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6 同情なんて、嫌いだ

 俺は夢を見る。もう戻れない日の夢を見る。この一ヶ月繰り返し続けてきた夢を、今夜もまた。


 父さんがいて、母さんがいて、妹がいた。犬を一匹買っていた。

 毎日俺が散歩に連れて行ってやったのに、母さんに一番懐いていた。大型犬で、人懐っこい犬だった。餌をやる相手には誰であっても簡単にしっぽを振るから「番犬にはなれないね」と言ったのは妹だ。

 犬はそう言った妹を、はち切れんばかりに左右にしっぽを振りながら見上げていた。どうやらつい前日、妹に揉みくちゃにされたことさえ覚えていないらしい。あの時は今にも死にそうな顔をしていたのに。

 今の犬は涎だらだらで、とても期待に満ちた目で妹を見詰めていた。妹が手にソーセージを持っていたからだ。あれは本当にバカ犬だったと思う。

 特別なものなど何もなかった。

 学校に行って友人と馬鹿を言い合う毎日。漫画の話とか、担任の悪口とか、積み重ねたからといって何になるでもない詰まらない話題ばかり。でも、それが楽しかった。

 中学の頃、部活で卓球をしていたけれど、良くて県大会の一回戦に勝てる程度の実力だった。だから、高校ではもう部活には入らなかった。今は少しだけ勿体ないことをしたかなと後悔している。高校に入って急に才能が開花したかもなんてことは微塵も期待はしていないが、卓球部のマネージャーが結構可愛い子だったことに後になって気づいたからだ。

 せっかくの高校時代なんだから、可愛い彼女が欲しかった。もしかしたら、部活がきっかけで彼女とお近づきになれたかもしれないのに。それだけは今も悔やんでいる。


 他人から見れば、多分興味も持てないようなありきたりの毎日。

 でも、そこには家族がいて、友人がいて、当たり前の日常が当たり前にあって。

 その時は何にも感じていなかったけれど、とても幸せだったんだと無くした今になって思う。


 夢を見ている途中で、ふと気づく。これは夢なんだと。

 一度気がつくと、もう駄目だ。幸せだった情景は一気にひっくり返って闇色に染まる。逃げようと思っても、暗闇に足を取られてしまう。


 ティアナとして過ごしていたとき、俺は自分が少しも不幸だなんて思っていなかった。比較すべき対象を持たなかったからだ。だから、気づかなかった。自分が一人なのだと知らないままだった。


 自分に見向きもしない両親。丁寧に接してくれながらも、あくまで他人行儀な使用人たち。公爵令嬢に正面から向き合ってくれる人はいなかった。

 唯一、友人だと信じていたアルフレッドは俺の監視者だった。彼はいい奴だったけれど、結局は俺を騙す側の人間だった。立場を思えば仕方ないのだと分かっている。だが、感情はまた別物だ。


 俺は一人だった。

 大勢に囲まれながら、衣食住に困ることもなく生きてきた。でも、一人だった。


 毎晩のように見る過去の自分の姿は悪夢そのものだ。

 それが幸せであればある程、悪夢だと思う。もう二度と目覚めたくなる夢なんて悪夢以外の呼びようがない。

 見れば見るほど、今世の自分が如何に人間扱いされていなかったのかを思い知らされる。

 そう、現在の俺は人じゃなかった。道具でしかなかった。


 過去の自分を知っているからこそ言える。きっと同情されることはあっても、今世での俺は誰にも愛されてはいなかったのだ。


 同情なんか嫌いだと思う。

 同情なんて誰でも出来る。何をしなくても出来る。

 現に同情だけで、ティアナの周囲の人間は誰も手を差し伸べてくれなかった。今までの俺はひとりのままだった。彼らは同情するだけで、何もしてはくれない。

 誰よりも近くで俺を不幸という名の見世物にしている。


 ――ティアナ様、お可哀想に。

 ――可哀想なティアナ様。なんて哀れなんでしょう。


 可哀想、可哀想、可哀想。

 誰かの声が歌うように言い続けている。俺は咄嗟に耳を塞いだ。それなのに、歌は止まないのだ。止めろと叫んでも、歌は俺の耳元で鳴り続けている。


 ――やめろよ! やめてくれ!


