表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

木賃宿

 木賃宿


 しっかりとカンヌキをかけたお茂は、襟元の乱れを手早く直しました。そして髪に手をやりますが、油気がないので撫で付けるといっても格好だけ。そして前掛けを取って丸める段になって、急に頬を火照らせました。いえ、目蓋だって紅をさしたようになっています。

 これが客引きをするお茂かと疑いたくなるほど、おどおどして、おぼこい娘のようです。一方で、それを心待ちにしている自分がいることにも気付きました。だから、無理をして堅い表情を意識していたのです。喜助と深い仲になりたいと思いながら、安っぽい女と思われたくない。お茂なりに大変な苦心をしていたのでしょう。


「これでいい。なんでも言うこと聞いてあげる」

 お茂は、擦れた声で喜助に囁きました。

「えっ? どういうことだ?」

 どうしたことでしょう、喜助はキョトンとしてお茂の顔を見つめ、そう呟きました。朴念仁の喜助には、どうやらお茂の心の内が読めていないようです。


「ちょっと待ってて、床を延べてくるから」

 いくら朴念仁でも、そうまで明け透けに言われて気付かないわけがない。お茂はそう思いました。そして、返事を待たずに寝間の支度を始めたのです。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待てよ、おい。なにもそんなこと考えちゃぁいないよ」

 うろたえたような声がしますが、お茂は手早く夜具を延べていました。

「恥ずかしがらなくてもいいよ。こうまで好いてくれてるきー公だ、相手しないと罰があたる。けど、こんな年増でいいの? 出戻りですまないねぇ」

 その気になったお茂は喜助の言うことになど耳を貸さず、手炙りに炭を足し、枕を二つそっと並べました。小ぶりの行灯を枕元に置き、あちこち見回した末に緋色の襦袢で灯明を覆いました。襦袢を透かして灯りがこぼれ、薄暗い箪笥をほの赤くしています。そして、枕元のほかは指先が僅かに見えるほど暗くなってしまいました。


「きー公、支度できたよ。どうする? もう少し飲む?」

 喜助の横に戻ってきたお茂が囁きました。支度と言いかけて息を呑み、鎮んだような声に、色が混じって聞こえます。

 さっきまではきー助でした。ところが今はきー公。


「おい、待てよ。だから待てって言ってるだろうが。いい歳しておっちょこちょいなんだから……」

 喜助は、お茂がとんだ勘違いに苦笑いをしました。そりゃあ、自分に靡いてくれれば嬉しい。いや、有頂天になるでしょう。喜助にとってお茂はそれほどに憧れた、いや、いまでも憧れの相手なのですから。しかしそれだけに、まさかお茂が言い寄ってくれるなんて考えもしなかったはずです。

「照れなくってもいいよ。他には誰もいやしない、きー公と私だけ。だからさぁ、思いを遂げさせてあげるよ」

 お茂は喜助の横に座り、膝に肘を当てて頬杖をついているその手をゆすりました。


「からかうなよ。冗談にしても気持はありがたい。真顔で言われたら舞い上がっちまわぁ。おっと、そんなこと言うから、肝心なことを忘れるとこだった」

 頬杖を外された喜助は、笑み崩れていました。嘘や冗談にせよ、お茂からそう言ってもらえただけで天にでも昇りそうです。でも、何か言いたげです。

「わかったよ、何でも聞くよ。そのかわり、手荒なことは御免だよ」

 言ってしまってから、お茂ははっとしたように顔を背けました。掴んでいた手をもぎ取るように離して、膝の上で擦り合わせました。


「だから! ……もういいや。……ちょっと言い難いことだから何度も言わない。だから、とっくり考えてくれ」

「なんだよ、じれったい。何か言いたいのなら早くしておくれ。不平や不満だったら聞く耳もたないからね」


「実はな、また旅籠を開けてくれないかと思ってな。いや、飯のことは考えなくていい、素泊まりでいいんだ。なに、どんぶり飯に漬物だけで十分だ。味噌汁があれば、それ以上のことを望んだらバチが当る。煮売り屋で見繕ってくれとまでは言わねぇ。……ダメか?」

 喜助は申しわけなさそうに言いました。

「旅籠? ……きー公、あんたの頼みって、旅籠かね?」

 お茂は呆気にとられています。わざわざカンヌキをかけ、床を延べ、枕を並べたうえに灯りにも気を配ったのです。布団が冷えていたら寒かろうと、手炙りに炭を足しさえしたのです。それがどういう意味なのかくらい気付いているはずなのに。恥をしのんで女の自分が誘っているというのに、頼みというのは旅籠を開けろ?


