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最後のクローン人間
『着きましたよ、ミランお嬢さん。』
ふざけたしぐさで恭しく言いながら笑うヴェリタ。三人は草原に座り込んだ。
『ところでミランはオレたちみたいなクローンのこと知らないんだったな。とりあえず有名なのをあげると、・魂が二人でひとつ ・ある程度の距離より離れると両方死ぬ
・本体が乗っ取られると暴走する ・常人より身体能力が少し高い …っていうところか。』
「ああ、だから腕を鎖でお互い繋いでるんだ。」
『そうさ。離れるわけにはいかないからな。オレたちはときどき交易路で食べ物とかを盗んで暮らしてる。堂々と街で暮らしてたりしたら怖がられるし、オレたちを狙っている連中がいるから。オレたち、最後のクローン人間らしいんだ。」
「大変なんだね。」
二人の間にいたミランはその銀髪を撫でた。
『オレらより小さいくせに。いくつなんだ?』
「十二歳だよ。」
『オレたちはもうすぐ十六歳になる。』
おもむろに片方のヴェリタがミランにリンゴを放った。
『腹減ってたんだろ。どうぞ。』
リンゴをミランが食べ終わるまで、ヴェリタたちは微笑ましそうに様子を見ていた。