 暗闇の中心で、俺は叫ぶ。

 可哀想と歌いながら、やつらは俺を見世物にして心の中で笑っていやがる。

 他人の不幸は蜜の味。悲劇ほど見ていて、面白いシナリオはない。

 同情は優しさではないと俺は思う。同情は優越感だ。弱者の弱った姿を見て喜んでいるに過ぎない。

 やつらは同情という甘味を舐めながら、あんな不幸な人間に比べれば自分たちはなんて幸福なのだろうと充足感を得ているのだ。


 同情なんか、嫌いだ。




 俺たちは乗合馬車を使って王都を目指すことになった。

 ここがRPGの世界である以上、道中ではいわゆる魔物と呼ばれるものが現れる。だから、街から街への移動を個人で行う者はそう多くはない。基本的に移動には乗合馬車を使うのが一般的である。

 乗合馬車には聖石と呼ばれるものの欠片が取り付けられており、これが魔物よけの役割を果たしている。聖石は街や村の外壁にも取り付けられているため、それらの場所に魔物が現れることはまずない。

 ちなみに、件の聖石は高濃度のマナの結晶であるとされている。稀にマナの溜まりやすい地域から掘り起こされることがあるだけで、実はかなりの貴重品だ。

 その為、街や村の拡大が難しく、乗合馬車の本数を増やすのも容易ではなかったりという問題もある。人々が出来るだけ一箇所に集まって生活するようになったのも、聖石の問題があるためとされているそうだが、真実は定かではない。俺に言わせればゲームの設定だから、の一言で事足りるのだが。

 要するに乗合馬車は主要な交通機関ではあるが、利用者の割に本数が少ないということだ。結果、貸切などということはまず起きない。見知らぬ誰かと同乗するのが常なのである。


「これから王都に帰るまでの間、俺のことを“ティアナ”と呼んでくれ」


 乗合馬車の停留所へ向かうまでの道中で、俺はクラウスとエリーゼにそう提案をした。

 乗合馬車では赤の他人とも同乗する可能性が高い。俺としては下手な騒ぎを起こすような真似は遠慮したいので、『ただの一般人ですよ~』というふりをして王都へ向かいたいと思っている。

 『ティアナ様』だなんて呼んでいたら、良いところのお嬢さんだというのは筒抜けになるだろう。さすがに俺が今噂の行方不明の巫女だと結びつける者はまずいないだろうが、下手に身分が知れるのは困る。俺は余計な混乱に巻き込まれたくはないのだ。


「出来れば敬語も控えて欲しい。一般人に扮した方が都合がいいのは分かるだろう?」


 身分の高い者が少数でウロウロしているなんて知れたら、盗賊の類にとってはネギしょった鴨にしか見えないだろう。俺はそのまま料理されてやる気は毛頭ないが、わざわざ自ら自分は鴨ですと名乗りを上げてやる必要もない。


「えーと、それじゃあティアナって呼ぶね」


 先に俺の提案に乗っかったのはエリーゼだ。あまり抵抗なくさっさと敬語を止めてしまう辺り、彼女は礼儀作法にうるさい性格ではのだろう。

 そういえば「恋革」の設定では、彼女は母と一緒に十歳になるまではクレヴァー家の領地である片田舎で育ったとかそんなものがあった気がする。貴族の立ち振る舞いを、あまりうるさく言われないような場所で育ってきたのかもしれない。

 ゲームの中でも、エリーゼは元気いっぱいな女の子という感じであまり貴族らしくなかった。メタ的な発言で言うならば、恋のライバルとしての位置づけとして大人しいティアナと対照的な性格になったのだろう。原作のティアナを可憐な百合の花と称するなら、エリーゼは太陽みたいな向日葵だ。

 俺としては貴族のお嬢さんの扱いなんて出来る気もしないので、そちらの方が助かる。高貴な身分の女性の扱いほど面倒くさいものはないと思う。そんな機会があったのかと言えば前世含めて全くないので、推測だが。


「あぁ、よろしくな」


 俺はエリーゼに向かって右手を差し出す。エリーゼはキョトンとした顔で、そんな俺を眺めてきた。


「うーん……、最初からずっと思ってたけど、ティアナって聞いていたイメージとだいぶ違うかも? 巫女っぽくないというか、貴族らしくない?」


 首を捻りながら、エリーゼがそう呟く。

 うん、それはエリーゼにだけは言われたくはないな。




 さて、俺がクラウスたちと王都へ向かうことになったのは、俺たちが結んだ契約に起因する。その契約内容を簡潔にまとめれば、次のようになる。

 一つ、王都へとクラウスやエリーゼと共に戻ること。

 二つ、俺は王都に戻り次第出来うる限りのアルフレッドのフォローに努めること。

 三つ、俺が王都へ戻った際にはクラウスやエリーゼに、俺の代わりに『俺の用事』を行うこと。

 四つ、この契約に関する内容は、他の者にはお互いが認めない限り口外禁止とすること。


 アルフレッドを救うことがクラウスたちのそもそもの目的である。アルフレッドの処刑を免れるためには、俺が王都に戻るのが一番であるということは語るまでもない。

 王都に戻ったから、アルフレッドの処刑が簡単に取り下げられる訳ではないだろう。だが、俺が行かねばどちらにせよ、どうすることも出来ない。

 最悪の場合は、俺が細剣片手に老議会の爺さん共に脅迫、――もとい、お願いすれば最低限は何とかはなると思う。

 自分の首に細剣を当てながら「心優しき巫女ティアナは、自分を庇ってくれた幼馴染であるアルフレッドが不当な処刑をされたことにショックを受け、世を儚んで自ら命を絶つ決意をする――なんてことになりたいんですか?」と俺が言えば、如何に老議会と言えども妥協せざるを得なくなるだろう。実に簡単なお仕事だ。