 わなわなとさまよわせた手が前掛けを掴みました。指が白くなるほど握り締め、下唇を強く噛みました。


「やいっ! きー公。よくも……、よくも女の私に恥かかせたね。あの間ぁで頼みたいって言ったら、……ね、懇ろになりたいっていうことじゃないか! だから……、だからぎゅっと握って承知したんじゃないか。きー公、あんたどうした? きつく握り返したじゃないか!」

 大声を上げたり、言い澱んでどもったり、そうかと思えば言い訳をするように口の中で呟いたり……。


「落ち着け、落ち着けお茂。もっと早くに言わなかった俺が悪い。あやまるからさぁ。けどな、あれよあれよという間にお前が勘違いしてしまったんだ。それにな、惚れぬいたお茂がそんなことするだなんてさぁ、信じられないじゃないか。嬉しくって、どうすりゃいいかわからなかったんだ」

「落ち着けって、どうすんのさ! 振り上げた拳骨、どこへ納めるんだよ!」

「じゃあ、いいや。俺の頭でも殴ってくれ。気のすむようにやってくれ」

「馬鹿か! いい気になって延べた床をどうすんのさ!」

 ついにお茂は怒鳴りあげました。


「だ、だからよ……、そ、そうだ! お前ぇが眠るまでついててやるからよぅ」

「馬鹿! さっさとこっちへ来るんだよ! 四の五の言ったら刺すよ」

 もう後先の見境がつかなくなって、お茂は喜助の耳を抓んで寝間に引き立てたのです。


「さっさとおし!」

 喜助が逃げられないよう障子を背にしたお茂は、手早く帯を解いて袷一枚になりました。そして、ぼおっと突っ立っている喜助からどてらを剥ぎ、さらに帯を解いて袷一枚にひん剥いてしまいました。


「さあ!」

 先に夜具にもぐりこんだお茂は上掛けをめくって布団を叩き、喜助にも横になるよう迫りました。

「だめだって。恥ずかしいが、俺ぁまだそのぅ……」

「なにさ! この期におよんで逃げるのかい? とんだ意気地なしだねぇ」

「違うって。……俺ぁなぁ、惚れた女に操をたててたんだ。……だからそのぅ、よ、夜のことなんぞまったく……」

 喜助は、面目なさげに下を向いています。瞬間、お茂の怒りはすっきり融けて、喜助が愛おしくてたまらなくなりました。


「……きー公、……あんた初めてなのかい? そうまで私を好いていてくれたのかい?」

 信じられない言葉でした。年頃になった男なら、旭遊郭あたりに繰り出すのが普通です。そういうことで女の扱いを覚えるのですし、夜這いに熱中する者だっていると聞きます。にわかに信じるわけにはいきませんが、気まずそうに項垂れる喜助は嘘をついているように見えません。ゆっくりと身を起こしたお茂は、何も言わずに布団を叩いたのです。


「だ、だからよぅ……、どうなっても知らねぇぞ」

「……」

 お茂は一度だけ頷き、再び横になりました。


 しばらく続いた激しい息遣いが治まった後で寝物語に喜助が語ったのは、路銀を奪われた旅人の難儀でした。

「……というわけでな、路銀を奪われる旅人がけっこういるんだ。それもよぅ、こう言っちゃなんだが、昔の盗賊には魂ってのがあった。そこへゆくと、今の盗賊は堕ちたねぇ。洗いざらい奪っていきやがる。それこそ飯も食えねぇほどによ。だからよぅ、なんとか後払いで泊めてやってくれねぇかなぁ。たしかに宿賃を踏み倒されるかもしれん。いや、払うほうが少ねぇかもしれん。だからな、素泊まりでいいんだ。飯は検番でなんとかお願いしてみるからよぅ。……こんなこと相談できるのはお前だけだ。他の旅籠なんか、そろいも揃ってガリガリ亡者ばっかりでよぅ」

「……」

 喜助の頼みは厄介事です。それに、旅人に対して代金後払いなんて、商いを知らない馬鹿のやることだと思いました。


「だめか? なぁ、お茂よぅ」


「……素泊まりでいいんだね? きー公がそれほど頼むのなら考えてもいいよ。ただし、もし私が身籠ったら……、きー公、いったいどうする?」

 喜助は自分のことをどう思っているのだろう。遊びだろうか、それとも本気だろうか。お茂は、喜助が手慰みで自分とこうなったのでなければ、我侭を許してやろうと思ったのです。

「馬鹿野郎! 決まってるじゃねぇか、祝言を挙げねぇでどうすんだ!」

 喜助は間髪を与えず言い放ちました。しかも、お茂を睨みつけて怒ったように言ったのです。もうそれで十分でした。

「……きー公……。じゃあさ、前祝にもう一度……」

「おっ、おぅ……」

 二人の睦言、気にはなるところですが、そっとしておいてあげましょう。



 しょうことなしに店を再開した鼻緒屋。喜助の言ったとおり、毎日何人かの旅人が検番がら差し向けられてきます。中には遊女に有り金を残らず毟り取られたという不心得者もおりますが、ほとんどが真面目そうな旅人。また、客引きの最中にお茂がみつけた旅人もおりました。

