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 そして、

 ようやくやっと…


 本当の本当に?…


 俺達は本来の目的地で有るカーナンに向けて、本格的に移動を開始する。


 場合によっては、途中でサデヤルというとこに行って、ヨミが魔力を回収するらしいが…


 いやあ…余計なヤツも含め、


 七人と一柱?それにキメラが一匹か…


 なんかさあ、気付くとメンツ増えたよね、すっかり賑やかだよ。

 もう、大所帯だよね。


 今回増えたメンツに加え、順調に行けば、

 今後更に二名追加って事もあって、

 

 一旦、大きな街に寄って、尚且つ戦争被害の少なそうな、エモラとか言う街で、

 より大きな馬車か、馬を、


 そして水や食料を入手する…そんな予定らしい。



 何故か…狭い荷馬車内部では、俺を囲むように、

 ヨミと爺やんが当然の様に陣取っているが…



 辛い…



 一体何故?


 神は俺にばかりに、こんな非道な試練を与えるのか?


 …あ!


 神、目の前におるやないかいっ?!


 取り敢えず…

 ムカついてたんで、ヨミに肩パン入れたった。


 ヨミは大層慌ててたが、すぐに怒って…


 そうやって何か有る度に、

 何でもかんでもすぐ、神のせいだとか言うのはさ…


 本当に、人間の悪いところなんだよね…

 と、強く注意された。


 それに更にイラッとして…

 反対の肩にも、一発入れといたった。


 それを見ていたお爺やんが…


 なんと!!

 …これは神々の争いだ、とか、

 

 頂上戦争の始まりだ…とか、


 かなりビビって、なんか変な事言ってやがる…


 まあ、人生、たまには、肩パンとか、そういう事も有るよね?


 …あれ?神生か?…知らんけど…。


 何か…威厳?とか全く無いし、後光が射してるって感じじゃあ無いんだよな…ヨミって。


 むしろ?居酒屋で相席した、

 どっかの気の良いあんちゃんって、気がする…




 偉い神なのにな…知らんけど…



 一方的な質問攻めに俺は、もう死ぬ程飽き飽きしたんで、


 逆に、今度はヨミの事を、根掘り葉掘り聞きまくったった。



 仮に…


 万が一、その話が全て事実ならば、

 コイツ…結構な苦労人いや…苦労神?だなって、そう思った。



 かなり横暴で、しかも強烈に我儘な上司と、

 その能力が、暴れる事だけに特化した、リアル脳筋の非常に残念な部下に挟まれた、


 正直、コイツ…上にも下にも振り回されてるだけの、

 ただの、悲惨な中間管理職の、

 あれだよ、課長とか係長みたいじゃね?


 立派な神の一柱らしいが、

 聞けば聞く程、ぶっちゃけ…ただの哀れなヤツやん?…

 俺には、どうもそんな印象だった。


 そして、そいつら上司と部下のケツ拭きやら、

 事後の調整(謝罪?)の為に、

 一身に大悪党の汚名を被ってる…様だった。


 いわゆる?殆ど濡れ衣?…いや、まあ完全にそれだけでも無い様だが…しかし、


 まさか…下等な人間如きや、


 ましてや敵対勢力の俺如きに?


 結構同情されてるとかマジ、神って何よ?


 世も末やな…知らんけど…


 そんな、同情の空気を好機と捕らえたヨミが、

 

 さらっと、爆弾発言をした。


 何でも、独自に考えを確立させた、己自身の独自の意思を持った、


 全く別のヨミ、いやヨミの一部の能力も持った、限りなく他人な自分?

 …何それ、面倒くさっ!


 そんな、自分の分体が後、他に三人居て、


 どうも本家ヨミの意向は一切無視して、


 分体がそれぞれ独自に、勝手に好き放題やってるらしい。


 そして、地上のあちこちに轟く悪名の原因は、殆どコイツら…ヨミ二号、三号、四号の仕業なのだとか。


 つまり?大ボスヒルメ以外にも、

 裏に、中ボスが三体居ると?


 でも結局さ、そいつらはヨミ本人のコピーなんだよな?

 だったらそりゃ、自業自得じゃね?

 あっ…


 そう言ったら、ヨミが拗ねた。いや、ちょっと拗ねんなよ?


 だからさあ…神って、一体何よ?



 何でも、ヒルメってやつから本気で逃げる為に、

 それぞれが本物より本物っぽくなってるって、そんな感じの事らしい。


 それもこれも含め、一体、どこまでコイツを信用するか?出来るのか?


 それが、俺達の課題だな。


 そして、問題のコイツらコピーロボットを拿捕、回収しないと、


 また何処かで、何かとんでもない事をやらかすかも?…って、事らしい。


 が?


 いやいや、それ…全部テメエの責任じゃねえか?

 何で、俺等を勝手にテメエの事情に巻き込むんだよ?

