よし、お見合いを成功させよう
撮影会は楽しく行われて、私はいつものようにメイド服に着替えた。
先ほどはカタリーナがにこやかにほほ笑みながら、
「また一緒にドレスを着ましょうね、今度は私とお揃いで」
「フルールは僕のメイドだから!」
とシリルが叫んでいた。そしてシリルがいっそアルベルクを女装させろと騒いだ所、カタリーナがじーっとアルベルクを見て、
「そうね、それもいいわね」
「待て、カタリーナ。俺の何処にそこのシリルの様な女性らしい側面がある!」
「私が見たいから良いの」
「え、いや、え?」
「私が見たいから良いの。そうね、それもいいわ……」
楽しそうに何色が似合いそうかしら、いっとウェディングドレスもいいわねといいだしてアルベルクに止められていた。
そういえばカタリーナの母はシリルの母親と姉妹だったので同じ思考なのだろうと私は思う。
そんなこんなでメイドのお仕事というかスキルを、という事で今日は財政管理関係の授業を受けさせられる。
「メイドならこれくらいできないといけないんだよ」
シリルがにっこりと笑いながらそれを教えてきたので、そうなのだろうと思って私は頑張っていた。
やはり小説のメイドと現実のメイドは違うらしい。
けれどこれは全部ご主人様のためと思って私は頑張っていた。
そして、シリルが一緒に食べたいからという理由で夕食を食べて、そこでシリルが、
「……そうだよね。黙って手をこまねいているだけで無くて出来る限りの事はしないと」
一人シリルは頷き、シリルの両親と何やら話す事にしたらしい。
そして私は、メイド用の部屋(何故か一人部屋。狭い方が良いと言ったが、そこそこ広い)にあるベッドで横になっていた。
今日の出来事を反芻して、いらなくなった今日の新聞を持ってきた。雨の日にはアイロンがけが必要になってくるそれは、連日の晴天のおかげで特にそのような手間は必要なくなっていた。
その情報から、今日攫われた相手について読みとっていく。
どうやら彼らはよくこの家に出入りしている怪しい輩も彼の一部であるらしい。
それならばきちんと全部把握しておかないとと思って一通り見る。
「そもそも最近シリル様にメイドとして重用されているからって、重要視しすぎね」
たかがメイドを攫おうとする辺りで彼らは何も分かっていない気がする。
だが巻き込まれるのであれば私も私で対応せねばならない。
そこで私は気づいた。
「そうなってくると、シリル様のお見合い相手も狙われる事になるのか?」
もしも気に入って相手がいても、あのシリルの事だから大切な人がいればその人を守る為に手をひいたり、迷惑をかけたりしないようにと遠慮するのかもしれない。
となると、この時期に私をメイドにしたのは……悲しい気持ちにはなるけれど、
「まさか私の才能をあの時見抜いたのかな?」
少なくとも今日攫われた後は自力で戻ってこれたのである。
独学で使える魔法は限られていた。
けれどシリルの教育のおかげでここまで成長できたのである。それを考えるとシリルに先見の明があったと言えるだろう。
「やはりシリル様は素晴らしい方だわ。だから素敵な人とのお見合いを成功させねば」
そこまで私は考えて私はある邪魔者に気付く。
今日攫った彼らである。
彼らがいるからシリルはお見合いすらも出来ない状況ではないのか?
「……潰すか。ろくでもない事をしている連中だし、社会のためよね。明日から情報を集めましょうか」
そう私は呟いて、今日はゆっくり眠ろうと小さく呟き瞳を閉じたのだった。




