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暗闇8

 「我らが神よ、粗末な物しか御座いませんが、何かお飲み物か、御食事など、お口に入れられますか?」


 え〜っと、そうね、水、水が有ればお願いします。


 アマジャさんは頷き、スタスタと奥に消えていった。



 ふ〜〜う、やっと一息や。


 

 少し申し訳なさそうに、アマジャさんが帰ってきた。地下水を汲める場所が有るらしいのだが、水が酷く臭う、血の匂いがする…と。


 代わりにこちらをっと、袋状の水筒?から、液体を木の器に入れ渡してくれた。


 強い眼力でじっと見つめられてる…遂に耐えきれず、恐る恐る飲んでみた。…ワイン?すげえ渋い…いや、マズイ。

 喉が渇いていたのはある意味良かった、迷わず飲み込める。

 が、良い飲みっぷりだったのか?


 …タップリおかわりをくれた。



 罰ゲームの苦いお茶のような激渋ワイン?を飲みながら、俺はアマジャさんについて聞いてみた。


 アマア・リジャディード・リースシャールオジエ…さんが、真名、本名だそうだ。


 …まあ俺に覚えきれる自信は無い。アマジャさんでお願いします。


 彼の一族は彼の国の、国に関わる情報収集や、国に伝わる伝説や言い伝えを調査する機関だそうで、王命で動いていた…のだが、  数年前、此度の戦争勃発で国が巻き込まれた。

 国内は大混乱し、小さな国は、あれよあれよと言う間に分裂、主要な都市はほぼ、滅んだそうだ。

 外にいて生き残ったは良いが、全てを失ったアマジャさん達に出来たのは、今までどうりに、影で生きること、調査を続ける事だけだったそうだ。…重いわ。


 所で、深淵を見つけて、これからどうすんの?  

 …聞いてみた。


 「我らの、神のお力に縋りたいです」



 「え?俺…ですか?」


 困った…。困った、困った、こまどり姉妹って、良くじいちゃんが言ってたな…うーーん、ダメだ、何て応えたら良いのか…





 そんな時、廊下を駆けてくる複数の足音が聴こえた。




 アマジャさんが壁から槍を取り、構えた。



 俺もバットを強く握りしめた。



 侵入者は遂に入口に差し掛かる。

 俺は往年の三冠王、落合の様に高く掲げたバットを小刻みに振る。…え、威嚇ですけど。



 男が2人入って来た。そして、聞いたことのない言葉を発しながら、アマジャさんと抱き合ってた。 え?




 俺…ぽつーーーん、




 えーーっと、スイマセン、

 あのー、お忙しい中、

 又、熱い抱擁の途中、失礼します。


 所謂…

 感動の再会ってヤツですか?

 皆様、お味方デスカ?

 私イジメナイデスカ?


 …い、いや、

 ア〜ナタは神〜を、信じますか〜?



 ハッと、気づいてアマジャさんらはコチラに目をやり、

 俺に跪き頭をたれ、


 二人もそれに続いた。



 おっと、またしても?


 俺は振り上げたバットを見つめ…

「フーーーっ」息を吐き、ゆっくり降ろした。



 いや、もう良いです、

 頭上げて、お仲間紹介して下さい。お願いします。


 二人のうち、一人は実の弟さんで、もう一人は親戚さんだそうな。聞いたけど名前は長いんで割愛します。

…ホントに自分の名前、暗記できてる?


 以後、弟さんと親戚さんで、

 どうかお願いします。お願いします。



 各地で情報収集をしていたお仲間で、300人位居た中、生き残ったのは僅か数十人程らしい。


 そして、遂に神の降臨する現象を感知して、全力で、それこそ必死のパッチ、死ぬ気で走って駆けつけたと。


 うーーん、



 …そっか、そっか。



 うわあ〜、いよいよ、面倒くさくなってきた…。拗れていく、どんどん拗れていくんですけど?


 彼らはきっと【勝った】っと思っているんだろう、だがしかし、俺はクソ雑魚、無能力なんですけれど?


 近くに悪魔の実ってありませんか?

 無いですか、ソウデスカ…


 いや、もうどうしろと?