 二つめ。これは一つ目とも関わってくるが、俺が王都に戻れば終わりという訳にはいかない。

 アルフレッドの命こそは助かっても、例えば、その身柄は一生牢に幽閉されたままとかいうことになってしまうのでは意味がない。出来うる限り、アルフレッドの立場を改善させておく必要がある。

 俺が王都に戻ったからといってアルフレッドの立場そのものが、俺がいなくなる寸前と全く同じに戻ることは有り得ない。それでも、補える分は補う。

 下手に庇いすぎれば、かえって老議会に変な懸念を与えかねない。だから、さじ加減が難しいところだが、せめて今回の出奔が俺の意思であったことと、巫女の真実をアルフレッドが告げた訳ではないことくらいは補足しておきたい。

 さすがにやっていないことで責められるのは理不尽だと思うくらいの良心は、俺にだってあるのだ。

 三つ目。これがこの契約の肝になる部分だ。

 王都に戻れば、当然ながら俺は身動きが取れなくなるだろう。一度出奔した巫女だ。今度こそは逃がさぬようにと警備も厳重になるのは間違いない。

 そうなった時の俺の手足としての役割を、クラウスとエリーゼに託す。具体的な内容はまだ何も説明していないが、危険を伴うようなことも時としては頼まざるを得なくなるだろう。

 その時、一体どこまでこの契約が守られるのかは、二人の良心に頼るしかない。

 俺が王都に戻りさえすれば彼らの目的は達せられるのだから、二人がこの契約を反故する可能性だって十分有り得る。そうならないために、俺は二人の信頼を出来る限り稼がねばならない。

 この契約の内容が全編通して二人に有利に出来ているのにも、その辺りの事情がある。あまりこちらに有利な条件を吹っ掛ければ、二人の心象を悪くしてしまうだろう。このくらいの条件が落としどころであると俺は見ている。

 身体の拘束が約束されるような不利な契約なのだ。せめて、信頼という名の足かせになることくらいは許して欲しい。クラウスとエリーゼの後ろ髪をグイグイ引かせてもらっても、多分罰は当たらないだろう。

 四つ目。これは情報の漏洩を阻止するための処置である。

 二人に俺の代行を頼む以上、原作知識を与えることは不可避であろう。その時、原作知識を無意識にでも広めてもらっては困るのだ。

 現代戦において情報は最大の武器であるとされている。ここは剣と魔法のファンタジーな世界観だから現代戦ではないが、情報が持つ有益性は変わるまい。

 その最大の武器を腐らせるような愚かな真似だけは絶対にしてはならないと思う。原作知識という名の未来の情報は、俺の最大のアドバンテージだ。簡単に殺してしまう訳にはいかない。




 乗合馬車の待合場所で、俺とエリーゼは並んで座っていた。クラウスが乗合馬車の受付などの手続きを終えるのを待っているのだ。

 待合場所は俺たち以外にもかなりの人がいた。そのおかげでガヤガヤしていて少し騒がしい。その騒がしさが俺には物珍しく映る。

 以前、王都からここニダヴェリーに来る際も乗合馬車を使ったので、待合場所を利用するのは二度目だ。けれど、あの時は聖王国から離れることで頭がいっぱいで周囲に気を配るような余裕はなかったように思う。

 だから、こうやってじっくりと待合場所の観察をするのは実は初めてなのだ。この街で暮らしている間も、乗合馬車の待合場所なんかに用事はなかったから来たことはなかったし。

