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高性能メイドは、やれば出来る子です!  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第一章 メイドになった私が御主人様と普通に恋に落ちるお話(嘘)
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動物園で

 手を異性とつないで歩くという行為事態が私には何故か緊張する。

 そして行く先々で女性やら男性やらの視線を感じる。男性の視線を感じるたびに、ついシリルの服装を確認してしまうが、何処からどう見ても男性の美少年である。


 つまりこの視線を投げかけてくる男性は、私を見ているのだ。

 今までに経験のした事のない状況に私は大声を出して逃走したい感覚に陥る。

 だが、今日はシリルの仮の恋人なので頑張らねば。というかシリルに惚れた女の子を演じなければならないので、こう、好意を持ってもらうためにする行動が必要で。


「どうすればいいんだろう」

「? どうしたのフルール」

「仮の恋人なので、シリル様を好きになった女の子として女子スキルを駆使しないといけないらしいです」

「……嬉しい気もするけれど、僕がそれ以上やられるときついからほどほどでお願いします」

「きつい?」

「フルールは女の子で僕は男。もう少し意識してもらえると嬉しいな」

「は、はい、すみません」


 一応は異性なのでその気もないのにそういった行動をとって、誘惑してしまう可能性もあるのだ。それをある程度考えて行動しないとと私は思う。

 やがて歩いていると動物園が見えてくる。

 大きな黄色い看板が目印だ。入場料は……偶然にも今日は女性が半額の日で、シリルが払ってくれると言うのでお言葉に甘えた。


 中に入ると、今日は猫デーという物であるらしく、そこそこ広い場所に柵があり、その中で猫と触れ合えるようだ。

 大きい猫も子猫もいて、黒い猫、白い猫、茶色い猫、まだら模様の猫……などなど、ここは天国かというくらいにもふもふな感じである。

 しかもニャーニャー鳴いていたりする。

 餌もあげられるらしい。


 実は私猫好きなのだけれど、この都市に来てからは触れる機会が全くなかった。

 猫カフェなる、お猫様にお会いできるカフェもあるようだけれど行く機会がなかった。

 つい立ち止まって見ているとシリルが小さく笑いをふくんで、


「フルールがあの猫達と遊びたいなら言ってきてもいいよ?」

「本当ですか!」


 顔が気付けば自然と笑顔になっていて、そんな私をシリルが見て更に笑みを深くする。


「フルールはやっぱりそうやって笑顔でいるのが可愛いよね」

「や、止めて下さい。口説かれているみたいじゃないですか」

「恋人を口説くのは当然だよね」


 そう返されると、言い返せない。

 でも嬉しいけれど何となくもやもやする。

 だって私はシリルの本当の恋人じゃない。

 そしてそれでいいと思っている。


 本当に?


 ふつりと湧いた疑問に私は体をこわばらせるが、そこで目の前にぬっと白い子猫が差し出された。


「フルール、はい、温厚そうな子だよ」

「わ~ふわふわ~。可愛い……にゃ~ん」


 目の前に現れた猫に、ついでれっとした表情になってしまう。

 私がほおずりしたりしていると、シリルがそんな私を優しく見つめている。

 何だかドキドキするというか、そんな表情は私自身あまり見ていなくて、何だか良いなと思ってしまう。


 思って、見とれてしまいそうになっているとそこでシリルが苦笑する。


「フルールは、分かっていてやっているわけではないんだよね?」

「何がでしょうか?」

「猫と戯れているフルールはとてもいい笑顔で、惚れ直してしまいそうだって思っただけ」

「な、何を言っているんですか」

「はは、どうする? あそこにお昼寝をしている猫がいるけれど覗きに行く?」

「いきます!  じゃあ子猫ちゃん、ばいばい」


 抱いていた猫を地面に下ろす。

 それに子猫はにゃあと鳴いて、他の場所に走っていったのだった。





 それから動物園の中を見て回る。

 田舎の小さな村出身の私は、動物園にはいった事がなかった。

 今回初の動物園だけれど、まず私達がやってきたのは木の上で生息する有袋類のうちの一種、“ヒツジゴアラ”だ。


 耳が三つ頭についた、灰色の毛に覆われた黒く大きい爪を持つ動物である。何でもあの灰色の毛を紡いで糸にすると、陽の光の中で輝く銀糸になるらしい。しかも織った布は最高級のドレスに使用されるという。

