相違4
長い長い、三人のミーティングが一旦、中断されたようだ。
どうやら、話し合いより先に、俺に食事を…、って事らしい。
…いや、スイマセン、
こんな雑魚な俺なんかに、いらぬ気を使わせてしまいまして…
で、申し訳なく、
皆でまとまって、宿の食堂へと向かう。
食堂と言うだけあって、その数自体は少ないものの、
数種類のメニューの中から、自分の好きな物を選べるらしい。
俺は親戚さんに、おすすめを聞いてみた。
多分、一番詳しいんじゃ無いかなと思ったから。
ついでにエッタさんも、それに乗っかった。
マーオちゃんの分は、店主が何か特別に作ってくれた、おかゆっぽいの。
で、注文の品が来た。
出て来たのが、デカい焼いた魚だった。
見たことの無い種類の魚で、ちょっと熱帯魚?的な、派手な青色っぽいシマシマ模様の魚だった。
「では早速、頂きます」
では、一口。パクっとな。
青魚?的な、ちょっと苦味…癖があるが、
…そう、サンマっぽい。油も乗ってるし、軽い塩の味付け。うん、割とイケる。
くっ…醤油と大根おろし、天井から降って来ねえかな…
そう思いながらも、旨いんでソッコーで食っちまった。
しかも割とデカいんで、腹も膨れ結構満足した。
…俺は、割と満足…だったが…
他のメンツは…微妙なお顔、
多分皆は心から、魅惑のカレー味を欲していたようだった。
今更、薄味なんて、もの足らん…と。
いや、チラチラこっち見ないで…
食堂で味足すとか、流石に失礼でしょ?今日はもう、諦めロンっ…て事で。
で?そんな時、
アマジャさんが言った。
「若君、後程お聞き頂きたい事が御座います」っと。
「お…おう」
俺のゴーストが囁く…
うわ、来たぞ?ヤバそうなやーつ…
まあ、どうせ逃げ場も無いけど…
で、食後。
ミーティングに強制参加となった。
三人だと、全然意見が纏まらないので、いっそ俺に決めてもらい、それに従おう、って話になったと…
いやいやいやいや…
俺に決めさすとか?それ…もう、ただの大博打ですやん…
まあ、取り敢えず聞くだけは聞きますけど…
今回の件の中心人物【使徒】2名のご老人…
アルデントさんと、マーヤルさん。
アマジャさん達の、いわゆる俺…違う、破壊神信仰、
これを…
偉大で聖なる深淵を崇め称える教会…
現地語では【オルー・デアゼエル・キドメーザ=コイド】と、呼んでいるそうだが…
俺はもう、二度と言えないよ…
やはり?と言うか、
でかい組織あるある?な、その中には幾つかの派閥が有るらしい。
…派閥ってほら、もう面倒な香りがするよね…
まず、そもそも大前提として、【破壊神】は、アマジャさんの国以外では一部を覗き、殆ど、世間的には、居ない人扱い…ぱっと出の、急に現れるイレギュラー…的な?
しかも、その【破壊神】の前に、滅した神も居るそうで…
なので?
