私の中の葛藤
そんなこんなで私はシリルと一緒に山に登っていた。
競争という関係上、私達のほうが先に出る事になってしまったので、カタリーナ達に申し訳ないというと、
「いいわよ。後から追い上げられて、爆音が後ろから聞こえるよりはいいもの」
にこやかに告げたカタリーナに、私はなるほどと思った。
登っている途中で戦闘になる可能性もあるわけで、しかも、
「あのアーサー様が罠を仕掛けてくる可能性もあるわけですね?」
「それはありえるけれど……フルール、今何を考えたのかな?」
「いえ、今すぐ私の力で飛んでいって、罠を大量に仕掛けて、他には道に迷わそうかと」
「……今日は二人で一緒に力を合わせて頑張るんだよね?」
「そうでした」
つい効率的に敵を殲滅する方法について考えてしまう。
けれど今日はシリルと一緒に力を合わせて採りに行く約束だったのだ。
「……フルール、一つだけお願いがあるんだ」
「? 何でしょう」
そこで真剣な表情のシリルが私の肩を掴んで、
「絶対に、あのアーサーみたいな脳筋にはならないように」
「え? あ、はい」
「これだけは約束してね、恋人として」
「はい!」
そう私はシリルに答えて、更に進んでいったのだった。
途中、魔物に遭遇することもあったが、
「シリル様、危ない!」
そうやって気づけば先手必勝というがごとく、次々と魔物を私は倒してしまっていた。
やはりシリルが怪我をしたら嫌だしというのも多分に私にはあったのだけれど、私にはこれだけのチカラがあるんだしと思っていた。
はっきり言って思い上がっていた部分もあるのだけれど、そんな折にシリルが、
「フルール、自分一人で全部抱え込もうとしないでね」
「! で、でも……」
「今日は二人で頑張ろうって約束だったよね?」
「……ごめんなさい」
「フルールは真面目だからメイドの仕事を頑張ろうとしているのだと思うけれど、今日は恋人としてきているんだから、もう少したまには僕に守らせてもらえると嬉しいな」
「……だって私だって、シリル様のことが大好きだから守りたいって思うんです」
「その気持は嬉しいけれど、フルールが好きな僕だってフルールを守りたいし、いい所を見せたいって思うんだよ?」
「はい、分かりました」
そう私は答えるとシリルが笑う。
未だに夢みたいで、私は焦っているのだろうか?
少しでも自分の価値を見出していい所を見せようと思ってから周りをしているのかもしれない。
思い当たる節は一杯ある。
もう少し私はシリルに甘えてもいいのだろうか?
見上げると手を引くシリルが私の前を歩いている。
私にはきっと迷いがあって、だからそんなふうに頑張ってしまうのだろうか?
頭のなかがぐちゃぐちゃで上手く考えられない。
こんなふうに誰かをすごく好きになって両思いになったのが初めてだからだろうか?
そう私はぼんやりと思っているとそこでシリルが困ったように、
「いい所を見せる前に目的の場所についてしまったみたいだね」
苦笑するようにシリルが告げ、同時に私の目の前には切り立ったがけに開いている大きな洞窟が現れたのだった。




