柔軟性 5
智略と策謀の男?…ヨミに、更に色々なアイデアを聞きまくったった。
アイデアの宝庫だった。利用価値が高杉くんで有る…
声には出さず、あくまで俺の心の中だけで…
ヨミ&破壊神同盟を結成した。知らんけど…
【深淵】のヒビ割れ…の増えた部分って…
それが、実はこの世界に現れていた特異点を除くと、
一部だが、視える者に可視化された【深淵】本体、もしくは内部、
或いはその一部…なのだそうだが…
その、ヒビ割れの、無限の使い方、活用方法を話し合った。
その流れで…
移動中の、数回目の休憩時に、ヨミに頼まれ、
ズク族の新しい拠点を、上からこっそり覗いて見た。
人呼んで…ブラックバード作戦だ。
俺は身体を【深淵】から出さずに、ヒビ割れを変形させた窓から、そこら周辺を観察し、
同時に…もう一つ、
俺のすぐ横に居る、ヨミに、リアルタイムでその見たままの、
現場の状況を伝えるべく、別の小窓も開けた。
二元中継で有る…知らんけど…
そして、高度を下げ…
団地作戦に移行する。
俺が「大きな門が見える…」と言えば、
じゃあ、そのちょっと右手には、古い大きな建屋が有るだろう?…そのすぐ裏に回って…
などと…
事細かに場所や道筋を誘導されつつ、それぞれの状況を伝えていった。
説明が面倒なヤツは、スマホで動画や写真を撮って見せた。
…いや、我にも千里眼って言う、かなり高度な魔法が有るのだけどもさ…
有るには有るんだけど…
こんな細かいとこまでは見えないからね?
勿論、声だって聞こえないし…
いや、君の言う通り、フフフ、確かにちょっと肥満ぎみだよね、あの指揮官はさ…
あの男…ズイケンって言うんだけどさ、
とにかくねえ、ホントに良く食べてね…大喰らいなんだよ…
知り合って僅かな間にももう、どんどんどんどん太ってたんだ…
しかしさ…しゃがんだら、ズボンの尻が破けた…とかさ、
そんなのまで見えちゃうとか、もう正直呆れるよね?
最早、隠し事って言葉は、この地上から今、完全に消えた…死んだよね。
「お、おう…」
まあ…この拠点はもう良いよ、大丈夫だな。
唯一の心配は…
あいつの替えの大きなズボンが有れば、良いんだけどねえ、フフフ…
じゃあね、次もお願いしよう。
その拠点の正門を出たらば、左の方に行って…
そう、ずっと、ずっとその先に、大きな河が有るだろう?
その…河をずっと上流の方に遡ったら、
大きな湖が有るでしょ?
そうそう、うん、そこだ。
その…湖のほとりに、建物が幾つか有って、その中に教会が有るでしょ?
いや、そっちじゃ無くて、もっと右の、その…大きい方。そう、そこ。
そこに、レホーってのが居るはずなんだけどさ…
きっと、君にも宵闇の黒っぽいモヤが出てる男が見えると思うんだけど…
え?
誰もいないって…?ああ…そうか、いやありがとう。
なら、もう良いよ。君の襲撃に失敗して、逃げた様だね…
俺は、ヨミに利用され…いや、ヨミのアイデアを具現化する実験か?
それによって、
遂には軍事偵察衛星をも凌ぐ、
究極の偵察マシーンとなっていた。
ちな…衛星軌道からの監視(以下 衛星ひまわり作戦と呼称)は、
…当然、余裕で出来るんだが、可能なんだけどもね…
ぶっちゃけ殆んど、景色以外見え無いんだわ…
如何せん俺の、いや人間の視力の限界的に。
そのちょっと下側の…
高高度(呼称 スーパーブラックバード作戦)からも、
意外と…雲が邪魔で、いっぱい見える時と、全く見え無い時が有るんだよな…
ぶっちゃけ、
団地の屋上位の高さ(呼称 団地作戦)が、俺には丁度いいです。
だって、そこらが精神的に怖くない、ギリギリの高さだしね。
中途半端に高いと…きんた◯が、キューって…あ、いや何でも無いです、
そう…あとたまーに、
飛んでる鳥と目が合ったりするのも、まあ…御愛嬌って事で。
後、俺は建物の中だろうが、大きな岩の下だろうが、
例え、現代地球の究極のセキュリティを誇る大銀行の金庫の中だろうが…
別に、特に何の苦労もなく、簡単に侵入出来るし、
発見不可能な位置で、監視も可能(呼称 家政婦は見た作戦)なので、
ヨミの言う通り、俺に隠し事って、現実的にほぼ不可能なのだよ。
しかも…物であれば、そのまま持って帰れる。
もはや、ルパン三世も、怪盗キッドも、全くもって、俺の敵では無いのだよ。
怪盗 龍ちゃんとでも、呼んでくれたまえ。
当然…銭形のとっつあんやコナン君如きには?
俺の【深淵】の謎は解けやしないぜ?
…じっちゃんの名にかけてな…いや、知らんけど…
ついでに…スマホでの撮影も組み合わせれば、
皆に説明の手間もほぼ要らない…見せれば、即解決。
俺のこの、若干怪しい語彙力でも、きっと大丈夫。いや…多分…
まさしく究極の、
秘密情報収集諜報機関…
一人 CIAですけど?