 誰も彼も、腹をすかせきって宿にたどりついた按配で、足をよろめかし、目は虚ろです。そのありさまを見るにおよんでは、とてものことに素泊まりというわけにはいきません。憐憫の心、しのびずの心というやつでございます。

「お客さん、待たせてすまないねぇ。あり合せしかないけど、ご飯はたっぷり炊いたからね。腹いっぱい食べるんだよ」

 漬物と味噌汁しかありませんが、それでも旅人は腹いっぱい食べることができたのでございます。


 旅人の素性はわかりません。喜助にだってわからないことが、お茂にわかるわけがありません。だからといって知らぬ顔を決め込めば、本当にのたれ死ぬ者が出るかもしれません。あのとき、ほんの少しの親切をしておけば、道端で骸にならずにすんだかもしれない。そんな後味の悪いことは誰だって厭でしょう。ところが、親切をするには勇気がいります。どうして喜助はそんなことを言い出したのだろう。あの弱虫のどこにそんな勇気があるのだろう。

 幼馴染には違いありませんが、そもそも男と女はいっしょに遊ばない

 ものです。偶然出会ったときに少し遊んだだけで、喜助のことをまるで知らないことにお茂はあらためて気付いたのです。


 喜助が旅籠の再会を頼んだには、理由があったようです。

 旅籠では、いつ誰が泊まったかを記録しなければいけないのですから、都合が良いと考えたのでしょう。何のことかと申しますと、仮の道中手形を与えるのに役立つからでございます。

 手形には生国や生まれ年、住いから町役の名前などが書かれています。それを検番で一から聞き取っていたのでは手間がかかることこの上ない。宿帳を書いてもらうときに下調べをすまそうということのようでした。ですから、宿では決して訊ねない請け寺や宗旨も訊ねるよう言いつかっていました。

 その書付を検番に差し出せば、あまり待たされずに手形を与えてくれます。そして、住まいに戻るに必要な路銀も貸してくれます。近寄りがたい場所のようですが、検番はそういう勤めも担っている。お茂は、この歳になって初めて知りました。

 自分は竹細工で暮らしをたてながら検番の御用聞きをしている喜助。お茂は、そんな喜助を見直すようになっていました。


「お茂、飛脚が届いたぞ。検番から借りた銭を返して寄越したんだけど、宿賃が別に添えてあった。それに、礼の文も添えてあった。鼻緒屋の取り分、確かめてくれよ」

 踏み倒されることもあってすまなそうに項垂れる喜助も、こうして誠実に銭が戻ったときは大依張りでした。

 実際に、飛脚の後を追うように、本人が現れることがあります。すっかり見違える身なりでお茂の前に立ち、丁寧に礼を言いました。そうした客は、必ず鼻緒屋に泊まりました。食事の内容に文句をつけず、他の旅籠と同じ宿賃をおいてゆく。帰路も必ず鼻緒屋に宿をとりました。


「こういうことなのか……」

 お茂は、喜助のしようとしている本当の意味を、ようやく理解したのです。


「きー公、あ、あんたって……、欲がない……かと思ってたけど……、あ、案外……底……底なしの、……強欲だよぅ……」

 無用心というのは口実でしょうが、あの夜から喜助は鼻緒屋に泊まりこんでいます。今日もそう。睦事に不慣れだった喜助も、毎晩稽古するうちにすっかり慣れてしまい、少し手加減してくれと思うほどに上達していました。だからといって高圧的な態度など微塵もなく、自分と肌を合わせているだけで幸せそう。喜助を選んだのは間違ってはいなかった。すっかり馴染んだ喜助にすがりつき、上ずって恨み言を繰り返すお茂でした。

 近所の者たちには、毎晩喜助が泊まっていることが知られてしまっています。なら、いっそ一緒に暮らせば良いのにと言われもしますが、喜助は律儀に夜が明ける前には自分の家へ帰ってゆきました。


 桃が咲き、桜が咲き、いつの間にか菖蒲がちらほら花を開かせています。熱田の宮の大祭、尚武祭の時期となりました。尚武は勝負であり、また、菖蒲でもあります。大瀬子には、高さ十一間という山車が用意されています。尚武祭りのとき、山車で熱田の宮へ繰り出すのです。近在の村とは桁違いの豪華さと賑わいが大瀬子の自慢でございます。

