表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/159

混沌1

 私は、崩れ落ちる神様に、慌てて駆け寄り、受け止めんとしたその時…


 神様が、身体も何も、突然音も無く消えた。



 消滅させてしまった…



 千年もの長き間、幾千、幾万もの民が、仲間達が、命を懸け、必死で探し求めた、


 その唯一無二、絶対の存在が…



 私の不手際で消滅…してしまった…



 私の全て、いや、


 この命一つ差し出せば済む様な、そんな簡単な話では無い…



 頭の中が、真っ白になった…




 一切の感情も、葛藤も無い…


 何一つ考えられなかった…



 この不始末の代償、

 

 我らの国の…

 生き残った全ての国民の…



 その唯一の希望を、私は…


 私は…一体何という事をしてしまったのだ…



 【深淵の破壊神】…それに代わるものなど…


 そんなものは無い、在る筈が無いのだ…



 何をもっても、換えなど効かない…



 一体…私は…これから…どうすれば良いのか…


 …


 …


 …



 

 …何?







 


 最悪だ、最早、油断だったと言わざるを得ない、全く持って、我等の失態だった…


 もう、何の言い訳も出来ない、いや、出来よう筈も無い…


 アマジャよりも近い場所に居て、しかも間合いだけなら、私の最も得意な間合いだった…


 絶対に外さない距離、私の絶対領域…


 何年も、何十年も掛けて築いた絶対の自信が…


 まるで薄氷の様に…事も無げに、無惨にも、簡単に砕け散った気がした…



 神様と重なって、射線が取れなかったのは、

 最悪、仕方が無いとは言えだ…でも、


 何か他に出来なかったのか?

 何か他に、もっと違う選択肢も有ったのでは無いのか?


 しかも、あの獣人の脚を止める為に撃ち込んだこっちの投げ物が刺さったその勢いを、

 あの獣人…まさか、そのまま利用しやがった…


 冷静だったなら、獣人の尾が残ってる事も、考えついていた筈なのに…


 首筋に肩に、脚の腱も、確実に鏢を撃ちこんだのに、


 普通なら、とっくに絶命している筈だ…

 一体、ヤツは何故あれ程動けたんだ?


 いや、そんな事は、最早どうでも良い…何を言おうが、醜いただの言い訳だ…


 いい歳をして、何年も何年も、こんな事を毎日繰り返して来たクセに、いざ肝心な時に、焦っただと?ガキじゃ有るまいし…


 ふざけるな、一体何をやってるんだ、私は…


 例え死んで詫びたところで、何の意味も無い…


 私の命など、あの方に比べる迄も無く、無価値だ。


 そんな自分に、腹が立って仕方が無い、


 悔しい…ただひたすらに悔しい…


 絶対、何か出来た筈だ…


 気が付けば、私は泣いていた…


 かつて思った事も無いぐらい、この胸が張り裂けそうな程に悔しかった、

 今にも気が触れて、どうにかなってしまいそうだ…


 涙など、遥かとうの昔に、全て枯れ果てたはずだったのに…



 泣いている自分に、自分自身で気付くまでに、暫く時間が掛かった…


 それに気付いた時、止まっていた自分の思考が、漸く少しだけ、動き出した。



 身につけている私の印剣の鞘には、特異点に反応する、深闇属性の魔道具が縫い付けられている。


 突然、その魔道具が、振動し始めた…

 それで我に返った…


 何故、今特異点が?…いや違う…何だ?


 突然、何も無い空間に、亀裂の様なモノが複数走った…


 何かの悲鳴?そんな音が、遥か遠く…いや微かに聞こえた気がした、





 その次の瞬間…!?




 その漆黒の亀裂から、


 腕が…そして頭が見えて…


 そんな…




 ま、まさか?



 何が起きた…これは、夢か?


 本当に、

 これは…現実なのか?




 大きく血を吐いて、倒れられたお姿が、今も脳裏にこびり付いて消えていないのに…




 だが…



 まさに【深淵】の亀裂から、


 消滅したはずの我等の神が…


 再び、我等の目の前へ、

 この地上に、お戻りになられた…ご帰還なされたのだ…




 何という…ああ、



 奇跡だ…



 他に何の言いようが有ろうか?これは奇跡だ。



 更に、熱いものが込み上げてきたが、そんな物を気にする事もなく、



 私は、走り出していた。


 アマジャもまた、泣いていた…その気持ちは、痛いほど、誰よりも理解できた、



 私の…いや、我等の信じる絶対神は、

 一体全体、どれほど…何と慈悲深い事か…



 この無様な私に、再び御身を御守りする、

 まさか、もう一度…やり直す機会を…


 お与えに…お与え下さったのだ…


 そうか…だったらもう、二度と油断などしない。

 ああ…失敗など、二度と御免だ。



 この全身全霊を持って、

 この御方の前に立ち塞がる全ての敵を、必ずや…必ず、全て殲滅して見せよう、


 この、真実を語る清い心のミスミト…


 その真名と、この命に掛けて。




 そして…


 今再び、我等の神に…深き感謝と絶対忠誠を誓おう。



 



 


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