俺の、改善計画2
更に移動し、やがて夜。
河原の横の、ちょっとした崖の凹み?みたいな場所を、今夜の寝床にする様だ。
途中、アマジャさんが杖でヘビを引っ掛けては捕まえ、首の辺りをキュッとやって、
それを親戚さんに手渡していた。十数匹?
そのうちの黒っぽいの…
…全部毒蛇だそうだ。
真っ黒だが、頭が三角で、確かに?マムシっぽいな…
一応、一応だが確認しておこう。…一応な、
えーっと…親戚さん、
ところでそれ、どうするんですか?
は?
…え?
当然、食うらしい、
至極、当たり前過ぎて、
一瞬?、
一体何を聞かれたのか、良く判らなかったと…
ちな、毒蛇の毒は取り出し、仕事の為に保存する…と。
売れる皮は売り物に。
ヘビが食えるのも、
立派な食材であるのも、知識としては、
そう確か、中華料理じゃ、意外と高級食材とか、聞いたような気も…
そう言う認識は、
一応、有ったが…
有ったけれども、まさかな…と…
そうか、食うんだ…
どうやって?
だが、俺以上に恐れ慄いてる人が、俺の視界の端に入った。
エッタさんは、顔色が悪い…ちょっとおかしな事になっていた、超ガクブルですやん…
更にずっと、何かブツブツと、
「ああ、神よ……」とか…
…勿論俺…じゃない方、
多分、ちゃんとした神?に、ただひたすら祈りを捧げていた。
…く、スマン、働き者のエッタさん…
ただ呆けていただけの、
こんな無力でお雑魚な偽もんの神を…
どうか、どうか許して欲しい…。
…もう一つ、
飴ちゃんをあげようと思った…
そして、調理が始まった。
アマジャさんがヘビを捌いて、それを親戚さんが河で洗ってる。
ミゲヤさんが浅い鍋に油を注ぎ、火にかけた。
ん?唐揚げ、かな…
洗ったヘビの、細かいぶつ切りに、
何かの香辛料と、エッタさんが積んでた葉っぱ……
よもぎとかが使われる様だ。
三人の妙な連携、手際の良さ、
こっちではヘビが日常的に、
割と高い頻度で食われている、メジャーな食材なんだなと、
そう、認識させた。
待て、ひょっとしてこれは?
逆に、期待出来るのでは?
ミゲヤさん、大好物とか言ってるし。
もしかして、
逆転サヨナラまんる…いや、待て…
過剰過ぎる期待は、命取りだ…
ただ…正直怖い。
ヘビて…
俺はカバンを開け、
48の殺人技の一つ?
あいつ を取り出し強く握りしめ…
スタンバイしていた。
ああ、きっとコイツならやれる…間違い無い、
誰が相手でも、コイツはそう簡単に負けやしない…筈だ…
「では、先ずは神様より、どうぞご賞味下さいませ…」
親戚さんが言うと、
全員が一斉に俺を見た…
眼力…
…圧のクセが凄い…
…ええい、ママよっ、
手掴みで口に放り込んだ…
んぐんぐんぐ…
お?
思ったよりも、食えるぞ、味も基本は悪くない…
想像よりは、悪くない、食える。食えるよ、うんうん、成る程…
ヘビって鶏肉の様だとか聞いた事があったが、
うーんそれは…どうなん?あれ?ワニだっけ?
旨い…と言うには、後少し、あとちょっと、パンチが足りない…
迷わず俺は言った。
親戚さん、ちょっと、味足して良いですか?
と、一応、声をかけた。
親戚さんは、少し悲しそうな顔をして言った…
「お口に、合いませんでしたでしょうか…」
「いや、これは旨いよ、全然イケると…だが、こいつはもっと…
もっと、もっと旨くなるポテンシャルを感じるんですよ俺は。そして更に突き抜けた姿が見たいんです…」(知らんけど…)
親戚さんの目に、光が戻った。
「…お願いします」
俺は叫ぶ、
「出でよ、必殺、カレーパウダー!」
親戚さんの器に、パラパラ〜…っと。
で、よーくまぶして…
「さあ、食って感想を聞かせてくれたまえ…」
俺を見つめる親戚さんは、迷いなく、
直ぐ様それを口に放り込んで、食った…
食って、一瞬の沈黙の後、カッと目を見開き、そして言った…
まさか…これは一体?
ここ迄…い、いや奇跡…
いや、旨い、美味過ぎです、ああ神様…
アマジャさんとミゲヤさんは並んで、即座に俺の前に跪き、
両手で器を前に掲げた。
…ふ、
もー、しょーがないな、の…アマ太君は〜
そう言ってパラパラ〜…
ミゲヤさんにも、パラパラ〜…
さあさ、
お二人…と…あ、
俺が声を掛けるよりも早く、
2人は既に食ってた。
で、
…大体?親戚さんと同じリアクションだな…
ふ…圧勝やん。
そして、震えるガクブル子羊、エッタさん。
…大丈夫、大丈夫やで。
(偽だけど)神と、コイツの力を信じて、
はい、パラパラ〜…っと、
ほれ、目を閉じて食ってみて。
で、
これを…っと、渡す。
どうしてもダメなら吐き出して、
この飴ちゃんを食べるんだ。
きっと、全てを忘れさせてくれるよ…
おっ〜と、マーオちゃんの視線が痛い…
あ、勿論ねー、
マーオちゃんのもねー、ほら、あるよー、
でーもー、
まんまのあとね〜。
マーオちゃんは更に俺を見つめ続ける…いや待ってるんだ、コイツを…
子供に香辛料…カレーパウダーはどうか?とも一瞬思ったが、
あのキラキラした、期待のうるうる目で見られたら…もう…無理、
無理だー、抗えん…
ちょっと、本当にちょっとだけパラパラ…
更に小さくちぎって、口に入れてあげる。
辛く無い?大丈夫?
…もくもくもく…
おお、笑った!
勝ったぞ、カレー!
やったぞーエイドリアーーーんっ!!(ロッキーのテーマ脳内再生中)
おいちいのー
そーなのー、
良かったねー。
恐ろしい、
恐ろし程のかわちいさ…
ああ、急ぎスマホで録画し無くては…
永久保存決定だな。
PS エッタさんは…
あれ?…
あれあれ?
…え?
お…いし…い?
とか、言いながら、
ちゃっかり完食、おかわりもした。
カレーパウダーいや、
カレーこそ至高。
カレーこそ正義。
やはりカレーは、
この世界でも、偉大なる王者だった。
知らんけど…。




