基地建造は男の子の必須スキルです(^-^ゞ
今日の午前中は、昨日と同様に岩場に赴き小魚等でブランチをいただき、作業台として使えそうな大きめの平たい石と片手で持てそうな硬めの石を持ち帰る。
(昨日の石英や黒曜石もそうですが、何に使うんですか?)
「何もないからな……とりあえず石器から作って見ようかと思ってね……。」
今の所持品は……小舟一艘、乾燥プラム入りの壺(中身は半分くらい)、木箱(開けられない)二箱、空の壺一つ、ロープ一巻き、昨日今日に拾った石と流木の枝……。
身を守るのは体術でも良いが、もう少し文化的な生活がしたい……。
(種族的に加工は苦手だから大変ですよ?)
「スキルは取らないよ?一般技能ならスキル無くても出来るんだろ?」
(品質や完成度を気にしないなら出来ますけど……。)
間に合わせの道具を作るためだけに、わざわざ『石工』スキルなんて取りません……。
小舟に戻ると、今度は東の草原へ進んでみる。一言で草原と言っても色々あるが、ここは俺の胸元位の草丈がある小高い丘に成っている。広さは野球グラウンド四枚位かな?その向こうは林と森で遮られて見えない。
「森に近付くのは、未だ早いよな……獣、怖いし。」
生えていた蔦を抜き取り、葉っぱを落とす。稲科の雑草みたいな草を集め、細目の蔦で直径10センチ程の束にする。束が一抱え程貯まったら、太めの蔦で大きめの束にする。
「結構、手間がかかるな……。」
大きめの束が3つ出来た段階で、担いで小舟に戻る。小舟に戻ったら大きめの束をほどき、小さめな束で干しておく。三回くらい小舟と草原を往復したら夕方に成ったので乾燥プラムを食べて寝た。
翌日も同様に午前中は岩場に、午後は草原へ出かける。今日の午前は石ではなく、出来るだけ真っ直ぐな乾いた流木を探し持ち帰る。午後は前日と同じ草の束だ。草は満遍なく乾燥させるために時々裏返したりもする。夕方になると昨夜同様に乾燥プラムを食べて寝た。
翌日も同じだった。
(そろそろ、こな小舟の上も手狭に成ってきましたね……。)
草集めを始めて5日目、『本の精霊』が言ってきた。
(そろそろ最初に集めた草は干し草に成ってきていますよ。)
「束の中の方が未だ湿ってる気がするけど、そろそろ良いかな?」
最初に集めた束をほどき、中を確認……問題なさそうな束だけを集め、壺の底に敷き詰める。簡易式の干し草ベッド完成だ!
「良く干した干し草は太陽の匂いがする。」
今夜は良く眠れそうだ。今までは直接壺の中で寝てたので体の節々が痛かったが、これで快適に眠れる。人間だった頃はシーツ無しで直接干し草のベッドになんか寝たら草がチクチクして大変だったが、今は自前天然の水鳥羽毛も有るため、かなり良い感じ。
壺が勝手に転がって行かないように拾った石とでとめてある。
入口は俺が出入りできるだけの隙間を開けて船縁で隠し、小舟の外からは直接見えない様にもしてある。
干し草と同時進行で集めた流木は、干し草の束だをほどいた事で余った蔦で縛り、小舟を雨風から守る屋根を設置する予定だ。
屋根は流木の骨組みに藁(干し草)葺きの物にする計画だ……ここまで晴天が続いたが、いつまでも続くか判らないので、出来るだけ早いのが良い。他は取り敢えず後回し……。
……最初に浜辺で目覚めてから概ね二週間程度経過……。
「遂に我が家の完成だ!」
(作りましたね~……本当に。)
「なんと言うことでしょう……浜辺に打ち上げられた小舟が……、今は藁葺き屋根の素敵なコテージに。」
気分は『劇的な前後』だ。
「出入り口には木で組んだ梯子が、ペンギンの体でも登り降りしやすい大きさで設置され……中に入ると足元には砂が敷き詰められています。今までは直接硬い木の船底に座って居たため痛かった腰が、柔らかい砂によりより快適に。しかも、その砂の上に石で組んだ釜戸が設置され、火を焚いても船底が燃える心配も有りません……もう、わざわざ外に出て火を焚く必要が無くなったのです。」
(のりのりですね……。)
「だって、テンション上がるだろ?」
「トムソーヤ」のツリーハウスや、「岩窟王」の横穴式住居も捨てがたい……ほとんど草原関係なかった(-.-)y-゜゜゜