 キョロキョロと周囲を見渡していたら、ふと行商人風の中年男性と小さな女の子が会話をしている姿が目に入った。


「おとうさん、はやくかえってきてね」


「勿論だよ。なるべく早く帰れるようにパパも頑張るから、ミーナもママの言うことをよく聞いていい子で待っているんだよ」


 男性は女の子の頭を優しく撫でた後、少女の母親なのだろう女性に「ミーナを頼む」と告げていた。多分、男性と少女は父娘なのだろう。

 その姿に、エリーの姿が浮かぶ。

 このひと月の間、エリーはいつも俺の背後をカルガモのようにトコトコ付いてきていた。それが可愛くて仕方なくて、出来うる限りエリーのしたいようにさせてやっていたっけ。

 エリーと別れを告げたのはついさっきだというのに、共に過ごしたひと月のことがもう遠いことのように感じてしまう。

 そして、どうやら行商人の父娘の姿にエリーを重ねていたのは、俺だけではなかったらしい。


「そういえば、ティアナが世話になってたっていう人の娘さん――えーと、エリーちゃんだっけ? あの子かなりティアナに懐いていたみたいだね」


 不意の言葉に隣を見れば、頬杖をつきながらエリーゼが俺と同じように父娘の別れを眺めていた。

 エリーゼの脳裏にも、別れ際のエリーの姿が浮かんでいるのだろうか。


「ああ。俺はエリーのことをまるで妹みたいに思っていたよ」


 そう口にした俺の声色は柔らかかった。

 妹と呼ぶにはエリーは出来過ぎと呼べるほど、いい子だったけれど。

 俺の知る妹は、もっと俺の理解できない趣味を持ったカオスな存在だった。エリーはあの残念な妹と比べるのもおこがましいほど良くできた子だったとしみじみ思う。


「妹かぁ……」


 エリーゼは呟くようにそう漏らした。

 そう言えば、彼女はクラウスだけじゃなく、アルフレッドの妹でもあったなとそんなことを思い出す。


都市連合こんなところまで来たくらいだし、やっぱりエリーゼはアルとも仲がいいのか?」


「あったり前だよ!」


 エリーゼが即答する。


「私、異母兄弟は多いけど、アルフレッド兄様は特別だもん。すっごく優しくてカッコイイんだから! 私の大切な家族なんだよ」


 勿論、クラウス兄様もだけど、とエリーゼは笑う。

 自慢げに小さな胸を張って二人のことを好きだと告げるエリーゼに、俺は思わず生温い笑顔を返した。


 大切な家族、か。

 俺の脳裏にクヴァンツ公爵夫妻の姿が浮かぶ。

 あの二人もアルフレッド同様、俺の出奔の件で老議会から尋問を受けたりしたのだろうか。ほんの少しだけ気にはなったが、俺はどちらでもいいかと考えるのを止めた。俺にとって、公爵夫妻はその程度の存在でしかない。それくらい、彼らはティアナにとって遠い存在なのだ。赤の他人以上の感想が湧かない。

 と同時に、それはあちらも同じなのだろうなと思った。彼らが俺の行方が知れないことを心配している姿なんて想像も出来ない。

 今世において、俺にとって家族というのはその程度の繋がりしかないのだと思うと、ため息が零れそうになる。

 正直、大好きなお兄様という家族が存在するエリーゼが羨ましい。

 そんな憂鬱な思考がよぎった時、タイミングよくクラウスが俺たちの元に戻ってきた。




「申し訳ありませんが、王都への直行便は既に満席だったようです。『城塞都市イザベル』を経由して王都へ向かおうと思うのですが構いませんか?」


 戻ってきたクラウスが開口一番に告げたことはそれだった。

 クラウス曰く、ニダヴェリーから王都へ向かう直行の乗合馬車はどれも満席で、三名分の空きはなかったらしい。このまま空きが出るのを待つよりは多少遠回りにはなるが、一度聖王国の東南にある国境の街『城壁都市イザベル』を経由したほうがいいだろうということだった。

 イザベルは国境守備のための街であるため、王都への乗合馬車の数も多い。イザベルに辿り着きさえすれば、王都へ向かうのは容易いのだそうだ。

 俺に異論はない。元々俺はゲームの中の知識はあれど、この世界の土地勘や常識には欠ける。箱入り娘であるという自覚はあるので、進路に関してはクラウスに任せようと決めていた。素人が横から口を出すよりも、慣れている者に任せるのが正解だろう。

 俺が文句があるとすれば、一点だけだ。


「クラウス、敬語」


 俺が咎めるように言えば、クラウスが困った顔を作った。


「どうしても敬語はダメですか?」


「ダメだ」


 道端で俺を押し倒すような真似をしておきながら(語弊有り)、敬語はダメとはどういうことだ。俺がいいと言っているんだから、気にしなくても良かろうに。


「あ」


 俺たちがそんな会話を繰り広げている横で、エリーゼが声を上げた。

 何事かと思ってエリーゼに視線を向ければ、空から雨粒が落ちてきた。


「雨だ」


 そう言ったのは誰だったか。

 ほんの少しの合間に、先ほどまでの晴天が嘘だったかのように空を灰色の厚い雲が覆う。雨足はすぐに強くなり、やがて土砂降りへと変わった。

 乗合馬車は屋根も付いているし、多少の雨天では走ることの弊害にはならないと聞く。雨が降ったからと言って、運行が休みになることはないだろう。


「幸先が悪いな」


 それでも、日本人の感覚として出かける際に雨が降るのは何となく不吉な気がしてならない。俺はオカルトや迷信を信じるタイプではないが、急にこれだけの雨が降るのは流石に気分が良くないと感じてしまうのは仕方がないだろう。

 俺たちの旅立ちは、どうやら幸先よくとはいかなそうだ。

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