不穏な動き
「遂に現れました!郊外で目撃情報です!」
慌ただしく飛び交う声、走り回る人、点灯するモニター群。
「奴らに接触せよ。隠れ家を暴き追い詰めるのだ!これで全てを元に戻し、悲劇の幕を下ろす。」
モニター群の前、指示するのは老人。人々は呼応しその目を輝かせる、それは希望、あるいは闘志、あるいは…憎悪。
彼らはそれを正しいと信じている。とても堅く。誰も止められない―。
ヴェリタたちは今、高台からさらに登った岩だらけの地帯まで来ていた。ミランは上のヴェリタに引っ張られ、下のヴェリタに押し上げられ登っていたが、流石に息を切らし始める。
「ねえまだなの?ちょっときついよ。」
『此処だ。』
岩の隙間にミランの手を掴み入っていくヴェリタ。下り坂になった奥は広い空洞で、ヴェリタが手探りで火を点けると簡素な家具類も照らし出された。
『オレたちの家さ』
ミランは疲れた表情でしゃがみこみかけ、ヴェリタ二人が素早く彼女を抱き上げた。
『早めに帰ってきて良かったな。無理させて悪かった。』
返事はない。ベッドに寝かせ、
『おやすみ』
楽しげにささやいて床に寝っ転がった。
外はほぼ暗い時間。星が瞬きだす時間。