深慮3
え、その後って?
ああ…
で、どうなったかって…?
え、それ今?…まあ、ええけどさ…
でもまあ…あれよ?
普通の、有る有るだけどね〜?
…それでも?…聞くと?
そっか。じゃあ…
そう、退院したは良いが、マトモに動けん俺を迎えたのは、他ならぬ…じいちゃんだったのよ。
当初は親戚が…って話だったんですがー…
…マジで長い話になるけど…良いの?
じゃあ…えーっと、
何とビックリ、じいちゃんは元暴力団幹部、ヤクザの偉いさんだった…
散々迷惑を掛けた息子…あ、それ俺のとーちゃんね、
その家族に対し、自分は何も出来てない…と。
あの事故が合って、じいちゃんはヤクザを辞めた。
俺を引き取る予定だった親戚のおっちゃんトコに、
いの一番に頭を下げに行ったらしい…。
若い頃、じいちゃんがヤクザになったのは、一番の大親友が、組長の息子だったから…
で、そっから二人で色々頑張って、組を大きくしていって…
じいちゃんはそんな、組のまあまあの立役者?だったらしい。
で、当然?っていうか、
ご近所の目?
世間体?っていうか…
身内がヤクザって…
そりゃ、俺の教育上、そして、ここ最近の社会情勢?
コンプライアンス的な?
全く持って宜しく無いんじゃ無いか?…って事で、
完全にじいちゃんと、うちの家族とは疎遠だった…。
じいちゃんもじいちゃんで、こっちに相当、遠慮してたらしい。
だがしかし、
うちの母ちゃんは違った。
ある時、ほんの一言…しかも、殆ど何も考えずに俺が言った…
「俺のじいちゃんって、どんな人?」
その、たった一言で…
まさか?
…ヤクザの事務所におしかけてって?
で…
じいちゃんに言ったらしい。
「貴方はともかく、うちの息子には、たった一人の、自分の祖父に会う権利は、絶対有るだろう、それを、アナタの都合で勝手に奪うな…」と。
ヤクザの事務所に一人でカチコミ?カマすとか…
いやマジ??完全にアタオカやん?
…母ちゃん怖っわ、
更に?
じいちゃんの組のフロント企業?
じいちゃんの会社の健康診断で、初期の癌が見つかったっていう、妙なタイミングだったらしい。
…いやいやいやいや…
は? ヤクザが、健康診断…って?なん、それ?
いやまあ、そりゃ、堅気さんより?ちょっぴり身体が資本か知らんけど…
…え、ああ、スマン…でも、突っ込みたくもなるでしょ?
え?そう、まあ、ええけど。
…でも?
世間体が、とか、言ってる割に、俺とじいちゃんとは実は、時々、いや結構会ってた。
俺の野球仲間もついでに、
やれ、焼き肉だの、
やれ、寿司だの、
やれ、ステーキだのと…
俺を含め、飢えた中学野球男子という獣達を引き連れ…
おっそろしい程の食欲…食事量…
いっつも笑ってたけど…
今考えると、絶対毎回恐ろしい金額だった筈…
色々、いっつも腹一杯美味いもん食わせて貰ったな。ゴチっす。
そーいえば、事務所の組長の椅子にも、ちゃっかり座らせて貰ったな…
じいちゃんの親友だけあって?組長さんも俺を可愛がってくれたし。
自分に孫が居なかったってのもあってか、
ええか?おっちゃんと、じゃいけんして、勝ったらお前、今日から組長な!とか…
…アホか?
まるで自分の孫のように接してくれた。そしてよく言われたのは、
もしもイジメられたら直ぐ言えよ、
そいつに…ヤクザの本気ってやつ、いつでも見せたるからな…とか。
怖いわっ!
それ、急にクラスの生徒、いや家族ごと、失踪事件起きてるんちゃうの?ヤバいわ…
あと、おめぇの母ちゃんは、メッチャカッコよかったぞ…
中々、あんな堅気の姉ちゃん、居らんぞ?
