岩場にて…
砂浜の西側には岩場があり、その先は3から5メートル程の高さの崖が切り立っている。
ペンギンの身体では登れそうにない。
北を見ると、崖はそのまま森の向こうまで続いているようで、迂回しても崖の向こうに行くのは難しそうだ。
崖からは滝が流れ落ちていて、小さめな滝壺から岩場を通り海へと川が流れている。
また、崖の所々では湧き水も出ているようで、岩場は所々で苔むした小川に分断されている。
(湧き水は、そのまま飲んでも問題なさそうです。川や小川は一部海水と混ざって薄い塩水の所も有りますので注意してください。)
視線を向けると『本の精霊』が解説してくれる。
飲める水が有ることは良いことだ……たとえ魔法で水が集められると言っても魔力は無尽蔵ではないし、複数の入手手段が有るにこしたことはない。
「…苔とか食えるかな?」
(害は無いですが美味しく無いと思いますよ?海草か水草でも探した方が有益だと提案します。)
周囲では小蟹、小海老、小魚等か居るらしく、生命力感知には時々小さな反応が有る。有効範囲は足元直ぐ位に狭いので、探すのは大変だが……居れば判るので、気が付いた時は捕まえて食べた。
「こういう所で元日本人は有利かもな…?。」
生食文化万歳だな……。
(殻や骨ごと食べて平気な人は日本人でも少数派だと思いますが……?)
信州の山奥出身だからな……好んで食べたいとは思わないが、虫や蛇も平気で食べる。蜂の幼虫や小鳥の丸焼きはご馳走です。
「翼で殻が剥けるほど器用じゃないからな……。」
(でも、だいぶ器用に成ってきたじゃないですか?)
『不可視の指』を親指に見立てて、翼の先端と同時に使うことで、物を摘まんだり出来るようになりました。
「指先だけで掌がないから摘まむだけだ。未だに握ったり掴んだりは出来ないけど……便利には成ってきた。」
見付けた端から食べてお腹が満たされると、だいたいの地形を覚え、河原の石に含まれていた石英を片手で抱えられるだけ抱えて小舟に帰る。
「暗くなる前に帰らないと……足が遅いからなぁ……。」
家に帰るまでが遠足です……(-.-)y-゜゜゜