発見3
そして次の日。
移動を開始する前に、ホントに軽く、
恐らく【破壊神】パイセンについての、まだ俺の知らない情報や、知識を、
どうかご教授して頂けませんか?…などと、
俺はマーヤルさんに、軽々しく言ってしまった…
それが…恐ろしい罠、
悲劇の始まりだったとは、
その時はまだ、知らなかったからだ。
思い返せば…
あの瞬間の、アマジャさんや親戚さんの、
…あの、驚愕に満ちた表情が物語っていたのは、
まさかの?
この…まるで圧倒的な絨毯爆撃の様な?
隙間なく撃ち込まれるマシンガントークの口撃だったとは…
そう、後で知ったのだが、このマーヤルさんって、
この世界きっての超【破壊神】マニア…いやオタ…
変態の中の変態、マジでガチのド変態で…
【破壊神】に関する話や物を、それこそ金と権力に物を言わせ、
片っ端から、無差別に集めまくるという、
正真正銘、本物のガチ勢、鬼のコレクターだったのだ…
とにかくもう、あれを聴いて欲しい、これを自慢したい…
そんな、まさに欲望の権化だったのだ…
知らなかったとはいえ、話を振ってしまった自分が心底悔やまれる、
いや…もう憎いわ…
過去に戻れるなら、直ぐ様自分をぶん殴ってやりたい…
それを思い知ったのが、
まさか?その日の夕方前だったのだが…
まあ長いわ…
長過ぎる…
なんちゃら銀行のCMよりも、なが〜〜〜〜〜いお付き合いだった…
そして辛い…
しかも、大半の情報は、既に知っているものと、
全く関係もない与太話や無駄話が満載だったとは…
あのクソ真面目なアマジャさんが、既に死んだ魚の様な目をしていた。
あ、親戚さんの目も濁りきって、光が消えている…
全く迂闊だった…
どうりで…
あの二人がマーヤルさんから距離を置き、その意見を聞かなかった訳だ。
話好きで泣き虫な…恐ろしい妖怪、
大泣きじじい、と俺は心の中で命名、今、新たな妖怪が爆誕した。
しかし、とは言え?…俺は言い出しっぺだ。
何とかこの、強力な睡魔に抗い、
ちゃんと…出来うる限り、聞い…ておかな…くて…は…?!
い、いかん…ダメだ…このままでは、いずれ堕ちる、眠ってしまう…もう時間の問題だ…
俺は近くに転がっていた、ちょっと尖った小石を拾って、
自分の脛や太腿辺りに、強く、ぐりぐりと押し当てた。
い、痛い…
説明しよう、これは野球部仕込みの…
先輩からの、とても有り難い…正座で長時間のお説教…
あの?生き地獄を乗り越える為に、
多くの、苦しんだ一年坊によって編み出されたという、
まさに、秘伝中の秘伝、その技を…
まさか…
それをこっちで使う羽目になろうとは…
全くもって予想外、完全に不覚だった…
視界の端っこで、気持ち良さげに船を漕ぐ、エッタさんを横目に…ちっ、
だが、俺は必死に…ぐりぐりで耐えた。
そして遂に俺は、
この、長い地獄の試練に、見事耐えきったのだ。
そんな自分が誇らしいのと、恨めしいのと、
まあ半々だな。足も傷だらけだし…
俺にとって有意義な情報で…尚且つ?
俺の意識レベルがまだそこそこ有った時に聞いた有益な情報は…
【破壊神】様は、実は複数の神獣を生み出し、使役していた…らしい。
…あ、以降、らしい って、ワードが多く出ますが、そう言うもんだと軽く流して下さい、知らんけど…
それはあちこちに伝承が残っては居たのだが…
それらの大半…それはどうやら【深淵の神】没後、随分と後に、
実はうちの種族も、神が造ったのでした、凄いでしょ?…とか、勝手に嘘を吹聴する種族も多く居たらしく、
真実は深い闇の中…【深淵】だけに?
取り敢えず本命?…情報の多い順で、情報の残ってるやつだと、
黒い巨大なクモ、あ、これはもう確定ね。
あと、黒…いや、最初っから黒いけど?…巨大なカラス、
そして、黒く巨大なオオカミ…的なヤツ?
が、恐らく?
…多分、実在していたのでは無いかと…らしい、と。
単穴で?黒いグリフォンや、
黒いライオンかトラに、大きな黒い羽根が付いてるやつ…とか…?
黒い巨大ワニだの?
超巨大な黒いカマキリだった…みたいな?
ああ、後、大穴で、
複数の足を持った巨大な海洋生物…
つまり、それって?…でっかいタコかイカ? なんじゃなイカ?って…
なんて、まあ…そんな話も有る…らしい。
そう、全部、らしい…って事。
まあ、クモは確定だな。事実確認も、本人から直接したしな。
あとは…凄い僻地に逃れた少数民族の話だと…、
どうやら、【破壊神】パイセンは、現世と幽世の境界で有る【深淵】の壁をぶち抜いた段階で、
既にエネルギーの半分を失なってる状態で、
そこからあちこち移動しながら、神族やら、神獣やらを、次から次に、やたらめったらに打ち倒しつつ、
更に、そこから山を削り取ったり、汚れた大地を海に沈めたりしたらしいのだが、
それでもう、力も何も使い切って、スッカラカンになってしまい、
ついには、元いた【深淵】に帰ることも出来ずに、ばったりと倒れ…力尽きた、らしい…
【破壊神】終焉の地、そこが、あの遺跡だった?…なんて話も、有った…らしい。
いや、これは多分正解かな?
それでも?その残った身体が岩になったと云う、
言い方は若干アレだが…、
その残りカスの様なものでも、
まだまだ恐ろしいほどの魔力を秘めていたそう…らしい。
ぶっちゃけ、残りカスを取ったあとの、更に残ってる小さなカス?で、
俺は、実際パワーアップしたっぽいし…
まあ全て未確認なだけに、所詮どれも、そうらしい…って話なんだよな。
この、【深淵】、境界線を越えるという行為は、
つまり?最初っから、ほぼ、無茶な自殺行為みたいなもんで…
実は【破壊神】パイセンは、そもそも最初っから、帰る気無かったんじゃないの?説、も有るとか。
逆に?
【呪】って、そりゃ、二千人規模もの命、対価が要る筈だわなー、って話。
あとは…
あれ?
おいおい、もうすっかり夕暮れやないかいっ?!どうすんのよ?
何故か…もう一泊、こちらでお世話になる事になった…なってた。
だがしかし、
実は俺が朝、マーヤルさんに話を振った瞬間から、
実はアマジャさん達には、その先の展開…
つまりこの状況は、既に予想しており、
お泊まり延長も、既に決定済だった様だ。
こんな危険な地雷とか、
先に教えといて欲しかったよ…