 ただしこの“ヒツジゴアラ”はとても凶暴で人を見ると襲いかかってくるため、扱いがとても難しいらしい。

 それを魔法で押さえつけて毛の一部を狩る為に、値段が高い理由にもなっている。


 またこの“ヒツジゴアラ”は食べた果物の種を体内に蓄積しており、それを吹いて木になる果物を地面に落として食べるらしい。

 そこで丁度餌の時間が来たようだ。

 良く見ると、硝子やら結界やら咲くやらで覆われた右端の方に、餌やりの日程が書かれている。


 まずは“ヒツジゴアラ”が入ってこれないようにして、その傍にあるリンゴの木に係員が手を触れる。

 すると見る見る白い花が咲き、枯れて、赤い果実が一つできる。

 土系の魔法ではこういった植物を育てやすくする効果が有ると以前私は何かで読んだことがあったので、ここの係員には必須の能力なのかとも思う。

 そして“ヒツジゴアラ”がここには三体いるためか、幾つもリンゴを実らせている。


 全部で十五個程実らせただろうか。

 係員が、その檻から離れて別の場所から隔てている檻のドアを遠隔操作する。

 カシャンと音を立ててリンゴの木のある方へと繋がると共に、“ヒツジゴアラ”がやってきて種を飛ばす。次々とリンゴが落ちて、それを地面から回収して“ヒツジゴアラ”は食べている。面白いなと思いながら私は覗きこみつつ、


「器用にやる物ですね」

「そうだね。こうやって動物園で見る分には楽しいんだけれどね」

「? シリル様は、動物園以外であの可愛い“ヒツジゴアラ”とあった事があるのですか?」


 説明書では危険なようだがあのもこもことした姿やポケットは可愛い。

 なので、何となく聞いてみるとシリルは、


「……色々大変だったんだ。話を振って悪いけれど聞かないでくれ」

「分かりました。じゃあ次に行きましょうか」


 そう私は流して次の檻に向かう。

 そこにいたのは、“白黒サイ”という白と黒のしましまで先端に角がある動物だった。

 四足歩行の動物だが、動きがとても速いらしい。この角には魔力を魔道具に固着させる成分が含まれており、昔は幾度となくこの“白黒サイ”に魔法使い達は挑み、その角を奪ったらしい。

 ちなみに折れた角は約半年ほどで回復し元の形に戻るそうだ。


 また、それは古い魔道具ずくりの方法で必要なだけで現在は伝統的な魔道具ずくり様に使われるの実で今は必要ないらしい。

 そんな説明が書かれているのを見ながら、


「へぇ、この角が魔道具作りに」

「うん、結構今で愛好家は多いよ。これを使わないと出来ない物もあるし。この前フルールが奪っていた“竜の眠る玉”もそうだよ?」

「そうだったんですか。もしや結構危険な道具の材料?」

「物によるかな。どんな物でも使い方次第ではいい物にも悪い物にもなるしね」


 シリルがそう私に説明してくれて、次に行こうという。

 こうして幾つもの動物を見て回る。

 途中に幾つか知っている動物が私にもあったけれど、珍しい物の方が多いようだ。

 そこで私いは気づいた。


「すみません、私ばかり楽しんでしまって」

「いいよ、フルールが目を輝かせて見ているのを見るのも楽しいし。可愛い子が笑顔でいるのを見るのも楽しいよ?」

「カタリーナ様のお化粧のおかげです」

「そうかな? 僕にはそこまでフルールは変わった様には見えないけれどね。何時もの様に可愛くて綺麗なままだと思うよ?」

「……口説かれているみたいです」

「口説いているんだよ。さて、そろそろ喉も乾いたしあそこで少し休憩していかないかな」


 シリルに言われて動物園内の休憩所に私は向かったのだった。


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