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それでも、生きている

 交差点が、少し怖い。


 前は、そんなことなかったはずなのに。


 信号待ちをしていると、

 無意識に、一歩だけ下がってしまう。


 理由は分からない。


 ◆


 朝の通学路。


 人の流れの中で、

 ふと、視線を感じた。


 信号の向こう。


 少し離れた場所に、

 あの人が立っている。


 同じ制服。

 同じ時間。


 目が合った。


 彼は、何も言わない。

 ただ、静かに立っている。


 それなのに。


 ――大丈夫だ。


 なぜか、そう思えた。


 ◆


 信号が青になる。


 私は、渡る。


 振り返らない。


 でも、背中で分かる。


 ちゃんと、見送られている。


 ◆


 理由は知らない。

 何も覚えていない。


 それでも。


 今日、私は生きている。


 ――それが、なぜか分からないまま。


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