black~とある朝~
稚拙な作品ですが、お付き合いいただけたら幸いです。
恐らく......いえ、間違いなく亀更新になると思われます。
ガタガタと音を立てながら、看板が店の奥へと引きずられていく。
「くそっ、太陽眩しすぎんぞこの野郎......」
看板を仕舞い、再び表に出てきたバーテン服の男が憎々しげに空を見上げながら呟いた。
時刻は午前六時、店仕舞いするにはいささか以上に早すぎる時間である。
「あの客、終業時間来てから二時間も居座りやがって」
この店の就業時間は午後九時から午前四時、つまりは夜のお仕事である。
......といっても、ただのバーであるのだが。
「お~いシェン、いつまでも空見上げてんとカウンター片づけてくれんか」
中から聞こえてくる関西弁の男声。
「おう、すぐ戻る」
シェンと呼ばれた黒髪のバーテン服の男がそれに答える。
開け放されたままのドアに「閉店中」と書かれたプレートを掛け、ドアを止めていたストッパーを足で蹴り飛ばす。
そのまま中に戻ろうとするが、突然何かに気づいたように動きを止め、
「ねみぃ」
一言だけ呟いてドアを閉めた。
「なにサボっとんねん、はよう帰りたいんやからさっさと仕事せえや!」
「悪かったって、すぐやるよ」
バー``Colors``閉店中