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高性能メイドは、やれば出来る子です!  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第一章 メイドになった私が御主人様と普通に恋に落ちるお話(嘘)
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どうしてこうなった

 昼間はカタリーナの趣味に付き合いつつ、その後はメイドの仕事と共に今日は刺繍を教わった。

メイドにこれは必要な能力なのかというささやかな疑問が浮かびはしたが、とりあえずはこなしてようやく夜がやってきた。

 今日は夜、シリルが何か用事があるらしく家を開けている。鉢合わせしないようにしないとと私は思う。


 メイドの服はきちんとたたみ、ありふれた服装にしその上から黒い布を私はかぶる。

顔だけ空いた黒いテルテル坊主のような格好だ。

更に茶色いストッキングを頭からかぶり、顔すらも判別できなくする。


 怪しい風体ではあるがこれは誰にも知られずに秘密裏に行動する為に必要なのだ。

 というわけで、本日も目的地、この屋敷の南側にある廃工場に向かう。

 彼らの集会というか集まりの様な物がそこにあるらしい。


 ばれないようにそちらに向かい、今日もそちらを潰さねばならない。

 私はそう思いながら早足で進んで行く。

 今回はこの屋敷の近くで助かったわと思いつつその廃工場に向かう。


 だが、その場所に来て私は異変に気付いた。


「静かすぎる?」


 何時もならば数人が集まって話ていたりするのだが話声すらに。

 まさかと思って思い当たるのは、


「私が来ると読まれていた?」


 もしそうならば警戒すべき相手だろう。

 何時もとは違う、そう思いながら周りを見回して、敵がいるかどうかを調べる。

 風の魔法を使いまわりに敵がいないかを確かめ、更にその先に進もうとした所で背後から手が伸びてくる。


 白い手で、すぐに私の口をふさぎ、もう片方は私の腰に手をまわしてぐっと抑える。

 気配すら何もなかった。

 私は焦って抵抗しようとすると、くすくすという笑い声がして、


「フルール、何をしているのかな?」

「! んんんっ」

「あ、これじゃあしゃべれないよね。悲鳴を上げられると夜遅くなので、皆が眠っているからいけないかなと思って口をふさいじゃった」


 笑いながら口から手が放される。

 私は慌てて振り返ると、そこには予想通りシリルがいた。


「シリル様、何故ここに?」

「それは僕が聞きたいよ。“翡翠の涙”という集団を壊滅させている変な人物がいるらしいから先回りしていたらやっぱりフルールだったし」

「! どうして分かったんですか?」

「僕も色々と情報網を持っているから。でも何でこんな危険な事をしているの?

 僕は言ったよね? フルールが怪我をする様な事はしないでくれって」


「う、で、でも“翡翠の涙”の関係があるから、シリル様はお見合いを受けてくれないんですよね?」


 そういう結論に達したので私は、そこら中のアジトを潰して回ったのだ。

 決して遊びとかそういうものでは無くて……そこでシリルが黙ってしまう。

 黙ってから私の黒いフードをとって、次に顔を覆うストッキングを引っこ抜くようにとってから、そのまま顔を近づけてきて……。


 綺麗な顔だよなと思っていると私の唇に何かが当たった。

 それは温かかった気がする。

 なるほど、どうやら私はキスされているらしい、と思考してから私は固まった。


 顔が熱い。頭が沸騰しそう。

 そもそもこんな経験は初めてというか、ええっと。

 混乱している内にシリルの顔が離れていって、


「僕がフルールを恋愛感情で好きなのは本当。だからフルールが怪我をしないで欲しいと思ったんだ。そして君は僕がどうしてお見合いをしないのか勘違いをしているようだから行動で示した」


 まっすぐに私を見るシリルの表情は真剣だった。

 嘘を言っている感じでもない。

 誤魔化しているふうでもない。

 彼は本当に私が好き……なのかもしれなくて。


 人生初の経験に私は戸惑い動けない。

 そんな私を見ながらシリルは頬笑み、


「今までフルールに嫌われたらどうしようかと思ったけれど、こんな危険な事をするなら僕もこれからはもっと積極的に落としにかかるから。あ、他に就職しようとしたら、それは全部僕が潰すから」

「え、あの……」

「僕の勝負、受けてよね。これはご主人様の命令だからはいって答えないといけないよ」

「はい」

「いい子だねフルール。じゃあ僕はこれから全力でフルールを口説きに行くから、楽しみにしててね。僕以外の事なんて考えなくしてあげるから」


 そう宣言されて私はシリルに手を繋がれながら茫然と屋敷に帰る。

 そして部屋までやってきてお休みと別れて、私はそのままふらふらとベッドに座り、ぼんやりとしている内によがあけてきて……。


「どうしてこうなった」


 夢の世界を漂っていたような私の意識はそこでようやく戻ったけれど、結局その日は一睡も出来なかったのだった。


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