 こんな大祭ですから気持は浮かれますが、祭りに熱中させてはくれないのがお役目の辛さ。若い衆とともに山車を牽きたいのを我慢して、喜助は雑踏警備に追われていました。


 お茂は、こつこつ貯めた銭で一斗樽を買いました。もちろん中味は酒でございます。それを店先に置き、町行く人に振舞う。父は四斗樽を張りこんでいましたが、稼ぎのしれているお茂にとって、それが精一杯の付き合い。でも、去年はそんな気にもなれなかった。表戸を閉ざして籠っていたことからすると、嘘のような上出来でございますね。

 樽のへりには真新しい柄杓が。盆には湯呑みを用意してありました。樽と盆を縁台の上に置いて、誰でも勝手に飲めるようにしてございますが、縁台の脇に水を満たした手桶も用意してありました。

 一つは渇きを潤すために。残る二つは……、山車を曳く若衆への力水でございます。

 ピーヒャラピーヒャラ笛の音や、テヶテンテンテン締め太鼓が、はるかに高い山車の天辺から響いてきまして、たまたま来合わせた旅人は何事だろうと驚いています。昨夜から続くお囃子は、奏者を替えながら止むことがありません。

 具合の悪いことに、鼻緒屋の目の前がお旅所でございます。お茂はずっとそれを聞かされていました。

 気もそぞろの喜助は、お上の御用を口実に昨夜はお茂のもとに泊まらず、ずっとお旅所で騒いでいます。そのくせ、ちょっと目を盗んではすることだけして祭りの輪に帰ってゆきます。まったく、自分と祭りと、どっちが大切なんだとお茂は妙なやきもちをやいていました。とはいえ、深酒することはなく、酔って困らせることもなく、悪所通いも一切せずにいるのですから、仕方がないと諦めるしかないようです。


「やい喜助! まだできんのか? お茂はまだ腹が大きくならんのか?」

 機嫌よく酔った年寄りが、口元をあやしくさせながら喜助をからかいました。

 こそこそと朝帰りを続けていることくらい、町の者はとうに承知しています。出戻りを良いことにチョッカイかけているのだろうと思って見ていたら、それからずっと続いています。これは案外、二人ともが本気なのだと察していたのでございます。

「爺さん、何を言うんだよ。お茂が誰の子を身籠るんだね、あいつは出戻りだぞ」

 誰にもばれていないと暢気でいるのは喜助だけなのですが、当の本人はそういう勘が鈍いようで、いくぶんどもりながら惚けてみせました。

「莫迦か、お前は。お前とお茂ができとることくらい、皆ぃんなが知っとるわ。今日は宵宮だぞ、正直に白状せんか!」

 興奮したものやら酔ったものやら、爺さんはいっそう顔を赤くして喜助を叱りました。なにか手ごろなものでもあれば、それで叩きそうな剣幕でございます。それには喜助もたじろぎました。とはいっても、爺さんの言うことを真に受けてはいないようで、話をはぐらかしにかかりました。

「勘弁しくれよ、……そ、そりゃあお茂とは深い付き合いだよ。なんたって、幼馴染だからさ、長い付き合いだよ。そうだろう? そのお茂に、なんで子供ができるんだ、いい加減にししてくれよ」

「ひっひっひ、莫ぁ迦」

 とたんに下品た笑い声をあげた爺さんは、勝ち誇ったように身をのりだしました。

「語るに落ちるってのは、こういうことだ。賢い奴だと思っていたが、案外間抜けだなぁ、えぇ喜助。深い付き合いというのはなぁ、そのものズバリ、ズッポリした付き合いのことだ。今更ジタバタするな、莫迦。いいかげんに白状したらどうだ。そうしたらお前、お茂だってよ―ろこぶぞ」

「おい、きー公。お茂の按配どうだ? 俺たぁの嫁見てみぃ。色気もへちまも無うなってまって、うるさいだけだわ。だけどお茂は違うぞ。器量はいいし……、後ろ姿なんぞ、思わず手が出るくらいえぇ尻しとるし……。言ってみぃ、ええ按配だろう?」

 喜助には、昌吉という幼馴染がいます。なにくれとなく気遣ってくれる男で、竹を割ったような性格でございます。それだけに遠慮というものがありません。

 ですが、口が緩いのが玉に瑕。うっかり内緒事を漏らしてしまうと、公言したのと同じこと。また、そんな性格ですからとにかく根掘り葉掘り聞きたがる。それにしても際どすぎる内容です。

 陽のあるうちから一杯、また一杯。すっかり酒がまわった昌吉は熱くなったようで浴衣の袖を肩までたくし上げていました。

 ははぁ、こいつは俺が口を滑らせるように仕向けてやがる。

 年寄りばかりか、幼馴染も喜助とお茂のことを認めています。親を亡くしてから辛い思いばかりだった喜助に、生まれて初めての悦びが湧き上がっていました。


「よぅし、そうまで聞きたのなら話してやらぁ。けどなぁ、話を始めたら長いぞ、三日三晩は覚悟してくれよ。腰据えて聞いてもらう。そのかわり、どこに黒子があるかまで教えてやる」

