逃避行3
世の中には不思議な事が沢山有る。
長らく生きてきたと思っては居たものの、
未だ見た事も無い、聞いた事も無い…
そう言った事は多く有る。ここ数日は、特にそうだ。
私は【深淵の目】、
ミリゲアーヌス・リースジャス・ヤータナ・イソル。そして【剣】だ。
皆はミゲヤと呼ぶ。
割と若い頃に、組織の最難関と言われる、
【剣】の中でも特に上位者に与えられる任務、【旅団】の一員に選ばれた。
生まれ持って身体が大きく強かったのも有るが。特に両手剣が自分に合っていて、稽古もいつも楽しかった。練習相手はいつも怪我してたな、
気が付けば少し、やり過ぎた、のかも知れない。
【旅団】の仕事は、
【使徒】が他国行く時の護衛や安全の確保、
場合によっては驚異の排除も含まれる…
大きな声では言えない仕事を、人知れず、内密の内に処理する、
まあ、汚れ仕事だな。
ただ、それらは正当な理由は有るし、
時に仲間の復讐だって有る。それに他にもまあ、色々、多岐に渡る…。
十数日前、【使徒】アデルント様の護衛で、他国に居た。
通常、常に三人で組んで任務に当たるが、
今回は色々条件が有って、私は一人で別行動だった。
その昼、
遥か向こうの、天が割れた…無数のヒビ割れとともに、遂には、
…天が砕けた。
緊急事態だ、私は任務を一旦放棄し、急ぎそちらへ向かうと決めた。
直前の大きな魔力の流れ、多分あれは【呪】だ。
何故だ、何で、今?
そもそも【深淵の目】はその空の裂け目や穴、深淵を探す為に、身体を弄くられ、そして存在する。
今こそ向かうべきだ…
恐らく今の巨大な魔力、
【使徒】も、仲間も気付いた筈だ…
その場所に急ぎ向かう途中、
流石に相棒のラクダが持ちそうにない、壊れてしまう。
置いていく訳にも行かず、少しだけ休憩する事にした。
その時、女が一人、多くの荷物を抱え、
こちらの様子を覗いてたのに気付いた。
動きは見るからに素人だった。
それが、何で、こんな辺鄙な山の中に?
聞いてビックリ…
なんと、嘗ての上司エストの領主サザーリンの関係者だった。
サザーリンは【使徒】だ。
ある任務の為そこに居た。
そこに神人の、アーマの巨人が、
何かを引き連れ、来たらしい。
どうせ、碌な事はしないのは明白だが、
眠り薬が撒かれ、周りの、人の姿が消えていたそうだ。
事態を察し、慌てて、領主の妻が女を逃がし、
商会、いや我ら【アザーエル】に接触せよと、そう言われたと。
遠路遥々まあ、しかも弱いくせに、
この逃避行だと…全くご苦労なこった。
しかしまあ、気の毒な女だ…
更に見せられた手紙を見て驚いた。
【旅団】の私さえ知らなかったが、
そこに預けられた小さな娘は、
なんと神族【ヨミ】の血を引くらしい…
そりゃ、考えただけでも、色々危険、厄介だな…
他人事でも、ゾッとする…が、
成る程、
アーマの連中が躍起になって探す訳だ。
利用価値が高過ぎる。
こりゃ、えらい拾い物か、とんでもない疫病神だな。




