相違2
そして、朝日が昇った。
土の上で寝るのにも、多少慣れたとは言え、まあ、イマイチだよな。
街で、布団の上…いや布団有るんかな?…
で、眠れるとなりゃ、
街に行くのはちょっと、いや、かなり嬉しい。
風呂も有るなら、もっともっと、嬉しいのだが。
季節的に…俺が飛ばされた時、日本は9月の頭だったが、
こっちって、暦って、有るのかな?
…そもそも?365日計算なのかも、疑問だ…
取り敢えず、日本よりちょっと気温高めで、湿度はちょっと低い気がする…まあ、いい気候って感じかな。
日は高く、昼も過ぎて時計の針が14時を少し過ぎた頃、
いよいよ街に向け、俺達は移動を開始した。
で、
そこで移動しつつの、重要な晩飯メニューに次いでの議題が2点…
…あれ?
俺、まさか晩飯より雑魚なのか? 寒…
まず、俺の格好について。
一見地味コーデなのに…
明らかに、こっちの空気感からすると、妙に浮きすぎてるらしい。
なにせ、何処の国の服とも違う、って事で、さてどうする?と。
俺は仕事のスタイルで、白のワイシャツに細身の黒ネクタイ、黒いズボンに黒のスニーカー。
で、
上に薄手で黒無地のコーチジャケット。
…あ、黒のキャップ後ろ前に被ってたな。
黒いな…
まあ、あっちじゃ普通か、地味で目立たないコーデなのに…
ナイロン素材やスニーカーのゴム?とか、こっちの世界には無さげだし…
確かに、このパーティのメンツの中じゃ、かなり異質…か。
紆余曲折有って?
予備のフード付きマント?っぽいのが、エッタさんの持ってた荷物に有ったらしく、
結局、それを…頂いた。
何故か…飴ちゃん…2ケとトレードで…
…っち、あの女…
こっちの足元見やがってよ…
あ、そう、
そういや…洗濯もしたいよなあ、折角?カバンに液体洗剤もちょっとだけ有るし…
幾ら何でも…
例え毎日水浴びをしていても、精神的に同じ服を着続けるのは辛い。
しかし、
…それ、なんと俺だけ…らしいんだが?
こっちじゃ、衛生観念?なにそれ、食えるの?ってことか?…
で、
街で…いや、人前での、俺の呼び方について。
こんなチャラい若ぞーを、何故か皆が揃いも揃って【神様】とか言ってるの…
もう可笑しいよね、超ウケるよねって…うん判る…
アマジャさんが、
「どうお呼び致せば、不敬にも当たらず、場の違和感も無くせるのでしょうか?」
あ、俺のご意見、ですか?
おふざけなら?
「お頭」?
「兵長」…
「団長」とか?
「お館様」?…んーん違うな…いっそ?
「海賊王」?
「黒い剣士」とかもエエな…
いやいや、
怒られるか…
えーっと?真面目に、
もうこの際、本名、は…
あ、はいはい、絶対ダメ…なんですね…了解、
えーっと、
じゃあ取り敢えず、
「社長」か「副社長」、
社長の息子?ボンボンみたいな感じで…「二代目」とか、「若」?とか辺りが、まあ…無難でしょうかねえ?
リアルな?元いた世界でも、実際そうだったしね…
約数分間の、濃い顔3人の意見交換ののち…
暫定で「若君」に決定した…らしい。
街までの道程は、ゆっくり移動で約1時間位だった。
街は高い、石と木の壁が周りを囲っている。門番らしき武装した街人がいたが、
もう親戚さんは馴染みの顔って感じで、門番とはお互い笑顔で会話しながら、ノーチェックで入れた。
…多分親戚さんが、何回かここに通っている内に、プロのスキル?ってやつで、ちゃっかり門番に取り入って…
我々、無害で可哀想なな商人の一行ですよ〜って、
思考誘導とかして、そう思わせたんだろうなと。流石、プロやな。
で、ここの街並み。
住居は岩壁?と、石のブロックと木の建築で、高さは2階建てと平屋のみ。
幾つか商店のような、商品を並べる棚が並んだエリアが有ったが、何処も商品は殆ど無くなっていた。
確かに…良くあんな魚ゲットしたなあ、親戚さん…
街中の住居や店舗は、日本と違って、それぞれ1件、1件が、結構離れている。土地のスペースが多いんだな、きっと。
で、
少し移動して、目的の宿屋に着いた。
ミゲヤさんと親戚さんが中に入っていったが、残りのメンツは待機。
もうてっきり泊まれるもんだと思っていたが、
当の人物等が居なければ、即、街を出るって事らしい。うう、洗濯ううう…
数分後ミゲヤさんらが出て来た。
やはり?、お仲間は軍が入って来た辺り…?で、ここを離れたらしい。
が?、
予想外の事態が起きていた。
どうも…1から10まで見てはいないから、絶対では無いらしいが、
店員の話では、4人のお仲間さん達は、何故か2人組づつで別れて…
片方は北へ、もう片方は何と、侵攻軍の後について行ったらしいと…
それを聴いて、三人の顔はとても複雑だった。
どちらも、【深淵】にも、【アザエル祈祷院】にも、真っ直ぐ向かった…とは、言えない、
明らかに違う方向、だったかららしい…
そもそも、危険を冒してまで、特に軍にくっ付いていくような理由が、どうにも解らないと…
何か…ここに居た【使徒】って人ら2人が、どうも色々訳ありな、ちょっと面倒くさい系…って事?なのかな、知らんけど…。
アマジャさん曰く、
全く予想外の状況で、何か特別な理由が有るのならば、
本来なら、それぞれをきちんと確認した方が良いのだが…
今のこのメンツが二手に別れ、別行動するのも、どうかと…
親戚さんは、強く、自分は二手に分けるのは絶対反対だと言い、
ミゲヤさんは黙り込み、考え込んでいた。
俺は…こんな時何だが、今がチャ〜ンス!と、内心叫び、
「別れた組のどちらかが、ここに戻る事は有りえませんか?、こっちの考えも纏って無い様ですし、せめて1日から、2日、ここで待ってみては…?」
ミゲヤさんがアマジャさんをちらっと観た後、俺に向かって言った。
「確かに、少しだけ、考えを纏める時間、今後の身の振り方を検討する時間を頂きたいと…思います…」
「では、部屋を取り、少なくとも、明日のこの時間までは、最低限待つことにしましょう」
まさか?
一切金を持ってない雑魚が…
とても無一文とは思えない位、御大層に?
何故かメッチャ偉そうに…
俺は、そう言ってみた。 …クソやな、俺。
結果、お泊まりとなった。
だが、ありがたく…
…よし、洗濯ゲットだぜ!