 喜助は、皆の手荒な祝いが堪らなく嬉しかったのです。ずっと人の背に隠れるようにして生きてきたことを、すっきり忘れさせてくれた瞬間でした。

 皆が認めてくれた。喜助の存在を、お茂の仲を……。喜助は、その喜びに打ち震えながら、手荒な言葉を返しました。


「莫ぁ迦、お前の惚気聞いてどこが面白いんだ。どうせ肝心なことは誤魔化すだろうし、だいたい長すぎるわ」

 あっさり矛先を納めたところをみると、昌吉はただ賑わしてみただけでしょう。それとも、暗に喜助とお茂の仲を皆に認めさせたのでしょうか。

「なにを莫迦なことを……。掻い摘んだことだけで三日三晩はたっぷりかかるんだぞ。根ぇ掘り葉ぁ掘りだったら、……まぁ、十日は覚悟してもらわんと」

 喜助の一言が大笑いを誘いました。互いに指を指しあい、肩を叩き合って下卑た笑いがひとしきり続きました。


「おい、えらくくたびれた旅人がおるぞ」

 一人の若者が、今しも大瀬子橋にさしかかった旅人に気付きました。浪人風の旅人で、苦しそうに足を配んでいます。灯りに寄せられる虫のように、今にも倒れそうなありさまでした。それも、旅人の到着にしては遅すぎる刻限です。


「喜助!」

 年寄りが指図するまでなく、喜助はその場へと駆け出していました。


「お侍! しっかりしなさいよ! すぐに休ませてやるからな!」

 旅人を一目見るなり、喜助はただならぬものを感じました。目が落ち窪み、げっそりと頬がこけています。異様に白い手の平をしていて、しきりと欄干に手をかけようとするのですが、立つことすら苦しそうです。月代は伸びきり、髷の残骸のようなものがちょんと載っているだけ。汚れた衣服はかぎ裂きだらけです。