とか…
…よく聞いたな。
やっぱ、母ちゃん怖っ。
いつだったかド派手な高級金時計を、小学生の俺にくれようとしてたな…
俺の腕周りの3倍以上の大きさの、
金キラキンのピカピカのやつ…
じいちゃんは、
「さっすがにそれ…小学生にはどうよ?…」って、笑いながら断ってたけど…
いやあれ…マジ貰っとけば良かったなあ…
そこらの大きい家よりも高いで…って、言ってたし…
知らんけど…
俺の、一家全員が事故った時に、
組長さんは、じいちゃんに言ったらしい…
老い先短いお前は今、ここで綺麗に足洗って…
これからは、生き残った孫の為に生きろっ…て、
でも、じいちゃんが…
今更、一体どんな顔してっ…て、言った途端に?
その組長に、泣きながら、
「このボケえええええっ」って… 渾身の右ストレートw
もう豪〜快に、ぶん殴られ、ぶっ飛んだらしい。
…鼻の骨折れたって言ってたな。
結果?
じいちゃんは会社(組)を、
まさかの定年退職って事で…
多額の退職金…いや慰謝料?と共に、
約半世紀ぶりに、自分の実家に戻った。
有るんやね、こんな時代でも、義理人情って、何か…カッコええやん、古き良き任侠やん?
知らんけど…
先ずじいちゃんは、ご近所や親戚連中に、そりゃもう、これでもかって位、頭を下げまくったそうだ。
俺の身体が不自由だろうって事で、古い築60年のボロ屋をサッサとブッ壊し、バリアフリーの会社兼自宅にしちまった。
いやいや…じいちゃん?
まず、俺の許可は?
まあ、これには、俺に、古い思い出に引っ張られず、
これからは前を向いて生きろって、強い意味も込め…
まあ?
込められてたらしいが…
いやいや、俺の私物よ…
そう、あれとか…
アレとか…
あのお宝の…フィギュアの…
ま、まあ、
それはエロ…い、いや色々、まあ…今更エエやろ…ゲホゲホ
まあ、ぶっちゃけ、家自体には特に、何の思い入れも無かった俺は、
わーい、新築じゃん♪って、割と普通〜に受け入れたが。
で、
そんなこんなで、じいちゃんは長らく開店休業だった、
うちの家業、葬祭業を、
俺の為に再開させた。
…その際、
「わしはもう長くないからな、龍、お前が社長や!」
…と、
強引に社長の座を押し付けられそうになったが、
その時、俺のゴーストが囁いた…
それ…絶対、面倒くさいやつやぞ…と
実際問題、俺はまだリハビリ中だ…って事で、
俺は、社長という名の副社長、
じいちゃんは副社長と言う名の社長…って事で、謎に満ちた答えに落ち着いた…イミフ過ぎる。
じいちゃんは、前の会社…ん?えー…某?…組織の、
一応、まあ…会社?の、副社長だったらしいので、副社長って呼ばれ慣れてるので、
まあ、当面?それで良いかって、事になった。
で、そっからじいちゃんとの生活が始まったのよね…
リハビリと仕事をしながらさ…。
あ、うちの会社にはさ、もう一人?…従業員がいるんだよ。
黒猫のミーさん。ネコ駅長ならぬ、ネコ店長なんだよ。
…ずっと寝てるだけの、鈍らの雇われ店長なんだけどね。
そうそう、日給はメザシ2匹、賞与は年2回で、高級キャットフード、勿論、カリカリしてないやつ。
好きな言葉は、ごはん
座右の銘が にゃー
…これ、うちのホムペに載ってるから。覚えといてね。
まあ、何か、他も色々有ったけども、
今回はまあ、これぐらいで…良いよね?
あとは…また、何か機会が有ったらね、
じゃ、また今度。




