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事情3

 まあ、いつもの事だが…

 

 そう考える様にはしているが、どうにも納得が行かない。

 

 各神を祀る別宗派との会合…


 まあ会合などと言うと、ただただ堅苦しい場だと、そう思われがちだが、

 大抵の場合はそうでは無い事が多い。

 

 特に、ヒルメ神、ヨミ神、サノー神 の、兄弟神を祀る、所謂、三大宗派は、

 その規模の大きさや間口の広さで、それぞれ教会や礼拝所等がとても多い。


 そしてその中には、それぞれ教会ごとに…

 

 やれ、どちらの建屋が大きいかだの、どちらの祭壇が豪華だのと…


 本当に、呆れるほどつまらない内容で争う派閥が、実際多く存在する。


 …まあ、うちにも派閥は幾つか有るが、こんなつまらん、まるで子供の喧嘩か意地の張り合いの様な、

 そんな無様な話は、一切聞いた事は無いぞ。


 近く行く予定になっている、エモラのヨミ神の教会も、

 結局のところ、我等からの資金提供が目的だ。


 先頃あった地震で、一部が倒壊した教会を、

 他所に負けない様に、立派に建て直したいのだと。

 なので…序でに、

 …おたくの【深淵の神】を、その端っこにでも祀ってやるから、沢山金をよこせと。


 長旅で疲れ切った挙句、無理矢理愛想笑いを振りまいては、質素な料理と不味い酒で接待された挙句、ついには金までむしり取られるとは…


 全く持って不愉快だ。


 仮に、商会の販路の拡大にでも繋がれば、まだ、我慢も出来ようものだが…

 ここには既に出店済み、しかも最近、その売上も頭打ち、ときてる。 

 …全く、頭の痛い話だ。



 ある日、そのヨミの教会から、一人の使者がやって来た。男はレホーと名乗った。


 男は若いが、随分としっかりした口調で話し始めた。


 「実は、【使徒】アルデント様に、我が教会の司祭メーカより、先の会合とは別に、内密なお話、ご相談が御座います」


 エストと言う、地方都市をご存知かと思いますが、そこの領主、ヘーミヤール…いえ、サザーリン様でしたか、

 そのお方が、アマの行軍の中の馬車に、軟禁されておると聞いております。

 実は、その方をお救い出来るかも知れません…と言うお話です。

 

 「ほう、それは、一体どう言う事で…」


 はい、そこでこちらも是非、貴方様のお力を、どうかお貸し頂けないかと…。つまりは、交換条件と言う…お話なのです。


 「そうですか…詳しく、お聞きしましょうか…」

 

 まず、サザーリン様ですが、我が教会の信徒の馬車、と言っても、アーマの軍に、御者ごと無理矢理接収されてしまったのですが…


 まさにその馬車にサザーリン様が今、乗せられていると、

 その御者が、内密に私共に伝えてきまして。


 私と、その御者のセテは、かねてより仕事の上で、エスト領主様とは協力関係に有りまして…顔見知りだったのです。


 

 成る程…


 で、我々は一体、何を助力すれば良いのですかな?



 はい、私を含め、我が教会内には、まともに戦えるような、武に秀でた者がおりません。

 故に、貴方方の様なお力をお持ちの人材が必要なのです。


 

 まず…この馬車そのものこそが、実は我等にとって大変重要なのです。


 詳しく申し上げる事は出来ませんが、馬車の中に、我が教会…の、

 …にとって重要な物が隠してございます。


 そこで…

 身代わりの奴隷か何かを乗せた、同じ形の馬車を用意しまして、

 行軍中の雑木林辺りで、何とかそっくり入れ替えてしまおうと、そう考えております。


 位置も丁度、隊列のほぼ最後尾でして、


 例えば…どうも車軸がおかしいだの、馬がケガをしただの、何かしら理由を付けて、

 一旦、軍の列から離しまして、その隙に、

 と…考えております。


 向こうはどうも、ここに乗せられておる人物が、ただの、年老いた領主だと思っている様で…

 なんと専用の護衛も見張りも、居ないそうです。

 

 まずは、この入れ替わる偽馬車の御者をお一人…


 そして、入れ替わった馬車が逃げ込み、そのまま通り抜ける事になっているダーマ砦、

 ここの獣人の門番に、門を開けさせるせる役の人をお一人。

 ああ、アーマの砦ですが、大丈夫ですよ。なにせ中は殆ど無人ですし、 

 実はこの門番含め、居残ってる連中は、近い内にアーマ側を裏切って、ズクの軍に寝返る者達ですからね。

 既に話は通して有りますし。

 ただ当日、キチンと実行し、馬車が無事なら、成功した時にだけ、門番に金を支払う係は必要ですよね。それをお願いしたい。


 で、あとお一人。

 この方は、うちの教会の司祭…いや司祭だった男に会って頂きたい。

 そして…この男から、ある物を受け取って頂きたいのです。


 物は…指輪です。

 それは特別な物で、黒い石…宵闇の力を宿している石が付いております。 

 これが本物かどうか、貴方方がお持ちの【目】で、確認頂きたいのです。

 

 お恥ずかしい話ですが、この男は賭け事に狂い、当協会から秘蔵の品色々を、盗んで逃げた愚者なのですが…

 今後、二度と自分を追わないとの約束で、この指輪を我等に返す事になっています。

 ただ、臆病な上にやたらと用心深く、複数で接触しようとすると、最悪出てこない可能性が有るのです。ですので、どうかお一人で。


 以上がお願い、ご相談となります。

 

 「相分かった、我が友サザーリン救出の為にも、是非ともご協力させて頂こう…」


 では、ミゲヤは指輪の回収、私とザジが門番、手間を掛けるが、シレン、御者の役は頼んだぞ。お前なら何時でも、容易く姿を消せるだろうし…


 まあ、事が事だからな、面倒だがマーヤルにはサザーリン救出の話はしておくか…


 そう…いえば、アヤツも何処かへ行くとか何とか…


 まあ…シレン、お前さん、用が済んだらマーヤルを追い掛けてやってくれんか?

 

 上手く行けば、私らは、サザーリンも連れてるだろうからな…


 いいかな…



 さて諸君、それでは準備を始めてくれ給え。




 

 


 


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