「おぅい、手ぇ貸せ! 水と飯、それと、汁物をたのむ!」

 喜助は支えてきた娘を脇にやって、強引に担ぎあげました。ところがその軽いことにびっくりしました。

「もう心配いりませんよ。今日は熱田の宮の大祭、その宵宮だぁ。お侍、お前様は運がいいお方だ、神様がついててくださってる」

 橋からお旅所まではほんの一町ばかり、すぐそこに見えております。どんな事情があるのか知らないけれど、さだめし難儀を重ねてきたことは誰の目にも明らかです。

「すまぬ……。なれど……心苦しいが手元不如意ゆえ……」

 牢人は、喜助にかつがれながら弱々しく呟くばかりです。

「莫迦なことを言うもんじゃない。言ったでしょう、神様がお護りくださってるって。心配しないで、まずはあっちでお休みなさい」

 ばたばたと駆けつけた若者に娘をあずけようとしたのですが、娘はそれを拒みました。

「ここはいいから、水と飯を用意しといてくれ。それと、お茂を呼んできてくれ。戸板を一枚忘れるなよ」

 若者を走らせた喜助は、迷子にならぬよう牢人の羽織をしっかり掴ませて、野次馬をかきわけるように歩き始めました。


 お旅所は、てんやわんやの騒ぎになりました。上では賑やかにお囃子が鳴っているのに、下では行き倒れの浪人がぐったりしております。

 山車の周囲には分厚い人だかり。そのすぐ脇にお旅所があるのですから、すぐ目の前にある鼻緒屋へ行くにも一苦労です。

 酔って悶着をおこす者も、さらには迷子も、一切がお旅所預かりでしたから、とてものことに冗談を言い合う余裕などなくなってしまいました。


「なんなの? なんか用なの?」

 お茂はどうして呼ばれたのか、まったく知りません。だから呑気なものです。

「おい、見てのとおり難儀をしてなさる。鼻緒屋で預かってもらうぞ。それでなぁ、すまないが古着を手に入れてきてくれ。いますぐだ」

 お茂は頭ごなしに用を言いつけられ、一瞬はむっとしましたが、場を見るなりただごとではないことを悟りました。

「お侍のと、この娘さんのだね。すぐに行ってくるから、とりあえず帳場にでも寝かせといておくれ」

 ちゃっかり喜助の巾着を掴んだお茂は、すぐさま雑踏をかきわけて路地へとびこみました。

 とっくに夜になっております。昼間でさえ薄暗い路地へどうして足を踏み入れたかと申しますと、一番の理由は人ごみを避けるためでございます。

 今夜は宵宮ですので浴衣を着ておりますが、それでも足元が窮屈なことこの上ない。お茂は、人目を遮られるとすぐに褄先を捲利上げて帯に挟みました。

 いくらか足元が自由になり、早足でスタスタと路地を巡ってゆきます。

 家々の戸口から仄かな明かりが洩れていますし、よしんば真っ暗であっても手を伸ばせば壁に触れています。どこをどう曲がるかは頭の中に間違いなく地図が描かれていました。

 案の定、古着屋はとっくに店じまいしておりましたが、訳を話して目当てのものを手に入れたのです。



「もう、かまわんでもらいたい。嘘や冗談ではなく、持ち合わせがないのだ」

 浪人は、浅い息をしながらお茂の介抱を拒みました。そんなことくらい、言われなくても察しがつくというものですが、だからといって厄介払いできるものではありません。盗賊に襲われた旅人であれ行き倒れであれ、どこにも違いなどないはず。性根がひん曲がっている者もいます、都合が悪いこともあるでしょう。そうして半分くらいは踏み倒されてはいますが、親切に応えてくれる人だって半数はいます。お茂は鼻緒屋を開けたことで、それを学んでしまったのです。はいそうですかと引っ込むことなどできません。

「馬鹿言うもんじゃありませんよ。お侍さんはそれで本望かもしれませんがね、娘さんを巻き添えにするつもりですか? 侍なら侍らしく、こういうときは素直に好意を受けるもんですよ。えーっと、なんだっけね、えーっと……。きー公、こういう時は何て言うんだっけ?」

 叱りつけるような剣幕で言ってから、言葉に詰まってしまいました。困ったときはお互い様と言いたいのですが、侍を説得するのに便利な言葉を思い出せないようです。


「つまりあれだろ? 武士は……なんとか言ったな。武士は……、武士はっと」

 喜助も咄嗟には思いつかない様子で、黒目をこれでもかというくらい吊り上げてブツブツ呟いていました。


「そうだ! 武士は相御互いってやつだ」

 思い出してしまえばなんでもない言葉です。なんだか咽元に引っかかっていたものを吐き出せたようで、喜助はやれやれという顔をしました。

「そうそう、それですよ。とにかく、何も心配しないで休んでくださいよ。あいにく外が騒がしいけどね、今夜と明日だけですから」

「そうだぜ、お侍。自分の(うち)だと思ってゆっくり休むこった」

 喜助のことです、お茂ばかりに負担させることはないでしょう。

「こらきー公、ここは私ん()だよ、自分の家みたいな言い方して」

 お茂はかるく睨んで喜助の股を抓りあげました。

「いてぇ! こんな時に誰の家もないじゃないか。見ろよ、娘さんが泣きそうになっちまった。……すまないなぁ、この女の言うことなんか気にしなくていいからな。ところで娘さん、名は何というのだね?」

 心配してついてきた年寄り連中やら幼馴染、それに若い衆が二人のやりとりをニヤニヤしながら眺めていました。お茂の一捻りが笑いをさそい、やっぱりなと勝手に二人の仲を納得しているようです。なんだかんだと言い訳したところで、誰の目にも立派な夫婦に映ったのでしょう。


「……ゆきえと申します」

 か細い声でした。疲れているせいか、それとも空腹のせいか。まさか、元からこんな弱々しい声ということはないでしょう。

「ゆきえさんか。どういう字を書くんだね。空から降る雪かぃ? それとも幸せかぃ? えの字は? ゆきえさんかぁ、綺麗な名前だねぇ。ゆきえ、お茂、えらい違いだ」

「きー公、あんた恨みでもあるのかぃ?」

 お茂の声が低くなりました。こういうとき、お茂はけっこう本気なのです。

「おっと、こいつはうっかりだ」

 首筋に手をやった喜助は、お茂に目顔で合図をしました。

「いえね、うちはこれでも旅籠なものですから、誰を泊めたか控えておかねばいけないのですよ。ああっ、そうじゃありませんよ。ここにお泊めするのは盗賊にお金を奪われた人ばかりですから、お足の心配などいりません。でも、お役人がうるさいものですからね、お侍さんと娘さんのことを少しだけ教えてもらいますよ」

 お茂がそう言うと、侍はまたしても身を起こそうとしました。

「だめだめ、もう少し寝ていなさい」

 侍は、どうやら立ち去ろうとしているようです。そういうことなら時を稼いで落ち着かせよう。喜助は風呂敷包みを顎で示し、チョンチョンと娘を指差します。すぐに気付いたお茂はわずかに顎を引きました。

「えっ? あっ、あぁ、そうそう、そうだったねぇ。ゆきえさん、ちょっとこっちの部屋においで。なにも心配いらないよ、ほら、こんなに人がいるんだからさ、悪さなんかできっこないよ」

