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星見
三人が起きた時はすでに空が暗い時間だった。ヴェリタが不意に空へ手を伸ばす。釣られて見上げた先に、
「星が……。」
目を凝らすと大小様々な光の粒が浮かび上がる。月も僅かな輝きを湛え天を渡っていた。
「綺麗!今までゆっくり星を見たことなんてなかったかも。」
大喜びするミラン。しかし、
『昔はもっと綺麗でたくさんの星が見えたらしい。化け物どもを倒したとき、兵器が巻き上げたチリが今も空を覆ってるんだってさ。』
ヴェリタは浮かない顔をしていた。
「何言ってるの。ヴェリタは全然別物じゃない。」
『本当に』
「そう思ってるよ。」
ヴェリタが言い終わる前にミランは答えた。小さく笑い合う。
『そろそろ帰るか。』
暖かな風を受け、ヴェリタは立ち上がった。