Return to Myself 4
古びた遺跡の中に、俺達4人と一匹、そして使徒さんの二人。
今迄の経緯、お互いの事情、情報の摺合せが行われた。
特に、使徒さんは、もう根掘り葉掘り、みっちりと…ほぼ俺についての質問に集中してた。
キツイ…いい歳をしたお爺が、興奮して、目をキラキラさせて…俺を見ている…
辛いし、とにかくキツイ…
あの、いい加減、ここの調査をした方がふ…
あ、いや、大丈夫ですね…
拘束され続ける俺を横目に、
アマジャさん達は
黙々と、内部の調査をしている…うう…もういい加減助けて欲しいのに…
…え?ひょっとして…
これ、わざと…なのか?
…俺を、生贄にした…のか?
台座部分を調べていた親戚さんが、落ちていた黒い小石を拾って…
自分の肩口に有る、深淵を感知する魔道具に近づけたりしている。
「アマジャ…これ、魔石だ、それも…」
多分、前任の【破壊神】パイセンの身体の…身体が石になったっていう、その石の欠片の様ですと…
「何ですってえええ!それをおお、俺にい、見せてくださいっよおおおおお…」
俺は大声でそう言って…お爺から逃げた。
ナイスアシスト、マジありがとう…俺は感謝しながら、親戚さんに向かって、ずざざぁ~っと、ダッシュした。
親指と人差し指で摘んだその石を、親戚さんがそっと、俺の手の平に乗せてくれた。
ほうほう…これが…?
あ?
あれ…れれ?…突然、その石が、まるで氷の様に、俺の手の平の上で溶けて、手の中に吸収されてしまった…
うええええええええ?
ビックリして、お互いに見つめ合う、俺と親戚さん…
そして、駆け寄ってくるアマジャさん。
ご無事でしょうか?本当に、大丈夫ですか?
「お、おう…」いや…それが…何も、感じませんでした…
更に足元に、ぴょこぴょこ跳ねるミューが居て、
その黒い石を幾つか運んで、ここ迄持ってきてた。
前脚2本で、上手に石を選別し、更に抱えて
跳ねてる…
「相変わらず、器用なやっちゃな?」
黒っぽい石は、どうやら、ミューとアマジャさんには、直接目で判別出来る様で、
親戚さんは、魔道具で確認すれば、私にも判別できます、やって見せますよ、と…
何故か…
二人の漢の、何とかスイッチが、急に入ったらしい…
急に何故だろう?
第1回 誰が一番多く黒石を集められるかな?
大会…
の?様相になってしまった。
遠くで警戒中のシレンさんと、何やら壁の文字を読んでる使徒さんを除いて…
よし、じゃあ俺も一緒にさが…え?…あ、はい、
お前はそこを動くな、と…。
壮絶なデッドヒートが繰り広げられている…
うわあ…何で?
皆、超必死なんだが…
えー、それでは、結果発表〜♪
第三位、親戚さん11ケ
第二位 アマジャさん19ケ
おめでとうございます、優勝はミューさん、24ケです。
いやあ…やりましたね、ミューさん、おめでとうございます。
おっと、親戚さんは随分悔しそうですねー え?一番大きかったのは、私の見つけた…ああ、それは残念でしたね…今回は…数…でしたから…
これは、次回に期待ですね…知らんけど…。
おお、ミューさんかなり激しく、ぴょこぴょこしてますねー。
かなり、うれしいようですねー。って…
いや何これ?…まあええけど。
集まった石を一箇所に集めて、それに手を翳し、ゆっくり近づけて行くと…
やはり?それらは俺の手の平に吸い込まれていき、無くなった。
やっぱ皆、こっち一斉に見るよね…
特に…俺は変な感じは無い…です…
ん?
アマジャさんだけが唯一、大きく目を見開き、
俺…いや、俺の後ろを見ていた。
俺も振り返っ…いや、そうするとヒビが逃げるので、いつものイナバウアーで…上体を反らして確認す…
あ!?…
ゆっくりと身体を戻し、振り返りつつ、その場から動くなと、ヒビに命じつつ、身体を向ける。
…!!
で、驚いたのなんの。
なんとビックリ…
ヒビ割れは、上下に2倍?横に3倍位?…でっかくなっていた。しかも?ヒビの部分が、何か…変だ。色?がモヤモヤしてて…
しかも?入り口付近の中、内側が、こっちからでも若干、見えてるな…
これって…石をもっともっと沢山集めれば、
それこそ、巨人でも、大岩でも、何でも入るんじゃね?