 おい、フザケンなよ、ぶっ飛ばすぞ?


 俺は、ちょっとだけ、おこ、だったのだが、


 それを不利と、危険だと感じ取ったヨミが、

 慌てて急に、大きく話を変えてきた。



 …で?


 まんまと釣られ…たった。



 何でも、【深淵】の使い方?やら、意味の、ヨミなりの考察が有るらしい。


 まあ…それを?


 君が、どーうしても言いたいってんならさ…


 まあ…別に聞いてやっても、良いけど?


 一応な、あくまでも一応、な?

 良いか、一応だぞ?。ホントだぞ?



 ああ…そうか、それは恐縮だね、ありがとうね。ふう…


 我が思うに、多分ね…、

 【深淵の主】、君さ、意外と思考が硬い、浅くて真っ直ぐ過ぎる…よね?


 まあ…まるっきり融通が効かないって訳では、決して無いけどさ。


 「…あ?」


 いやさ、まず考えるべきは、 君が何か? 君の本質って?…って、事が重要なんだよね。


 「お?おう…ホンシツ?」


 君はそもそもの?

 本来居た筈の【深淵の主】では無いしさ、

 そもそも君って、元は違う世界の人間なのだろ?


 聞けば、ヒルメの【呪】で…


 ヒルメが手に入れたかった筈の、力を持った異世界の死人、その回収の巻き添え食った?って…


 言うのが、確か君の予想だったよね。


 我はね、ただそれだけでは無いとそう思うのだよ、

 いや、強い根拠はまだ無いんだけどね、

 

 取り敢えず君自体にも、【深淵】の強い適性が有ったのは、絶対間違い無いよ。


 君は、世にも希少な、本物の深淵属性持ちだ。


 だって、【深淵】の中に居ても、その魂が消滅してないのだからね。


 前の【深淵の主】以外は、例え何であれ、勿論我だって…


 あそこでは、その存在を決して維持出来ないのだよ、

 まあ…それ、別の神に聞いた話なんだけど。



 それとさ…

 君って、その存在自体が、かなり曖昧なんだよね?


 多分、自覚無いでしょ?


 我…いや、神の目だから見えるんだとも思うんだけど…


 君ってね、そもそも生きても無いし、

 勿論、死んでもないんだよ。


 そう…そんな事は、通常あり得無いんだよ?

 普通の生者なら、我は見えるんだよ、その魂がね。

 

 不思議な事に、君の魂だけは見えないんだよ…


 この世界の全ての存在、生者には、

 必ず魂が有ってね、我はそれが見えるんだけどさ、


 君の魂は、一切見えないんだ…。

 つまり、それって普通は、死んでるって事なんだよ?

 君はこの世界の 理 の、範囲外って感じなのかな?


 「え?、俺って、死んでるの?動く死体…つまりゾンビって事なのか…?」


 え?…待って、そ、それって、かなりのガクブル案件なんですけど?


 相当…メチャ嫌なんですけど?


 なんか…前はアマジャさんとミゲヤさんに、

 俺から、死の気配がぷんぷん匂う…とか、言われたしさ、


 今度は殺されて生き返ったら、お前、ゾンビだろ?てか?


 えーー?マジかよ?なにそれ??


 おいおい、勘弁してくれよ、よりにもよって…ゾンビって…

 ゲームだったら…ただのやられ役やん?モブやん?


 それって結構、俺の心を、深く抉ってくるんだが?



 いや、だからそのゾンビって、我は何かは判らないけど、


 つまり?

 君は、この世界に有ってはいけないのに、なぜか存在してしまっている、

 特殊で稀有な存在なんだよ。


 殺されて、死ななかったのは、

 多分、そもそも死んでたからで、


 その後も、

 生き返った訳じゃ無くて、そもそも、君は死んでもなかったんだよ。


 「ちょっと…何言ってるかさっぱり判りません…」


 生きても無いし、死んでも無い状態…

 恐らく、魂もしくは、君の本体は、今もずっと【深淵】の中に有って、


 今見えてる君はきっと、【深淵】に中に居る君の本体、いや魂が作り出した、

 実態の有る…

 いや、実態の無い実体?


 その表現自体が、非常に困難なのだけど、

 実体を持った虚無…きっとそれが一番近しいのだと思うよ?


 「意味不明。全然…理解不能なんですけど?」


 とにかく、君は不死では無いが死なないし、

 生きてさえい無いけど、実際に生きて存在してる…訳なんだよ?


 うーん、我もどう伝えて良いのか…これは殆ど謎の真理だよ…


 「あぼーん…」


 …いや、ねえ?呆けて無いで、ちゃんと我の話聞いてる?



 で、だから?

 結論、俺は一体何なんだよ?



 え?…


 それは我にも判りませんが?



 こっちに来て初めて、

 

 盛大にズッコケたった…



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