 そうはいっても見ず知らずの人についてゆくのは誰だって厭なものです。ましてや、たった一人の身内が臥せっているのですから動かないのが道理でございます。それは十分に理解できますが、そのまま何日か泊めるにしてもそれではあまりにみすぼらしい。それに、ここで着替えをさせれば休む気になるのではないかと都合よく考え、半ば強引に娘を別室につれてゆきました。


「着替えを買ってきたからね、こんな時だから似合うかどうかは勘弁しておくれ。湯を使うのは後のこととして、先に着替えをね」

 お茂は、当惑している娘の帯を解いてやりました。もう初夏だというのに冬物の単衣を着ています。野宿を続けたと言ったことを裏付けるように、そこらじゅうに泥がこびりつき、なにかの糞もこびりついています。裾は擦り切れ、方々にかぎ裂きができていました。それを見ていると、目頭が熱くなってきました。

 咄嗟のことでございます。僅かしか入っていない巾着と相談ですから、麻の単衣でございます。色や柄に気を使ってやらなかったのが悔やまれますが、とにかく身奇麗になるはずです。

 新しい襦袢を羽織らせて、後ろから帯を解いてやりました。汚れた単衣が滑り落ちると気がきまったのでしょう、自分で腰紐を解いて襦袢を脱ぎました。娘が紐を括っている間に単衣を羽織らせてやります。

 誰の目にも襤褸と映りそうですが、母御との思い出がしみこんでいるのかもしれないから、お茂は、脱いだものを丁寧にたたんでやりました。


 着替えをすませた娘が浪人の枕元に座りました。髪を整えてやる暇はなかったようですが、こざっぱりしています。

「……お茂、よく似合ってる」

 しきりと誉めそやす喜助に、お茂は浴衣を着てよかったと思いました。

「やめてよ、そんなこと……。人が聞いているんだよ、恥ずかしいじゃないか。それにねぇ、いい女ってのは何を着ても似合うものだよ」

 やめてと言いながら、嬉しそうな弾んだ返事です。

「……おい、ゆきえさんのことだぞ……。まったく早とちりなんだから……」

 喜助の罪な一言でした。

「……」

 振り返ったお茂は、すごい形相で喜助を睨みつけ、これが二度目、こんどは脇腹を手酷く抓りあげたのです。


「けっ、ふくれやがった。ところで、すまないが何か汁物をこさえてくれよ」

 悲鳴を上げた喜助ですが、すぐにへらへらとして食べるものをねだります。

「ふんだっ。すぐ支度するよ。豆腐の味噌汁でいいだろ?」

「おぅ、豆腐なら腹に優しいや。あまり熱くするなよ、お燗じゃねぇんだからな」

 それを聞いたとたん、お茂の頬に赤味が注しました。誰にもわからない二人だけの符丁です。莫迦と囁いたお茂は、頬に手を当てながら勝手場へ姿を消しました。



「なぁ、お侍。無理にとは言わないが、こうなったいきさつを聞かせてはもらえませんか。というのもね、このところ佐屋街道で荒っぽい盗賊が出てるようだし、鈴鹿の峠あたりにも悪いのが巣食ってる。もしかして、そんな奴らに酷いことされたんじゃないかってね」

 何杯もの味噌汁を胃に流し込み、人心地ついたであろう浪人に喜助が語りかけていました。盗賊に襲われたというのは、侍の自尊心を慮った口実で、本当に路銀を使い果たしてしまったのではないか。そんなふうに察したのですが、まだ町内の者が成り行きを見守っています。しかも、鵜の目鷹の目でです。それではいくらなんでも本当のことを話すわけがありません。

「いや、思いもかけぬ世話になりかたじけないが、どうかその儀ばかりは……」

 四十がらみの侍はいくらか力が戻ったようですが、それきり口を噤んでしまいました。


「みんな、手助けしてくれてありがとうな。お侍は腹が減っていただけのようだ。二人は鼻緒屋で休んでもらうからさ、祭りに戻ってくれや。なに、後で顔出すからさ、宵宮を楽しんでくれ」

 浪人の気持を察した喜助はなんとか皆を外へ出し、入り口を閉じてしまいました。


「さあ、これで邪魔はいなくなった。なっ、無理にとは言わないけど、話してくれるかぃ? 俺は検番の隣で竹細工をしている喜助。検番の御用聞きをしている者だ。これはお茂、この家の主だ」