この能力を利用し、
当初、ヨミから、ヒルメの暗殺を頼まれたが、
俺は一旦、保留させて貰った。
全ての諸悪の根源、この戦争の原因、そして俺をこっちに引っ張った張本人いや…張本神?
…なのは、まあ判るが、
実際に、自分の目でヒルメを見てないし、
特に何も知りもしないうちに、いきなりサクッと暗殺って…
それはちょっと…
それは一体どうなんですか、如何なものですか?と。
それだとさ、まるでマフィアかギャングの様じゃんね?
いや、無差別テロか?
とにかく、
それこそ、一応俺は、【破壊神】代理だしね…やっぱ、そういう卑怯もへったくれも無いのって、やっちゃダメでしょ?
あとさ…無理に殺さんでも良くね?
例えば、ミューの糸で縛って無力化しとけばさ。
ヨミも、
俺が実際にその目で見て、何らかの不具合を感じてからで良い、構わない…っと、
そこは合意した。
まあ…(同盟期間中)一応は、俺達を騙したり、裏切ら無ければ…
俺に可能な限りは、ちゃんと保護してやんよ?
あ!
おっと?待て…
これってさ…
じゃ、もう…俺がミゲヤさん達、探せんじゃね?
よし、団地作戦で、進行方向の街道沿いを、一足先に偵察だ。
約30キロ位まで、ざっくりと偵察してみたが、
それらしい二人は、発見出来なかった。
…いや、多分見落とした可能性が非常に高いんだろうな…
だって…俺だしな。
いや、ひょっとして別のルートだって事も有るし…
まあ…今日のところは、これくらいにしとったろかい…
そんな訳で?
今度は晩御飯の獲物の索敵です…
地上スレスレの高さで、近くの森の中を縦横無尽に徘徊し…
結構大きいイノシシを探し…ヒビ割れを上手に使って、
皆のいる方へ追い立て、強制的に誘導し、
待機しているアマジャさんと親戚さんが、華麗に仕留めた。
どうやら、新たなる狩りの方法も、ここに確立された。
しかも…ミューは俺と一緒に、【深淵】内部で移動出来るから、
これにミューの金縛りも混ぜれば、
正直、デカい熊でも何でも、かなり簡単に行けそうだな…。
例によって、ミューの血抜きに始まり、アマジャさんと親戚さんに加えて、シレンさんも解体に加わったので、下処理は、もうあっという間に終わった。
ここでさらなる発見?
あまった食材を【深淵】に、なんと保管可能だった。
軽い気持ちで入れてみたが…既に魂が無く、生物から物?に、なったせいなのか?中に入れても、シレンさんの荷物同様、肉塊は消えなかった。
あ、多分、
微生物か寄生虫の様なものは、入れた途端、かなり小さな光の粒になって霧散したが。
凄え…これ、無菌状態じゃね?
ひょっとして、永久に腐らないとか…有るかもよ?
いや…知らんけど…
そして…親戚さんに渡していた昆布も使った結構謎なシチュー?
いや、俺的になんちゃってぼたん鍋が完成した。
途中…
俺はどうしても味噌味が良い気がして、手持ちのスティックのインスタント味噌汁の元を、数本鍋に投入した。
そこで初めて気が付いたのだが…
前に、俺が一度死んで復活した際に、
どうやら消費した筈のコーヒーや飴ちゃん…
それらが最初の状態に…増えたってか、戻ってた。
一か八かで…死んで生き返ったら、消費した筈の、俺がこっちに持ち込んだ食材が、全て一緒に復活する…ひょっとしてこれは、無限食材の完成でわ…?
いや…簡単に自殺して復活とか、そもそも絶対嫌だし、
俺の事だ…つい調子乗って、うえーいいっー、とか言って、
高所からダイブ…そんなアホな事をノリでやっちゃいそうな自分が、ちょっと…かなり怖い…
で、しかも最悪、
それで復活しないとか、
マジで有りそうで怖い…怖すぎちゃんですけど?
これは、しばらく黙っておこう…
エッタさんに、気軽に死んでくれよ、とか言われたら、困るしな…
マジで言いそうだしな…
俺は密かに、口をつぐんだ。
「出来ましたよ、皆さん!」親戚さんが声も高らかに発表する…
そして完成した、なんちゃってぼたん鍋を、皆で頂く。
う、旨い…
いやーやっぱ、味噌味がいい仕事してるが…いや、これは昆布も、だな。
出汁の味、その余韻が、大変奥深い。後を引く美味さだ…
目が合った親戚さんが、ニヤリと笑って強く頷く。
俺もニヤリと、笑ってサムズアップ!を返した。
で、
相変わらず?ヨミがウザい…。
コイツら…神族の中でも、純血種って、本来飯食う必要ないらしくて、
そもそも、飯食うのが数千年ぶりって?
しかも、ここ迄美味い飯なんて、実は初めてらしいって、
知らんがな…
偉く気に入った様で、小さな子供みたいに、はしゃいでやがる。
…神って、一体何なん?
同じく?…お爺やんは食べながら、何度も美味しい美味しい言いながら、また泣いていたが、
あれはヤバいな…
俺は極力、目を逸らした…きっと危ないから。
いやしかし、ここに米があったら、絶対、シメに雑炊なのにな…
あ?ひょっとしてヨミさ、米とか、醤油とか、知らない?
お?考えてる…
で?
記憶には無いと…
…っち、紛らわしいマネしやがって…
テメ、食後に、肩パンな!
とっても賑やかな、良い夕食だった。