 頭を抱える俺の横で、


 所で、〇〇はどうなった?とか、あれは?とか、三人が情報のすり合わせを始めた。

 俺も聞き耳を立てたが、恐ろしいぐらい、イミフだった。


 かなり長い3人のセッション?の後、アマジャさんがまとめて報告してくれた。


 先ず、戦争の本筋であるアマの民が、不利な戦況を覆すべく、数年先に行うはずだった禁呪を無理くり発動させるべく動いてたと。


 これにより、深い眠りの中の絶対女神、最強の存在が復活…する筈だった。だが、禁呪は失敗。不完全なまま終了した。


 禁呪は正確には 【呪】しゅ と言い、命と引き換えの無茶な契約を、人間1人が悪魔1人と特殊な契約をし、この人間と悪魔両方の命と引き換えに発動する魔法の、えげつない強力なやつ。

 そして女神復活に1000人の生贄神官と悪魔が命を落としたらしい。

 つまり自軍の戦力2000が、意味無くロストした、と。


 これに対し敵陣営は、ビッグチャンス、キターッと。

 満塁のチャンスに代打攻勢だな…

 ここは一気に勝負を決めに行く…そう思ってた時期が彼らにも有ったんだろう、


 だがしかし…


 そうは問屋がゆるキャラ好き…いや、許さないってか、

 工事、渋滞する…じゃ無くて、好事、魔多し。


 イカンイカン、関西人の血が…



 で、何故か、そこに、第三勢力と第四勢力が揃って襲ってきたそうな。

 

 結果、本陣がら空きの背中と横腹を喰われたって。


 幸い?元々戦力差があったんで、背中突かれながらも、最終、両軍大ダメージで戦闘終了。


 その結果?


 戦況は規模がそれぞれ縮小したものの、大きな変化無し。それぞれ痛み分けってとこ。無意味な感じ?


 あ、因みに?その第三勢力と第四勢力について教えて下さい。


 第三勢力は主に獣人の軍で、元々傭兵業が主な仕事で、戦争二大勢力の元でそれぞれ活動していたが、無駄な捨て駒にされたり、いずれ裏切るからと、味方に罠にはめられたり…食糧の提供を拒まれたり、

 そーいった酷い扱いに耐えかねた、一部の獣人が人獣を引き連れ離脱。

 で、両軍に反旗を翻し戦ってると。

 

シュピッっと挙手、ハイっ、


「獣人と人獣って?」


 かなり長い説明だったが、

要するに、人間に強い魔力で獣の身体能力を無理やり定着させた生き物…が、長い年月で人間や動物と繁殖を繰り返し…増えていった種族。半獣半人で人間ベース。


 人獣。大型の獣や戦闘力の高い動物に、これまた強い魔力で人間の脳みそとか、声帯とかをブチ込んだ生き物…って、どっちも酷い人体実験じゃね?いや動物実験か?怖っ、


 そうそう、そう言えばキメラって?


 選りすぐりの獣人や人獣を、更に強化、掛け合わせ、何なら縫い合わせて!?合成した怪物。

 但し?成功率は恐ろしく低く、大半が失敗。


…しかし、一部の実験成功した化け物は、

 正真正銘の最終決戦兵器。一騎当千、超強力な暴力の化身。


 確認されているのが、グリフォン、ヌエ、シードラゴン、大魔グモ サーペ…「え?」 「は?」


 食い気味で反応してしまった。


 今、クモ、と仰った?尋ねた。


 「はい、蜘蛛です」

 

 何でも、ソレは外見が蜘蛛ってだけで、デカく、鉄より硬く、空も飛んで、もうサソリやらスライムやら毒蛇やら、何か色々混じってて、万が一、会ったら即、もれなく死亡で人生終わりって、そんなお方だそうな…。


 …俺、多分会った…よ、その大クモぽいの…。


 「そうそう、コレ」


 俺は上着のポケットにしまっていた、クモが砕けて出てきた赤い石を取り出して、3人に見せた。


 3人は目を見開いて驚愕していた。

「た、確かにそんな大きな魔石は…」 親戚さんが言った。


「よく聞け、我らの神が降臨なされ、直ぐ様、大蜘蛛を倒されたのだ…」



 「え?…俺、ち、違…」



 後から来た2人が抱き合って号泣した。

 「遂に、時は来たのだ!」

 「我らの苦労が報われた」

 「死んでいった仲間に、胸を張って報告出来ようぞっ、!」

 「深淵の神よ、感謝しますっ、我らの魂まで、貴方様に捧げましょうぞっ、」


 「お前達、泣くのはまだ早い、我らの悲願が叶うのは、まだもう少し先だっ!」

 「しかし、兄者よ、我らの…我らの…」ううう、嗚咽が酷い…




 えーーっとですね、


…いやあ…盛り上がってるわあ~



どないしょ?

俺、大ピンチです、なう。







 



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