「……拙者、筑後のさる藩に召抱えられておった、山脇源三と申す。ちょうど厄年にござる」

 町内の衆が残らず外へ追いやられ、通りに面した戸を喜助が閉じてまわると、ようやく侍が重い口を開きました。


「雪絵は十三にあいなる。行く先は定めておらぬ。……これで納得してもらえまいか。通行証なれば、これに揃っておる」

 埃だらけの風呂敷包み、そこから竹を編んだ弁当箱を取り出しました。蓋を開けると、火切金と書付が入っていました。

「なるほど、よくわかりました。では、そのように書いておきましょう」

 あっさりと納得したお茂はその他のことを聞こうともせず、着替えを勧めたのです。


「拙者は、勘定吟味の役についておったのだが、……三年前のこと、藩の金が足らぬことがわかり、何者によることか調べておった。用心が足りなかったは我が落ち度、されど、なんとも口惜しい」

 一旦口を切りますと、堰を切ったように話を続けます。必要なことは教えてもらったから、他のことは胸に収めておいてくれと喜助が宥めても、滔々と身の上を語りだしました。

 どうやら、藩で使い込みがあったようです。調べ始めた山脇を呼び出したのは、おそらく重役でございましょう。犯人に仕立て上げ、上意討ちをちらつかせるくらいですから、かなりの立場にいるはずです。自分の罪にされたら死罪を覚悟しなければなりません。連座で妻や娘も同罪にされてしまうでしょう。一方で、山脇家には刀や壷などの名品が伝わっていたそうでございます。それを差し出せば命は救ってやろう。そんな耳打ちがあったそうです。死罪となれば家財は没収されるでしょう。命が救われるというのなら、それも致し方ないと考えたそうです。結果として命は救われた。しかし、悪事が露見するのを恐れて、藩から放逐されたそうです。


 肺腑を絞るようにして口をつぐみ、ややあって拙者に腕さえあればと呟きました。

 山脇の肩が大きく上下しています。町衆の莫迦話にくらべればうんと短い話ですが、それほどに体が弱っているようです。


「藩を放逐され、頼る当てとてなきまま東をめざしてまいった。妻は持病もちでなぁ、去年の初め、播磨の山中で……。それから一年、なんとか日銭を得ながら京の外で暮らし、かの地に見切りをつけて東を目指したのでござる。……が、鈴鹿を越えたところで路銀を使い果たしてしもうた。やむをえず脇差しを金に換えたはよいが、足元をみられて……、渡し賃を払うのがやっとでござった。旅ははかどらず、今日が三日目、水しか飲んでおらぬありさま。拙者がことはともかく、娘の行く末だけが按じられ申す」

 力なく項垂れております。

「なにを弱気なこと言ってなさる。なぁに、いずれ芽が出るのを待てばいいじゃぁありませんか」

 喜助は無理して作り笑いをうかべ、大きな声でそう励ましたのですが、後が続きません。


「お茂、床を延べてさしあげろ。なるべく厠の近くがいいぞ」

 そう言って山脇を横にさせました。



「ねぇ、きー公。大丈夫かねぇ、あの親子。娘も疲れてはいるようだけど、お(まんま)さえ食べりゃ元気になるだろうさ。けど、父親はどうにもねえ。頬はこけてるし、あの顔色がさぁ……」

 二人を部屋に寝かしつけ、しばらく見守っていた喜助とお茂は、どちらともなく引き合うように床に入っていました。

 今夜は宵宮、おそらく喜助はお旅所へ戻ってしまうでしょう。疲れきった旅人を抱えてしまったけれど、幸いなことに死んだように眠っています。

 声を忍ばせての忙しない営みのあと、お茂は旅人の様子を気にしていました。

「明日にでも医者に診せたほうがいいだろうな。大きな声じゃぁ言えねぇが、長くはもたねぇような気がする。あの手の平、赤味がひとつもないのを見たか?」

「きー公もそう思うかい? けどさ、もしだよ、もしそうなったら、娘はどうなるのかね」

「それよなぁ……。身寄りがないってのが難だなぁ。気の毒だが、尼寺にでも預けるしか……」

「なんだって? よくそんな酷いことが言えるもんだねぇ。尼寺なんかに預けたら、こんなことできないまま死ぬんだよ」

 思わず声を荒げかけ、はっとしたようにお茂はヒソヒソ声で続けたのです。

「おい、よせ、よせよ」

「じゃあ尼寺なんかにやらないって約束するかい?」

「だけど、御定法ってものが……」

「もう一度言ってみな、言えるもんなら言ってみな」

「おい、よせって……。わ、わかったよ。そうならないように頼んでみるからよ」

「ほんとうだね?」

「おぅ、嘘なんかつかねぇ」

「よし、じゃあ許してあげる。そのかわりもう一度……、いいだろ? だって、今夜は帰らないんだろう? だったらさぁ……」

「お茂。お前ぇ、よくそれで子が授からなかったもんだな。なんか、ころころできそうだぜ」

「ばか。余計なことを言うな。気が散るだろ」

 これがお茂の宵宮。

 山車の天辺では、二人の秘めやかな会話をかき消すように、祭り囃子が響いていました。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