表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/164

暗闇4

 何かもう、どうでもいいわっと、ボヤいた時にまた、気がついた。

 俺の指が、くっついていく…


 どうやら時間経過と共に、手の指が無くなり、そして腕も少しずつ身体に埋もれて行くように短くなっていく。


でも、強く意識していると腕も指もゆっくり復活する。


 自分の感覚で、勝手に着てると思い込んでいた服も、やはり時間経過と共に消えていく…と。


 そして上着のポケットに入れたつもりのスマホは消え、拾ったクモの石も、俺の半透明な身体の中に浮かんでた。


 え?どうやら俺、消えつつあるんでは??

 ヤバくね?

 

 何だろう、不安しか無い。意識しないと消えそうなのに、意識も段々と薄らいで行く。


 そんな時、またまた発見した。


 それは空中に浮かんだ、亀裂だった。


 縦に割れた2メートル位の…その向こうに、暗闇が覗く。


 そうか、俺がブチ破った壁か…


 目を凝らし中を覗くと何かが光って見えた。

 意識を強く持って、腕を復活させて亀裂の中に突っ込んでみた。


 不思議と怖さは無く、俺を引っ張ってくれたクモも、こんな感じだったのかなと、ふと考えた。


 暗闇の奥で光った何かは、思ったよりも、ずっと奥にあって、


 俺はグイグイと腕を突っ込んで、それでも足らずに、

 ついに身体の半分位を突っ込んで、ようやくソレを掴んだ。


 それはデカいカバン、いや、俺の仕事道具一式の詰まった、まさに俺の物だった。


 それを掴んだ瞬間、一気に記憶が頭の中に蘇って来た。


 そして、力を込めてカバンを引きずり出す。


 暗闇の中に居た時に聴こえた、あの悲鳴のような音が遠くに聴こえたが、気にせず強く引っ張った。

 そして、それは出た。


 黒くてやや大きめの旅行用のスーツケース、俺が貼ったステッカーや、付けてしまった傷や凹みが、更に俺の記憶を、脳みそを活性化させた。


 「思い出した!俺や、オレやんっ!!」


 そうだ、草野球の途中、急な電話で呼び出され、そんで直接仕事に向かったんだった。


 そうだ、そうだ、思い出した。

 すると途端に、身体が変化していった。

 まさに、本来の俺が復活していく。腕も足も、服も、そして「ナニ」も。


 …触診では落ち着かず、ベルトを緩め肉眼でも確認した。「有った!」息子の生存を確認した。

 

【祝】俺 復活のお知らせ


「やったぞ、俺、のっぺらぼうも玉無しも、卒業だぜ、やったぞ、勝った。勝ったな俺」


 嬉しさが爆発した。

 しかし、身体が戻ったのも幸いだが、仕事カバンが有るのも心強い。

 何か、急に心に余裕が出た。


 そして、このカバンに括り付けられた愛用の金属バットと試合用バット、俺はどうやら武器まで手に入れた。

 これが有れば、仮に対人間ならヤれる、戦えるゾ。


 絶望の淵から一転、一筋の光が俺を照らし、何か急に視界が開け気分だ。つられて頭が高速回転し始めた気がする。


 よし、拾った食料に武器、服に道具一式が揃った。最早無敵、次はより精度の高い情報収集だな。


 辺りを見渡し高所を探す。そして移動しながら時間を見る。復活した腕時計は午後14時13分を指していた。


 「…って事は、俺が病院に着いたのが12時ちょっと過ぎだったから、まだ2時間しか経ってないのか…」


 もう、数日は過ごしたかに思える程に、

 俺の身体は疲れてはいたが、

 早足で小高い丘の上まで頑張って歩いた。


 到着した丘の上で、俺は仕事カバンを開け、オペラグラスを取り出した。

 ゴルフの景品を、いつか要るかも、使うかもと、じいちゃんが入れてたやつだ。

 このカバン、こんな余計なのがゴロゴロ入ってる。だから無駄に重いんだが、タイヤ付いてて軽く引っ張れるんで、別にそれ程気にして無かった。


 「ありがとう、じいちゃん、余計なモンが、初めて役に立ったよ」


 さあ、俺の逆襲が始まるぜ…


 知らんけど…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