そう思いつつ、振り返りアマジャさんを見ると、
「仰りたい事は、私も理解しております。ですが…残念ながら、もうこの魔石は、ここには見当たりません、恐らくあれで全部の様です。申し訳御座いません…」
いやいや…別にアマジャさんが悪い訳じゃ無いんだし、謝らないでくださいよ、それよりも…
「やっぱ中も…確認してきますわ」
そう言って、俺は頭をヒビに突っ込んだ。
あ、ヤバい…横で、あの爺さんがキャーキャー言ってるぞ…早く逃げなくては…
そのまま肩から、ゆっくりと中に侵入した…
更にビックリ…俺が中に入ったのと同時くらいに、ミューが背中に飛びついてきた。
俺は驚き、慌てて外に出ようとした、このままだと、ミューが消えてしまう、と。
だがしかし…?
ミューは俺の背中から、深淵の壁?…どう言えば良いのか、あっちとコッチの境界線の裏側の…
あの、外から見えてた辺りの壁?
そこに飛び移り、ぴょこぴょこしてる…
いや?お前、ここ、大丈夫なのか?消えないのか?
…おお、イエスの合図だ。そうか、大丈夫なんだな…
あ、そういえば、こっから出て来たっけ?
これも、俺が黒石を吸収した、その効果なのだろうか…
まあ、ホントに大丈夫なら良いけどさ、
いいか、もしか、危ないって思った時は、俺に構わず直ぐに出ろよ?…無理すんなよ?
うん、よし、イエスだな。
で、中…は、
広がった入り口付近以外、一見、前と同じだな。
いや…何か?…
んーーーっと?
何か…小さく聞こえるな。何だ?
…え?
今、喋ってるの…もしかして、ミューなのか?
いや、喋ってる訳じゃ無いな…感情?思い?かな…
ああ…うん判る、判るよ。
そうか…お前は、前の【破壊神】が作ったのか…つまり、お前の父ちゃんだった…そうなんだな?
そうか、
え…、その昔【破壊神】父ちゃんと一緒に、闘いのあと、死んだのに?
え、また例の?あの…アイツの仕業なのかよ?
おいおい、何だよ、またあの神族のクソヤローなのかよ…
マジ、クソ酷えやっちゃな?
で?…そいつに無理矢理、【呪】で生き返させられて…
しかも、え?…お前にも、あの大ミミズ入ってたの?
うわあ…それでよく、俺を殺さなかったな?
ん?
そうか、ちょっとだけ、自分の意識を取り戻せたのか…
凄いな、あの獣人は、すっかり完全に、おかしかったのに…
それで?
なんとか、奴らから逃げて、
ここに、利用されたく無いから、じっと隠れてたのか。なる程ね。
え?
そしたら、ある日…突然俺が…
ひょっとして、お前の父ちゃんが帰って来たかも?って…
大急ぎで、こっちに向かってブッ飛んで来たのか…
で…
引っ掛かって、動けなくなってた俺を…
無理矢理引っ張って、助けてくれた後に…
今にも自我が消えそうで、俺を襲いそうになった?ので…?
っておい?まさか…
いや…自分で自分を?
…マジで…?嘘だろ?
自分で、自分を…殺したのか?
この…俺の…為に?
おいおいおいおいおいおい、え〜?嘘だろ…
あの時、急に動かなくなったのって…
そうだったのか?
…自分で、自分と闘って…
やっぱりあの目は…そうだったのか
え?そしたら二度と、復活なんか出来ないのに?なんでだよ?何で…自殺なんか…
お、俺の為にか?…そう…か、
バカ、お前…なんて…なんて…良い奴なんだよ!?
だからって…おい、死ん…で…
ううう、バカヤローがよお?…ううう、そうなのかよ…ううう…
うおおおおおおおおおおおおお、ミューよー…そうか…そうだったのかあああああ、
俺はミューを抱きしめて、ちょっとだけ泣いた。
操られてて、それでも、それに逆らって…死ねる?俺なら…無理だな…きっと
…?
え、でもさ…何でまた復活したの?
え?
俺の…血?
ああ、あの時の?
俺が大量に血を吐いた…あの…血?
ああ…確かにお前、石になって、俺の服のポケットの中に、居たよな…
で?
あの血を浴びて?
え?
飲んだの?あれ…
なんか、きっつい毒、混じってたと思うんだけど…大丈夫だった?
ああ…そう。
それで…
そしたら、俺が復活した時に…
お前も?
…そう、一緒に生き返ったのかよ?
俺の血…が、お前にも…ああ、だから?もう俺の一部じゃね?って、そういう扱いかな?
そうか!じゃあもう、完全に、俺たちには、血の繋がりが、有るわけか…そうかそうか。
改めて、これからも宜しく頼むぞ、わが…息子よ…え…いや娘?
いや…俺の血を持つ、かわいいわが子?…産んでないけど。
よし、じゃあ、お前は今日からマーオちゃんも兄弟だぞ?…義理(仮)のな?
いいか?ちゃんと可愛がってやってくれよ、そして、いつも守ってやってくれよな。
いやいや、謎が解けてもうスッキリ、快便?
そうかそうか。
なんか…めでたいぞ!
よし、今日は赤飯だな…?あ、
うん、無理だな。