他の6柱信仰の人達は、【破壊神】の存在を、
認めては居なかったり、
見ないふりをして居る…らしい。
邪教扱い…迄は、流石に行ってないらしいが…残念ながら、奇特な少数派なんだそうな。
なので?各【使徒】は表向き、破壊神様は、一旦横に置いといて(隠しつつ)、
その6柱の、どれかを信仰している様な振りをして、
他国の宗教やら勢力と交流を持ち、情報の収集やらを行うと。
【使徒】ってのは、神職であると共に、国の政治家でもあって、どちらかと言うと、信仰を広めるよりも、国同士のバランスを取り、自国が中立で居られるように立ち回るよう仕向けるのが、割とメインの仕事だと。
で、まず、
アルデントさんの派閥。
この人が、西方香辛料商会なる、【アザエル】のフロント会社、この世界でも有数の商会の、実質トップ。
国内でも、経済界で、かなり強い権力を持ってるらしい。
【破壊神】は、まあ…大事だし、一応、探すけども…
仮に…破壊神が居なくとも、もう全部自分達で何とかしよう、国を運営しよう…、
そして、もし神が居たなら、その時はまあ、多少?世話になってやっても、ええで?って感じの派閥だと…。
ちな、一番偉い人、なんと親戚さんの叔父にあたる方なんだそう。
【口】、その大きな商会に属する者の、約半数以上はこっち側。
トップがそうなら、そりゃ、そうか。
で、
もう一方のマーヤルさん派閥。
こっちが本来のオリジナルの空気や、元祖からの正しい流れ、教えのみを強く信じる派閥。…狂信者?
俺の知るアマジャさん以下3名は、ゴリゴリのこっち派閥。
特に【目】を持ってる人の大半はこっちなんだと。
やれ、頑固とか、頭が硬いだの、時代錯誤だのと、【口】の連中に、影で言われてるらしい…
他にも幾つか有るが、今は置いとく、と。
で、多分?
軍に着いてったのが、アルデントさんと護衛の【旅団】のシレンさん【耳】。
明後日の方向に行ったのがマーヤルさんと【旅団】のザジさん【口】
いや、どうも護衛の二人は逆かも?って話もあったが、詳細は不明。
シレンさんとザジさんは、共に割と中立?で、
破壊神を信じて無い訳では無いが、
但し、居るんなら実際、自分の目で見てみないとね…って、感じの人達らしい。
…で、
何故、軍に?って、トコが一番の謎過ぎる、と。
もう最悪、組織を、破壊神を裏切ってるかも?説も有りーの…
もしくは、単に軍に拉致られた可能性も、無い訳じゃ無いと…
で、明後日の方向組?
誰かから逃げた?とか、
じゃ、その場合の誰かって、誰よ?…って話。
それが、もしや俺達…って事?
或るいは、他の誰か?現状不明と。
兎に角おかしい、謎だらけなんだと。
あっちもこっちも、謎しか無いと。
通常、ワンパの仲間が事情で離れる様な場合…
部屋の中や、予め決められている屋外のポイントとかに、
暗号なりなんなり、残すのが、通常の当たり前なのに、
今回は、そう言うのが、何も無かったらしい。
結論としては、2人の【使徒】の事情、安全、危険に依らず、それを確認するべきなのだが…
だがしかし?
二手に分かれてノコノコ追いかけるのが、本当に良いのか?
それって危険じゃ無いのか?
一番重要な俺【破壊神】の、保護と安地への誘導、
並びに、ヨミの娘も保護、隔離は必須。
で、
A案 俺とマーオちゃん、エッタさんを連れ、親戚さん一人でカーナンへ向かい、アマさん、ミゲさんがそれぞれを追いかける
B案 このまま全員でカーナンへ行く
C案 軍の方は危険が危ない?ので、今は放置、
しかしマーヤルさんは自分達の派閥にとって大事な人なので、とりま、そっちを追いかける。
但し、メンバー選出の上、でメンツを分けるか、全員で行くか?
…で、
それを俺が決めんの?
えーーっと、
俺は全ての情報を知り得て居ませんので…
まあ、あくまで素直な意見ですが…
俺はともかく、こんな小さな子を危険に巻き込むのは、どうかと思います…
一応、それぞれに、立派な護衛が居るのだったら、
ここには女性の保護対象者だって居ますし、何もわざわざコッチから、謎の危険に首を突っ込む必要は無いのでは?と…
なら一旦、皆で安地に帰還すべきでは?
…と、愚行致しますが?
どうでしょうか?
三人は顔を見合わせ、それぞれ頷いた後、
俺の前に跪いた。
「貴方様の御心のままに」
全員でカーナン行きが決定した。




