暗闇3
よく判らない状況と、理解し難い環境に突如置かれてしまった訳だが、
さてさて、慌てても仕方がない。
とはいえ、ずっとボンヤリしていて頭が働かないのも事実。
では、こんな時は少し歩こう、そう思い立ち、漸く重い腰を上げた。
呆けていた時間は一体どの位だろうか?っと、ふと腕時計を見た…
え?無い、いや有る。
時計は無いが腕は有る、有るぞっ!
それ以前に、暗闇の中にいた時は腕…無かったよな…
でも、今、生えてるな?
俺の腕…超良かったよ。
おっと、良く見りゃ、足もあんじゃん!
だがしかし、
何か違う、妙だ、見慣れた俺の腕や足じゃないんだが?
ってか、俺、何で真っ裸なん?
いやいや、俺そんな趣味ねえんだけど、何故?
いつの間に脱いだ?酔っても無いんだが?
いや、こんな戦場に真っ裸って、
そりゃ、変態どころか、ド変態ワールドカップで優勝クラスじゃね?ヤバくね?
周りに誰も居ないとはいえ、俺はかなり慌てたが、恥ずかしさ故に、逆にようやく、少し冷静になれた気がした。
今まで気付いて無かった事に驚いたが、先居た場所で着れそうな服も漁ろう。
そして、裸足の筈なんだが…良く見りゃ足の指が無いのに気付いた。何故か瞬間、股間に目が行った。
…無い、無かった。ぎゃあああああああ、意識が戻って以来、コレは最大級の衝撃だった。「オォ…ォ…オワタ…」
【悲報】 俺 終了のお知らせ…
フラフラと、絶望とショックの中歩きだして、気が付くとあのクモの残骸の処に戻っていた。
そして、近くの地面に刺さった大きな剣の刃に映ってる自分が視えた。
剣の腹に映る俺は、我が目を疑う様な姿だった。
なんと、目も鼻も無い、全身タイツか、まるで小さな子供の描いた絵かよって位、
ぶっちゃけ、のっぺらぼうで?
…目、無いのに、何で視えてんだ?
何で喋れんだよ?
俺、まさかの化け物に転生したんですかね?って、神さんよぅ?
俺、そんなん聴いてねし、受け止めきれないんですけど?
ねえ、何なん?
フーフー。数回大きく息を吸い、吐いた。
そうか、コレ魔法だな。
のっぺらぼうな代わりに、きっとスゲエ魔法使えるんだよな?
異世界あるある、なんでしょ?
大魔法使いの爆誕やなっ、
ヨシっ、ヨシっ、俺知ってる!
腕を伸ばし叫ぶ、
「爆炎よ出ろっ〜〜!」
…辺りは、とても静かだった。
つ…次だ、
「いざ…荒れ狂う暴風よ、吹き荒れろっ〜」
…静かだ。
優しいそよ風が、俺の頬を撫でる…
アカン泣きそうや…
あ、あれかな?
実は、と、と、飛べたりは、するんですかね〜。
腕を振り、膝を曲げ、そして跳んだ。
えいっやぁ、
…小さな普通のジャンプだった。
クックソがっ、
絶対、の…呪って、呪ってやるぞ、クソ神がよっ、覚えとけよ、ボケがっ!
恐ろしい程の無力、無能感、そして、まさかの玉無しだと…。
俺は膝から崩れ落ち泣いた。
いや、目無いし、涙も出ねえけども…




